ブログトップ

なないろめがね

7月31日、日曜日。
昨年から始まった、日野町の農業家、廣瀬さんとの「小麦ワークショップ」。
過去4度、日野町で行われたワークショップも、
遂に舞台を岸部に移して、フィナーレの時を迎えました。

思い返せば一通のメールから始まった廣瀬さんとのお付き合い。
実際に日野町に足を運び、畑を前に語り合ってから1年が経ちました。
その廣瀬さんを招いて、いただいたディンケルを使ってパンを作り、
皆さんに食べていただいたのは、8月8日のことでした。
その日、お客さんに提供しながら思ったことは、
以前、美瑛に行った後に思ったことと同じことでした。
「見てもらったもの、そのものをパンにして食べてもらいたい」
何とか背景を知ってもらいたいと訪れたり紹介してはみたものの、
結局、見てもらったものとは別のものを提供してるわけです。
勿論、普段見たり知ることのない生産者や現場を思い浮かべながらの仕事は、
いつもの仕事とはまた違う想いで生地に接する機会にはなりましたが、
何か、ストーリーが途切れてしまってるような気がしてたんです。
無理な話かも知れませんが、見て触れて感じて、それをお客さんにも見てもらって、
そのものを粉にし、パンにし、「これがあのときの・・・」というストーリーを、
途切れさせることなくお客さんへと直結させてみたかったんです。
その想いを叶えてくださったのが、廣瀬さんでした。
c0116714_15453819.jpg

今回の粉には、ディンケルの他に、
一緒の畑に蒔き収穫した、ライ麦と農林61号も混ざってます。
その割合はわかりません。なので、全く同じ粉はもうできません。
そんな「最初で最後の仕込み」でした。

粉は「粉」というより「おがくず」のように粗くフカフカとした粉でした。
その粉が水を吸い、次に見せた表情は、ボソボソとしたこんな表情。
c0116714_155498.jpg

ミキシング中なので見にくいですが、何となく伝わったでしょうか?
その後、粉は「もっとちょうだい」と水を求めてき、
生地はどんどんムチムチしてきました。
c0116714_15564878.jpg

そこに、残念ながらパン用の粉には上手く育たなかったディンケルを、
発芽させ栄養価を高めた発芽ディンケル小麦の玄麦を加えました。
練りこむ前に塩茹でして、冷水で一気に冷やしてから水気を切ってます。
c0116714_1614819.jpg

量の少ない粉から、出来るだけ多くの方に主旨を崩すことなく渡すことはできないか、
そう考えて、発芽ディンケルを玄麦のまま練りこむことにしました。
粒のまま練りこむことで、麦そのものを噛むという行為もしてもらえますしね。

そして、練りあがった生地がこちら。
c0116714_1665049.jpg

そして1個100gに分割し、丸めていきます。
大体、100個ちょっとは取れたかな?
c0116714_1685548.jpg

それを成形していくんですが、
ここからは、仕込みの最初から厨房に呼んで一緒に見届けてもらった、
モンテベロのスタッフも参加します。
c0116714_16114824.jpg

勿論ですが、普段パンなど作ることのないモンテベロのみんな。
だからこそ自分たちの手で成形し、自分たちの手で焼き、そしてそれを食べ、
種蒔きからの時間を完結して欲しかったんです。
c0116714_16141181.jpg

わからなくならないように、名札を作って目印に。

そして当日、廣瀬さんが到着する時間に合わせ、窯に入れます。
c0116714_1619244.jpg

種を蒔き、芽吹いた麦を踏み、金色に真っ直ぐ育った小麦を刈り、
麦から穂を外し、脱穀し、石臼を使って製粉してもらい、
そして、その過程をブログで皆さんに報告し、
推移を見てもらってた「そのもの」をパンにし、お客さんに届ける。
僕にとっては願いが叶う夢のような日であり、
1年かけたプロモーションの完結の日でもありました。、
ま、大袈裟に言ってますが、
何の完結の日でもなかったことは終わってから実感しました。
結局、「こうしたんだからこう思って欲しい」と思うのは僕のエゴであって、
体感したみんなが同じように思うことなんてあり得ません。
思ってくれる人は些細なことからでも感じてくれるし、
思えない人は何をどうしたって感じれない。
だから、「完結」なんてとんでもない、そう思ったんです。
今回の試みは、その最終日に当たる今日の日は、
そして、その全ての総決算であり象徴でもあるこのパンは、
c0116714_1631621.jpg

まだ何の完結にもならず、
むしろ、今やっと種を蒔けたに過ぎないのかも知れません。
その種は、みんな同じように発芽するわけもなく、
それぞれがそれぞれ、違った心の土壌に蒔かれ、
芽吹き育てるのか、はたまた枯らしてしまうのか、
それは受け取った各自の手に委ねられているわけです。
なので今日の日の手応えがどうとか、
1年のプロモーションに値する結果だったかどうだとか、
そういうことではなく、
「きっかけ」という一つの機会を作れたかも知れないということに、
今までの意義を見出さなくてはならないんだと身に沁みました。
長かった「小麦ワークショップ」を経て何か感じてくださった方がおられましたら、
是非ともただ単に感じるだけで終わらさずに、
感じたことを小さくても良いので何か変化やアクションとして示していただいきたい。
そうすれば、またそこから少しずつでも新たな種は蒔かれるはず。
生産者からのバトンは、消費者に渡れば終わりではありません。
もっともっと伝えていかなきゃいけない裾野は広いんです。
ほんの少しのご協力を、どうか宜しくお願いします。

最後になりますが、
農業家の廣瀬さんや、塩焚き小屋の今井さん、
彼らのように活動そのものが強いメッセージとなる人もおられれば、
僕ら小さな町の小売販売の店だって、
今回の試みのように物を売ること以外にも担える役割があることを知りました。
それもこれも、1年も試みにお付き合いいただき、
この日、お客さんに提供できるまで導いてくださった廣瀬さんのおかげです。
していただいた数々の御厚意に見合うだけの何かをお返しできたと思えないことが、
唯一本当に悔しいところではありますが、
本当に、言葉では言い尽くせない感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました!
[PR]
by monsieur-enfant | 2011-08-02 18:45 | 滋賀県 日野町 廣瀬さん

一通のメールから始まった、農業家の廣瀬さんとのお付き合い。
そこから生まれた数回に及ぶ「小麦ワークショップ」。
スタッフに体験させることも目的の一つでしたが、
うちのスタッフだけじゃなく、パンやお菓子など、
小麦に携わる仕事をしてる職人のほとんどが生産過程を知らない、
生産者を想えない、既に粉として流通する小麦を「農作物」だと実感できない、
そんな現状に対して、僕らがこうして発信することによって、
少しでも何か感じてもらえれば・・・というのが、廣瀬さんに体験をお願いした理由でした。
そして快諾してくださり、常にご厚意に甘えさせていただいた廣瀬さんのおかげで、
この日の脱穀・製粉に、無事辿り着くことができました。
そして、もう一つ、消費者である末端の「お客さん」と、
全ての始まりである「生産者」とを、僕らが間に入ることによって、
少しでも繋げることができたらな・・・との想いもありました。
この拙いブログを読んでくださってる皆さんは、
どのような想いで読んでくださってるのでしょうか?
何か感じていただけてるのでしょうか?
僕如きの文章では、廣瀬さんの想いや、
農業の現状まで的確に書き綴ることはできません。
読んでくださってる皆さんが各々で想いを馳せ、
足りない部分を補っていただければ幸いです。

そんな「小麦ワークショップ」も、日野町に出向くのは最後になります。
僕一人で行く予定でしたが、「行きたい」というスタッフもいたので、
いつものバスではなく、車2台に分かれての日野町入りでした。

前回、収穫した小麦を、水分量を一定にするために休ませてたハウスに向かいます。
c0116714_2453758.jpg

良い具合に乾いているようで、ビニールシートに小麦を移し、
早速、脱穀作業に入ります。
c0116714_2455419.jpg

いや、普通はね、こんなので地道に叩いて取ったりしないんですよ(笑)
廣瀬さんは常にこんな感じで、
僕らのことをよく考えてくれ、畑の大きさ、収穫の量、参加人数、それらに合わせて、
一番僕らが「やった感」を感じれるような作業をチョイスしてくれたような気がします。
だって、廣瀬さんの愛車で脱穀したら一瞬でしょ?
c0116714_246533.jpg

