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なないろめがね

気持ちの温度の擦り合わせ

昼食のあとに向かったのは西麻布。
てっきり「西麻布駅」でもあるのかと思ってたら無いんですね。
前日からの雨は今日も降り続き、正に「雨の西麻布」。
「正に」がわかった方は推定年齢30歳以上ですね(笑)

まぁ、そのうち耳に入ると思いますが、
某料理評論家の立ち上げるレストランからのオファー。
僕にとっては相手が誰かより、やる価値があるかないかのほうが重要な問題。
何度かメールでやりとりさせてもらったなかで、
コンセプトは「若い料理人に、チャンスとチャレンジの場を」ということらしい。
いろんな店を食べ歩いてる間に、若い料理人に対してリスクの高い独立に、
彼なりに何か思うことがあったんでしょう。
ジャンルには基本的には拘らず、シェフも原則1年交代。
そこにオーナーである彼のメリットとして、
食べ歩いた中から数店のパンと数店のガトーを提供するスタイル。
立ち上げを任されたシェフは、カンテサンスでスーシェフやったそう。

これが一応概要なんですが、
「はい、そうですか」とは言えない疑問点だらけ。
もちろん、全国食べ歩いてる彼がわかってないわけないと思うような質問も
敢えて、ぶつけさせてもらいました。
その時点で、OK出してなかったのは僕だけだったようです。
すぐに返事が返ってきました。
「食べ手の自分が作り手側に回るのは抵抗が無かったわけじゃない」
「おそらく、悪く言う人もいるでしょうが、間違ったことはしていない」
「それでも今自分がやりたいことをやりたい。一生の仕事だと思っている」
「一年二年ではなく十年二十年経った時、
業界のトップを走ってる料理人たちが、この店を経てるという構図を作りたい」
「そこに、シュクレのパンが無いと成り立たない」

初めてじゃないですかね。
何度か仕事で軽く絡んだこともありましたが、
こんなに温度のある言葉をいただいたのは。
僕は、細かいことはどうでもいいんです。
本筋がどこにあるのか、同じ温度で仕事ができるのか、
そして一番は、本当に自分が必要としてもらってるのか。
心が動くには十分な言葉でした。
後は、やってみなきゃわかりません。
やってもいないのに、あーだこーだ言うのは簡単です。
机上のつまらない議論なんてナンセンス極まりない。
覚悟を決めた男なら、やってみてから話せばいいんです。
ただ、実際僕の相手はシェフの料理であって、
どんな店の、どんなテーブルの、どんなお皿で出されるのかも含めて、
僕は直接目で見て会って会話しないと仕事が出来ないんですよね。
それが、たかがコースの中の一皿のパンだったとしてもです。

で、来ちゃいました。
シェフ、男前です。気持ちの良い眼をした真っ直ぐな青年です。
お店の外観や内装は、やるやらないの判断材料ではなく、
やるとなった時のインスピレーションに必要なんです。
オーナーである彼とも久しぶりに顔を合わせて話し、
最初の会った時の印象から、ずいぶん大人になったなぁ・・・と、
横顔を見て思いました。吹っ切れました。
微力ながら、一緒に仕事をすることになりました。

ただ、僕がなかなかオッケー出さなかったせいもあり、
お店のオープンにシュクレのパンが間に合わなくなっちゃいました(笑)。
ま、そんなことはどうでもいいんです。
他所のパンもあるみたいですし、
有名店揃いなんで、うちなんて無くたっていいんです。
このまま全然注文がかからなくたって別に良いと思ってます。
お互い、ビジネスとして大したメリットはない絡みですから。
ただ、僕が確認したかったことが確認できたことが嬉しかったんです。

もうすぐ放送になる「ソロモン流」という番組に彼が密着されています。
その中で、どれだけ彼の発言が伝わるかはわかりません。
このプロジェクトが成功するのかしないのかもわかりません。
でも、彼がコンセプトを貫いてる限り、僕は影ながら応援したいと思ってます。
10年後になるか、20年後になるかわかりませんが、
この店をやって良かったという答えが、薄っすら見える日を楽しみにしています。
契約は1年ですけどね(笑)僕、結構シビアですから。
シェフが変わったら、僕はまたこの作業を繰り返させてもらいます。
会って、話して、また温度を確認します。
馴れ合いは勘弁です。シェフとの相性もあります。
向こうから「結構です」と断られるかも知れませんしね。
で、また「やりたい」とお互い思ったら、一緒に仕事をすればいいんです。

それが一貫した僕のスタンス。
それ以上でもなければ、それ以下でもありません。
選んでもらうには、対等に対峙するには、
うちの店にそれなりの商品価値がないといけません。
そのためには、こんなとこで満足なんかしてられません。
「さ、うちも頑張んなきゃ・・・」
そう思わせてくれる、新たなチャレンジの一幕でした。
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by monsieur-enfant | 2009-10-13 03:37 | とりとめなく・・