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なないろめがね

卒業証書

昨日アップした記事、
みなさん温かい反応ありがとうございました。
うちを最終ステップにして独立していった子たちだけでなく、
いろんな形で店を去る子がいるわけです。
平井さんも、ある意味「志半ば」なのかもしれません。
ただ、うちで感じたことを土台にして、
今度は自分が描く未来に向けて、最適な選択をしていくことと思います。
そんな中、同じ和歌山出身の方から励ましのFAXをいただき、
本人、本当に喜んでいました。ありがとうございます。

さて、生地を成形したまでで終わってしまうのも何なんで、
とりあえず「おまけ」で出勤して焼き上げるまでをご紹介しますね。

一応、辞めてはいるのですが、
在籍時とあまり変わらない緊張感を漂わせています(笑)
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オーブンに入れる為に、パンを並べます。
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粉を表面にまぶすようですね。
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こんな感じで。
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クープも初め・・・いや確か何度か練習させたはずなんやけどねぇ・・・(笑)
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窯入れは初めてかな?
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よいしょっと。
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パンはね、そんなに大きな選択肢はないんですよ。
材料があって、生地を仕込んで、分割やら成形のプロセスが絡んで、
発酵も一次発酵とか二次発酵とかあるくらいで、
対して大きな製法の違いはないんですよね。
で、焼けば取りあえずはパンになりますから。
そして料理と違って、値段に差がつけにくい。
どこでどんなキャリアを積んだって、どんな信頼や評価を得たって、
パンがパンである為に、パンとして在らせてもらえる範囲内の値段設定も、
半ば暗黙の了解的な範疇が存在してると思うんです。
美味しいパン屋さんも増えてると聞きます。そうなると、お客さんの舌も肥え、
求められるレベルもどんどん上がっていくことでしょう。
でもね、もともと高くない「パン屋さん」、
20円上げるのに「お客さん、離れへんかな・・」と頭抱えてるのが現状です。
原材料が高騰してても、生活を二の次にしてキャリアを積んでも、
値段に反映しにくいのが僕ら「パン屋さん」なんです。
ただ、僕は同じ200円のパンでも、
そこにどれだけの想いや背景を詰め込めるかで、
十分商品の差別化にはなると思ってます。
自己満足・・・なのかも知れませんが、
自己すら満足させられなくて商売など出来ません。
たまに街中でお店を覗くと、「これで200円取れんの!?」って、
ビックリするようなパンも結構ありますが、
どうか平井さんにはいつか自分が焼き上げる100円200円のパンに、
決して後ろめたさを感じない背景を詰め込めるような歩みを期待しています。
・・・・って、パンが焼き上がるまでの暇つぶしの小噺でした。

窯の中を覗き込んでいます。
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お、焼き上がったようですね。
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窯から出したパンを大事そうに並べます。
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勿論、これは店売りには出来ません。
でも、二年間頑張った一人の女の子の「精一杯」が詰まってます。
いつも言うんですが、パンはね「自己投影」なんです。
盛りつけの最後に挿し色を足して華やかさを加えたり、
高さを出してお皿を演出したり、歪んだものを整えたり、
そういうの、パンは出来ないんですよね。
うちの製法でいくと、盛りつけは10時間以上前に終わってるわけです。
それがどんな表情になるのか、切り口からどんな具材が顔を出すのか、
焼いてみないと正確にはわからないことだらけです。
だからパンには「まぐれ」が存在しないんです。
「今の自分」がほぼ正確に映し出されます。
例えば僕に「10年前の、あの店で作ってたパンが素朴で良かった」と言われても、
決して同じものは作れません。上手くなっちゃってますから。
勿論、平井さんに僕と同じものを作れと言ったって作れません。
でも、それで良いんです。
なぜなら先に言った通り、パンは「自己投影」だからです。
虚栄を張って「出来る風」な仕事をしたって、
ちゃんとパンは今を映し出します。
その映し出された今を、如何に正確に把握し次に活かせるか、
成長はそこにしかありません。
不細工なパンだって、目を背けず向き合って、
そこに何の真意があるのか、パンが自分に何を言わんとしてるのか、
それを聞いてあげるのもブーランジェの務めやと思います。
ただキレイな形を追い求めて、
物づくりの本質を忘れた機械的で単調な仕事に終始し、
表情の無い、同じ見栄えのパンを作り続けて満足することが、
ブーランジェの仕事ではないと思うんですよね。

今日のパンは、はたして平井さんに何を告げたのかな・・・?
「お疲れ様」って労ったのかな?
それとも「もっともっと頑張らなあかんね」って伝えたのかな?

まだ温かいそのパンを、
一緒に働いたスタッフ一人一人に配り歩いて食べてもらってました。
僕には一応、真っ先に持ってきてくれました。
そこにはちゃんと「今」の平井さんが映し出されていましたよ。
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これが彼女の、シュクレからの「卒業証書」。

前向いて、懸命に生きるんやで!!
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by monsieur-enfant | 2012-02-16 21:01 | シュクレクール