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なないろめがね

道標

ちょっとグダッとしてしまってました。
しばらくここにも書けないかなぁ・・・・って。
でもね、こうしてパソコンに向かうのは、やはり想いに触れるからなんですね。
あ、でもやっぱりしんどいので、ちょっと手短に行きますね(笑)

先日、千葉から僕に会いに来てくれた子がいました。
一応、面接ではないのですが、働きたいので話がしたいと。
ただそれだけで、貴重な休みに日帰りで来てくれました。
メールをもらってた文章からも熱意は伝わっていて、
実際会って話してみても、想いが溢れて涙ぐんだりするような子でした。

問題は、この子が「大阪に行きたい」と相談した上司たちが浴びせた言葉です。
「無理だろ」
「今のお前が行ってもうちの評判落とす」
「そうやって行って駄目になった奴を何人も知ってる。」
「夢を見てる」
「俺も昔は思ったけど」
・・・・腐ってますね、ここ。

僕も昔そういう経験がありまして、
フランスに渡ることを決めてパン業界を辞め、アルバイトに明け暮れてる時のことでした。
たまたま自転車で移動してるときに車から呼び止められました。
まぁ、パン業界では今でもそこそこ名の知れたシェフでした。
「今、何してんの?」と聞かれ、
「別の仕事をして、フランスに行くお金を貯めてるんです」
そう答えた僕に、
「フランス?行って何になるの?」
車から引きずり下ろしたろかと思いましたが、僕、根が温厚ですからね(笑)

僕にはフランスに行こうと思った動機や経緯がありました。
その時もアルバイト期間中、睡眠時間は2時間も取れず、
朦朧として記憶も定かじゃなかった頃。
毎日が苦しくて苦しくて、何度も辞めて楽になりたいと思ったものでした。
それでもフランスに行きたいという想い、
何かを掴みたいという想いに突き動かされて息をしていました。
先にも書きましたが、その相手は一応名のあるシェフだったんです。
ただの同業者とは訳が違います。
立場上、多少の影響力はあるんです。
僕らの言葉は、応援し、鼓舞することも可能な代わりに、
若者の心に芽生えた小さな想いくらい簡単に摘み取ってしまうことも可能なんです。
それぐらい責任があるんです。
シュクレの2年目の時かな・・・、
お店に来てくれた、まだ若い女の子が同業者だということで、
手を止めショーケース越しに話にいきました。
しばらくすると、女の子が泣きだしてしまったんです。
「うわ!またやってしまった!」と慌ててると、
「違うんです・・・まさかお話できると思ってなかったんで・・・・」
ゾクッと、鳥肌が立ちました。
オープンして2年、僕の中では変わらず「岩永 歩」だったのに、
こんな僕でもいつのまにか「シュクレクールの岩永」になっていて、
その言葉は僕ではなく、「岩永シェフ」の言葉として伝わっていたんです。
怖くなりました。
その責任の重さに怖くなりました。
言葉の責任って、僕はあると思うんです。

さっきの某シェフの話に戻りますが、
僕だったから良かったものの、
他の子なら下手したら「そうなんですか・・・」と火を消されてしまってたかも知れません。
背景も知らず、想いも知らず、よくもまぁ簡単に言ってくれたもんです。
しかも本人は行ったことないんですよ!
おかげで僕の中の炎はメラメラメラメラ燃えたぎってきたんですけどね(笑)
行って何があるかはわかりません。
でも、体験してないのに軽率に言葉にするような人にはなりたくない。
実際、例え本当に何もなかったとしても、
僕は行って自分で体験してから「僕にとっては何もなかった」と言いたい。
結果フランスは、僕にとって生涯の財産を用意して待っててくれました。
ある意味、僕の想いを強固にしてくれた某シェフに感謝しています
・・・って感じ悪い言い方ですね(笑)

どうにもこうにも、その千葉の職場の上司の言葉がその時の言葉と重なって、
はらわたが煮えくりかえる思いでした。
中にはこの子の想いや理由すら聞いてくれない人もいたみたい。
言葉ってね、
僕は大事にしたいと思うんです。
誰かに発するのはもちろんですが、
まぁ、それは受け手次第って部分もありますから。
一番気をつけなくてはいけないのが、気づいてそうで気づいてないのが、
自分の口から出る言葉を、一番近くで毎日繰り返し耳にしているのは、
そう、「自分自身」だということです。
中途半端な言葉や、消極的な言葉、おべんちゃらやご機嫌取り、
嘘や社交辞令、それら全部最初に聞いてるのは自分自身なんですから。
どんな言葉が飛び交う仲間なのか、
どんな言葉が飛び交う組織なのか、
モチベーションは明らかに違います。
「絶対やり遂げる」と自分に言い聞かせてる言葉と、
毎日「僕なんて・・・」って自己防衛の為の謙遜の言葉を繰り返してるのと、
どっちが前に進めるかなんて簡単なことです。

僕は明確に言葉にするほうやと思います。
でもそれは自信があるからなんて滅相もないです。
自分のことは自分が一番よく知っています。
そんなに意思は強いほうじゃありません。
そりゃ誰だって楽なほうに走りたいですよ。
そんな自分を知ってるからこそ言葉にします。
言葉にして自分やスタッフを鼓舞しています。
じゃなきゃ進めません。
新たな苦しみなんて求めなくたって、何とか御飯食べていけてますから。
それでもやらなきゃいけないんです。
心の片隅から湧き出てくる小さな小さな前向きな声を捉まえて、
心の拡声器を使って無理やり大きな声にして言葉にします。
そしてそれを嘘にしないように、嘘だけはつかないように、
自分で言ったことの責任くらい自分でとれるように、
一つ一つ形にしていくだけです。
有言実行なんてとんでもない!
言わなきゃできないだけなんです。でもやらなきゃいけないことがあるんです。

心の中にあるだけじゃ消えてしまうでしょ?忘れてしまうでしょ?
だからね、ちゃんと自分の胸の内を言葉にして、文章にして、
心のノートに、書き留めていくんです。
言葉って大事でしょ?

だってね、

そのノートが、自分自身の道標になるんですから。
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by monsieur-enfant | 2009-10-26 18:45 | シュクレクール