叩いて穂を外す傍ら、踏んでニジニジして外す「踏み絵」みたいな作業もあり、
徐々に脱穀作業は進んでいきます。
c0116714_2462449.jpg

外れなかった穂を手作業で外し、外した穂を全て大事にバケツに纏めます。
c0116714_247125.jpg

そこから広瀬さんのご実家に移動し、倉庫を開け、本格的な作業に入ります。
c0116714_247171.jpg

セッティングも完了し、いよいよ周りの殻を外します。
c0116714_247363.jpg

以前はローラーで挟み込む機械を使っていたようですが、
それだと外皮の薄いディンケルは割れてしまうことが多く、
せっかく収穫できてもロスが多くなり、悩みのタネだったそうです。
この機械では、小麦を入れた部分の真下に回転するローラーがあり、
そこに打ち付けられて殻が外れる仕組みだそう。
この機械により劇的にロスは減り、作業効率も相当上がったようです。
c0116714_2474952.jpg

まだ殻の外れてない穂は左側に篩われて、
また最初のローラーに打ち付けられる工程に戻ります。
c0116714_2481071.jpg

左が外された小麦、右はまだ外れてない小麦。
c0116714_2482220.jpg

そこから後ろの機械に移ります。
c0116714_2483755.jpg

ここでは石などを除去し、次の機械に移ります。
c0116714_2485273.jpg

そして最後の機械に吸い上げられ、
回転する遠心力で大きさを振り分けられます。
c0116714_2491194.jpg

小麦は次に製粉作業があるのであまり関係ないようですが、
米になると、粒の大きさは大事なんだそう。
飛ばされた小さな粒は別に集め、大きな粒だけ前から出てきます。
c0116714_2495432.jpg

石や茎にまみれてた麦の穂が、
きれいになって次から次へと出てきます。
c0116714_2501977.jpg

最後に各機械ではじかれた小麦を集め、
手作業で振り分けていきます。
c0116714_2503577.jpg

何度か開けて見せていただいた倉庫でしたが、
今日、初めて機械が稼動するとこに立ち会えました。
それもこれも、ちゃんと小麦が育ってくれ収穫できたから。
製粉会社の大きな機械だとピンとこなかったことも、
とてもシンプルに、とてもわかりやすく見れた気がします。
閉められた倉庫に、今日の日も、そしてワークショップも、
終わるのが近づいた一抹の寂しさを感じます・・・。
c0116714_250515.jpg

脱穀した小麦を大事に抱え、製粉のために移動します。
「大地堂」
c0116714_251672.jpg

何度かみんなで来たワークショップの合間に何度か寄る予定はあったんですが、
陶芸には熱中するわ、BBQの飲み食いは長引くわで、結局行けず仕舞い。
僕以外は初めての来店でしたので、ゆっくりお店も見させていただきました。
c0116714_2512821.jpg

その後、厨房横の一室にある小さな製粉機を使っての製粉作業に入ります。
c0116714_2514039.jpg

上に脱穀した小麦を流し入れ、製粉スタート。
c0116714_2515427.jpg

「ふわっ」とした香りと共に、石臼で挽かれた小麦が出てきます。
c0116714_2523836.jpg

何とも言えない瞬間ですね・・・。
挽かれる摩擦熱もあって、
挽き立ては香りも立つし、挽かれた小麦も温かいんですよ。
その香りを嗅ぎ、温もりに触れ、さらさらと少量ずつ流れてくる様を見てると、
本当に自然からのご褒美であり貴重なものだと実感。
ま、ほとんど廣瀬さんがやってくれたんですけどね(笑)
c0116714_2525382.jpg

ゆっくりゆっくり積もっていく小麦を後に、ちょっと休憩。
c0116714_16433422.jpg

振り返れば昨年、初めて日野町を訪れた暑い暑い夏の日。
c0116714_9213727.jpg

初めて「廣瀬さん」という人柄に触れ、
それと同時に「パン用のディンケル小麦の収穫はゼロ」という、
農業の厳しさにも触れた1日でした。
c0116714_9203636.jpg

「小麦ワークショップ」スタート。
スタッフみんなでバスに乗り、初めて畑に降り立った寒空の下の種蒔き。
c0116714_13111743.jpg

まだ多くのスタッフが、これからどうなるかもわからずにいたと思います。
c0116714_131439100.jpg

年が明け、麦踏に訪れた時に見た、無事発芽してくれた小麦の芽。
c0116714_3341022.jpg

廣瀬さん任せで「育てた実感」はありませんでしたが、
あの小さな芽がこんなに「育ってくれた」喜び、いや、喜びというより「感謝」ですね、
廣瀬さんは勿論、日野町の大地や太陽、雨にも風にも感謝でした。
c0116714_11434397.jpg

梅雨空の合間を縫っての収穫。
c0116714_11435713.jpg

自然の恵みを刈り取らせていただく実感。
c0116714_1145327.jpg

それらを纏めて荷台に乗せた、小麦。
ただ、これだけでは微々たる量の小麦にしかならないことも知りました。
c0116714_11473554.jpg

収穫を祝ってと、ワークショップの終了を惜しんでのBBQ。
c0116714_30148.jpg

日野町の自然に触れ、小麦の成長に触れ、
廣瀬さんご夫妻のお人柄に触れ、
知らなかったこと、不確かだったことを知り、
幾つかの新たな体験をし、岸部では感じれないことを感じ、
自分たちが普段何気に使っている材料の向こう側にある背景を、
思い出と共に刻んでくれたなら、
このワークショップの意義はあったんじゃないでしょうか。
作業による知識や経験だけを増やしてもらいたかったわけではなく、
この経験を通じて、自分の「人」の部分を育てて欲しかった。
厨房では伝えられない何かを感じて欲しかったし、
教えられない何かを学んで欲しかった。
ただ、連れてったスタッフにも、読んでくださってる皆さんにも、
「こう思って下さい」なんて答えはないんです。
いつも言ってますが、このブログで同意や共感を求めてるわけではなく、
何か考えるきっかけになってくれたらと願います。
ただ、蒔かれた種が全て発芽するわけではありません。
常にその想いを持ち続けるということは難しいこと。
ですが、それをしなければせっかく芽生えた感情だって刈れ果ててしまいます。
僕らは「農業家」というプロの助けを受けて、無事収穫の日の目を見、
そしてここに一袋の粉袋という形を得ることができました。
c0116714_395917.jpg

挽き立ての、まだほのかに温かい粉袋。
思いのほか量が採れて、5㌔くらいになったかな?
でも、それ以上の重さです。
製粉会社で製造工程を学んだり、
フランスで小麦畑を眺めたり、一袋50㌔の小麦粉を担いだりしてきた僕ですが、
こんなに重さを感じた5㌔は無かったですね。
それはそれだけ貴重な経験をさせてもらえた証のような気がします。
お金で買えない時間、その一分一秒がこの重さに繋がってるんだと思います。
この粉をミキサーに入れる時、
それはまさに砂時計の砂のように、
僕たちの時間そのものを流し込む作業になるんやろうなぁ・・・と、
今からドキドキワクワクしています。

さて、こうして無事、小麦粉にまでなったわけですが、
その脱穀からの過程を皆さんにも実際触れて欲しいとの思いから、
本日からシュクレ店内において、展示することになりました。
c0116714_1811289.jpg

殻が付いた状態、殻の外れた状態、そして製粉された状態の3種類です。
c0116714_18124418.jpg

このブログで、この記事に興味を持ってくださった方がおられましたら、
パソコンで眺めてるだけでなく、是非触れに来てください。
そして既に画像内で先に写ってしまってたように(笑)、
今月31日の日曜日、廣瀬さんがシュクレに来て下さることになりました。
・・・ということは!!、と、ピンと来た方もおられると思いますが、
そうです、その日、31日(日)の10時から、
この小麦で作った小さなパンを全量、お客さんにお配りしたいと思います。
散々迷惑をかけた廣瀬さんが、お金を取らずに譲ってくださった大切な粉です。
僕らは僕らに出来ることを精一杯させていただき、
今度はその想いをお客さんに繋げたいと思っています。
詳しいことは決まり次第・・・と言ってももうほぼ今書いた通りですが(笑)、
正式発表は明日にでもシュクレHPのニュース欄にて告知いたします。
関心のある方、廣瀬さんと一言お話したい方、想いのバトンを受け取って下さる方、
ド真夏の7月31日ですが、良かったら頑張って岸部まで足を運んでみてください。

その日が場所をシュクレに移しての、
最後のワークショップの日となります。
どうか多くの方々のご参加をお待ちしています。
[PR]
by monsieur-enfant | 2011-07-21 20:46 | 滋賀県 日野町 廣瀬さん

間違いなく雨やと思ってた、とある月曜日。
朝起きてみたら、窓からまさかの陽射しが・・・。
昨年11月からスタートした、農業家廣瀬さんとの小麦ワークショップの最後の日。
なんとか小麦を刈り取るまで天気が持ってくれれば・・・と祈りながら店に向かいます。

