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なないろめがね

カテゴリ:北の国から( 3 )

偉大なるリレー

この日は朝からホテルの前で待ち合わせをして、
畑を見に連れてっていただきます。
東京から帰ってきたその足で札幌に来ていただき、
夕方までお付き合いいただき本当にありがとうございました。

札幌から高速に乗り、上川町へ。
途中、高速から見下ろす景色の中にも小麦畑が。
「あれはホクシン」「あれはキタノカオリ」
品種名を聞き、そこに実ってる穂を実際に眺めると、とても愛しく思う。
「あぁ、やっぱり自分はパン屋なんやなぁ・・・」って思う瞬間です。
おそらく、他の業種の方はピンとこないでしょうからね。

今年は日照時間が例年の半分、雨量は倍という、異常気象。
穂がなっても乾燥するほどの陽射しがないので刈り取れない畑が多数。
地盤もゆるくなるので、風で倒れてしまう小麦も多く、
例年の40%減くらいの収穫量になるかもしれません・・・・。
「あ、あそこはもう収穫終わってる!良かった~」
そう話す製粉業者さんの言葉を聞くと、農家さんとの密接な関係が伺え、
嬉しくなるやら、この状況で心配になるやら・・・・。
皆さんがよく耳にする大手業者さんは海外からの小麦をたくさん振り分けてもらえますが、
各地方の中規模の製粉会社さんは、そうはいきません。
地元の小麦農家さんと一緒に頑張って、特色も出していかないことには生き残れません。
道中の車内でもたくさんお話を伺えましたが、
例外なく、どの仕事も今は大変な状況なんですね。
小麦の輸入も自由化され、中規模の会社への小麦の分配も少なくなってくるでしょう。
価格競争になれば太刀打ち出来ません。
ある部分、国に守られてきた古い体質があるのも否めない業界ですが、
守らなければいけないもの、壊していかなければいけないもの、
今が過渡期であることは間違いない中で、なんとか頑張っていただきたいものです。
応援することしか出来ませんけどね・・・。

さ、そろそろ目的地も近くなってきました。
高速降りても全然信号はありません。
山道に入ると、ず~っと一本道。
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頂上に近づくと、少し土地が拓けます。
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その脇の道を少し入っていくと・・・・
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あ、これは鹿除けです。普通に熊も住んでるようなとこですからね。
電流が流れてるので、気をつけて中に入ります。
顔を上げると・・・・
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これはライ麦の畑です。
僕もライ麦畑は初めてです。
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完全な「イメージ」ですが、ライ麦って、
もっと辛気臭くてジメジメどんより育ってると思ってました(どんな農作物や・・・)。
わかりやすく言うと、うちのパン オ セーグルみたいになイメージです。
こんなに真っ直ぐ勇ましくおおらかに育ってるなんて・・・ちょっと意外でした。
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「あ~・・・・こんなイメージのライ麦のパン、作ってみたいなぁ・・・」
はい、作ります。告知は番組の最後に(笑)。

天気の良いときは、ここから残雪を冠した山並みが見渡せるそう。
確かに環境は素晴らしいですね。
近くには北海道では珍しい、食用の牛も放牧されてます。
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ここの農協がやってる牧場で、珍しい品種だそうです。忘れましたけど。
時期的に子牛がやたら多くて、ピョンピョン飛び回る姿はまるで犬みたいでした。
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ま、どんなに可愛くても食べられちゃうんですけどね(笑)

次に向かったのは美瑛地区。
道中、昼ごはんに寄った店がことごとく定休日という不運に見舞われながら、
結局お昼にはありつけないまま到着。
ここは有名な、「親子の木」
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一面の蕎麦畑の向こうに、寄り添う木の間に小さな子供の木。
蕎麦は北海道が収穫高日本一なんですよね。
こちらも蕎麦畑。白い小さなお花がチラチラ可愛らしいです。
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振り向けば小麦畑。これは「ホクシン」
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この辺りは、いろんな農作物が入り乱れ、それらが大地の描く模様を、
「パッチワークの丘」っていうんです。
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やたら、台湾からの観光客が多いです。

