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なないろめがね

夢の晩餐会。

ここは日本一短い商店街。
今日だけは、幸せの光のアーケードです。
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足早に通り過ぎたその先には・・・
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そう、今宵の夢のような時間の扉を開きます・・・。

シュクレ5周年の今年、昨年は止めた周年行事の復活とともに、
「一人でも多くのお客さんと触れ合える年にしたい」
との思いつきから生まれた幾つかの企画。

春の「シュクレと遊ぼう IN 鶴見緑地」のBBQが初イベントでしたね。
当日になってBBQ経験者がいないという事態が暴露され、
グダグダ且つ真夏並みの陽射しが照りつける中、1時間半も遅刻した僕は、
今でも思い返すと胸が痛くなる思い出です・・・。
ホントに思いつきだけでやったので、なかなかの完成度の低さでした(笑)。

続いて「パリ祭」のイベント。皆さん覚えてますか?
ヌーパピさん初のモーニング営業を、これまた思い立ったその日に電話。
快諾を得て行った「みんなで朝ごはん食べへん?」的な無謀なイベントに、
ホントにたくさんのお客さんが集まってくれて、
何よりヌーパピさんが「こんな朝からこんなに集まるの?」って驚いてました(笑)

そして、BBQのリベンジということで、今度は身の丈に合わせた緩いイベントを開催。
そう、何の捻りも催しもない「ただのピクニック」です(笑)
ま、伝説となった主催者の1時間半の遅刻も、何とか40分に大幅に短縮でき(笑)、
良い気候の中、気持ち良い時間を勝手に皆さんが過ごしてくださりました。

そんなシュクレ主催とは別に行っていたのが、「4ヶ月連続食事会」。
ですので4月から毎月なんかしらのイベントがあった1年で、
多い時は月3回のイベントが絡んだりもしましたね。
今まで動かなかったせいもありますが、柄にもなく忙しい1年でした。
でもやっぱり柄ではないので、来年は静かにしてたいと思います(笑)

そんな会の運営をお願いしてた主催者の方、
各回それぞれに参加していただいたお客さん、
それに快く場所を提供してくださった各回のシェフやオーナー様の協力もあって、
何とかフィナーレの4回目を迎えることができました。
さ、前ふりが長くなると後半書くことが無くなるのでこの辺で打ち切りまして、
いよいよ本編に突入です。

肥後橋 ルールブルーさんでの、
「第4回 岸部のパン屋が友達もいずに寂しそうやから一緒に食事でもしてあげよう会」
いざ、開催です!!(笑)
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ずらっと並んでるのはトップを飾る、
07クレマン・ド・ブルゴーニュ ロゼ / シャンタル・レスキュール
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美味しく飲む以外、知識もウンチクも持ち合わせてませんので、
感想は割愛させていただきます・・・・が、なんとも幸せな一杯でした。

料理のスタートはディップ3種盛り
アボガドとズワイガニ  ロックフォールチーズとくるみ  ナスのキャビア風
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そこにはいつものバゲットより主張を抑えた「バゲット エポートル」
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古代小麦のスペルトを使ったパンです。
ディップもさすがにそんじょそこらのディップじゃないですよ。
単体で食べるより、合わせて食べることで引き立たせあうことを再認識します。
これとパンだけで、そこそこ食べて飲んで出来てしまいますね。

さて、次は、
08ミュスカ プティ・フルール / ジュリアン・メイエー
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カリフラワーのムースの上に魚貝類を散りばめて  オマール海老のコンソメゼリー
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南條シェフがパリで訪れたビストロのメニューから受けた
インスピレーションから生まれた一皿。
ルールブルーらしく、散りばめられた魚介類はどれもゴロゴロ主役級。
カリフラワーの優しいムースと力強いコンソメゼリーが良いバランスです。

そこに合わせたのは、エシャロットとクミンのパン
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魚貝にクミンは珍しくないのですが、
それだけだと香りが薄っぺらくなって受け止められそうもなかったので、
エシャロットの香りとコクを加えてみました。