ホントは来週だった収穫を一週早めたおかげで、
準備やら仕込みやらにゆっくり時間を割けなかった中で、
バタバタしながらも自分らの時間を犠牲にし、それぞれスタッフが動いてくれ、
とりあえず予定時間から大きく遅れることもなくバスに乗り込みます。
c0116714_133539.jpg

最初見た時は、単純に遠足みたいでテンション上がったこの表札。
c0116714_1355595.jpg

すでにこの辺から「今日で最後」って寂しさも込み上げてきたり。

今日はモンテベロ橋本が初参戦となり、スタッフほぼフルメンバーで迎える最終回。
みんなで行くのは3度目となる日野町への2時間弱の小旅行へ出発です!
c0116714_1432961.jpg

出発早々に出てきたのが、これ。
c0116714_1445373.jpg

恒例のランチボックスは、今日は打ち上げのBBQがあるため中止。
車内ではモンテベロ高橋(カニ被ってた子ね)による、このデセールのみとなりました。
詳しくは忘れましたが、すももの「大石早生」を軸に、
白ワインのムースやフェンネルの泡を合わせた力作。
あ、上のブルーの蓋は、僕用の目印の飴で出来た蓋です。
ベトベトして置き場に困った蓋に気を取られ過ぎて、
肝心の中の写真を撮り忘れてしまいました(笑)
でも一週間繰り上がり、時間に追われ、
暗闇のお化けにビビリながらも夜中まで試作を繰り返した努力は、
ある程度報われたんじゃないのかな?
足りない部分はあれど、
それさえ補えば商品にしても良いくらいの纏まりと完成度でした。
第2回時の「スコーン」の大惨敗は、これでチャラと言うことで(笑)

そんなこんなしてる間に、
日野町に無事に到着する頃には陽も射してる感じ。
その陽に照らされた、
僕が先週悪質な包囲網に屈した京都南ICを難なく通過したバスの雄姿をどうぞ(笑)
c0116714_25436.jpg

さ、雨との競争の感もありましたので、すかさず長靴に履き替えて畑に向かいます。
c0116714_281361.jpg

ちびちゃんも頑張って歩きます。
c0116714_29117.jpg

みんな、何度も来てるかのようにスタスタ向かいます。
c0116714_2104181.jpg

この川の上に架かる橋を渡って畑に向かうのも今日で最後・・・とか、
みんなはセンチな気分にはならないのかな・・・。

物思いに耽りながら歩いてると、
畑に着いたらすでに廣瀬さんの説明は始まってました。
c0116714_2132670.jpg

先週刈った部分の空いた、僕らのワークショップ用に使わせてもらった畑。
c0116714_2214677.jpg

小雨降る寒い中、長靴を忘れて靴もズタボロになり、
バスの中も相当汚してしまった一回目。
麦踏は全体の1割くらいで、9割は陶芸体験を楽しむだけだった二回目。
そんなこんなを経て、本日無事に収穫を迎えれるんだ・・・とか、
みんなはセンチな気分にはならないのかな・・・。
c0116714_2235760.jpg

ホントによく育ってくれました。
あ、丸まってるのは鳥の巣です。
この背丈が歳月そのものなんですもんね・・・って、
いちいちセンチになってるのは僕だけだってこの辺で気づきましたね(笑)

さ、それぞれの名前を書いた目印のスコップを目安に、
自分が蒔いたディンケルやライ麦を刈っていきます。
c0116714_227288.jpg

c0116714_2275025.jpg

さすがにプロは早いっす。
c0116714_2282712.jpg

橋本も真剣な眼差し。
c0116714_2323421.jpg

ちびちゃんは鎌に触りたいらしく必死のアピール。
c0116714_2332377.jpg

刈り取ったところから、廣瀬さんが機械で土を掘り起こします。
c0116714_2342533.jpg

小麦は土の中の養分を吸い取りすぎてしますので土が痩せてしまうんです。
そこで収穫後に大豆を蒔くと、
大豆が空気中の養分まで土の中に取り込んでくれるんですって。
指で穴を掘り、そこに2粒ずつ大豆を入れていきます。
c0116714_239818.jpg

これは枝豆の段階で収穫「してビールのあてにします。

さ、刈った小麦を軽トラに乗せて、そろそろ畑仕事は終了ですね。
c0116714_2404033.jpg

7ヶ月もの間お世話になった畑に、みんなでありがとう言ってお別れです。
c0116714_10434818.jpg

荷台がいっぱいになったので、帰りは押して帰ります。
c0116714_2434466.jpg

先週、僕が刈った小麦を置いてるハウスに行きます・・・が、
足を踏み入れるのを躊躇うくらいのハウス内の暑さ。
c0116714_2454073.jpg

一まとめにした小麦はここでしばし休憩。
少し乾かし水分値を一定にしてから脱穀、製粉です。
c0116714_247030.jpg


長靴を履き替え、先週見に行った畑にディンケルを見に行く。
途中、廣瀬さんの実家の前では、収穫祭の準備が着々と。
c0116714_2501862.jpg

実はこの日、大物助っ人もすでに廣瀬邸にて既に仕込みを始めていたのです。
c0116714_2521189.jpg

その助っ人がわざわざ来てくれて理由の一つが、このビールサーバー。
c0116714_2515133.jpg

実際、「ビールあるから来ぇへん?」としか聞いておらず、
この日来てから詳細を通達されたそう・・・、お気の毒です(笑)

湿気のせいか、なかなか炭に火がつかないので、
扇風機で空気を送りまくるの図。
c0116714_2544242.jpg

さ、パンもスタンバイ。奥はスタッフ山崎作。
手前はバゲットの粉変更バージョンの試作を兼ねてます。
c0116714_256630.jpg

野菜スティックも仕込んできてたんですね。
c0116714_2571146.jpg

2種類のソースは両方美味しかったですよ。

これはヤマモモ。廣瀬さんからです。
c0116714_2582880.jpg

炭に火が点いたので、玉ねぎを放り込み、いよいよ収穫祭の始まりです!
c0116714_30148.jpg

さぁさぁ、ビールサーバーから注がれる冷たいビールに合わせるのは・・・
c0116714_305543.jpg

廣瀬さんが仕留めた猪です!
c0116714_313554.jpg

いやぁ、最高です!

奥の山崎作のパンが知らない間に説明されてました(笑)
c0116714_324946.jpg

シャバタが切って配られます。
c0116714_332578.jpg

そうこうしてると、次は鹿です!!
c0116714_34427.jpg

これも旨い!!外で食べるロケーションも相まって、ホント旨いです!!
あ・・・また何かうちのスタッフが知らないうちに喋ってる・・・
c0116714_355110.jpg

山口は2種類のソーシスを自作。
ほんと、いつの間に仕込んだのやら・・・。
c0116714_37033.jpg

c0116714_372012.jpg

うん、巻き巻きのほうはちょっとアレでしたけど、
もう一つのほうは普通に美味しかったですよ。
あ、クスダさんの袋はあくまで袋だけで、買ってきたりはしてないそうです。

途中で廣瀬さんのお父さんから、畑から捥ぎたてのキュウリとナスを差し入れが。
c0116714_31027100.jpg

c0116714_3124896.jpg

金山寺味噌まで用意してもらって食べる捥ぎたて野菜は、
これもまた最高でした!

まだまだ続きます。
もうすぐ無職になろうかという大物助っ人からはサーモンの差し入れ。
c0116714_3141252.jpg

これだけ食べててもすぐに群がるスタッフたち・・・。
c0116714_3145724.jpg

更に更に、
c0116714_315291.jpg

元某ホテルシェフ、本日の助っ人野村シェフ渾身の猪とマンゴーの煮込み。
ま、みんなはすぐに「カレー」と言ってしまってましたが(笑)
c0116714_3173427.jpg

これは持って帰りたかったぁ・・・。
もうかなりお腹いっぱいだったのであまり食べれなかったんです。
マンゴーと猪、良い組み合わせでした!