少し走ると、また違う品種の「キタノカオリ」
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隣はホクシン。並べたら全然違うでしょ?収穫時期も2週間ほどホクシンが早いんです。
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のどかな景色が広がります。癒されますね~。
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「あれ、なんですか?」って見上げた先には・・・
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ちょうど、刈り入れをしてる最中でした。
大型のコンバインはヨーロッパ製。収穫した小麦をトラックに移してるところです。
あ、動き出しました。
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ゆっくり刈り入れ場に移動。向きを変えて刈り入れ開始です。
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こんな遠くから、しばらくボーッと見とれてました。
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ゆるキャラ登場。
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こうして刈り取られた小麦は、ここ美瑛のJAさんに集められ、サイロに保存されます。
そこに製粉会社さんがトラックで取りに来て、各社で製粉されるんです。
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富良野経由で江別に移動します。
途中見かけたこの麦は・・・・
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大麦です。ほとんどがサッポロビールさんのビールに使われるそうです。
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江別に入ると、ここでしか採れない小麦が現れます。
「はるゆたか」
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なくなりそうになってたこの品種を、農家さんと一緒に守ってきたんです。
刈り入れは、大型のコンバインで順番に回って刈り取ります。
さっき美瑛で見たのもこれくらいの大きさ。道ですれ違うのも一苦労・・・ってか無理やん。
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石狩川の畔にある製粉会社に到着。
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工場はこうして縦に連なります。高低差を利用して製粉していきます。
まずは一階。
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一台一台はこんな感じ。
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何台も同じような機械がありますが、各台によって粉の粗さが違うんです。
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ここで挽かれた小麦がまた上に吸い上げられたり、
上で篩われて細かくなって違う台に落ちてきたり。
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ここは3階。ブレてるんじゃなくて大きな箱がグルングルン動いてるんです。
右の入り口と比べたら大きさがわかるでしょ?
この箱の中に篩いが入ってて、揺すって粉を篩ってるんですって。
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ここ2階では、先ほどの3階の粉を振り分けて1階の各台に流します。
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ザックリ説明しましたが、なんとなく製粉の流れ、わかりました?
ここから送られた粉が、岸部まで旅をしてきてくれるんですね。

農家と密接な関係を築く製粉会社さん。
でも僕らが接するのは問屋さんか製粉会社の営業の方。
その向こうの農家さんであったり畑にまで想いを馳せることって少ないと思います。
お米なら日本人の多くが畑から収穫までイメージできるでしょうけど、
日常の中で小麦畑を目にすることは日本では滅多にありません。
お米は粒で使いますけど、
製粉業者さんから問屋さんに渡り持ってきていただくときには粉になっていますしね。
僕はフランスで一面の小麦畑を目にして強烈な印象を持っていますが、
ライ麦畑は初めて見ました。小麦の種類によっても形状は全然違います。
小麦粉が農作物であるという原風景を想いながら作ること、
自分たちのところに届くまで、どういう工程を経てるのかを理解して作ること、
とても大事なことやと思います。
今回の画像で初めて見たお客さんも多いと思います。
麦が生ってる様、収穫してる様、美瑛のJAも見ましたよね?
そうなると・・・・、
せっかくですからそれらを思い描きながら噛み締めていただきたいと思うんです。
パンという形になったものを手に取り、味わっていただき、
食べるということで完結させていただきたいんです。
シュクレの夏休み前の15、16の2日間、美瑛産の小麦を使ったパンを作ります。
通常、僕は粉を単体で使うことはしませんが、今回は「背景」を大事にしたいんです。
通常のシュクレのパンに比べれば淡く弱いパンになると思いますが、
あえて美瑛産単体でシンプルに作らせていただきます。
美味しい不味いもいいですが、できれば今回見た景色を心に思い浮かべ、
パンが大地から生まれた「食糧」であることを感じながら食べていただければ幸いです。
支える大地があり、陽射しを降り注ぐ太陽があり、雨となり潤す水があり、
パンを焼くための火を燃やす空気があり、
それらの偉大な自然と同じく必要不可欠なのが、「ブーランジェ」なんです
自然は小麦は育てれてもパンは作れませんからね。
でも、僕らも含めて、どれが欠けてもパンにはならないんです。
僕らはこうした自然の偉大なリレーによって生まれた小麦をパンという食糧に変える、
最後のバトンを受け持つ位置にいる職人なんです。
大地、太陽、水、空気・・・、それらに負けない仕事をする責任があるんです。
そしてパンという食糧は、それらを表現する食べ物であるべきなんです。
たくさんの命をいただき育った小麦を、民衆の命を支えるものに変える仕事。
それがBoulangeであり、その昔、聖職であった誇るべき仕事なんです。

