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なないろめがね

取り急ぎ・・・

ぐへ・・・・・
今、東京から岸部に着きました。
諸々あっての2週続けての東京行き。
ま、これでしばらくありませんけどね。
仕込みに合流する前に、ちょこっと書いておきますね。

完全に時を逸した感のある「ミシュラン大阪・京都」の話題。
よりによって、その日に東京いましたから(笑)
でもね、火曜日の朝、電話が鳴りました。
「とりましたよ!岩永さん・・・、三ツ星とりましたよ!」
一躍「時の人」となった「Hajime」の米田シェフからでした。
その声は涙で途切れ途切れになってたものの、
僕らの間にそれ以上の言葉は要りませんでした。
「うん、うん・・・・」
様々な出来事や交わした言葉が走馬灯のように蘇り涙となって溢れ出る中、
そう言ってうなずくのが精一杯でした。
最後に絞り出すように言ってくれた「シュクレのパンがあったから取れたんです」
その言葉を生涯の宝としてプレゼントしてくれた米田シェフに出逢えた僕は、
本当に本当に幸せ者やと思います。
今も書きながら勝手に流れる涙を止めることが出来ません・・・。

そしてFujiya1935、アキュイールの両店も、二ツ星の評価を受けました。
同い年の二人のシェフが受けたこの栄誉を、本当に嬉しく思います。
電話をもらったFujiya1935の藤原シェフの声も震えてました。
「誰もやっていない」ことに挑戦し続けてきた中で、
抱え切れない不安やプレッシャーを背負ってきたと思います。
そのシェフの募る想いが滲み出た、喜びと安堵を噛みしめるような報告の電話でした。

ミシュランに様々な解釈があるのはわかっています。
「星」が全てではありません。
そして星をとったお店には、今後、良いことも悪いことも降り注ぐでしょう。
ただ、この「星」には、一般の方には理解できない価値があるのも確かなんです。
特にフランスはじめヨーロッパで修行してきた料理人には無視できないものであり、
一種の呪縛であり宿命なんです。
もちろん一時とは違い、フランスでも星を拒む者や返上する者も珍しくなく
権威は堕ちたかのもしれません。
でもそれは価値観の多様性によるものだと感じます。
料理人が一方的にミシュランに選ばれることが全てだった時代から、
料理人側も選ぶことを始めたことは、良い傾向ではないでしょうか。
東京も含めた「日本版」。
今はその歴史が始まったばかり。
ミシュランの権威とは、その評価の正確性よりも、
積み重ねてきた歴史によるものが大きいとも思います。
その権威を築くのか、「日本版」は失敗という結末を見るのか、
数年で判断するには歳月が短すぎる気がします。

そして最後に、
その価値は形ではありません。
価値をもたない人にとっては何の意味もありません。
参考にするもしないも個人の自由です。
それはそれで良いと思います。
ただ、それを誇りに思う料理人の胸に輝く星だけは、
誰にも汚す権利のない勲章であることだけは間違いないのです。


P.S 火曜、水曜と留守にしてまして、
   このブログの更新が無かったにも関わらず、
   今日、見てみたら信じられないくらいのアクセスがありました。
   ミシュラン発表に対して
   「こいつ、何言いおるんかな?」と思われてたのでしょうか(笑)
   ご期待に添えれない大人しいコメントでスイマセンでした。
   根は気弱で引っ込み思案な男なんです(笑)
by monsieur-enfant | 2009-10-15 17:59 | とりとめなく・・