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なないろめがね

カテゴリ:祇園 大渡( 1 )

受け継ぎし者として。

えっと、
記憶を辿り辿り、
やっと前回から3月に入りました。
現実はもう6月だというのに、なかなか追いつきませんね・・・。
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さてさて、遅ればせながらやっと皆さんに紹介できる機会が巡ってきました。
あの頃は・・・思い起こせば「季節先取り!」とばかりに春ものを着て行って、
マジで凍えながら歩いてたっけなぁ(笑)
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行きたい行きたいと思っていながらなかなか行けなかった場所に、
東京からの客人と、いつものうちのスタッフIを連れて行ってきました。

柄にもなく早く待ち合わせ場所に着いたので、八坂さんの境内をブラブラ。
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なんか良いですよね。
子供の頃から賑やかなとこや人の集まるとこが嫌いな冷めた子で、
あまり祭りにも行かなかったんですが、「風景」として良いですよね。
で、やはり表からより裏から見るほうが好きなんですよね、世の中もですけど(笑)
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静かな境内から、忙しない人間界を半笑いで眺めるの図。
日頃、時間に翻弄されてる自分のささやかなる反抗です。

時間になり合流し、八坂さんを後にして、お店に向かいます。
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ちょっと横道に入りますが、距離的には10分も歩かないかな?

「祇園 大渡」
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惜しまれつつも、その幕を降ろした名店「津むら」にて修行のキャリアを終え独立。
店主津村氏の圧倒的存在感の傍らで、
強大なプレッシャーを受けながらも懸命に働いてる姿に、
「僕やったら神経もたへんわ・・・」と感心してたのを思い出します。
カウンターで対峙させてもらってるだけで卒倒しそうでしたもん(笑)
その後、いろいろ考えたそうですが奥さんの故郷である京都での開店を決めたそうです。

古民家をリノベーションした店内は、「京」を感じる何とも風情のある温かい空間。
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玄関で靴を脱ぎ歩く、久々の木の床の感触。
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「岩永さんは気をつけてくださいね」
入った時に言われてましたが、周りの予想通りに頭ぶつけました(笑)
部屋と部屋の継ぎ目は要注意です。


ぐるりと回って開けたところが、
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カウンター8席のみの、素敵な空間。
おくどさんが2つ。2組のお客さんのご飯を2つのおくどさんで炊き上げます。
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「どっかで見たこと・・・」と思ってたら、
あの「草食 なかひがし」さんを手がけたとこと同じ業者さんみたいですね。

さ、早速お猪口を選んで、
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お酒を選んで、
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ちびちびと始めましょうか!
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赤貝、白アスパラガス、菜の花、黄身酢
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春づくし。黄身酢が全てに合いますね。
その黄身酢の下に横たわる赤貝。通常の3倍くらいの大きさのが入ったとか。
ラッキーでした(笑)

一寸豆のお浸し
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あ~~優しい。しみじみ優しい。
そこにピリッと針しょうが。良い塩梅です。
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このお酒が旨かった!品評会用で、あまり出回らないとのこと。
この後はこれで通すことに。
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香ばしく焼ける良い匂いが、おくどさんの横の焼き場から漂ってきます。
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炭火で焼かれた鮎です。いやぁ、酒が進みますね。

う・・・これ、なんだったっけ。
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鯛のお造り
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椀物は、あいなめです
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焼き物は、のどぐろ
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これ、すごかったですね。
春先に散々金沢でのどぐろ食べましたが、
この日ののどぐろが一番美味しかったです。
添えられたカラスミも絶品です。

熱々での提供
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鴨だったかな?黄にらとの玉締め。
下の土台はお塩です。

若竹煮
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結構早くから香ってきてたんですよね~、お米の炊かれる良い匂いが。
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お供も美味しいです。
お漬物と、ちりめん山椒
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お茶漬けとお出汁、両方で楽しめます。
どっちにしようかなぁ・・・と迷ったときには両方で(笑)
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ふ~、満足です。

わらびもち
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やっぱり甘いもの、嬉しいですね。
でも「なんちゃって」ではない本気わらびもち。
こんなわらびもち、和菓子屋さんでもなかなか食べれませんよ。

最後にお抹茶をたててくれます。
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エスプレッソ、的なね。
締めにぴったりです。

いやぁ、良かったですよ、ホント。
後日報告したお師匠は「詰めが甘い」って仰ってましたが(笑)、
空間も素敵ですし、何よりご主人が生き生きとしてはります。
それは元気な電話の応対からも感じるように、
ホントに「精一杯の、お持て成しをしたい」一心で頑張ってるのを感じます。
彼とは同い年なんですよね。
師匠である津村氏の傍らで頑張ってた姿を見ていたので、
ずっと応援してましたし、早くお会いしたいと思ってる間に、
あれよあれよと雑誌や何かでお見かけするようになり、
やっとのことでの訪問となりました。
元気で笑顔いっぱいの新しい主を迎えた古民家も、
さぞかし喜んでいることと思います。

「津むら」出身という経歴は、ある時は身を助けてくれるでしょうし、
ある時は大きなプレッシャーとなると思います。
僕も最初は恩師エリック・カイザーの名に縛られていた時期もありました。
示さなきゃいけない形や姿、再現するだけで必死でしたし、
ままならない本国と日本とのあらゆる差に、
苛立ちや歯がゆさを爆発させながらの毎日でした。
でも、ある時気づいたのが、僕は「再現者」ではなく「表現者」であるということ。
僕が見て触れて暮らして感じてきたフランスという国。
そこにおけるpainという存在、そしてboulangerieという存在。
それらを表現するのに「フランス人でなければならない」という答えにはなりませんでした。
「僕でも闘える」、そう思って帰国したのを思い出しました。

結局のところ良い職人が良いものを作るんです。
そこに人種だとか、場所だとか、挑む前に言ってても単なる言い訳に過ぎません。
突き詰めたところの向こう側では、それらは何の指標にもならないんです。
必要なのは、全てを背負った上での「自分」という看板。
それを掲げれずして恩師への敬意だのなんだのなんて、
所詮依存してることを誤魔化した、甘えでしかありませんからね。

経歴は歩んできた過去の足跡で在り道程でもあります。
でも、歩んできた道が先にも勝手に繋がってるわけではありません。
前に進むのは自分自身。振り返っていても歩みは進みません。
羨み、妬み、僻んでも、他人の歩く道は眺めるしか出来ないわけです。
迷い、怯え、慄いても、誰かに代わりに歩いてもらうわけにはいかないんです。
そもそも道なんて、歩いた跡に生まれていくもの。
「万全」なんて人生にはないのですから、待っていても始まりません。
歩きながら雑草を抜き、小石を拾い、水溜りを飛び越え、
時には進めなくなって立ち止まったり、脇に腰を降ろして休んでみたり、
自分の描く未来に辿り着く為には、自分で切り拓いていくしか道はないんです。
そしてそこで迷わないために握りしめたコンパスが、
自分が師事したお店や出会った方々の教えだったりするんじゃないでしょうか。

お互い、強固なコンパスを握りしめ、
しっかり行き先を見据え、迷うことなく歩いていけたら良いですね。
同い年、共に頑張りましょう!!
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by monsieur-enfant | 2010-06-08 00:30 | 祇園 大渡