さて、お次は・・・
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07リムー・ブラン キュヴエ・モーザック / シャトー・ド・ゴール
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そのワインに合わす料理は、
北海道産タラ白子のロースト ムニエルソース  あさりの入った十穀米のピラフ添え
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南條シェフ曰く、「岩永スペシャル」(笑)。僕と言えば白子のイメージだそう・・・。
そんなに白子ばっかり・・・・食べてますね。
僕の白子の理想は「たこ焼き」。まわりカリッの中トロ~。
今日はまさに「たこ焼き」!!・・・ちょっと例え悪すぎますかね・・・。
十穀米のピラフも旨いですが、横に置かれた蕪に癒されます。

白子のローストには、ゴルゴンゾーラとマスカルポーネのパン
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あまり強いゴルゴンゾーラ臭は出したくなかったんですが、
たるい乳製品臭さも違うと思いまして。
ローストの香ばしさに臭みのアクセントと、トロ~の白子の余韻を切らないイメージで。

・・・・・と、視線の先に、なんとも魅惑的な光景が。
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フライパンが小さいんじゃないですよ。肉の塊が4キロあるんです。

さて、その間にこちらが用意されてました。
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と、その前に、今日手伝ってくれてる阿倍君です。
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一年前くらいまで、ここルール ブルーさんで働いてたキュイジニエです。
一年間ベルギーのほうで勉強してきて、たまたま帰国してたんで駆り出されてます。
またここから一年、今度はフランスへと旅立つ将来が楽しみな若者です。
そうこうしてる間に注ぎ終わりましたね。
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Chateau Montrose 1979
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当日までお楽しみだったワインは、マグナムでの登場です。
ホント、ここまでして下さるお気持ちが嬉しくて嬉しくて・・・・。
常々思いますが、シェフの人を喜ばせようとなさる姿勢は見習わなくてはと思います。
さ、どっかで拾ってきたデカい石のような肉の塊が切られていきます。
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ここまでで大概お腹いっぱいの参加者の視線が、
お皿いっぱいにデローンと横たわるローストビーフの姿に慄いています(笑)

低温で調理した群馬産上州黒毛和牛のローストビーフ
チーズ風味のさつまいものグラタン添え ボルドレーズソース
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美しい・・・・。ホントにいつもため息が出るほど美しいソースです。
毎度そうなんですが、別に凝った盛り付けとかされてないんですよね。
でも、ホントにキレイやなぁ・・・・って思うんです。
小手先ではなく的確な技術や哲学によって生み出される「美しさ」なんでしょうね。
ちなみに、この4キロの和牛の塊は4日間かけて仕込まれています。
・・・・これ、「ローストビーフ」って括ったらダメですよ。
僕の知ってるローストビーフの質感じゃないですもん!!
僕の知ってるのは、なんだかパサパサで、ハムが日が経って変色したような・・・って、
育ちがバレてしましますね(笑)
ただ、肉の脂の甘味にソース・ボルドレーズが重なり、
更にドフィノワがさつまいもだったのはキツかった・・・。
しかも良いさつまいもだったので、しっかり甘いんです。
なんでも先ほど登場した阿倍君の実家から送って来られたようで、阿倍君作のよう。
単体では美味しいんですが、ここはジャガイモでお願いしたかったです。

そこに合わせたのは、そば粉を使ったブールです。
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が、ちょっとイメージと違いましたね。唯一、外しました(笑)
と言うのも、こんなにキレイな一皿で来ると思ってなかったんです。
横にドフィノワが来ることもあり、
もっと野暮ったいというかムシャムシャ肉食うぞ!的なね。
そこに蕎麦独特の田舎臭さと言いますか、乾いた香りを当てたかったんです。
だから皮がこのローストビーフには強すぎましたね。
「中だけむしって食べてください」・・・・応急処置完了(笑)

デセールにもワインが付きます。
07オー・ベニト プルミエール・コート・ド・ボルドー / ジョセフ・ジャヌー
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クレームダンジュ ハチミツのソース  季節のフルーツを添えて
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デカいボウルいっぱいに作られたクレーム・ダンジュ。
それをザル豆腐のようにすくっては入れ、すくっては入れ。
「これだけは、おかわりありますので言ってくださいね」
しますとも・・・・普通なら間違いなくしますとも・・・。
でももう、入る余地がないんです!液体も固体も!(笑)