この煮込みで〆と思いきや・・・
c0116714_3192460.jpg

これも野村シェフ作、猪のプロヴァンス風。
ローズマリーやらなんやらとハチミツでマリネしています。
c0116714_3205816.jpg

これも旨かったぁ。
香りも良かったし、肉もかなり柔らかくなってました。
ハチミツが焼け付いていく香ばしさを思い出したら、
画像見ながらお茶碗二杯はご飯食べれますよね。

飲んだり食べたり喋ったり、農作業後の開放的なロケーション中、
日常とは違う空間を楽しみながら時間を過ごします。
まずは、わざわざ来てくださった比叡の野村さんの今日初の顔出しです(笑)
c0116714_3285379.jpg

ガッツリ着席する前の廣瀬さん。
c0116714_327188.jpg

この後、ガッツリ着席され絡まれ続けたのは横に見えてる橋本でした(笑)

あ、多分、地元の青年団の方ですよね。
いろいろとお世話になりました。
c0116714_3321765.jpg


さ、満を持しての立派なスイカの登場。
c0116714_3333243.jpg

やっぱ夏はスイカですね!
c0116714_334424.jpg

一口食べて思い出す、スイカの圧倒的な水分含有量・・・。
もうホントお腹いっぱいなんですって・・・。

稲がそよぐと、「風が見えてる」気がしません?
遠くからゆっくりと稲を動かしながら近づいてくる風を目で追いながら、
こっちまで来て身体に当たると「ちょっと嬉しい」っていう一人遊びをしてるとこを、
誰かに撮られてた一枚(笑)
c0116714_9274357.jpg


さぁさぁさぁ、宴もたけなわ、あっという間に帰る時間になりました。
ついさっきまでビール片手に最後まで飲んでた大人が急に真剣な話をしだすの図(笑)
c0116714_9333030.jpg

なんか、卒業式みたいで一気に寂しくなっちゃいましたね。
ワークショップの校長先生からの熱い長いお話は、
握手して帰る一人一人にも向けられました。
本気で農業を営むその厚い手を握ったスタッフたちは、
その手にその胸に、何か感じてくれたのでしょうか・・・。

みんなで来るのは本当に最後になるかもしれない、通いなれた景色をとぼとぼ歩く。
「次」が決まってた今までと、「次」のない今日の日と。
c0116714_9414179.jpg

みんなに「楽しかった」と言ってもらえた今回の試み。
もてなしてもらいっぱなしだった僕らは勿論ですが、
もてなしてくださった廣瀬さんにも「楽しかった」と言ってもらえたこと、
それが何より嬉しかったなぁ・・・。
それは僕だけの評価ではなくスタッフ一人一人への評価。
僕だけが頑張って得れるものではなく、一人一人の取り組み方や表情や発言まで、
ちゃんと見て聞いて触れてくださっての「楽しかった」。
こりゃどんな言葉より嬉しいですよ。
いちいち時間を割いてくださり、毎度過剰なほどのおもてなしをしていただいて、
結果僕らが完全に「客人」扱いに終わってしまうほど寂しいものはないですよね。
廣瀬さんも仰ってましたが、時間を「共有」出来たのが嬉しいこと。
「共有」したと思ってもらえたのが嬉しいこと。
それは廣瀬さんのマダムしかり、今日飛び入り参加してくださった野村シェフしかり。

一通のメールから生まれたひょんなきっかけ。
それを僕だけのきっかけに終わらせたくなかったので始めた「小麦ワークショップ」。
「廣瀬さん」という出会いを、スタッフみんなでいっぱい共有できたと思います。
ご飯粒ならお茶碗に残った一粒でも「勿体無い」と思えますが、
粉となりそこらに散らかった小麦を果たして「勿体無い」と僕らは思えてたでしょうか。
粉となりそこらに散らかった小麦を果たして「農作物」だと認識できてたでしょうか。
その向こうに、こうした生産者さんがいることを慈しみながら使っていたでしょうか。
そして消費者でもある「お客さん」の皆さんは、
パンの向こうに「農業」があることを感じて食べていたのでしょうか。
別にね、仰々しい押し付けをする気はないですよ。
でも、それぞれがそれぞれの立ち位置において、
考えること、感じることが少しでも生まれてくれたなら幸いです。
僕らシュクレやモンテベロのスタッフ全員が、
「廣瀬学級」にて蒔かれた心の種を、
大切な財産として大事に育んでいってくれることを願って、
お世話になりっぱなしだった廣瀬さんご夫妻へのありったけの感謝の念と共に、
終わりの言葉に変えさせていただきます。

ちなみに僕はまだ卒業できず、
来週、脱穀・製粉の過程を校長先生に見せてもらってきます。
ま、言うなれば補習みたいなもんですかね。

さて、スタッフたちも3回に渡るワークショップの中で、
初めて自分たちだけでパンを作ってみたり、お菓子を作ってみたり、
発案から作成、そして結果までを一つの流れとして体感でき、
良い経験になったんじゃないでしょうか。
そんな中から敢えて一人MVPを選出するとなると、
いや、みんな頑張ったから本当に難しいんですけどね、
そこを敢えて選ばせてもらうとするならば、
やはり最終日に当たる今回にですね、
「ほぼ雨」という下馬評を見事に覆し、
日本古来のトラディッショネルの威力を再確認させてくれた、
おかんのリュックにぶら下がってた「てるてる坊主」に捧げたいと思います!
c0116714_10212042.jpg

受賞の喜びは「ベランダに吊り下げられてる弟に真っ先に伝えたいです」とのこと。
そう、おかん、2個作ったそうです(笑)
[PR]
by monsieur-enfant | 2011-07-06 03:48 | 滋賀県 日野町 廣瀬さん

「収穫」

昨年末、小雨降る中行った小麦の種まき
あれから春の麦踏み(ほぼ陶芸体験でしたが・・・)を経て、早や半年が過ぎました。
今年も不安定な気候に影響を受け、あまり収穫は多くないそう。
早い梅雨入りもあり、知り合いの農家さんは大麦が全滅したと聞いたし、
廣瀬さんのディンケルも10分の1くらいしか発芽すらしなかったようです。
改めて、農業って難しく厳しい仕事だと思い知らされますね・・・。

そんな中、僕らの蒔いた種は順調に育ち、
みんなで行く刈り入れを前に一部先に刈らなきゃいけない箇所が出てきたとの事。
廣瀬さんが刈っときますと言ってくださりましたが、
ずっと僕らが蒔いた小麦を世話してもらってますので、
せめて収穫くらいは自分の目で全部見たいものです。
来週みんなで刈り入れする場所を除いた一部の成長の早い小麦を刈るために、
一人で日野町に向かったわけです。

それは良く晴れた日の午後で、
待ちに待った収穫前の小麦との対面を楽しみに、
ウキウキしながら車を走らせる僕の気持ちを表すかのように晴れ渡った空でした。
張り切って麦わら帽子かぶって、
気合い入れてお気に入りの「火拳のエース」のユニクロTシャツ着て、
途中まではめちゃめちゃテンション高かったんですけどね。
そう、途中までは・・・・・・・。
ま、道中なにがあったかはさておき、
着いた時には、このテンション。
c0116714_11391833.jpg

完全に心を閉ざした人間の目ですね(笑)

廣瀬さんに着いたことを電話しても繋がらなかったので、
畑まで一人で歩いていくことに。
道中、ワンワン吠えてくる犬2匹に、
「なんなら気が済むまで噛ませたろか?」
と、半笑いで歩み寄るくらい、まだ世捨て人でした(笑)

でもね、ふと目をやった道端から、こっちに微笑みかけてくるわけです。
c0116714_11394153.jpg

こっちなんて、きゅうりの赤ちゃんですよ。
c0116714_11414683.jpg

陽射しを反射しながらチロチロと流れる小川があったり・・・。
c0116714_11431298.jpg

世を恨み人を憎み、凍てつき荒みきった心が、
草花によって徐々に癒されていきます・・・・。
蠢いてた汚れた感情を草花に浄化されながら歩いていると、
気がつけば慈しみに満ちた眼差しを湛えた柔和な表情の自分がいました。
焦って隠しましたが、たまにしちゃうんですよね、こういう表情。
イメージ壊れるから嫌なんですけど、たまに気を抜くと出ちゃうんですよね。
ま、本当は「Love&Peace」精神の塊みたいなヤツなんで、
今後はそんなキャラでお願いします。

ちょっと回復したころ、廣瀬さんが戻ってきました。
車を軽トラに乗り換えて、颯爽と登場。
その荷台に乗り込み、小麦畑まで移動します。
c0116714_11432581.jpg

やべ・・・、電車でも後ろ向きの座席だと気持ち悪くなるんだった・・・(笑)

さ、畑にはすぐ到着です。
c0116714_11434397.jpg

立派に育ってますねぇ・・・。
前回なんて、チョロチョロってな感じでしたのにね。
その間、一度くらいは見に来れると思ったんですが来れず仕舞い。
ここまで全部まかせっきりになってしまいましたが、
ずっと見守り育ててくれた廣瀬さんに感謝。
日野町の大地やお日様、降った雨にも感謝ですね。
c0116714_11435713.jpg

