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なないろめがね

温度。

なんかこう「行きたいっ!」と思わせる引力のある店もなく、
レストランならここ、ビストロならここ、パスタならここ、って具合に、
ほとんど固まってきてます。新規開拓が極めて少なくなってきてます。
有難いことに知り合いも多くなってるだけに、
どうせお金を落とすなら知り合いのお店に落としたいとも思いますし。
でもこれじゃ、片寄ってしまいますし、発見や出会いは生まれません。
でもな~・・・結局、行かなきゃ良かった・・・ってオチがほとんどなんですよね。
おそらくそれらは「温度」の問題。
僕自身、仕事をする時などに相手を見る基準にもなります。
「ん?」と思った人は絶対にいつかボロが出てきます。
頑なにそういう方以外とは接しないようにしてきたせいか、
幸い今周りを見渡すと、情熱や信念、直向きな姿勢や高いプロ意識。
ぐだぐだ言い訳をせず、馴れ合いなどない、接してて気持ち良い方ばかり。
と言いますか、その「温度」を感じない方とは仕事はおろか、
同じ空間にいることすら無意味やと思います。ま、それはお互いにですけどね。
ですから集まりのようなものにも行きません。
僕は「会いたい」と思った人には直接会いに行きますし、
「会いたい」と思ってくれる奇特な方がいれば、直接会いに来たらいいと思うんです。
もちろんそのスタンスで、素敵な出会いを逃してしまってることもあるかもしれませんが、
くだらない時間を浪費し無意味なしがらみを生み出す可能性のほうが高いとも思います。
僕が「全員にお会いしたい!」と思うような集いがあれば別ですが・・・。
あ、そうそう、
こないだ、市内でコラボイベントがあり、仕事を終え駆け付けたんですが、
その会の終了後、ただ席を向き合わせ話してる空間。なんか嬉しかったんですね。
業種や年齢の違い、そんなの関係なく同じベクトルを向いた者同士が集う場所。
ま、僕自身がそういう空間が苦手なこともあるんですけど。
この回も4回目かな?終了後のミーティング・・・と言う名のお疲れさん会にも、
前回初めてちゃんと参加したくらい。それまでは、すぐ帰ってましたね。
それくらい、基本的に集まりは苦手。こう見えて、結構気ぃ使うんですよ(笑)
でも、ふと「良いチームやなぁ・・・」ってね、周りを見渡して思えたんです。
理屈じゃないんですよね。思おうとして思えることでもありません。
特に僕はホントに馴染めないんですよ、集団ってものに。
でもここは、馬鹿な連中がしがちな景気がどうとか売上がどうとかいう、
「それ話してどうすんの?」的な寒い話は一切ないんですよ。
人の顔色伺って話したりするような、しょうもない人種はいないんです。
かといってシェフだから的な説教じみた湿気た話でもなくて、
ひたすら前向きで、ひたすらフランスで、たまに・・・いや結構毒舌で(笑)
潔い。とても潔い。気持ちいいですね。
じわじわ嬉しくなってくるような・・・僕にとっては不思議な感覚でした。
昔から「僕は僕」のスタンスでしたから、滅多に湧かない感情です。
「何の集まりか」というよりも、
「誰が集まってるのか」ということが、とても重要なんです。
もちろんその「誰が」は、名前なんてどうでもいいんです。
ようは「想い」であり「温度」なんです。
同じ集いは他でも企画できると思いますが、
今は、このチームでしかやれないことがあるんじゃないかなぁ・・・って、
なんとなく思えてきました。「遅いよ!」って、みんなに突っ込まれそうですけど(笑)
我ながら、打ち解けるのに時間がかかります・・・。
打ち解け・・・・れてなかったりして、いまだに(笑)・・・・いや、笑えん・・・。

その翌日、西天満の「ランデブー デ ザミ」にいるからと、
レストラン ハジメの米田シェフから連絡が。
用事を済ませ駆けつけると、とても嬉しそうに迎えてくれて。
米田シェフとは多分一番密に(しょうもないことも含めて)連絡取り合ってると思いますが、
顔合わせる機会はあまりないんですよね。定休日が違いますしね。
最期のお客さんを見送った大谷シェフが帰ってきて席に座り一言、
「このメンツで揃ったのって10年ぶりとかちゃう?」
・・・あ、言われてみれば・・・・そうですわ。
3人一緒に働いてた職場を僕が辞めて以来、
誰かが誰かっていうのはあったんですが、
3人一緒にって、考えてみたら職場以来です。
時間を越え、それぞれがそれぞれの道を歩き、今こうして集える奇跡。
まず、僕以外みんな神戸住んでましたしね、その時は。
まさかみんな大阪で店構えるなんて思ってもみなかったことです。
でも、同じ時代を生き、同じ世代を生きてる仲間とはいえ、
一度離れた縁が、またこうしてより強固なものになって手繰り寄せられるのって、
考えてみればホントに奇跡的なことですよね。
なんか、しみじみ「頑張ってきて良かったなぁ・・・」って思える時間でした。

