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なないろめがね

「人」を創る「人」

強烈な偏頭痛と吐き気で全く動けず、
スタッフに迷惑かけた半面、久しぶりにベッドで横になりました。
だいぶ良くなり、久しぶりに寝たもんだから、
今度は目が冴えて眠れなくなってしまいました(笑)

結局、東京には何しに行ったんや・・・と言う話になりますが、
実は講習会を聞きにきたんです。
はい、珍しいなんてもんじゃありません。
人生で3回しか行ったことありませんし。

一度目は、職人として物心付いたか付いてないかくらいの頃。
内容は全く覚えてません。
「二度と来るか」と思ったのだけ覚えてます。

二度目はシュクレをやって2年目か3年目くらいだったかな?
ですからホントに一度目からは行ってなくて10年ぶりくらいでした。
それも、店をやってもなかなか大勢の前に顔を出さない僕を、
某シェフが見兼ねたのか、「そろそろ顔出せよ」と言われたのがきっかけ。
・・・・案の定、「だから来たくないって言ったのに!」って展開に。
そもそも講習会に来てる連中の大半が、「学ぼう」なんて思って来ちゃいないんです。
「は?」って思うようなナメた服装だったり、
食い入るようなキラキラした眼の職人なんて居やしないんです。
そんな中でする質問なんて決まってます。
「何度ですか?」 「何分ですか?」
愚問、極まりない。作り手として、恥ずかしい限り。且つ、とても日本人らしい質問。
環境も材料も講習会とは違う中で、状態を把握することが先決。
何度になろうが、何分かかろうが、
その状態まで持っていくのが僕らの仕事。
それを記された数字に頼って鵜呑みにし、
良いものを作ることより、いかに言われた通りにするかに重きを置く。
結果、思った通りにならなければルセットのせい。
案外良かったら、このルセットで作ったのがこれなんだと一安心。
物作りとはそうではなくて、
まずは自分がどんなものを作りたいのかというイマジネーションから入っていき、
その思考錯誤の中で記した数字を「ルセット」と呼ぶんです。
決してルセットに導かれるのではなく、
「想像力」と「創造力」によって、ものは作られるのです。

結局、その10年ぶりの講習会は、中途半端な感じで、
頭にきた僕は、「最後に何か質問ありませんか?」という問いに、
言われたことしかやらないシェフに、
くだらない質問しか出来ない参加者に、
10年前となんら変わらない講習会を繰り返してる製粉会社に、
最後尾からマイクで不満をぶちまけて帰ってきました。
「だからこの業界、何も変わらないんだ!」って。
僕を誘った某シェフは、後ろで苦笑いしてましたけど(笑)

そうなっちゃうから行かなかったんですが、
今回、まだお話したことのない方で、
唯一気になってる方の講習会だったんです。
おそらく日本一の技術と知識を持ち、
それでいて、ちゃんと「今」を走っている凄み。
有名どころがどんどん「過去」のパンになっていってる中、
本当に尊敬に値する職人やと思います。
しかも主催が製粉会社ではなかったので突発的に申し込んでみました。
当たれば行こう、くらいの感じで。

目的は「声」を聞くことでした。
多くの人材も輩出されてるシェフが、
どのような言葉を使い、どのような表情で、どのような温度でお話になるのか。
ただそれに接してみたかったんです。
内容は二の次です(笑)。

うん、なんか良い時間でした。
主催側の会長が、以前ちょっと面識のあった方だったり、
参加者の中にはシュクレに来てくれた方も何人かおられて話かけてきて下さったり、
何より、シェフが良い人であることに安心しました。
この方に教わった職人は、おそらく良い職人なんだろうなって。
ま、フランスにしがみ付いてる僕とは方向は違うのでしょうけど、
良い刺激と言うとおこがましいのですが、
ある種の確信めいたものはいただけたかと思います。

先日、楽天イーグルスをお辞めになった野村監督の言葉に、

「財を残すは下、

事業を残すは中、

人を残すは上なり」

って言葉があります。
その「人を残す」人に触れれたことが大きかったですね。
この業界に限らず、多くの方がいつまでたっても「我が我が」。
「あんたら、もうええやろ!」って、うんざりします。
結局そんな方々の後には、今一線で活躍してる人材は生まれてないわけで。
うちも来年、2人の卒業生が店を構えます。
技術や知識を教えれない僕が、
果たして何を伝えられたのか・・・・、
それを彼らが僕に教えてくれるのを、
不安と期待を持って応援していきたいと思います。

今も独立希望の子が2番で頑張ってくれてますが、
良い店を持ってもらい、「一緒に働けて良かった」とお互い思えるように、
日々接していけたらなぁ・・・って思います。

あ、ただ続きもあって、

「されど財なくんば事業保ちがたく、事業なくんば人育ち難し」

・・・・そうなんですよね、実際(笑)
ここ、シビアなとこです。
サラリーマンの倍働いてるんですから、倍の給料あげたいのは山々なんですが、
実際そうもいくわけもなく・・・・。
僕ら飲食業って、ちょっと繁盛すればやたら儲かってると思われがちですが、
通販とかやってるならともかく、
目に見えてるお客さんが収益の全てですからね。
おまけに原材料費だけで40%くらいかかる現状。
びっくりするくらい安い原価の業界なんて沢山あるなか、馬鹿正直な業界です。
そこに光熱費、人件費、その他諸々が入ってきて、
残った利益の半分以上、税金で持っていかれるわけで。
知り合いのシェフが税理士さんに、
「国に税金納めるために働いてるんですか!?」と聞いたところ、
「そうです。」と言われたそうです(笑)。

あ、野村監督の言葉はまだあって、

「三流は無視、二流は称賛、一流は非難」

あははは、言いえて妙ですね。
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by monsieur-enfant | 2009-11-02 04:15 | とりとめなく・・