にしても、こんなに畑が似合う人、いますか?(笑)
c0116714_1147544.jpg

農林61号はほぼアウト。
今日刈り入れるのはライ麦と少量のディンケル。
ライ麦はテストみたいな感じでしたが、廣瀬さん曰く、
「北海道に負けないくらいの品質」とのこと。
根元から鎌で刈っていきますが、廣瀬さんも初めてだそう。
「普通、手で刈らないですよ(笑)」と言われましたが、そりゃそうですよね。
c0116714_1144345.jpg

鎌使いも難しくはなく、ザッザッと刈り取っていく音も気持ち良い。
カンカンと照りつける陽射しにあっという間に汗も溢れて来て、
「俺、収穫してる!」って嬉しくなってきてしまいます。

根っこの方には鳥が編んだ巣があったり、
ザワザワと逃げまどう虫たちがいたり、
ホント、自然の一部を借りて自然の中で営まれるのが農業だと実感。
c0116714_1145327.jpg

いろんなことに「ありがとう」です。

さ、伸びた一部の刈り入れは完了しました。
c0116714_114545100.jpg

ただ、ここで疑問が。
「残り、あと2週間も持ちますか・・・?」
この日、刈らなかった小麦たちも、そこそこの背になってましたからね。
このまま晴れが続けば、すぐ刈れるような雰囲気。
なので急遽、2週間後だった残りの刈り入れを来週に変更。
ただ、来週、雨がね・・・。
ここで雨が続くと収穫出来ないんですよ。
更に雨の後も晴れなかったら虫が湧いてきちゃうんですよね。
そうなると全部アウト。
本当に農業は厳しく難しい・・・。

さ、刈り取った小麦を荷台に乗せて、
来週一緒に脱穀するために一時避難させます。
c0116714_11473554.jpg

ちなみに、これだけの量で小麦粉にするとどれくらいの量になると思いますか?
・・・・正味300gくらいなんですって。

ハウスの中に小麦を並べたら、奥には刈り取った後に植えるゴマがスタンバイしてました。
c0116714_11482467.jpg

これ、小さな一区画に一粒ずつ種を植えていくんですって。
更に、「これ、畑には機械で植えて行くんですよね?」と聞くと、
「いえ、機械もってないので、もう少し育ててから手で植えていくんです」
・・・・・・、
どっかに使ってない機械ありましたら日野町の廣瀬までお願いします(笑)

「ちょっと水あげますね」と、ハウスの裏側へ。
さっきの小川・・・というか用水路が裏にも流れてるんですね。
c0116714_11492127.jpg

ハウスの周囲には散布用のスプリンクラーが何か所かあるんです。
用水路から組み上げたお水をスプリンクラーを使って撒くわけですね。
c0116714_11493537.jpg

気持ち良さそう!!
c0116714_11495168.jpg

さ、それからディンケル小麦がそこそこ育ってる別の畑に向かいました。
c0116714_11502344.jpg

これでも発育は良くないんだそう。
今年も「ディンケル小麦」として小麦粉になるのは多くはないみたい。
農業自体がシビアになってくる気候の中で、
更にシビアな品種の栽培に挑んでるんですからね・・・。

あ、隣の田んぼなんですが、何かが横切った跡があるでしょ?
c0116714_11504412.jpg

これ、猪です。
鹿も出れば猿も出ます。
田んぼの中にはオタマジャクシもウヨウヨいます。
アマガエルもそこらに跳んでました。
そして、そこに人がいるんです。
共存なくして生存は有り得ないんですよね。
c0116714_1151472.jpg

いつのまにか影がこんなに長くなってきてました。
そんななか廣瀬さんと話してたことは、「距離」のこと。
日本は作り手と生産者との距離が、あまりに遠く感じるんですよね。
ヨーロッパだって、生産者との実際の距離は日本より遠いところも多いでしょう。
でも、存在としての距離は、もっともっと近くに感じてるんです。
フランスだってパリなどは「芸術の都」などと形容されますが、
実際は完全な農業国です。
そしてそれを消費者も含め誇りに思ってるような気がします。
パンの向こうに小麦農家さんを想い、
牛乳やチーズの向こうに酪農家さんを想い、
肉や野菜にだって、それぞれ生産者と近い距離で生活してる気がするんです。
でも日本ではそれを感じません。
高度経済成長を支えたのは、
表向きには企業戦士と形容された方々の頑張りがあったからだと思います。
でも、いつの時代も変わらず大切なのは、
第一次産業に従就してる方々の頑張りだということを忘れてはいけないと思います。
僕らは食糧を「いただいてる」んです。
材料を「いただいてる」んです。
じゃなきゃ自分で漁に出たり狩りに出たり、
家畜を飼育したり田畑を耕したりしなきゃいけません。
それを代わりにしてもらってるおかげで、
僕らは食べるものに心配もせず、呑気に好きな仕事に邁進できるわけです。
なかなか暑くならない春先にやきもきしたり、
早く訪れた梅雨に生活を脅かされたり、
晴れるか降るかで生活が左右されたり、
そんなこと日常にないわけでしょ?
とりあえず空調の効いた会社に出勤さえすれば、
月末には自動的に給料が発生するような、
そんな他人任せな仕事は第一次産業には絶対に有り得ないんです。
そして僕ら作り手にしてもそうですよね。
小麦を作るところからではなく、パンを作ることに専念させてもらってます。
なのに小麦を「材料」としか思えない作り手がほとんどです。
「農作物」だと認識してるお店が何件あるでしょうか?
そういう教育を受けてる若い子らが何人いるでしょうか?
専門学校で畑まで何度も足を運んでるんでしょうか?
技術より教えなきゃいけないことが、この国にはたくさんあると思います。

今、廣瀬さんが持たせてくれた刈った小麦を店内に束ねて飾ってます。
そして先月から、北海道でお世話になってる製粉会社さんの発行してる小新聞を、
うちでプリントアウトしてコピーして店頭にて紹介することにしました。
すべてが生産者ありきであること、
そこに少しでも想いを馳せてもらえるように僕らが出来ることは、
こんな小さなことしかありませんが、
受け取った皆さんがその小さなものを大事に感じてくだされば嬉しいです。

来週、無事に収穫できたら、
今回刈り取ったものと合わせて脱穀し製粉し、
極々少量になるかもしれませんがパンにして皆さんに食べていただきたいと思ってます。
その際にはまた廣瀬さんも来てくださるでしょうし(笑)、
いろんな話をしていただければ、
消費者と生産者を繋ぐ立場の僕らとしても、
こんなに嬉しいことはないですよね。

「日野町シリーズ」を楽しみに読んでくださってる方々、
来週、ついにクライマックスですのでお見逃しなく・・・。
[PR]
by monsieur-enfant | 2011-07-02 02:22 | 滋賀県 日野町 廣瀬さん

麦踏み。

さてさて、すっかり春めいてきました今日この頃。
この日も例に漏れず、前回の小雨交じりから一転、朝から良い天気。
絶好の「麦踏み日和」となりました。
また一回り大きくなった貸切バスで、張り切って日野町に向かいます!
c0116714_3305791.jpg

バスに乗り込み高速に乗るや否や、
早くも恒例のランチボックスが振る舞われます。
まずはバンドゥールの横田君が担当したアペリティフ。
c0116714_33111100.jpg

はい、甘酒です。
明石の酒蔵から取り寄せた、米と米麹しか使ってない、
山田錦100%の無添加甘酒。
ボトルはこんなん。
c0116714_3312341.jpg

実は、子供のころから鍋いっぱい飲みほしてたくらい甘酒好きなんです、僕。
美味しかったですよ!

