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なないろめがね

「告知」・・・だけのはずでした(笑)

えっと,珍しくシュクレ関係のお知らせです。
2月25日(水)に、ちょっと奇特な本が旭屋出版さんから発売されることになりました。
その名も「人気ブーランジェのD.N.A」です。
なにが奇特かというと、その内容なんです。
関西4名、関東4名の計8名のパン職人のみで構成された1冊の本。
なのにパンの写真は1枚も無し。それどころか写真自体、1人3枚程度。しかも白黒。
持ちページは1人30ページ弱。完全に「読み物」です。
何が記されてるかと言うと、
生まれから幼少期、少年時代から修行時代、そして現在です。
誰か読みたい人いますか?(笑)
正直、有名タレントさん8人集めて生い立ちから記しても「読みたい」とは思いません。
よくこの企画が通ったな・・・とさえ思います。
しかし、売れる売れないは置いといて、カタログ的にパンの写真を羅列するよりも、
人一人の生き様を記したほうが伝わるものはあると思います。
いつもそうなんですが、他にどなたが載ってるのか知りません。
どんなことが書かれてるのかももちろん知りません。
僕はと言いますと、ライターさんがびっくりするくらい開けっぴろげに話しました。
もちろん載せれる範囲内ですけど(笑)
読まれる方は、僕の印象が変わってしまうかも知れませんね。
覚悟して読んでください。
と言っても僕の場合、独立までに渡ってきた店や会社が同世代の倍くらいあるので、
普通に記していくだけで全然ページ数が足りないんですよ。
削って削って削って無理やり収めました。
まだまだ記したかったこと、記さなきゃいけなかったこと、沢山ありました。
ピンで依頼される日が来たとき用に取っておきます(笑)
出版社の意向は、次の世代に読んでもらいたい本を作りたいとのことでした。
僕は憧れるような道は歩んできてません。
昔、とある専門誌に掲載されたとき、あまりに美化されてたので、
「この雑誌はスターやエリートじゃないと載れないんですか!?
世の中にはそんな職人は一握り。みんな地面這い蹲って生きてきてるんですよ!」
って抗議して、どんなに不細工な人生だったか書き殴ったFAXを、
8枚くらい編集長に直接送りつけた覚えがあります(笑)
当時まだオープンして2ヶ月くらいしか経ってない時のことでした。
昔っから面倒くさいヤツだったんですね(笑)
「そんな内容の特集じゃありませんので」と一蹴されましたけど。
そんな、憧れるような道を歩いてきてない僕だからこそ伝えれることがあると思うんです。
それは、「こんなヤツでもやっていけるんや・・・」っていう勇気です。
スポーツ選手やタレントさんらと違って、
昔から夢見て目指してきた人間が集まる業界ではありません。
特にパン職人は、料理やお菓子のジャンルと比べても華の無い職業です。
それでも「生涯を捧げるに値する仕事」なんだという事を、
他の人の文章を読んで感じてください(笑)
僕はあんまりそんなこと書いてなかったんちゃうかなぁ・・・。

でもね、みなさんどう思ってはるのか一度聞いてみたかったんですけど、
この業界、どう思いますか?・・・って急に聞かれてもね。
時代と言ってしまうのは簡単ですが、
この業界、ホントにしょぼいヤツが多いんですよ。心がね。
こっから、若い子や、もし志してる子がいるならよう読んどき。
まず、専門職・・・いわゆる「職人」と呼ばれる世界には、
古いと言われようと、独特の気質があります。世間と比較すること自体ナンセンスです。
そういうのが理解できない子を悪くは思いません。
ただ、そんな子はそういう会社を選択してください。
料理人や菓子職人、パン職人と言いましても様々なジャンルや店、会社があります。
ある程度の時間や給料や休みを保障してくれながら働けるところも少なくありません。
大手チェーン店なんかはその類です。
その方々も自分の仕事は「料理人」とか言ってると思いますよ。
「サラリーマン」とは言ってないと思います。
それはそれ、同じく人を喜ばせる立派な職業だと思います。
僕が言いたいのは個人でやってはる志の高い店のことです。
そこには半端じゃない想いと時間と労働力が注がれています。
お客さんに満足してもらうのに、
「ここまで頑張ったらオッケー」なんてラインは存在しないんです。
だからみんな、やれるだけやってるんです。
24時間じゃ足りない人たちばっかりです。
1週間が10日くらいないと休みすら取れない人たちばっかりです。
ま、言うなれば「変人」ばっかりです(笑)
それゆえ広い世界を知ってるわけではありません。
ただしそれゆえ一つの世界に純粋に没頭して生きてます。
まさに人生を捧げてるんです。
そうなることをわかって覚悟して営んでるんです。
そこに茶化しに来る馬鹿が後を絶ちません。
一日で辞める子なんて「へ~」ってな感じ。珍しくもなんともありません。
うちも安定するまで2年かかりました。
「いいスタッフが揃ってきたなぁ・・・」と実感するまで4年半くらいかかりました。
今まで辞めていった子なんて覚えてないくらいいますよ。
しかもそのなかには30オーバーもいるわけです。子持ちもいました。
「頑張ります。大丈夫です。」・・・・面接なんて意味ないです。
覚悟が無いなら来ないでください。迷惑です。

