ブログトップ

なないろめがね

カテゴリ:プランデルブ 北鎌倉( 1 )

坂の上の邸宅にて。

あじさい寺、「明月院」を出て、駅へと帰る。
結局、歩いて全部回ることになってしまった。
ガラガラとスーツケースを引きずりながら、
北鎌倉駅に戻った途端、大雨が。
雨宿りしながらしばし待つと、普通の乗用車が目の前に停まり、
何やら書いてある紙を窓に立てかけ出した。
「レストラン プランデルブ 北鎌倉」
え?これ?てっきり北鎌倉風情にあったような、
明治の香り漂うノスタルジックな車かと思ってました。
「お迎えにあがりました」と出てきてくれたおばさんの・・・完全に通勤車やな(笑)

でも徒歩10分と書いてたくせに、
「こりゃ徒歩は無理やで・・・」と思わす坂道。ひたすら上り坂。
通勤車でも文句言えません(笑)
高級住宅街に差し掛かり、着きました!「プランデルブ 北鎌倉」
c0116714_27321.jpg

そうです。普通の家です。ま、普通じゃないくらい十分デカイですけど。
偶然散策してたら見つけた・・・なんてことはありえない場所と佇まい。
こんな邸宅でいただくフレンチも、たまには良いじゃないですか。
肩肘張らず、かしこまった箱の中でもなく、ね。
ま、ここんとこ疲れてましたからね・・・完全に「癒し」を求めてます(笑)
c0116714_28944.jpg

まず電話の応対から気持ち良かった。
キャンセル待ちは何度か他のレストランでもお願いしましたが、
空いた時以外に連絡頂いたのは、ここが初めてでした。
その会話の中で、「遅くでもよろしかったら・・・」となり、
縁あって誕生日に来させていただくことになりました。・・・一人ですけど。
昼は多分、かなり前からじゃないと予約とれないんじゃないかな?
代わりに夜は大丈夫そう。外、真っ暗ですしね(笑)

まだ席が空かないようなので、お庭を愛でながらソファーで待つことに。
c0116714_283968.jpg

鎌倉マダムが大人数で食べてる席がありました。
ノスタルジックな空間と相まって、
なんだか古き良き「フランス料理を囲むの図」を見てるようでした。
その間も、待ってる僕にちょくちょく声をかけてくださるサービズ陣。
キャンセル待ちで、しかも遅がけで入れてもらってるので、かなり恐縮です。
「空気やと思ってください!」と言ったものの、向こうも仕事です。
そりゃ、放っておくわけにはいきませんよね・・・。
c0116714_291671.jpg

席が空き、庭が見えるテーブルへと案内されました。
雨は完全に止んだものの、陽が射したり曇ったり。でも自然光が入る明るい店内です。
c0116714_293771.jpg


この日の前菜はホタテ。
c0116714_2231067.jpg

派手さはないですが、良い仕事してます。
ホタテの火入れもバッチリ。

スープ・・・は何だったっけ?
c0116714_2252637.jpg


流れ的に、オシャレ系のお皿になるかと思ったらとんでもない!!
良いほうに意表をつかれたこのボリューム。あ、羊です。
c0116714_2272132.jpg


デセール盛り合わせ
c0116714_22995.jpg


なんだか紅茶な気分でした。
c0116714_2294633.jpg


ずば抜けて旨かったり、メニューから心躍るような料理はなかったですが、
本来、日本でいう「フランス料理」は、
こうして楽しむものだったよな・・・と思わせてくれます。
そこには確かなフランス料理があり、
確かなおもてなしの心があり、
いささか緊張したお客さんが非日常の空間の中、
絵画のような料理にソッとナイフを入れ、
ぎこちない仕草で、フォークで口へと運びます。
ま、これは大袈裟な描写かもしれませんが、
以前は美食家(きどりも含めて)や、裕福な家庭や、特別な社交場だったはず。
今は、大衆化してきて、高嶺の花だったレストランにも若い人が溢れる時代になりました。
「敷居が高い」だの言われてきたフランス料理が大衆化され、
みんなに幅広く受け入れられてるのは喜ばしいことです。
でもね、考えてみてください。
昔、「敷居が高い」と言われていたころのフランス料理を味わうには、
「レストラン」しか無かったんです。
ビストロやらブラッセリーなんて無かったんです。
そりゃ「敷居が高い」ですよ。
いや、むしろ「敷居が高い」もんですからね「レストラン」というのは。
それを土足で踏み荒らすような客が増えることが「大衆化」だとは思わないんですよね。
老若男女問わず、マナーも知らん輩が本当に多い。
「行った」「行ってない」「食べた」「食べてない」だけのコレクター。
「行った」という既成事実だけを欲する方も少なくない。
お店を楽しんだり、そこで過ごす時間を大事にするお客さんが、ホントに少なく感じます。
フランスという異文化に触れてる時間だということなんて、
それこそ彼らにとってはどうでもよいことなのでしょう。
「どこに行った」「何を食べた」、そんな薄っぺらい経験値や、
他店との比較をしながらでしか味わえないお客さんたち。
生涯を捧げた料理人たちに向って、
平気で(名指しで)批判批評を書き連ねる今の世の中。
はたしてそれに値する情熱や時間や労力を料理に捧げた上での、
愛のあるお叱りかと言いますと・・・、
残念ながら、そこに「愛」は無いんですよね。
なぜなら明らかに店を良くするための発言ではないからです。
「行った」「行かない」のコレクター。主張するのは己のため。基準も自分。
こんなこと知ってる的な知識をひけらかす、実は店では一言もよう発せれない方々。
もしくは、嫌がらせのような振る舞いをしておきながら、それに気づかない哀れな方々。
もちろん一般の方々だけじゃないですよ。
のぼせあがった同業者にもよく見受けられる行動です。
うちもそうですけどね、そういう人らの点数、こっちで付けたろかなって思いますわ。
実名と所在まで明らかにされ、「お客さんとして何点」とか店から評価を付けられ、
もちろん匿名で済ませてる今のように、
何食わぬ顔で来店することなんてできなくなってしまいます。
でもね、それと同じことをね、店側はされてるんですよ。
毎日、毎日。そう今日も明日も明後日も。
それでも「愛」のないお客さんにも作らなきゃいけません。
そりゃそうですよね、仕事ですから。
僕らは、この仕事を愛してますから。誇りに思ってますから・・・。

うちは裕福な家庭では無かったので、外食も多くはない家でした。
でも母親が、「恥ずかしい思いをしないように」と、
家の食卓で「フォークとナイフで食べる日」を作ってくれたりしてました。
ですから仕事柄、よく外食をするようになった今でも、
僕にとっては「特別」な食事なんです。
そして、良い店を作ることと同じくらい、
自分が「良い客」でありたいとも思っています。
真剣に作ってくれた作り手には、真剣に向き合える客でありたいと思ってます。
そして、真剣に向き合ってくれるお客さんを裏切らない作り手でいたいと思います。


また話が逸れてしまいましたね。
北鎌倉といい、このレストランといい、誕生日の良い思い出となりました。
Bon anniversaire・・・ 自分(笑)
[PR]
by monsieur-enfant | 2009-06-01 02:51 | プランデルブ 北鎌倉