さ、続いて配られたのは、
c0116714_3313813.jpg

シュクレ厨房スタッフ男性陣合作によるランチボックス。
c0116714_3315246.jpg

豪華でしょ!
開けた時は、軽い感動すら覚えました。
前回の形に囚われず、時間も無いなかで、よくここまで作り込んだな・・・と。
ま、それぞれ指摘することは多々あれど、現時点のマイナス面より、
前回からのプラス面のほうが大きく上回ったことが嬉しいですね。
えっと、左上から、春野菜のテリーヌと・・・って、
説明めんどくさいんで省きます(笑)

10時過ぎからのヘビーなランチボックスにお腹を抱えながら、
草津インターにて休憩です。
c0116714_332543.jpg

ちらっと写ってるのはヴァンドゥールの横田君です。
先日、おばあちゃんが亡くなり数日田舎に帰ってましたが、
また元気に帰ってきてくれました。
正月休みも心配そうに帰省していた彼に上手にかけてあげる言葉は見つかりませんが、
共に日々を懸命に生きていきましょう。
それが命ある者の、最低限の使命なのですから。

SAを出る前に配られた春野菜のスープ。
c0116714_332169.jpg

もうお腹いっぱいです。

日野町に到着し、バスを停め、長靴に履き替えて、
温かかったので歩いて畑に移動します。
c0116714_3323687.jpg

長靴なんて何十年ぶりだろ・・・。
靴底のベコベコした感覚がなんとも懐かしい・・・。

畑に到着。ざっと見渡しても、こんな感じ。
c0116714_333562.jpg

廣瀬さんから現状と麦踏みに関しての説明。
やはり寒さが堪えて発育は遅いみたい。
麦踏みは前に書いたので大まかなとこは押さえてたようなので省略します。
c0116714_3331779.jpg

一番元気なのは、農林61号。
c0116714_3334276.jpg

これはライ麦。
c0116714_3335717.jpg

で、これがディンケルです。
c0116714_3341022.jpg

それぞれ僕らが蒔いたこの地に根を張り、
寒さに耐え、芽を出し、少しずつですが育ってくれてました。
麦踏みは、土が水分を多く含んでた為、
本当に踏んでしまうと土を踏み固めてしまうことになってしまうので、
今回は撫でるように刺激することにしました。
みんなのとこはディンケルがあまり顔を出しておらず、
そこそこ顔を出してる僕の列に、
「廣瀬さんが過剰に世話した疑惑」が掛けられてました(笑)
c0116714_3342838.jpg

最後に、スコップに名前を書いて目印代わりに挿して、
この日の畑仕事は終了。
c0116714_3344627.jpg

これから温かくなっていけば、もっと元気に伸びてくれるのかなぁ・・・。
良い陽射しに良い空気。作業してる僕らが元気をもらえる一日でしたが、
農作業は自然が相手。何があるかわかりません。
次、会いに来る日を楽しみに畑を後にします。

さ、またバスに戻って少し移動します。
c0116714_3345895.jpg

立派な建物でしょ?
実はこの建物、空港建設を見越して建てられたという哀しい背景があるんです。
どうりで・・・不自然に立派なわけです。
c0116714_3351659.jpg

2階に上がり、
c0116714_3353067.jpg

なんと今日は陶芸教室を体験します!
しかも廣瀬さんの奥さんでもある陶芸家、中田美穂さんに指導を仰ぐ豪華版!!
c0116714_3354836.jpg

ハンバーグみたいに空気抜きしてから丸めて叩きます。
c0116714_3361410.jpg

大きくなった分は下を回しながら切り落とし、
c0116714_3362736.jpg

淵に切り込みを入れ、接着用の水で溶いた土を塗り、
c0116714_336394.jpg

繋ぎ目を消しながら整えていきます。
c0116714_3365090.jpg

各自に土が割り当てられ、それぞれ製作に入ります!
c0116714_3371213.jpg

・・・・が、没頭しすぎて、製作過程の写真は一枚もありません(笑)
各自、思い思いのお皿や花瓶を楽しそうに作ってました。
ちなみに僕は、お猪口を作ったんですが、
たっぷり時間も土もあったので「五つくらい作れるんちゃう?」と挑んだ結果、
まさかの一個に終わりました・・・。
なんて言いますか、「こんなん作りたい」って最終系のイメージが強すぎて、
既に製品並みの薄さにして「薄すぎます!」って怒られたり、
既に製品並みの艶にして「水、そんなに付けないでください」って怒られたり、
ちょっと・・・・怒られることが新鮮で嬉しかったりして(笑)

さ、焼き上がりの2ヵ月後を楽しみにしてお片づけです。
おやつの韓国土産をいただきました。
c0116714_3373623.jpg

ポン菓子みたいな外側に、
内側のヌチッとした食感が意外でした。

さ、先生を中心に「終わりの会」です。
c0116714_3374867.jpg

日本橋高島屋さんでの『大近江展』や日野町での「日野ひな祭り紀行」が控えてた時期、
多分相当忙しかったことと思います。
そんな中、僕らにほぼ1日お付き合いいただき本当にありがとうございました。
平等に振り分けられた「時間」という財産。
平等に振り分けられてるからこそ、それぞれの「時間」はそれぞれの大切な「財産」。
その「時間」を僕らに割いてくださるということへの感謝の念。
僕らに出来ることはそれらいただいた時間を消化し新たな財産とし、
今度は自分たちの時間を割くことによって、お客さんへとメッセージを紡いでいくこと。
スタッフのこの日の感想が、
ただ単純に「陶芸、面白かった」だけで終わってないことを切に願います。

帰りの車内では、モンテベロ某スタッフ作の3種のスコーンが振る舞われます。
c0116714_3375999.jpg

・・・、ま、これについての感想は、後で個人的にお話させていただきました(笑)
要は仕上がりどうこうのレベルではなく、作る以前、「挑み方」の問題です。
ただ、アクションすら起こさなければ問題も見つかりません。
問題が見つけられなければ改善もできないわけです。
今回の問題を、如何に次の機会で生かせるのか、
「良い経験」とは一概に成功事例だけとは言い切れないですからね。

このスコーン、食べ終わるや否や、ほぼ全員爆睡の車内でした(笑)
[PR]
by monsieur-enfant | 2011-03-02 02:31 | 滋賀県 日野町 廣瀬さん

行ってきます!!

滋賀県日野町へ、スタッフみんなで行ってきます。

今日は、以前蒔いた種から発芽した麦を踏む「麦踏み」です。
ま、細かいこと書くと、本題の時に書くこと無くなってしまうのでザックリ書きますが、
「麦踏み」とは、痩せた丈の高い麦が結実し、
実の重みで麦自体が倒れてしまわないようにするのが目的です。
これをすることによって、
植物が成長過程で障害物などに遭ったときに自ら発生させる、
エチレンガスというガスを意図的に発生させるわけです。
それによって、ひょろひょろ高く伸びず、背丈がやや低く太く育ちます。
昔はそれ以外にも、
霜柱で浮いた土を固め、麦の根張りを強固にする目的も併せ持っていたようですが、
今は日野町でも霜が降りることは無くなってるようです。
今の子供たちは、
冬の朝のあの「しゃりしゃり」という霜柱を踏む感覚を知らないわけですよね・・・。
そういえばいつから霜柱を見なくなったんでしょう。
ちょっと寂しくもあります。

さ、今日のバスは前より更に一回りデカイらしいので、
また遠足気分で楽しんできます。
あったかいみたいで良かったぁ!
[PR]
by monsieur-enfant | 2011-02-21 09:29 | 滋賀県 日野町 廣瀬さん

先日の、引越しでいただいた3連休。
あ、よくシュクレが厨房移転したと思われてるようですが、
うちはほとんど現状維持。
ほぼモンテベロのメインキッチンの増設です。
パンと菓子は製造過程や扱ってるものや扱い方も、全く違います。
パンに関しては、別のとこで焼き上げたものを売るってことは、
僕の中ではありえません。
だから百貨店などの催事を受けたことがないんです。
そのうち声もかからなくなりましたけどね(笑)
せっかく真裏の窯からダイレクトにお店に焼き上げれるシチュエーションがあるのに、
別の場所で焼き上げて持ってくるなんてタイムラグ、勿体無いですからね。
確かにパンが足りてない週末なんて、そうしてでもパンを揃えたほうが、
わざわざ来てくださったお客さんをガッカリさせることは減るんでしょうけど、
別の場所で作るってことはただでさえギリギリな人材を分散させることにもなります。
クオリティ下げてまで満たさなきゃいけない部分では今はまだないと思いますんで。

ま、そんな大事な日。
ホントは現場にいなきゃいけないんですが、
もう一つ、いつでも良いわけではない行事があったので、
先日アップした記事のように、朝だけ顔を出し、
信頼できる現場監督に甘えさせていただき大阪を離れることに。

そう、この日は前々から言っていた、
滋賀県日野町で農業をやってはる廣瀬さんとこでの種蒔き体験に行って来たんです。
お客さんと一緒にピクニックやBBQなどはやってますが、
スタッフだけでとなると、忘年会やら新年会やら兼ねた食事会くらいしかなかったので、
そういう意味では初行事。
モンテベロは3周年で、シュクレは普通に週末で、
両店ほとんど寝てないにも関わらず当日は元気に集まってくれました。

時間になってもマイクロバスが来ない。
遠くにどっかの保育園でも使うのか、
中型のバスがずっと停まってるのは見えるんですが・・・って思ってたら、
まさかのそれでした(笑)
c0116714_1364672.jpg

思ってたよりちゃんと「バス」です。
乗ろうとして見上げたとこに、
c0116714_13659100.jpg

おお!こういうの、テンション上がりますね!!

