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なないろめがね

リニューアルの簡単なご説明。

どうでしたか?
サンフランシスコ編。

本当に頑張って書きました。
リニューアルの準備もあり、
思った通り実生活に強烈な支障が出ましたけど。
でも、ここを書き切らないと、
振り幅が大き過ぎて、
リニューアルが全然ピンと来ないと思ったんですよ。
なので少々、振り幅のデカいリニューアルについて、
補足というか、ざっくりした説明を添えたいと思います。
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明日で10年を迎えるシュクレクールですが・・・・、
と書き始めたのは昨日だったんです。
しかし今朝の3時頃には思考がドロドロに溶けてしまい、
すいませんが帰らせていただきました・・・。
ですので、説明の前に周年の日を先に迎えてしまったことを、
お詫び申し上げます。
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気を取り直しまして、
本日で10周年を迎えたシュクレクールですが、
ここ数年抱えてた問題がありまして。

その1つが、変わらないことでのスタッフの倦怠感。
長く働いてくれる子が増えてくると、
うちの長所でもある「変わらないこと」が、
マイナスになってくる場合もあるわけです。
出来ることより出来ないことのほうが、
成長にも繋がるし、刺激にもなりますからね。
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その2が、平日の売り上げの推移が鈍いこと。
10年やらしていただいて、
週末はお陰さまでたくさん来ていただいてます。
そのせいで、「いつ行っても混んでる」などという、
大迷惑な都市伝説まで生まれてますが、
冷静に考えてみてください、
ほぼ地元がマーケットになる平日に、
岸部でお客さんが混み合うなんてありえると思いますか?
もちろん、僕らの努力不足もあると思いますが、
正直、若干諦めかけてもいました。
頑張って来た結果、もうここでの売り上げは、
頭打ちなんかな・・・って。
そんな中、昨年末だったかなあ、
近くに郊外型大型ベーカリーが出来て、
駐車場に入らない待ちが出来てた時はショックでしたもん。
「あ、こういうのでいいんや・・・」って、
マジで心折れかけました。
厳密には、客層は全然違うんですけどね。
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そして3つ目が、労働時間の問題。
僕は、「パン屋だから仕方が無い」とか、
「飲食ってこういうもんだ」とかいう風習めいた言い訳が大嫌い。
その全部を覆して進んで行こうと思ってたんですが、
恥ずかしながら、10年経っても改善出来ていません。
無能なりに、人も入れてみました。
無能なりに、機械も増やしてみました。
でも、抜本的な解決には繋がりませんでした。
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今回、サンフランシスコに行って、
僕なりにいろいろ思うことはあったんです。
そして、やんわりですが、
具体的なイメージを持って帰国しました。
でも、そのチャレンジは岸部ではさすがに難しく、
他のどこかで形にする前提でのイメージでした。
そうです、そこそこの確率で岸部から動くつもりでした。
ま、早くても2年後・・・というような、
少し先のプランでしたけど。
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でもね、やっぱり岸部が気になるんです・・・。
組織的には、3年でモンテベロを作り、
6年でラボを作り、シュクレも一部、厨房設備を移設し、
9年でラボ自体を店舗と同じ並びに移設と、
たまたま3年周期で何かしらの動きをしてきましたが、
シュクレに関しては、特に店舗部分に関しては、
ほぼ何もしてきてなかったんです。ソフト面も、ハード面も。
ショーケースの位置を、ちょっとズラしたくらいかな。
そんな状態で、僕が2年後のことに頭が行くとなると、
この店はその間に変化もなく、放ったらかしになってしまいます。
もちろん、2年後以降も新展開に意識が行くんでしょうし、
おざなりになるのは店だけでなく人もそう。
シュクレをそんな風にはしたくないしな・・・と、
思ってた矢先の1月の末日、
うっかり入院することになってしまったんです。
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その期間、仕事のことは考えないようにしようと、
変なストレスは持ち込まないようにしようと思ってたんですが、
逆に、考えないようにしようと思ってたのが良かったのか、
すーーーーっと、降りてきたんです。考えずとも。
それが運良く、3つの問題点全てに、
良い刺激を与えてくれそうな案だったんです。
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ここからは、お客さんへのお願いやご報告も、
兼ねさせていただきます。