そういえば、「なんか書いて」と言われて、
プチメックさんの一番奥の壁にフランス語で上記のようなことを書かせていただいたのは、
まだシュクレクールをオープンする前やったんちゃうかな・・・?
間違ったら申し訳ないので、ちゃんと下書きして行ったのを思い出します。
消されてたりして(笑)

さ、なんだかんだで札幌まで電車で帰ることに。
意外と近いんですね。30分くらいかな?
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なかなかこういう一日は過ごせませんよね。
貴重な時間を過ごさせていただきました。
北海道も残すとこ、あと一日。
最終日は晴れたので、素晴らしい景色をお届けできると思います。
お楽しみに!
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by monsieur-enfant | 2009-08-07 02:46 | 北の国から

新千歳から札幌まで電車で移動。
やってきました札幌駅。
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駅から出ると、やっぱり涼しいもんですね。
でも湿度が高い。雨が降りそうな雲行きですから仕方無いですね。
思いのほか順調に来てしまったので、ホテルに荷物を預けてお昼御飯にします。
札幌の町並みは縦横ちゃんと整備されてて、
ところどころに観光スポットがあるので「時計台のほうはこっち」とか、
「こっちは札幌駅」とか、東西南北がわからない人にもわかりやすいと思います。
とりあえずホテルが時計台の近くだった記憶があったので、時計台を目指すことに。
ありました。・・・・相変わらず、なんてことない佇まい。ってか、周りの景色がね・・・。
「札幌に来た感」が全く伝わらないと思いますので、一応パシャリ。
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ホテルもなんとか探し当て、鎌倉で苦戦を強いられたスーツケースを無事預けれました。
さすがにホテルは予約済み。やる気になれば、それくらいは出来ますから(笑)

さてと、ちょっと早いけどお昼でも行きましょか・・・と、
交差点に立ってると、お馬さんと遭遇。
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結構、町中走って・・・いや、やる気なさそうに歩いてます。

ホテルにしても食事処にしても、場所の地図は持っておくべきですね。
今回、札幌の資料ゼロ。地図さえ持ってません。
ホテルと夜のレストラン、最終日のレンタカーの予約はしましたが、
それらがどこにあるのかも知りません(笑)
案の定、「時計台の近く」とだけインプットしてたホテル探しも難航し、
食べたいと思ってたお昼のお店探しも難航。
そのお店の場所も、「ホテルから、そう遠くはない」くらいの認識ですからね・・・。
聞きまくって、歩きまくって、やっぱりそう遠くはなかった場所の地下に発見。
「うに むらかみ」
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ここは「うに」で有名なお店。
スペシャルうに丼を目当てに来店です。
時間が早かったので、すんなりカウンターへ。
そこで目に入ったのが「一日限定10食 究極のウニ丼」
ネットで見たスペシャルウニ丼のヴィジュアルだけでも生唾もんやったのに、
「究極」・・・・って、どんなんやろ・・・・。
こういう時に仇となるのが「せっかくやし」という旅人特有のキーワード。
完全に通常の判断力や金銭感覚をマヒさせます。
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利尻産馬糞ウニを使った究極のウニ丼。
うん、美味しい・・・んやろうけど、如何せんウニの経験値も多くないもので・・・。
スペシャルウニ丼を食べた後で食べてたら比較にもなったんでしょうけど・・・・。
あと、残念なことに、僕らみたいな体育系の人間にとっては、
ドンブリは飲み物みたいなものでして(笑)
ガツガツかきこむのに5分もかからないんですよね。
3300円もするんですよ、この「究極のウニ丼」。
「せっかくやし」に押し切られて注文してしまいましたが、
そこそこのレストランで同額くらいのランチなら2時間くらい楽しめるのに、
かたや10分少々で漬物もおみそ汁も完食・・・・・。おそるべし「せっかくやし」(笑)。
しかも、店名にも「うに」って付いてるし、みんな挙って食べてるならまだ救われますが、
帰ろうと思ったころに隣に座ったサラリーマン風の男性、
座るや否や、「カツ定食」。
「え~~!!マジで!?みんなウニじゃないの!?」
みんなウニを食べてる中の限定10食の「究極の・・・」という優越感も薄れ、
なんとも言えない満たされない感でお店を後にしました。
「そう、これが美味しいウニの味。だって究極やもん」という、自分にかけ続けた呪文も、
この夜の一品でぶち壊されることになるとは、このとき、知る由もなかったのである・・・。
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by monsieur-enfant | 2009-08-03 05:25 | 北の国から