右が今回懸命に段取りを組んでくれた横田君。
いつもはお店でヴァンドゥールとして、ええ声で皆さんをお出迎えお見送りしております。
c0116714_1371247.jpg

彼お手製の「遠足のしおり」
c0116714_1372448.jpg

道中2時間半、乗った瞬間寝始めたスタッフもいたので(笑)、
早速ランチボックスを配ります。
c0116714_1385463.jpg

中はこんなん。
c0116714_139924.jpg

画像はピンボケですが、味はそれなりでしたよ。
ってのも、せっかくの機会。
いつも僕しか考えないので、初めてスタッフだけで作らせてみました。
条件は一つ。
「全部任せてマズイの食べるの嫌だから、
メツゲライ クスダさんとこでシャルキュトリー買ってきて、それに合わせてパン考えて」
でした。性格悪いですか?(笑)
ま、こんな些細なことでも良い機会です。
在るものを作り続ける作業と、無いものを生み出す作業は全く別のエネルギー。
時に、その場のテンションさえ左右しかねない怖さも伴いつつ、
逆に僕はその場のテンションを左右できる楽しみをほくそえみながら作ってますが(笑)
食事は空気を作る演出も兼ねてることを体感し、勉強できたんじゃないでしょうか。

いただきものの大事なワインをみんなで空けてみたり、
c0116714_1392462.jpg

「あんまり飲まないで来てくださいね」との廣瀬さんの言葉もありましたし、
ん~~~、これは・・・・防寒用と言う事で!(笑)
c0116714_1394518.jpg

デセールはモンテベロ担当。
と言っても今回は僕がスタッフの一人に言った無茶振りに、
たった一人で徹夜して作ってくれたよう・・・。
「モンテベロの飽きたから、君が前働いてたとこのお菓子食べたい」
性格悪いですか?(笑)
で、出てきたのがコレ。バラン付き。
c0116714_1310655.jpg

「あ!」ってピンと来た人、そうです、超有名店のそれですね。
c0116714_13103714.jpg

小さいサイズに、精一杯の頑張りが込められてました。

旅のしおりといい、
ランチボックスといい、
エクレールといい、
やっぱり遊びでも本気でやるから本気で楽しめるんですよ。
自分たちの「これくらいでいいか」ではなく、
自分たちが「どこまで出来るのか」に挑んでこそ、
周りを楽しませることに繋がり、結果として自分も楽しむことが出来るわけです。
身内だろうがお客さんだろうが、仕事だろうがプライベートだろうが、
人一人喜ばせることって、そんなに甘いもんじゃないんですよね。
遊びを遊ぶやつは、ホントの遊ぶ楽しみを知らないヤツだって、
新地のホステスさんが言ってました(笑)


移動途中で小雨がパラつき霧が出てきました。
c0116714_13105896.jpg

さてと、予定よりちょっと早く到着です。
c0116714_13111743.jpg

寝てた子たちもモソモソ起きて、畑の前へ。
c0116714_1311346.jpg

軍手とシャベルが配られます。
c0116714_1313169.jpg

講師役の廣瀬さん。
c0116714_13131972.jpg

最初にお会いした時は、こんなに多く登場いただくとは思ってもみませんでした(笑)
c0116714_13134780.jpg

これが蒔かれるディンケルです。フランス名「グラン エポートル」
c0116714_131441.jpg

小雨降る中、せっせと土に戯れ、種蒔きの開始です。
日野町の自然の力をお借りして、秋の収穫までの長い道程のスタートです!
c0116714_13141863.jpg

僕らの範囲は、廣瀬さんが手作業で鍬で畝を作ってくださいました。
種を蒔く溝をスコップで作って、そこにパラパラと蒔きます。
c0116714_131439100.jpg

最中にも、細かい指示やらアドバイスやら、よく話してくださいました。
c0116714_13152313.jpg

蒔いた上から土を被せます。
溝が深すぎると発芽しづらく、浅すぎて顔出してるとカラスやスズメにやられます。
いつも蒔く機械から、肥料を掴んで土の上に蒔きます。
鶏糞を土に混ぜてるようですが、ディンケルは多くの養分を必要とするらしく、
補うために化学肥料をパラパラと。
c0116714_13161652.jpg

こんな感じ。
c0116714_13163075.jpg

通常なら、キヒゲンR-2ブロアブルと言う農薬をまぶして鳥害を防ぐそうですが、
廣瀬さんは使わないそうなので食べ放題みたい。
他にも、イノシシ、シカ、キツネらの被害を防ぐために、柵などを作らないといけないよう。

早く蒔いた人から、もう2種類。
農林61号とライ麦も蒔かせていただきます。
写真のちょっと薄桃がかった色がライ麦です。
c0116714_13164739.jpg

成長の違う3種類を、肥料をあげたりあげなかったりして比較してみます。

ずっと目の前にあったトラクターを動かしてくれた廣瀬さん。
c0116714_1317921.jpg

私有地では免許がいらないとのことなので、ちょっと乗らせてもらうことに。
c0116714_13172717.jpg

途中で、雨の中待ってる子たちのことを思い出し、急いで帰る僕。
c0116714_13174468.jpg

みんな普通の運動靴だったので、結構ズタボロに・・・。
言い訳じゃないですけど、長靴買いに行く暇無かったんですよ・・・。
近くの水溜りや小さな小川で、ちゃぱちゃぱ土落とし。
c0116714_131851.jpg

移動中、貯蔵室にも寄ってもらい、また一喋り二喋り。
c0116714_13191945.jpg

作業は終わったので、廣瀬さんの実家にお邪魔します。
c0116714_13193273.jpg

雨に打たれながらの作業、温かい室内はホッとしますね。
c0116714_13194461.jpg

「大地堂」さんのお菓子のお出迎え。
素朴で優しく、異国の刺々しさより、沁み入る和みを感じます。
c0116714_1320056.jpg

それを包み込んでるのが、陶芸作家さんでもある廣瀬さんの奥さんの器。
使い勝手のよさそうな幅や深さ大きさ、なんとも絶妙な器でした。
その奥さんに陶器のお話を聞き、
c0116714_13201941.jpg

お抹茶も点てていただきました。
c0116714_132038100.jpg

廣瀬さんもやられるそうで、
僕は廣瀬さんが点てたお抹茶を、廣瀬さんお気に入りの陶器でいただきました。
c0116714_13205229.jpg

しみじみと、「土物は良いなぁ・・・」と掌が呟きます。

ほっこりしたところで場所を移動。奥さんの仕事場を見学に。
c0116714_13211682.jpg

こちらが窯ですね。
c0116714_13213365.jpg

僕だけかな?
火の力によって命を吹き込み生み出す「窯」という存在に、
どこか神聖さというか神々しさを感じるんですよね。

こちらが作業場。夏の暑さはもう限界だそう・・・。
クーラー・・・来年こそは、ね(笑)
c0116714_13215262.jpg

さてさて、また場所を移して、今度は外に。
c0116714_132241.jpg

お米の機械とディンケル小麦の機械の違いを説明いただきました。
動かして説明いただく予定が、詰まって止まっちゃいました。
c0116714_13222436.jpg

なにわともあれ、第一回の小麦ワークショップは無事終了。
c0116714_13224011.jpg

自然の空気を吸い、
いつもと違うことに脳みそを使い、
日常触れない土に触れ、その土に種を蒔いた今日という日。

実感はまだまだだと思いますが、
それぞれの心の中にもまだ発芽してない小さな種が蒔けたんじゃないかと思います。

ただ、勘違いしないで欲しいのは、
芽吹くには日当たりや土の養分などの環境も勿論大事なんですが、
何より種そのものの生命力が必要だということです。
生きる意志の無い種子に、
どれだけ良い環境を整えても、
どれだけ養分を与えても、
芽など出るわけがありませんからね。

種蒔きから始まった1年近くの小麦と過ごす時間。
僕がどれだけ口で説明しても教えれないことを、
日野町の自然や、種が成長していく経緯やそれに伴う作業を通して、
少しでも何かを感じ学ばせてもらえたなら、
秋の収穫の際には、
心の中にも小さな穂の実りを実感してもらえるんじゃないかと思います。

11月の半ば、小雨降る日野町。
田舎の景色はこうだったという記憶をお土産にいただきます。
c0116714_13225319.jpg

c0116714_1323932.jpg

楽しい時間はいつもあっという間。
c0116714_13232398.jpg

でもね、なんだかんだ言ったって、
僕らが来れるのは年4回ほど。
多くの時間を廣瀬さんに見守っていただくわけです。
お世話になりますが、今後とも宜しくお願いしたします。

帰りはほぼ皆爆睡・・・。
c0116714_13233676.jpg

帰った先には、引っ越しでぐちゃぐちゃになってる厨房の片付けなどなどが、
変わらぬ現実としてお待ち頂いてたのでありました・・・・。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-12-09 02:01 | 滋賀県 日野町 廣瀬さん