まず、労働時間の問題については、
「どうやったら労働時間を短縮できるか」というより、
「どうやったら短くなった労働時間で売り上げを維持できるか」
という内容に、設問自体を変えようと思います。
どれだけ難しい問題でも、
10年かけて解けなかった難題に比べれば、
さほど難しいことじゃないんじゃないかと。
かといって、時間をかけなきゃいけないところはかけなきゃいけません。
クオリティを落としてまで、
時短に走ることはありませんので、ご安心を。
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そして考えた結果、クオリティと時短と、
その両方を良い方向に導く為に取らせていただく手段が、
「パンの大型化」です。
正確に言うと、「中型化」程度なんですが、
今までの小さなパンは作らず、
大きくして焼きたいということです。
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その理由の1つは、4倍の大きさのパンを焼き、
後でカットして提供することで、
パンは大きくても小さくても、
さほど1個あたりの仕事は変わりませんので、
単純に仕事量が四分の一になるわけです。
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そして以前から言ってるように、
デカいパンは美味しいんです。
「ちゃんと焼ける」んですよね。
小さいと、ちゃんと焼きたくても「焼けちゃう」んです。
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あとね、
サンフランシスコでの仕事でハッと思い出した、
「ブーランジェのマインド」も関係してきます。

フランスを代表する「食」を司るお仕事といえば、
ざっくり「キュイジニエ」「パティシエ」「ブーランジェ」。
そこには、それぞれの職種の擁する「マインド」があるんです。
例えばブーランジェのマインドとは、
キュイジニエやパティシエと比べて、
生きてるものと常時接するという、
特殊な仕事内容から生まれてくるもの。
そのマインドは、どちらかというと、
農家さんや酪農家さんに近いんじゃないかなあ。
基本的な行為が、「作る」よりも「育てる」の割が多く、
僕自身は自分の仕事は「生産者」と思ってるくらいです。

ですが、TARTINEで久しぶりに大型のパンに接したとき、
「あ!あかん!自分のマインドがパティシエみたくなってる!!」
と、ハッとしました。
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フランスを掲げ、日本人に合わせること無く作ってきたものの、
実際作ってる大きさは、日本人に合わせた小さいパンばかり。
もちろん、大きいパンが飾りだと思われて、
売り物だとも思ってもらえなかった過去から、
「全てフランスと同じはさすがに無理がある」との判断での、
唯一日本人に合わせた歩み寄りの部分だったんですが。
それが、日々小さい仕事や細かい仕事をこなしてた結果、
知らず知らずのうちにマインドが小さくなっていたんです。
これはね、僕の中ではすごくすごく「違う」ことなんです。
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ですので、今回の10周年を期に、
パンが全体的に大きくなってます。
小さいほうがお好きという方、本当にすいません。
でも、10年やってみました。
小さいパンを作り続けながら問題の改善を図ってきました。
でも、出来ませんでした。弊害も僕の心に出て来ました。

その代わり・・・というわけではありませんが、
先ほど書いたようなマインドを呼び起こし、
もう一度「生産者」としてパンと向き合ったパン、
新しい「パン ラミジャン」を作りました。
おおらかでリラックスした、とても良い子です。
なんとなくでいいので、
こういったことが伝わってくれればいいな、
そう思えるパンになりました。是非、食べてみてください。
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クロワッサンも、バターの量を増やし、
大きく変化させました。
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詳しくは、・・・すいません、coming soonです。

あと、「地元のお客さん」というマーケットに対してですが、
先に書いてたように、もう頭打ちしてんのかなあ・・・と、
もともと万人受けするパンではなかったし、
これ以上、特に望まれてないから増えないのかなあと、
正直、諦めかけてた部分もありました。

でも、先のブログに書いたように、
初めてTARTINEに足を踏み入れた時に、
1つのヒントというか、引っかかりを感じました。
それが、「うちは『カジュアル』ではないんやな・・・」でした。

パン屋ですから、本来カジュアルなのですよ。
ブーランジュリとは、フランスの街の生活の中に、
普通に存在するものであり、歴史であり、文化なのです。
菓子パンなどは無いですが、
僕は自分がやってる店が堅苦しい店だとは、
今でも思ってません。
日本において、違うパン文化があるだけで、
自分たちがやってることだって、
フランスにおける、生活の底辺にあることですから。

