2009年 08月 04日
それはまるで、映画のように。
迷ったんですが、夜には円山公園に行かなきゃいけないので、
一人で円山動物園に行くことにしました。
迷ってたのは、天気。今にも雨が降りそうでしたから。
曇り空の中で動物を見てもテンション微妙でしょ?
それと、駅を間違えてかなり歩いて疲れてましたし。
気が進まないまま円山公園駅に着き、動物園行きのバスを待ってると、
これまたなかなか来ない。なかなか来ないうちにどんどん空が暗くなっていく。
30分くらいは待ったかなぁ・・・。ポキッと心が折れました(笑)
「帰ろ」 大通り公園駅まで戻り、ホテルで一休みすることにしました。
で、これまた全く見当違いの場所を歩いてしまい、ホテルに着く頃には小雨がパラパラ。
一寝して夕方発つ頃には、天気は相変わらずでしたが雨は降っておらず。
赤煉瓦の旧庁舎を見ながら、
テレビ塔を見ながら、
またしても遠回りして駅に到着。
円山公園駅は、本日2度目の訪問なので楽勝です。
で、その円山公園駅から歩いて5分もないかな?円山公園の入り口付近に佇む一軒家。
ここが本日のメイン。いや、実は旅のメインのうちの一つ。
レストラン ル バエレンタル
いやぁ、外観もさることながら、中は凄すぎます。
何より、ド平日の火曜の夜に満席ですよ。
一番驚いたのは客層。こんなに良い客層で満たされたレストラン、初めてです。
もちろん巡り合わせもあるんでしょうけど、「ムッシュ」と「マダム」のオンパレード。
スーツというよりタキシードくらいでちょうど良いんじゃないかという空気の中で、
案外カジュアルに来ちゃった僕は完全に浮いてました・・・。
シェフから・・・
「シェフからです」との言葉と共に現れたのは、
スプーンに乗ったサーモンのマリネ。アボガドのムースが添えられてます。
で、その隣がストローに入ったのをチュチュッと吸うわけです。
グラスに入ってるのはピスタチオのプラリネ。
これらを摘みながら、アペでもいただきながら、メニューを決めるわけですが、
もちろん僕だけ特別な「シェフから・・」じゃないですよ。
みなさんテーブルに着く度、あちこちからこのフレーズが聞こえてきます。
「シェフから・・・ってことは、料金には含まれてないんですか?」とか、
野暮なことは言いっこナシです(笑)
シャンパーニュで札幌の夜に乾杯。
ま、仕方ないんでしょうけど、ボトルの設定が高い。
正確には高いのではなく、手頃なのが置いてない。
正直、グラスで頼むのも怖いくらい。以後、目を瞑って頼んでます(笑)
パナシェ
いきなり洒落たキュイエールに乗せられてきたのは、
カクテルの「パナシェ」(ビールとレモン系炭酸飲料を割ったもの)をソルべにしたもの。
うん、美味しいです。
小さなピザ
あははは!なんだか「テンポが良い」というより矢継ぎ早。
だって、ここまでまだメニューにはないものしか来てないんですよ(笑)
「シェフから」を食べ終わったと思ったらパナシェ。
食べ終わったか否かで「小さなピザです。手でお取りください」って。
全然嫌な感じはないですよ。むしろ畳み掛けられるような感じ。
ゆったりゆっくり・・・と思ってただけに意外でした。
アミューズ3種
真ん中は、鯛の昆布締め オリーブオイル グレープフルーツ
一番奥はコーンポタージュのムース
周りはポップコーンの粉末で固められてます。とうもろこし尽くしです。
で、手前が赤ピーマンのムース トマトのジュレ
アミューズは、派手さはないものの、味のピンとはバッチリ。
これまでの流れからも「お客さんを楽しませよう」という基本が、
エレガントな時間の中でもビンビン伝わってきます。
ここらでパンも登場。
レシピを送ってフランスで焼いて急速冷凍して送ってもらってるみたい。
美味しいパンでしたよ。それより、奥の丸いのが気になりませんか?
これ、バターです(笑)こんなん初めてみました。
活オマール海老と生雲丹のナージュ アネットのクリームとウイキョウのシャーベット添え
これ見てテンション上がらん人、いないでしょ?
ま、僕は違う意味でテンション下がってしまうことになるんですけどね・・・。
それは・・・雲丹が旨すぎる!!
昼の究極の雲丹丼は何やったんや!!(笑)
でも、このお皿、そんな小さなことはどうでもようなるくらい旨い!
こんな旨いオマールもなかなか食べれませんよ!ニクイくらいのミキュイ!
