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なないろめがね

恩返し。

北新地。
ネオンの似合うこの街の、夜のとばりが降りる前。
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「ふ・・・あの頃と、ちっとも変わらしまへんなぁ・・・」
辺りを見渡しながら、妙にセンチな気分にさせられるのは、
梅雨の湿った風に運ばれた、ホステスさんの艶やかな香りの魔法だろうか・・・。
すれ違う黒服やナイトの男たちに当時の自分を重ねてみたり、
あの頃お世話になったホステスさんを、一人一人、宵の空に映し出してみたり。
「みなはん・・・幸せに暮らしてはるんでっしゃろかいなぁ・・・・」
遠くを眩しそうに眺める眼差しに、少しは男の哀愁でも漂うようになったのだろうか。
あの頃からもう8年・・・。わいももう35やさかい・・・。
おもむろに立ち止まり、眉を顰めながら携帯を耳に寄せる。
トゥルルルルルル・・・・トゥルルルルルル・・・・トゥルルルルル・・・・・・・・

                        つづく・・・・


いかがでした?
ま、ようは昔働いてたにも関わらず、
お呼ばれで待ち合わせした場所がわからず迷って立ち止まってしまい、
結局「あの・・・どこですか?」ってメールしたっていう何も面白くない話を、
ハードボイルドタッチでお送りしてみたんですが(笑)
もちろん、つづきません(笑)
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「ここ!?」って新地らしいビルの中の3階。
何度かお話があったにも関わらず縁のなかったお店です。
やっと来れました。北新地「弘屋」
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う・・・・思ってたよりかなり緩い雰囲気。ついでにシェフも。
もっとスタイリッシュなつくりなんかと思ってました。ついでにシェフも。
めちゃくちゃ気さくな方で、良い店臭がプンプン漂ってきます。
昔、寿司屋だったところを改装したカウンターのみのこじんまりしたお店。
その距離感がまた良い空気感を生んでます。
ビールとグージェールをいただきながら、
なんか全然予想がつかないワクワク感を抱きながら、おまかせで進みます。
グージェールの下の小皿。
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こういう、なんでもいいところに、センスや遊び心がでますよね。
乙女心をくすぐられます。・・・・乙女じゃないけど。
ちなみにロイヤルコペンハーゲンでした。

どこ産やったっけな~・・。牡蠣です。 ガスパチョのジュレと。
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さわやかなガスパチョのジュレ。ここに濃厚な牡蠣の旨みと磯の香りが絡みます。
みょうが、パクチーなどの香味野菜も涼しさを演出します。

たまらずシャンパーニュに移行。
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パンは「モワザン」でした。数年ぶり。
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バーニャカウダ
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おおっ!北新地でこんなお野菜をいただけるとは!
しっかりパンチのあるソースと絡めていただきます。
サマートリュフも暖められて、多少香りも増してきます。
あぁ・・・贅沢。
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シャンパーニュも飲みほし、ブルゴーニュの白をいただきます。
僕の知識は地方まで(笑)畑や作り手は、覚えれません。
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タラバガニのスクランブルエッグ
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まぁ、スクランブルエッグと言ってしまってるのでそうなんでしょうけど・・・、
蟹の旨みと卵のなんとも言えない幸福感・・・。誰か朝飯に作ってくれ~(笑)

フォアグラと、とうもろこしのプリン
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こういうの難しいですよね。バランスがやじろべいみたいに繊細で。
料理がデセールに寄ってしまったり、デセールやのに料理に引き戻されたり。
多々経験してきてますが(笑)
個々はとても美味しいです。一皿と考えると、プリンがちょっと甘すぎかな?
白を一休みして、コート デュ ローヌの赤にチェンジ。
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鰻 黒キャベツのフリット
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意外。ここで鰻が出てくるとは・・・です。
もっとクドイかと思いきや、意外なほど淡白。ワインも白で良いくらい。

仔羊のラグー タヤリン
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うお・・・・メイン並みの羊のボリューム。
タヤリンとの絡みも申し分なし。
旨いっすね、これ。

マスカルポーネのアイス
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エスプレッソとペルノー(アニス酒)、好きな方をかけていただく。
アニス酒、いわゆるパスティスは、パリ在住時、よく飲みに行った際に飲んだもの。
正確には「飲まされたもの」。アニス臭がどうしても好きになれなかったんですが、
「ジャポネは酒が飲めない」と思われるのも癪なので、頑張って飲んでました。
でも、今回はマスカルポーネのアイスとの相性が良く、
アニス臭は全く気にならなかったです。
その後、エスプレッソも結局全部入れちゃいました。

空間・・・というか、空気感と料理とのギャップ。
よくこんなとこで、こんな料理作ってはるなぁ・・・という驚き。
「ここでしか味わえないもの」がある、唯一無二なお店と感じました。
「新地でナイトされてたんですか!?」みたいな、
新地で働かなきゃわからない会話や思い出話も出来ましたし(笑)。
本当にリラックスして楽しい食事をさせていただきました。

「自分で店を持ったら、絶対恩返しに来る!」と心に誓ってた、あの頃。
今となっては、一個200円そこそこのパンをせこせこ売ってる身として、
一晩、うん十万のお金をばらまく意気込みは、全くもって無くなってしまいました。
僕を教育してくれた(いろんな意味でね・・・ニヤリ)今でも覚えてるホステスさんらは、
確かそれくらいのクラスのクラブでしたから。カッコよく凱旋したかったなぁ~。
ってなわけで、北新地への恩返しは、これからは弘屋さん経由でやらせてもらいます。
めでたし、めでたし(笑)
by monsieur-enfant | 2009-07-01 23:48 | 弘屋