ただし・・・・ここ岸部において、
カジュアル・・・ではないのは認めざるを得ませんね。

そこからずっと引っかかってて。
地元のお客さんのこともどうしても引っかかってて。

そんなとき、「!!!」と、思いつきました。
もう一度だけ投げかけてみようと。
諦めずに、もう一度アクション起こしてみようと。
入院先の病棟のロビーで、でした。

うちは10年変わらないお店でしたので、
ブレずに来た部分は強みでもありました。
でも、「変わらない」ってことは、
最初来て「子供に食べさせるパン、ないわー」とか、
「敷居が高くて買いにくそう」とか思われたお客さんに対して、
もう一度足を運んでもらうきっかけは、
とても少なかったってことにもなります。

かといって、商品で迎合する気もなく、
正直、もう有効な方法がわからなくなってました。
そこに飛び込んで来たのが、「カジュアル」というワード。
うちが、そうでなかったとしたら、
カジュアルダウンすることで来てもらいやすくなるんだったら、
それは僕らが望んでる景色に近づけるのかも知れません。

そして、「場を提供する」という手段をチョイスしました。
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10年前には、僕らにはこの地で、
やらなきゃならない使命がありました。
正しく美味しいパンを食べてもらうこと。
小麦の味、生地の味に、興味を持っていただくこと。
そのために、いろんな種類の粉を使ったパンに、
触れてもらい、食べてもらうこと。
それを10年やってきた今、街の中での店の在り方も、
変化させるタイミングにも差し掛かっていたんです。

お店にパンを並べ、パンを紹介し、買っていただく場から、
そのパンや店を好む人が集える場を提供することへと変化します。
そしてその場で、先にチラッと写ったように、
ハンドドリップで僕らが点てたコーヒーを、
カッコよろしい新ロゴ入りコップにて提供させていただきます。
サイズはたっぷりトールサイズ。もちろんテイクアウトオッケー。
そのコーヒーは、狭山の「焙煎香房シマノ」さんが、
コスタリカの農園と協力して作ったスペシャリティコーヒー。
詳しくは店頭、もしくは復旧したときのHPにて。
もちろん、技術指導もシマノさんでガチガチです。

さらに、ここもHPの復旧の際には詳しく載せますが、
ビールと自然派ワインも提供させていただきます。
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ついでで言っときますが、
店頭にて有機野菜を使用したホットサンドも、
随時、提供出来るようになっていく雰囲気です。
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実はもう、ちょいちょい出てますけどね。
こちらも、詳しくはcoming soonで。
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僕がサンフランシスコで感じた「カジュアル」は、
生活スタイルやファッションのことだけじゃなく、
やっぱり「気持ち」の面なんだと思うんです。
大事なことはちゃんと継いでいき、
時間や環境の変化の中で削ぎ落としていけるものは、
物も思考もシンプルに削ぎ落としていく。
飾らず、気負わず、頑張りすぎず、
本質の部分をお客さんと長く楽しく共有出来るように、
そんな想いを明確に反映したリニューアルになったと思います。
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先に書いた3つの問題点も、
改善出来たとまではまだまだ思いませんが、
それぞれに的確なアプローチも出来たのかな、と思ってます。

そして何より、オープンから10年後、

こんな店になるとは思ってなかった変化を見せれたこと、

それがとてつもなく嬉しいのです。

10年前、僕が一人で描いた10年後は、

前のシュクレクールのゴージャス版でした。

デコラティブな店構えに、アンティークの家具を入れ、

ショーケースはフランスから輸入して・・・・って、

オープンのときに資金がなくて出来なかったこと、

その仇討ちのようなイメージでした。

でもそれは、僕じゃなくても出来ること。

言うなれば、お金さえあれば、オープンの時に、

僕でもそれを叶えれたわけです。

でも10年後、そうはならなかった。

誰でも出来るような店にはならなかった。

シュクレクールを通じて出逢った多くの方々。

その出逢いによって己を知り、

出逢いによって育てられてきました。

それはスタッフもそう。

彼らとの出逢いなくして、

このリニューアルは有り得なかった。

この子たちを生かせるよう・・・・と、

思わせてもらえたから踏み切れた変化。

この新しいシュクレクールを、

胸を張って「正常進化」だと言い切れます。

より今の僕ららしい店になったと、

胸を張って言い切れます。

今までのシュクレクールは、今までの役割を終え、

これからのシュクレクールに、これからを託しました。

これが今の僕らです!!!
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さ、また切り拓いていきましょうか、でも、カジュアルにね!

シュクレクール、11年目、突入です!!!
by monsieur-enfant | 2014-04-17 22:52 | 10周年 関連記事