プロローグ

きっかけは、あるレストランからのパンのオファーでした。
昔、「どこかないですかね~」みたいな軽い話はあったんですが、
うちは持っていけないし、
なによりそのお店のスタイルを理解できるパン屋がないと思ったので、
今まで通り、自家製で出すことを勧めました。
僕も正直、そこの料理に合わすパンのイメージは浮かばなかったですし。

今回は、改めての正式なオファー。
運搬方法はさておき、まず話しをしたいと言ってシュクレまで来てくれました。
忙しい中、そのお気持ちだけでも有難いことです。
お店に行ったときにちょこっと話はしますが、こんな改まって・・・は、初めてでした。
内容の細かいことまでは相手ありきのことですから言えませんが、
今までのスタンスと、これからのスタンス。そして新たに描いているヴィジョン。
それらを熱心に語っていただけました。
その幾つかの話の中にあったのが、
「自然」というものへの回帰であったり憧れであったり。
かなり前衛的な料理を作るシェフなので、ちょっとびっくり。
そして「その気持ちの象徴としてのパン」が欲しいという、料理人特有の抽象的な注文。
基本、M系体質なので、こういう投げっぱなしな言い方、好きなんですけどね(笑)
ただ、「わかりました。任せてください」とは即答できなかったんです。
自分の中で、ちゃんと消化してから返事をしたかったというのもありますし、
「都会にいながらも自然を感じれるような・・・」というコンセプトを抱いてるシェフに対して、
「こんな感じでしょ?」では、あまりに温度差がありすぎます。
考えた結果、「僕も自然に会ってこよう」、それが僕の出した答えでした。
実際、何が変わるかはわかりません。
時間やお金や労力を消費するだけで、何も変わらない可能性もあります。
でも、先に頭で考えたどうこう言ってる暇があったら、
まず行動に起こしてみるのが僕の信条。「いきあたりばったり」ってやつです(笑)
やれるだけのことをやってみて及ばなければ仕方ないですし、
今できる、やれるだけのことをやって挑むのが、相手に対する礼儀でもあると思います。
なにより、こういう「きっかけ」に伴ってアクションを起こしておかないと、
自分で自分に用意できる「きっかけ」って、あまりなくなってきちゃいますもんね。
刺激や養分をちゃんと与えておかないと、心が干からびちゃいますし。

北海道に決めたのは、江別にある製粉会社さんに以前から、
「是非、畑を見に来てください」って言われてたから。
思い立ったが吉日。
「本当に行きますよ」と電話。
現地での案内を引き受けていただき、いざ北海道へ。
当日は毎度の如く、朝起きてから出発時刻を確認。
8時に店を出れば楽勝と思ってたのに、飛行機の出発時刻が8時半。
急いで支度して、急いで大まかな支持だけして、何とか7時半に店を出発。
関空やったらアウトでしたね。伊丹で良かった・・・・。
空港には意外と余裕を持って到着。無事に北海道へと旅立てました。
さ、次はいよいよ札幌編、突入です。
頑張って書きますね~。

P.S
今回の目的は、「体感」すること。
いきなり札幌から「小麦畑、見てきます」と書いたもんやから、
「畑、買うんですか?」みたいな憶測が飛び交ってますが、あり得ませんから(笑)
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by monsieur-enfant | 2009-08-02 19:32 | 北の国から