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なないろめがね

今年最後の締めの挨拶のようなもの。

おかげさまで、本日の営業で、
本年の営業を無事終わらせていただくことができました。
足を運んでくださった皆さま、
応援してくださった皆さま、
本当にありがとうございました。

今年は、どんな年だったかと言われると、
やっぱり避けては通れないのが「移転」の発表ですよね。
そうなると、「決断の年」だったのかな、と。

今年のクリスマス、
23日の営業の為にパンを焼き始めたとき、ふと、
「あ・・・、こうしてここでクリスマスを迎えるの、
最後なんだろうな・・・」、なんて感傷的になってみたり。

そう思いながら、焼きあがっていくパンを、
パチリ、パチリ、そんな暇もないくらい忙しいのに、
なんかその一瞬が愛おしく思えて、写真を撮っていました。
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クリスマス、僕の修行時代はあんまり関係なかったんですが、
いつの間にやら忙しくさせていただくようになりました。

うちのこと知らない人でも、なんとなく「フランスパンのお店」ってイメージが、
2年か3年くらいかなあ・・・、ついてきた実感がありました。
地元の人でも、年に一回、この日くらいは食べてもらえるようになった気がします。
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バゲットは、オープンしてから10本も売れない日々が続いて、
それが20本売れた日のこと、今でも忘れれません。
大台に乗った!・・・というと大袈裟に聞こえるでしょうけど、
「ああ・・・、20本、店頭で売れる日が来たんだ・・・」、
そうしみじみ喜びを噛み締めたのを覚えています。
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そんな中、何年目だったっけな・・・、
クリスマスにバゲット100本作らせていただきました。
もう嬉しくて嬉しくて。
開店当初を思えば、夢のような本数でした。
これだけの人が、こんな大事な日の食卓に、
わざわざ岸部まで足を運んでくださるなんて、
職人冥利に尽きるってもんです。
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それから150本になり、200本になり。
いつの間にか、生産が追いつかないようになりました。

こんな場所までわざわざ買いに来ていただいて、
「売り切れてしまいました」では、大切な日のパンを、
一体どこで買ったらいいのかと困らせてしまいます。
なので何とか頑張って仕込んでも、
今度は焼く回数が間に合わなくなってきました。
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もちろん、バゲットだけ焼いておけばいいわけではありません。
全体を満遍なく焼きたくても、バゲットは売り切れないようにしたい、
パンドミは焼かなきゃいけない、レストランに出荷するパンも焼かなきゃ・・・。

今年も、皆さんにはご迷惑おかけしたと思います。
製造もいっぱいいっぱい、量も体力も、限界まで頑張って作ってますが、
疲れてクオリティが下がってしまってたりもしました。
窯も、開店時から同じ容量しかありません。
購入時にすでに10年落ちの中古だったんで、
今では大ベテランの20年選手になりました。
むちゃくちゃ頑張ってくれてます。
機械屋さんには「奇跡」と褒めてもらってます(笑)
ですが、焼ける容量に限界があることは否めません。
昔の物量とは比較にならない量を抱えても、
出口が同じでは時間が縦に重なっていくばかり。
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今年、改めて思いました。
「やっぱりもう限界なんだ」と。
いろんなところに無理がたたり、
歪みが生じてきてるのを痛感しました。

これをね、どうしても改善しなきゃいけないんです。
仕方ないじゃなくて、どうしても改善しなきゃいけないんです。
僕は「飲食業で当たり前と流されてることの全部を、
良い方向にひっくり返したい」と常々言ってきました。
しかし、何も出来てません。何もしてあげれてません。
スタッフに、パンに、快適に過ごせる環境を作ってやりたい、
ただただ、この一点しかないんです。
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僕個人に「どこかでお店を出したい」なんて気持ちは一切ないんです。
大阪市内、東京、思ったことないんです。
「お店作り」という点では、僕はシュクレクールで十分です。
こんな風にしたかった、あんな風にしたかった、そこそこ満たしてもらってます。
岸部でやっていけるものなら、それに越したことはなかったんです。
ですので、北新地に「シュクレクール」をやりに行くつもりはありません。
気持ちの中では、シュクレクールは岸部にあると思ってます。
そりゃそうです、誰にも理解されないくらいの想いは、僕が一番抱えてますから。
ただ今度は、ここで12年やらせていただいて感じた、
パンが出来ること、「食」を通じてしなきゃいけないこと、
たくさんの方々との出逢いで気づかされた「パン屋だから出来ること」、
様々な改善出来なかった問題をクリアにすることと同時に、
それらの発信地として、北新地「新ダイビル」さんという場所から、
新たなアナウンスを今よりもっと広く遠くへ発信していければと思ってます。
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移転の発表から、
店頭でもたくさんの声をいただいてます。
発表の翌日、朝から膝から崩れ落ちて泣いてくださった方もおられます。
普段、滅多に話さないお客さんからも、
ショーケース越しにどれだけシュクレクールが大事な存在なのかを、
小さい子供を抱えながら涙を浮かべ話してくださった方もおられました。
いや本当にね・・・・、
考えれば涙が止まらなくなるので閉店のことは考えないようにしてますが、
そんなお客さんの声に「岸部でやって良かったなあ・・・」って、
心の底から思わせてもらえます。

年明けからは、寂しさも徐々に増していくんでしょうね。
でも、それを打ち消すくらい切羽詰ってるって言いますか、
あまり感傷的になってる暇もないくらいスケジュールはカツカツなのです。
大きな挑戦の年になるのは間違いないのですが、
それより3月のお別れのほうがヤバい気もします。

あと、こんなタイミングで何ですが、
以前、松本さんと宮迫さんとたむけんさんが来られまして、
簡単に食事された帰られました。もちろん仕事で、ですけどね。
その様子を撮影された番組の放送日が決まりました。
1月7日(木)「松本家の食卓」に出させていただきます。
「4時ですよーだ」の最終回、泣きながら歌ってるダウンタウンさんを、
泣きながら観てた世代なので、柄にもなくド緊張しておりますけど。
個人的には実は観たことない番組でして・・・。
時間的にも「雨トーーク!」の中盤くらいが限界。
朝の早い仕事ですからね。初めて観るのが自分が出てる回ってのも新鮮です。
良かったら観てやってくださいな。

それから来年からは、一旦、週休2日に戻らせていただきます。
いよいよ迫ってくる移転の準備と、スタッフが完全に揃わない中で、
人をシフトで回さず集中させたいとの意図からです。
火曜と水曜、モンテベロと同じ曜日での定休日となりますので、
くれぐれもお間違えのないよう宜しくお願い致します。
ちなみに、そのモンテベロは年末年始、絶賛営業しておりますので、
この異質な空間が名残惜しいと思われる方、どうか足を運んであげてくださいませ。

さ、長くなりましたが、
これをもちまして、本年の御礼の挨拶とさせていただきます。
スタッフ一同、積み重なった疲れをとり、
パンクしそうな脳みそを整え、リフレッシュして新年に臨みたいと思ってます。
束の間ですが、また元気な顔で再会できますよう、
皆さんも体調管理には十分気をつけて、良い年越しをお迎えください。

では、改めまして、今年一年、本当にお世話になりました。
来年は一層危なっかしい年になると思いますが、
変わらず可愛がってもらえると嬉しいです。

皆さんの一年が素敵な時間とともに締めくくられますよう、
新たな一年が、希望に満ちた一年となりますよう。


良いお年を。
by monsieur-enfant | 2015-12-29 01:14 | とりとめなく・・