芸人さんらを見てください。
養成所のNSCとかあるでしょ?いわゆる専門学校ですよ。
そのときから厳しさを叩き込まれ、人の前で披露させられ、よっぽどプロ養成所ですよ。
飲食の専門学校なんて、卒業させるのが目的でしょ?
特にパンなんて、使い物になるヤツに会ったためしがない。
大事なのは知識なんでしょうか?本気でプロを養おうとしてる学校が、
生徒達が社会に出て困らないように教えなきゃいけない学校が、
普通に登校させて、そっから授業始めてパン作らすって、
世の中どこに10時くらいからのんびり作り出すパン屋があるんですか!?
そのくせ要求だけは一チョ前にしてくる。
こっちがお金もらいたいくらいの子ばっかりやのに。
「教育」以前の「しつけ」から教えなあかん子らばっかりやのに・・・。
養成所を出た芸人さんが、舞台でいくらもらってるか知ってますか?
何百円ですよ。しかもかなり前半の何百円。
専門出たての生徒さんと何が違うんですか?一緒でしょ。
画家さんだって、小説家さんだって、お金稼げるようになるまで大変なんですよ。
でも好きな仕事でメシ食っていきたくて頑張ってるんじゃないんですか?

あ、脇道逸れまくってますね(笑)もうすぐ終わりますからね。
こないだね、僕の尊敬するシェフの店に入った子が、
研修期間後も続けて働きたいと言ってきたときのこと・・・
「でも家遠くて通われへんやろ。引っ越してくるとかしないと働かれへんぞ」との一言に、
「引越して来るか来ないかは、ギャラ次第でしょ」って。
ギャラって・・・・・ホンマ、うちなら・・・・うちなら・・・・いや言えません(笑)
っていうか、うちじゃなくても代わりにボコボコにしばき倒したろかくらいの怒りでしたわ。
あ・・・言ってもた(笑)
お前、言えるだけ稼げんのか?ってことなんですよ。
もちろん頑張って欲しいし、頑張ってもらうための給料を渡す義務も僕らにあります。
「先行投資・・・先行投資・・・」と呪文のように唱えながら給料渡してます(笑)
でもそれは、やはり本人の気持ちによるところが大きいんですよ。
わざわざ田舎から出てきて、右も左もわからない土地で頑張ってる子もいるわけです。
たとえ仕事がまだ出来なくても、たとえ毎日怒られ続けてても、
たまに好きなもの買えるくらいは渡してやりたいと思うのが親心です。
「ギャラ」なんて言われたら・・・・あかん、またお下品な言葉が・・・(笑)
芸人さんが初舞台でギャラの交渉なんて出来ると思いますか?クビですよ、おそらく。
また別件ですが、1年世話になった店を2人で示し合わせて辞めた子もいます。
もちろん当日急に来ないわけですよね。神経疑います。
確かに辛いこともあったと思います。理不尽なことも感じることもあるでしょう。
でも使い物にならないその子らを、
沢山のロスを出したり、同じ失敗を平気で繰り返すその子らを、
「いつかは・・・いつかは・・・」と思って目を瞑ってきたシェフの気持ちなど
一切関係なく踏みにじる行為は、
おそらくどの業界にいっても許されざる行為やと思います。
一軒の店を構えるのに、気の遠くなるような時間と労力を捧げてきたシェフ。
それを一時の感情で志しただけのような中途半端な子らに踏みにじられる行為は、
聞いてる僕のほうが悔しくなります。悔しくて悔しくてたまりません。
「馬鹿にすんなよ」・・・と涙が出てきます。

収集がつかないので無理やり本題に戻しますが、
25日発売の「人気ブーランジェのD.N.A」。
お花屋さんと並んで、外から見る印象と裏側の実情が全然違う「パン屋さん」。
そんな「街のパン教室」の延長やと思ってる馬鹿どもに、是非読んで欲しい一冊です。
・・・て、いやいや、そんな重い内容の本じゃないと思いますよ(笑)
興味あるかたは是非読んでみてください。
ってか、今日の記事、ホントはHPのニュース欄に書き始めたんです。
「あ、ちょっと文字数多いかな?」と思ってブログに書き換えたんですが、
ニュースにこんだけ書き込んでたら、エライことなってましたね(笑)

文章が続いてるんで、次回はちゃんと画像も入れますね~。
by monsieur-enfant | 2009-02-16 03:30 | とりとめなく・・