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なないろめがね

東京1-1

出会いは2002年。
フランスに旅立つ前に買った某雑誌でした。
「愛すべきフレンチシェフたち」という特集のその号は、
10人のトップシェフの完全プロフィール、
他に数名のシェフたちのフランス修行時代座談会なんかも載っていて、
フランス生活中毎晩ベッドの上で読んでいました。
その座談会の中で
「フランス人の2倍働いて同等。3倍働いてやっとフランス人を使えるようになる」
という言葉を向かう飛行機の中で読み、
苦しい時は何度も何度もこのフレーズを繰り返した思い出があります。

で、その号の10人の巻頭特集の1人目に彼が載っていました。
当時で33歳。若くて才能に溢れ、独自の世界観を貫く彼に強く憧れました。
まだ神奈川にいらしたころ、「ラ ナプール」時代の話です。
その方の名は「成澤 由浩」。
御存知、「レ クレアション ド ナリサワ」のオーナーシェフです。
あ、もちろん知り合いでもなんでもないですよ。ただの遠距離片思いでしたから(笑)

この度、肥後橋に昔からの仲間の米田さんがレストランをオープンされたのは
HPのNEWS欄にも書いてるので、知ってる方もおられると思います。
そのレストランのパンを一手に引き受けているわけですが、
そういえばそのクラス規模のレストランって、
日本に帰って来てから昨年のカンテサンスさんくらいしか行ってないんですよね。
・・・・確認しとかな。
で、電話して予約。
2週続けて東京。
新幹線も宿もとってないけど。
まず思いついたら即行動。
自分の「レストラン」というものに対する感覚が正しいのか。
はたまた時代遅れになってないのか。
「レストラン ハジメ」に恥をかかすわけにはいきませんからね。
あ、この辺の説明が長くなったもんで、お昼御飯の記事は次回にまわしますね(笑)
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恒例ですが迷いました(笑)
恋焦がれて丸6年・・・くらい。
ま、あれやこれやいろんな評判は聞きますが(笑)
とりあえずやっと来ることが出来ました。
「レ クレアション ド ナリサワ」
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席に着くとよく雑誌でみてた「あれ」がお出迎え。
やはり重く、よく欠けるらしいです・・。
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夜は4月から料金が変更になり、21000円1本です。
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2008年4月のコレクションは「春爛漫」
「東風に誘われて、花々たちが咲き乱れ、
川のせせらぎに煌めく光が、新たな生命にたおやかな喝采を贈る」

バターはボルディエ。有塩、無塩、海藻の3種。
それとリグーリア産オリーブオイルも付いてます。
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パンはシニフィアンシニフィエさんの「4月のバゲット」。
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川に舞い振る桜
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がっつリストレート。内臓の苦旨さ満開。もっと変化球投げはる方かと思ってました。
この花は、有機で育てられた桜を一枚一枚洗って卵白潜らせて、
塩、砂糖をまぶした、食べられるお花です。
この作業で新人さんらのほとんどが辞めたらしいです(笑)

桜マス、桜のスモーク香
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同行者が、およそ料理に対するリアクションじゃないリアクションをとってました。
ただひたすら「きれい・・・」と。 こういう気持ち、忘れたらあかんよなぁ・・。

イチゴ 木の芽
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とても質の良いフォアグラと、でかいイチゴ、木の芽を一緒に食べます。

お花畑 小イカのパスタ
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パスタが出てくるんや・・。添えられてるパンは全粒粉。ちと強い。

オニカサゴ バリグール風
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とても良い肉質のオニカサゴ。火入れも絶妙。パンはハーブ入りが登場。

バスク豚 オニオンヌーヴォー
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今日はソムリエさんの「いい作り手なんです」とのお薦めに任せ、
アルザスのゲヴュルツトラミネール。バスク豚も白が良いとのことで本日はこれ1本。

メゾン モンスの完熟フロマージュ
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このチーズなんやったっけなぁ・・・。アルザスの・・・ま、いいや(笑)
添えてあるのはタンポポの葉です。同行者は苦くて食べれず。

よもぎ
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ミニャルディーズ
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ん~・・・ま、ナリサワさんに限らずですが、
なかなかデセールまで満足させてもらえるレストランって無いですよね・・・。
味覚構成や構築手段は、
「フランス料理」「フランス菓子」は同じ感覚で良いのですが、
やはり畑違いのジャンルに対する解釈、理解の浅さがホントに目につきます。
もちろんパンもそう。
「何々産のほにゃらら・・・」とかなんとか言ってる店が
「は?」ってパン出してるとこは山ほどあります。
それも自分の店からお客さんに提供するものとして
当然責任あるチョイスをしなきゃいけないはずです。
どんなに料理が美味しくても、パンの不味いレストランは、
「店はめちゃくちゃお金かけて素敵やのに、なにこのトイレ・・」みたいなもの。
所詮シェフの意識もそこまでしか届かんのか・・・と失望します。
あ、ナリサワさんはもちろんそれには当てはまりませんよ。

料理は置いといて、接客や飾ってるお花、
どこか不安定、どこかアンバランス・・・でも決して悪い意味ではなくて。
それが計算されてるものなのかは別として、
そこに「楽しむ余地」というか隙があるのが面白い(笑)
比較されるのはウザイかも知れませんが
カンテサンスさんは隙が無く、委ねて楽しませてもらってる感じ。
僕は両方それぞれ別の面白さがあると思います。
もちろんそれは他の要素は当たり前に満たした上での
圧倒的に高いレベルの話です。
店のキャラクターのせいか、いろいろ書かれたりしてますが、
お客さんの顔からはいっぱいの笑顔がこぼれ、
キラキラと光るワイングラスが、どのテーブルでも楽しい会話とともに弾んでました。
それは、誰がなんと言おうと「良いレストラン」なんじゃないでしょうか?
僕は単純に「また来たい」と思わせていただきました。
近くのテーブルで、某イタリアンの有名シェフにワインを飲まされながらも
1テーブルずつ丁寧にまわっておられるシェフの腰の低さと、
それに反比例する笑ってない目が印象的でした(笑)
いやいや、「イッテル人」ってのは、こうじゃなきゃ!ですよ。

帰りは夜風も気持ちよく、いい気分だったので、
なんとなく「歩いて帰ろ」モードに。
近くの交番に聞くと「20分くらいじゃないの?道も1本ですよ」とのこと。
地図を見ると・・・なるほど1本だ。
・・・・なのにどこで迷ったんだろ(笑)
実は行きも迷って、この大都会でお墓の横を歩いたりした。
かれこれ1時間以上は歩いたはず。
六本木1丁目から半蔵門って、そんなにあったっけ?
ま、でも花見しながらのほろ酔い東京散歩もたまにはいいもんですね。
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by monsieur-enfant | 2008-06-04 01:36 | レ クレアション ド ナリサワ