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なないろめがね

あの頃以来・・・・

そう、あれは忘れもしない5、6年くらい前・・・。
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この幻想の街「北新地」で働いてた時期がありました。
フランスに行くお金を貯めるために、夜の世界に身を置いてました。
朝9時半には、同じ北新地の串かつ屋さんに出勤。
23時の閉店まで働き、その後スーツに身を包み、次の仕事へ・・。
そして朝まで酒を煽り、7時か8時に帰宅。8時半にはもう出勤という生活でしたね。
業務内容は、いわゆるホストみたいなお仕事です。
でも新地は素人の女性は滅多に来ないので、素人女性との色恋は無いかな・・?
相手はホステスさんや、
クラブで気に入った女性と飲みたいお客さんが主。
ようは、お金を払う人を立てるのが仕事。
ホステスさん連れた男性客もいれば、ホステスさん同士の憂さ晴らしの場になったり、
はたまたママさんがホステスさん連れてきたり・・・。
今はなんて言うのかなぁ・・。当時は「ナイト」って言われてました。
だから、「ホスト」ではなく「ナイトの子」なんですね。
ま、呼び名がなんだろうが、所詮新地では男は「犬・猫・ロボット」です。
当時、27歳。嘘と真、栄華盛衰、笑いと涙、そして男と女。
短い期間でしたが、振り返るとホントに沢山の経験をさせていただいた街です。
僕の「フランスに行きたい」と言う、夢の一端を担ってくれてたことは間違いないですし・・。
あ、いただきましたよ、ドンペリも。ピンドンもスードンも。ピンクにスーパーね(笑)

こういう話をするとね、苦労話みたいで嫌なんですよね。
僕に言わせりゃ、努力でも苦労でもなんでもないんです。
僕はね、何かを得るためには、それなりの代償がいると思うんです。
フランスに行くのに、僕にはお金も才能も無かった。
お金も才能もある人たちなら、する必要のないことです。
僕は、お金や才能を持ち合わせてないので、労働を捧げました。寝る間も惜しんで。
でも僕は、フランスに行くための「代償」を支払ったまでやと思ってます。
手にする報酬は、結局は自分が捧げた代償の大きさに比例するんやと思うんです。
手にした物の小ささを嘆くよりも、
その小さな物を手にするだけの代償しか払ってない自分を憂うべきなんです。
その反対に、何か大きな報酬を受けてる人たちは、
それ相応の代償を支払った人たちやと思うんです。
僕の精一杯の「代償」に対してフランスは、
その後の人生の「財産」と呼べるような経験を、「報酬」として用意しててくれました。
今、安直に結果を求める人が多いような気がします。
それ相応の過程は、一見遠回りですが、
いずれ自分の基礎となり「結果」へと繋がって行くものです。
「過程」無き「結果」は、いずれ基礎の無い家のように、
もろく崩れさることでしょう・・・。

でも・・生涯一、過酷な一年でした。
一年間、ほぼ休み無く、平均2時間を切る睡眠時間。
移り変わる季節も覚えてません。
フランス行きが決まった頃は、フランスに行ける喜びよりも、
この生活から解放される喜びのほうが勝ってたような気がします。
そんな記憶が、この場所から、この景色から、足を遠ざけていました・・・。

きっかけは、ひょんな事。
パティスリーの打ち合わせの一環で、新地に来たんです。
で、時間も遅くなり、食事するところも無くなってきたので、
新地で働いてたころ、度々お客さんに連れてっていただいてた店に行ってきました。
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働いてた店が近所だったということもあり、
よく連れてきていただきました「焼肉 大番」。
場所がわからなかったんですが、当時の店の前からの記憶を辿ると着きました(笑)
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カウンターだけの小さなお店。
大将一人でやってはります。変わってないですね・・・何もかも・・・。
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変わったのは、ホステスさんのぶんの肉を焼かなくていいことと、
コートを下に擦らないようにお掛けしないでいいこと。
あと、自分で初めてお金を払うことと、平原綾香のサインがあったこと(笑)

止まってた時間が動きだしたような気がしました。
いろんなことを、また一つ受け入れれたような気がしました。
当時は、いつかちゃんと稼げるようになったら、
世話になったホステスさんのクラブにお金を落としに行くんだ・・・と思ってたものでした。
が、料金設定を知ってる以上、無理です(笑)
ですので、なんかささやかな恩返しと言いますか、自分への区切りと言いますか、
初めてこの店でお金を自分で払ったことは、いろんな意味で嬉しかったんですね。
また、何かの時は、この「止まった時間」に逢いにきます。
「フランスに行くんだ」という想いだけで生きていた「あの頃」に逢いに・・・。
by monsieur-enfant | 2007-11-04 06:37 | 焼肉 大番