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なないろめがね

ムシムシ、イライラ、モヤモヤ。

この日は、埼玉からモンテベロにお客さんが来るということ。
遠路遥々ということもあるし、
社交辞令かも知れませんが僕とも話がしたいということを聞いてましたので、
仕事終わってから食事に行く予定で予約も入れてました。
・・・・が、とても一緒に行く気分じゃなくなったのでキャンセル。
うちの子らにホスト役をお願いして、僕抜きで行ってもらうことに。
一応、先に予約先に行って、僕は参加しない旨を伝えて「後はお願いします」。
それなりに楽しみにしてたんですけどね。
イライラが治まらないまま知り合いの店に用事で向かう。
なんか気持ちが萎えてしまってたので、食事もせずに帰ろうかと思ってたんですが、
「なんか気づかへん?」と言われて、まさか・・・と思ってると、
「そう、来ぇへんくなってん」って。 
先日のイベントでも一緒に楽しんだり、
僕が行くたびに「身体、大丈夫?ここは確かやから、頑張ったぶん返ってくるからね」と、
散々心配し、励ましてきたのに・・・。
「はい、大丈夫です!!」って、言ってたのに・・・・。
包丁も置いたまま、預けてた鍵も持ったまま、ある日来なくなったんだそう。
ま、珍しいことではないんですけどね、全然。
ちょうど時を同じくして厨房スタッフが3名抜けてしまうシェフとシュクレで話をしてたとき、
「自分らが至らなかったことはあると思う。怒り方もあったと思う。
・・・でも、嫌いで怒るわけないじゃないですか・・・」って、悔し涙を流してました。
その涙を、その子らは知らないんでしょうね。
伝わらなければ意味がないのかも知れませんが、
人間みんな不完全なんです。すぐに出来ないことがあるのはお互い様。
ただ、どう思ってるのかが問題なんじゃないですか?
自分たちのことを考えてくれてるシェフなのか、
なんとか乗り越えたいと思うスタッフなのか。
だからお互いがお互いの立場の中で、我慢できたり頑張れたりするんじゃないですか?
それを自分だけの理由で、
それまで交わした時間や感情を一瞬で断ち切れるんですから。
どちらが残酷やと思いますか?
しかも自分が被害者面。「甘かったです」 「向いてないです」
「そんな貴様らに向いてると思われてしまう舐められた仕事って何?」
って聞いてみたいものです。
合う、合わないなんて、そんな基準なんてないんです。
「天職です」と言える人なんて世の中に一握り。
そもそも「天職」なんて、働いて働いて働いて、酸いも甘いも、
苦しさも楽しさも知った上で、一部の人だけが到達する領域なんじゃないでしょうか。
もちろん、合うとか合わないとかもそう。
苦しみしか知らないのに「自分には合わない」なんて、その仕事に怒られますよ。
「お前に俺の何がわかんねん!」ってね。
仕事が自分に合わないなんて偉そうなこと言う前に、
自分が選んだ仕事に、自分を合わせていくしかないんです。
自分が選んだ仕事を信じて、一心不乱に精進するしかないんです。
そうしてやっと、その仕事の本当の魅力がわかるというものです。
そうしてやっと、仕事が僕らに楽しさを教えてくれると思うんです。
人もそうでしょ?笑いあって、楽しい時間だけ過ごしてて、
はたして分かり合えるでしょうか?
本気で向き合って、時にはケンカもして、
初めてその人が分かるってもんじゃないでしょうか?
仕事も一緒です。ちょっと付き合っただけじゃ、何も分からないもんですよ。
そして、大人になってるにも関わらず、問題の解決に「逃げる」という選択肢を選んだこと。
これからの人生において同等の苦しさに見舞われたとき、
頭に浮かぶのは残念ながら「挑む」ではなく「逃げる」ですよ。
乗り越える手段ではなく、逃げる理由を探すことでしょう。
この歳で、逃げる楽さを知ってしまいましたからね。
癖になりますよ、絶対にね。

ま、そんなこんなもあり、前回長~いブログを書いたんですが、
意外や意外、まだ書けるもんですね(笑)