・・・・・自分で自分の首を絞めた感が・・・・
「パン デピス イヴォワール」
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予定にはなかったんですが、
ホントに最後まで手を抜かずにやって下さる南條シェフのコースに、
最後まで連れ添わせていただきたくデセール用のワインに合わせて持って来ました、
ホワイトチョコで仕込んだ、香辛料とドライフルーツのお菓子です。
・・・・が、喜んでもらえると思って作ってきましたが、
若干、「まだあるんかい・・・・」的な空気に(笑)
ま、お土産だと思って持って帰ってくださいな。

それにしても皆さんよく食べますね・・・・。
僕、結構食べるほうですけど、それでもかなりお腹いっぱいでしたもん。
それをほとんど食べてましたからね、女性陣が。
でも、「お腹いっぱい」って、幸せなことですよね。
お腹いっぱい食べれる環境や、お腹いっぱい食べれる健康に感謝感謝です。
それから、それぞれ想いのこもった料理を、
目の前で説明していただいて、そのシェフの選んだワインといただく。
お腹とともに、心もいっぱいに満たされたのではないでしょうか。

ホントはね、第3回で若干ネタ切れみたいになりまして。
うちと縁もゆかりもないお店でやるのは違うやろうし、
キャパも考えると、もう頼めるお店もないかなぁ・・・って、
打ち止めにしましょうかとも話してたんです。
それを知ってか知らずか・・・知らずなんですが、
手を挙げて下さったのが南條シェフだったんです。
「シュクレさんの会、4回目って、どっか決まってるの?」
「うちはカウンターメインだから厳しいもんなぁ・・・」
みたいな会話からだったらしいのですが、
「もしやることになったら岩永君はここらへんに座って・・・」みたいに、
意外と前から決めてたかのような具体案が出てきた流れで決まったみたいです(笑)
ただし、条件がある・・・とのこと。
普段はカルトのみのルール ブルーさんですが、当日はコースでやらしてほしいと。
そしてその料理に合わせて、自分が飲んで欲しい5種類のワインを合わさせてほしいと。
最後に、そのコースとワインに合わせたパンを、僕に焼いてほしいと・・・。
飲みます!!飲みますとも!!その条件、吐いてでも飲ませていただきます!!
ってな感じで決まった今回の食事会、皆さんはいかがだったんでしょうか?
僕としては、南條シェフに受けていただけただけでも光栄でしたのに、
普段食べれない「南條シェフのコース料理」が食べれるとあって、
かなり前からテンションは上がってました。・・・もちろん緊張もしてましたが。
料理ももちろんですが、
シェフが作った料理に合わせてチョイスされるワインは今までたくさん飲んできましたが、
先に出すワインが決まってる中で作られる料理と、
そのワインを頭に入れて作られた料理とともにいただくというのは、
今回初めての経験でした。結果、全てドンピシャ。
ここまで響き合うものなのか・・・と感心というか感服しました。
そこに自分の、細かい打ち合わせもない中で作ってきたパンたちが、
どこまで重なることができるのか・・・・。毎回ドキドキしながら食べました。
・・・・まぁまぁ、ってとこですかね(笑)

通常営業から、お客さんに喜んでもらおうと、旨いもの食べて帰ってもらおうと、
そんな想いに溢れたここルール ブルーさんですが、
この日も全く手抜きなし。むしろやり過ぎなくらい(笑)。
でもね・・・、ホントにね・・・、こんな若造(といっても早35歳・・・)との絡みで、
ここまで本気でやってくださったのは、大袈裟ではなく本当に身に余る光栄です。
各ワイン、各料理、フランスでワイナリー回られた時に訪れたとこのだったり、
パリのビストロで食べて美味しかったものをアレンジしたのだったり、
今あるものでも十二分に美味しいし嬉しいのに、
そんなシェフの背景があるものをこの日のコースに入れていただいたことが、
涙が出るほど嬉しくて・・・・・。
がっぷり四つには組めませんでしたが、
こうして一緒のコースの流れとして仕事をさせていただいたのは、
ミーハー的ですが、良い記念というか思い出になりました。

この日はちょうどモンテベロの誕生日。こんなお花のプレゼントもいただきました。
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ちょっと早いですが、この一年のご褒美をいただいたような、そんなキラキラした夜でした。
by monsieur-enfant | 2009-11-30 01:18 | ルール ブルー