さっきの会の集いもそうですが、
パンを使ったから来ませんか?・・・とかじゃなくて、
知り合いだから席を囲んでる・・・とかじゃなくて、
同じ温度を持つ専門職として必要としてもらえてること、
ブーランジェとしてその場に引け目なくいさせてもらえること、
ま、過大評価やなぁ・・・って感じることもありますが、
職人として、これ以上ない幸せですね。
菓子パン作って無くて良かった~(笑)
でもね、結局はそういうことなんですよ。
「こいつは自分たちみたいに覚悟決めてやってんのか?」ってとこなんですよね。
ガストロノミーを突き詰めるもの、
ビストロ料理に邁進するもの、
シャルキュトリー一家に生まれ育ったもの、
みんな一切の妥協がないんですもん。
フランス、ないしヨーロッパの文化と、日本がごちゃ混ぜになってて許される職種、
むしろごちゃ混ぜじゃないことのほうが不思議がられる職種、それが日本のパン屋です。
そう言われるとそうだと思いませんか?
それは結局そういう文化を伝えてこなかったという、この業界の代償です。
おかげで今更僕らが苦しまなくてはならない。
フランス料理が嫌いな人はフランス料理食べに行かないでしょ?
それは少なくとも「フランス料理」というジャンルが確立してるから、
ちゃんと区別してもらえてるんです。だから嫌いなら行かなきゃいいんです。
「ブーランジェリ」はどうですか?
ご時世で名づけられた「ブーランジュリ」が、ごちゃ混ぜのパンで評価され、
行ったらなんでもあることが良しとされ、
「ブーランジュリ」にのっとった店を営もうとすると、ハード系ばかりと非難される。
「ブーランジュリ」という名自体、解釈出来てない人ばっかりです。
パンが注目してもらえるようになってまだ日が浅いってことは、
やはりお客さんだって成熟できてない業界です。
食べ方も知らない自分を棚に上げて好き放題言い放題。
おかしな業界ですよ、ホントに。

先日知り合いのレストランでジャケットの着用をお願いしたところ、
「000とか0000000では言われへんかったぞ!」ってまくし立てられたと聞きました。
ま、両店とも「大阪といえば」の大御所のレストランとリストランテです。
もちろんこのお客様個人的なモラルの問題が大部分を占めてるんですが、
結局「文化的背景」まで伝えれてないから今の世代がとばっちりを食らうわけです。
ホントに、そのあたりの「バブル世代」に勘違いしてる方が多すぎます。
ですからこういうところで、そのモラルを問うてるわけなんです。
この拙いブログを見て下さってる方々に、そんな客になってほしくないんです。
店側から白い目で見られるお客さんにはなってほしくないんです。
今、見渡せば僕らの年代のシェフが本当に多いです。
旨いものを提供するのはもちろんですが、大阪にもそういう文化を根付かせるためには、
僕ら世代がしっかり伝えていかないといけないし、その役割は大きいと思います。
もちろん先人が残してくれた財産もあります。
全てが僕らから始まるわけではありませんし、
先人がいたからこそやれてることも少なくありません。
ただ、やはり全てを作り上げることは不可能なんです。
次の世代、次の世代と、ちゃんと受け継いだり、
発展させていかなきゃいけないものがあると思うんです。
今一度、気を引き締めて頑張っていかないと、何も変わりませんし何も残りません。
お客さんを教育するなどと言うと高飛車に聞こえるかも知れませんが、
そうではなくて、僕ら側の知ってもらうための努力もまだ足りないと思うんです。
その知ってもらう努力は、お客さん側の「知ろうとする姿勢」がなければ届きません。
発信する側と、受信する側があって初めて成立するやりとりです。

何が出来るわけでもないですが、何か出来るはず。
きっと・・・強く願えば何かが残せるはず。
その想いは、何かに変わるはず。
それが数年後、僕らが歩んだ道になりますように。
そして数十年後、僕らの世代が生きた証となりますように。
僕らのような偏った職人が、もう少し生きやすい世の中になっていますように・・・。
僕らの次の世代が、多くのお客さんと素晴らしい関係を築きあげれますように・・・・。
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by monsieur-enfant | 2009-06-15 00:22 | とりとめなく・・