さ、そんな話をしていたら、だんだんお腹も空いてくるというもので。
でも最近、深夜営業してくれてたお店が次々とランチを始めて、
そのぶん夜の時間が削られてるんですよね。
やっぱオフィス街だと、ランチは魅力ですよね~。仕方ないか。
ま、バールとかもあるんですけどね。
今日はそんななか、固くなに遅い時間までやり続けてる一件のお店に行ってみました。

「ヨッテリア ガク」
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わかりずらい!でも個人的には好きな店構え。入口のドアも超好きです。
来店理由は、うちにも何度か来てくれてたみたいだったから。
春先に入ったスタッフがお世話になってたのもあったんですが、
前回来店時は「挨拶なんて恐れ多い」って帰ってしまったよう。
「挨拶なんて、恐い」の間違いじゃないですかね(笑)
そのスタッフも当時酷かったんです。本当、手を焼いてました。
「知り合いが来たら、うちの子がお世話になってます・・って、
僕が気持ち良く挨拶に出れるような仕事をしてください。
今の君のためには、僕はまだ出る気になれません」という経緯もあったんです。
今はそのスタッフもいささかマシになってきたので、
僕もちゃんとあの時の約束を守らないとね。
「頑張ってやってくれてます」
そう報告しに来たわけです。
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モッザレラと緑の野菜のサラダ
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あら、意外と綺麗に盛るんですね(笑)
いや、「豚、豚」と聞いてたので、バサッと盛って、ドンッって出すのかと思ってたもので。
そう、豚が好きなんですよね、こちらのシェフは。 
ほら。
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あっちこっちに豚がいますよ。

パンは自家製。イタリアで働いてた時に作ってたものらしいです。
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うん、塩分やら食感がイタリアのパンっぽい。
こういうの、大事やと思います。
市内の店ですから、パン屋自体は多いでしょうから、買うことに苦労はしないはず。
でもね、僕らって売れなくてもやり続けるメニューとかあるんですよ。
それは当時の記憶に自分を繋げてくれる、数少ないアイテムなんです。
なんだか嬉しくなりますよね、こういう話を聞くと。
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本体はこちら。もちろん豚もいます。

ワタリガニのパスタ
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ショック・・・。今まで食べた蟹のパスタで一番旨いかも。
いや、ショックってのはね、「豚、豚」って聞いてたから、
そんなに期待もしてなかったわけで。
見かけ倒しや名前ばっかりで、全っ然カニの味のしない店が多いわけなんです。
だからいつからか頼まなくなってました。カニ、好きなんですけどね。
それがここ、半身を使った身の量もさることながら、
身を解す前の段階ですでに「うわ!カニや!!」って声をあげてしまうほど。
いやはや、小さな店だと侮るなかれです。
シェフがヤル気あるんだか無いんだか分からないからと侮るなかれです(笑)

イベリコ豚の瞬間燻製 温玉添え
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意外に手の込んだ料理。
いや、「豚、豚」って聞いてたから、もっと「焼いただけでド~ン!」
みたいな料理を想像してたわけでして。「意外」とかばっかりでスイマセン(笑)
温玉を割るとオレンジ色の濃い黄身が流れ出し、最高のソースに。

途中、となりのお2人連れのお客さんから、
「先週シュクレに行きました」と。
コックコート以外の時に声かけられると、裸見られてるみたいで超恥ずかしいです(笑)
美味しかったと言ってくださり、一安心。

エスプレッソをいただきます。
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なんだか独特の空気感を持つシェフですね。
パッと顔を上げれば意外に男前(また「意外に」・・・)
話し出すとなんだか掴みどころのない、のらりくらりとした感じ。
でも、肝の部分は茶化すこと無くしっかり向き合って話してくれます。
熱いものを、ちゃんと持ってる方なんやなぁ・・・ってね、意外に(笑)。
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カウンターと数席のテーブルの小さなお店。
朝3時までの営業時間は、今となっては貴重な存在。
で、これだけしっかりいただけるんですから、
仕事帰りにシェフ連中が寄って帰るのも納得です。
最初に名乗った時には驚いてたシェフですが、
なんだかんだ話しかけてきてくれたおかげで、
この日の多々のイライラやモヤモヤが楽になりました。
「また来ますね」
そう言って帰れる時って、なんとも言えない幸せな気分になりますよね。
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ムシムシした夜道を、ちょっと半笑いで歩いて帰りましたとさ。
by monsieur-enfant | 2009-07-13 05:15 | ヨッテリア ガク