ディルの香りも程よく、ウイキョウのソルべも絶妙です。
最初の白はシャロネーズのルリー
自分の薄い知識だと偏ってしまうので、最近はよく丸投げしますが、
そのチョイスも店との相性になると思うんですよね。
これ、ドンピシャでした。なんとも香りの良いワインです。
夏野菜のサラダ仕立て ラヴェンダーの香る、そよ風に乗せて・・・
特筆すべきではないものの、もちろんちゃんと旨い。
ラベンダーの泡は、ほんのりそよ風の様に香る程度。
それでいてちゃんとこの一皿を記憶に留めさせる印象は残す名脇役。
南仏の珍しいシャルドネ・・・・以外は聞いてませんでした(笑)
良い色合いです。僕の好きな、ちょっぴりトロリの濃度系。
フォアグラのソテー シャンパン風味のリゾット添え トリュフソース
旨い!フォアグラはカリットロッ。
リゾットはシャンパンで炊いてます。香りが華やか・・・というかバブリー(笑)
ズッキーニの花のフリットが、お皿に季節を描きます。
スズキのブイヤベース ル・バエレンタル・スタイル
つまり、ブイヤベースはゴチャゴチャに全部炊くから旨いんですが、
その半面、個々がわからなくなってしまう・・・ということで、
それぞれ別で調理した後、お皿で一つにしたのが「バエレンタル スタイル」ということ。
ま、よくある「再構築」ってことです。
僕としては、よくあろうが珍しかろうが、お味はどうなのか?が問題なんですが、
さすがですね。美味しいですし、とても味がクリアでキレイです。
スズキはスズキでちゃんと美味しいし、上下のツブ貝も良い感じ。
本家のぐじゃぐじゃ混じった旨さも良いですが、これはこれで大在りです。
ガーリックトーストがアイオリの変わりかな?
一口のマルガリータ
メニューには初表記ですが三度目登場のカクテルシリーズ。
今回はマルガリータ。口直しに良い一さじ。
ここでワインを赤に。
「重たいのは、ちょと・・・」とお願いすると、出てきたのはジュヴレ・シャンベルタン。
勉強になります。
和牛ロース肉の炭火焼 ボルドー風 2009年ヴァージョン
これも「分解、再構築」の皿。
いわゆるボルドー風(ボルドレーズ)っていうのは、
エシャロット、ニンニク、赤ワイン、牛の骨髄でとるソースであるところを、
全部バラバラにしてお皿に乗せてしまったわけです。
上のグラタンみたいなのが、確かコンテかなんかのチーズがけで、
器に牛の背骨を使ってるんです。
ピニャコラーダ
これもメニュー外。4回目の登場のカクテルシリーズ、しかも同じキュイエールに。
思わず「あら・・・、またですか?」
すると「シェフがこのスプーン、気に入ってるもので」って。
なら、仕方ない(笑) 気に入っちゃったものは、仕方ありません。
ここまで推してこられたら、屈服するしかないですからね。負けました。
ちなみにピニャ・コラーダとは、ラムをベースにしてパイナップルジュースと、
ココナッツミルク、氷を一緒にシェイクしたものです。
紅茶のクレームブリュレ
白桃のメルバ風 バラの香りを添えて
ガラスはキレイですよね~。
下に映る影にいつも見とれてしまいます。
本体はこちら。
いや~、桃。美味しいですね~。
下にはフランボワーズのソースも忍ばせてあります。
ハーブティー
名物「綿飴」
ちゃんとグレープフルーツの味がついてます。
子供の頃から人ごみが苦手だった僕は、あまりお祭りにも行かない子でした。
今年はここで綿飴食べながら、ささやかな独り夏祭りといきますか!
・・・・寂し過ぎる(笑)
ミニャも抜かりナシ。
生キャラメルやらなんやらも。
いやぁ、久しぶりに長いレストランの記事書きました。
最近、文章率高かったですからね。あ~~~、しんど。長かった~。
いやはや、本当に優雅な時間を過ごさせていただきました。
窓の向こうには優雅な中庭が覗け、
暗くなるにつれ窓ガラスはスクリーンのように店内を映し込む。
そのスクリーンには、シャンデリアの光や白いテーブル、
慌ただしく動き始めるサービスに、顔ははっきり見えないお客さん。
なんだかフランス映画をみているようで、涙が出てきます。
ここ札幌に「レストラン」という文化を正しく根付かせてることが素晴らしいですよね。
ヒラマツ系列という資本はありますが、資本だけでは伝えることは出来ません。
情熱と使命感あって初めて、このようなチャレンジが成り立つわけです。
そしてもちろんそれを理解し、楽しんで使ってくださるお客さんあってのこと。
単なる観光客や「有名やから」だけで来る様なお客さんだけ集めていても、
利益は出ますが店は一向に育ちません。お客さんも育ちません。
なんか、それらが良いバランスで歳月を経過してきてる、
そんな気がする素敵な時間、素敵な空間でした。
満足しながら、今日2往復目の帰り道。
バエレンタルでかけてもらった魔法は、
昼間は冴えなかった時計台ですら、エッフェル塔に見間違えさせてくれます。
・・・・エッフェル塔は、ちょっと無理があるかな?(笑)
ベンチに独り腰掛けて、しばし余韻に浸りながら、
遠いフランスへと想いを馳せる、札幌の夜でした・・・・。
by monsieur-enfant
| 2009-08-04 03:33
| ル バエレンタル