初めて対峙した、廣瀬さんのディンケル小麦。
勝手にニヤついてるのがわかります。
僕、初めて触る粉の時、いっつもニヤニヤしてるんです。
え~と、ニコニコに替えますね。変態みたいですから(笑)
だって、初対面だから何にもわかんないわけでしょ?
何にもわかんないって楽しくないですか?
「さて、どんな子になるんやろ」
「へ~~、そんなに水吸うんや」
「お、いい感じ、いい感じ!」
「いや~~ん、かわいい~~!」
・・・・って感じです。やっぱ変態ですか?(笑)
最後の「かわいい」ってのは、触感ですね。
触感がかわいいって、ちょっとわかりづらい表現かも知れませんが、
僕ら掌で生地と会話してますんで、感覚的にそう感じちゃうんですよね。
なんかこう・・・・触っててかわいいと言いますか、
目を瞑って触れた時の弾力と言いますか、
ちょっと引っ張ったりするとかわいいと言いますか、
・・・・って、やっぱ変態チックになりますね(笑)

で、練りあがった生地が、こちら。
c0116714_764532.jpg

あれ?かわいくないですか?(笑)
寄ってみると、こんな感じ。
c0116714_77222.jpg

えっと、大体、吸水がルヴァンも合わせると85~6%くらいかな?
うちでは珍しくない数字ですね。

みなさん全粒粉100%で使わないじゃないですか。
その意味がよくわからないんですよね。
「パサつく」とか、「グルテンがでない」とか、
パサつきませんしグルテンもしっかり出ますよ。
ま、僕はあまりグルテンには興味ないんですけどね。
っていうか、「全粒粉20%配合」とかって、
それ全粒粉じゃ無くなってますやん(笑)
アクセントに使うのは理解できますが、
それを「全粒粉のパン」として売っちゃうのが理解できないんですよね。

さ、それを皆さんに行き渡るように、小さく分割します。
c0116714_77133.jpg

この頃になると、発酵のプロセスと室温で、生地の温度も上がってくるんですが、
それがまた体温みたく感じてかわいくなっちゃうんですよ(笑)
微かに動き始めた生地は、さっきより少しふくよかになるんです。
最初に「命」が芽生えてることを感じるのも、このころですかね。
「岸部まで来たんだね~」
日野町で育って、今、岸部でパンになっていきます。

それを生地が痛がらないようにサッと丸めて、
クーシュ(生地を乗せて休ませる布ね)に並べて休ませます。
c0116714_77293.jpg

だいたい今日だと12時間くらいかな?
6~7℃、湿度は80後半から90%くらいの部屋で熟成させます。

今回ね、廣瀬さんの小麦使わせてもらってるじゃないですか。
自分で種蒔いて、自分で育てて、自分で収穫して、自分で製粉してるんですよね。
「小麦畑」とか、「製粉会社」とか、個別でお会いしたり見に行ったりはしてたんですが、
全てを一貫してやってはる方の粉を使ったからなんですかね・・・、
なんかね、「自分らって、たったこれだけやん・・・」ってね、思ったんです。
毎日畑に出て、自然を相手に睨めっこしながら、一年かけて作った粉に対して、
僕らって、封開けて、仕込んで、ま、言うたら焼くだけでしょ?
パンとしてお客さんに届けるにあたって、農家さんが捧げる時間に比べれば、
僕らなんてほんのちょっとの時間しか携わってないわけじゃないですか。
その事実に対して、僕はどれだけ生産者さんに対して感謝してきたのかと思うと、
頭でわかっているほどの感謝はできてなかったんじゃないかな・・・・。
手の中にある廣瀬さんの粉で作った生地の温もりに、何だか涙が出てきそうでした・・・。

もちろん僕らだって、
その「小麦粉」という素材を使って「パン」という食糧を作り上げるのに、
膨大な時間と労力を捧げて経験や技術を会得するわけです。
簡単に10年と言っても、一般のお仕事の倍の時間働いてますから、
単純に時間だけですと20年分働いて、やっと店を構えてるわけです。

じゃあ、それを生産者の方々がどれだけ理解してるかと言うと、
それもそうじゃないわけです。
収穫したものを出荷してしまえば後は知らない。
どこでどう使われてるかも興味がない。
職人も、「粉は注文すれば来るもの」くらいにしか思ってない。
ま、どっちもどっちの責任転嫁の図式が昔からまかり通ってるわけです。
その最たる原因は「流通」なんですよね。
流通が、結ばれてなくてはならない人と人を引き離し、
出荷したら終わり、電話したら運ばれてくる、
そんな他人任せの「物」だけが移動する便利な仕組みを作り上げてしまったわけです。
これでいいんでしょうか?このままでいいんでしょうか?
お互いがお互いを知ることで、もっと有意義な関係が築けるはずです。
知る努力、伝える努力、
やっぱりそれらを怠ってきたことに抜本的な原因を感じずにはいられません。

じゃあ、一番裾野の消費者、つまり「お客さん」はどうなんでしょうか。
何度も書いてますが、特に日本は店を「物」としか考えない帰来があります。
「やってもらって当たり前」という関係性が、両者の間には生まれてしまってますよね。
ま、それもさっきと同様、店側の伝える努力が足りなかったんだと思います。
でもその背景には、間違った解釈の「お客様は神様」という縛りがあることも事実です。

そして現在、昔ながらの「お客さんの嗜好に合った」ではなく、
自分たちが感じたことを感じて欲しいと表現する店が増えてきています。
自己のアイデンティティだったり、訪れた異国の文化だったり、業界への疑問符だったり。
それらのお店には異なる表現があり、異なる表現の源には異なる発信源があるわけで。
その「他人が感じてきたもの」、つまり自分にとって無知な領域に対して、
自分が無知なまま自分の物差しを当てること自体ナンセンス極まりない行為です。
以前にも書きましたが、お客さんにも多少のインテリジェンスは必要なわけです。
堅苦しい話ではなく、どういう店主が、どういう想いで、何を伝えようとしてるのか、
たったそれだけでも感じようとしてくださるだけで、もちろん僕らもプラスになりますが、
何よりお客さん側がもっと自分に合うお店を見つけるのにもプラスになると思うんです。

生産者、作り手、お客さん、
その3者のどこかに生まれてる「当たり前」と「矛盾」と「責任転嫁」。
全ては自己責任だと考えれば、
相手のことを知ろうとするのは必然の行為ですし、
相手に伝えようとするのも必然の行為です。
それぞれにはそれぞれの要求する権利がある変わりに、
それぞれのモラルを守る責任も存在します。
どこが欠けてもダメなんです。
どこかが欠けては成り立ちません。
当たり前ではないんです。
決して、当たり前のことなどないんです・・・。

そんなこんな、いろいろ考えながら触れた廣瀬さんのディンケル小麦。
来年はスタッフみんなに、廣瀬さんとのタイミングが合えばですが、
種蒔きから収穫まで、実際足を運んで見せてあげたいと思います。
この日、厨房で話したことを、ちゃんとこの日だけで終わらせないためには、
想像ではなく実体験として感じさせるべきだと思います。
そして来年、製粉された粉が届いたとき、何を感じ、何を想うのか。
それはパン作りだけではなく、
生きていくうえでの何か大切なものを胸の中に抱けるような気がします。

さてさて、話が長くなりましたが、
パンが焼きあがりました。
c0116714_1413599.jpg

「グラン エポートル」
ディンケルのフランス語読みです。
なんか、あったか~いパンでしたね。
余韻が長く、なんと言っても「穀物を食べてる」って感じました。

予定より1時間ほど遅れて廣瀬さん到着。
作業着のツナギのまんま電車に飛び乗って、急いで来てくださりました。
何人か待っててくださった方がおられましたが、スイマセンでした。
来年、初めてシュクレでパンを売らせていただく際には、
今回の罪滅ぼしとして、また来ていただきます(また無許可ですが(笑)。

まだまだ農家さんに限らずですが「地域」による区別が多く、
なんかわからんとこでは「国内産」みたいな曖昧なものも。
でもね、やっぱり地域内でももちろん格差はあるわけです。
みんながみんなってわけにはいかないもんなんですよ。
そうなると、結局のところ「人」なんですよね。
でも、そうなって行かなきゃいけないんじゃないでしょうか?
ワインだってそうでしょ?国から更に地区、そして畑であり詰まるところ人であり。
そこに価値が発生するのも当たり前。同じであることのほうが不自然です。
労力も時間も費用も知恵も捧げてる人が、
その分の評価と報酬を得るのは当然だと思います。
どの業種に限ることなく、本気でやった人間は報われるべきだと思うんです。
そのためには、お客さんも見極める目を持っていただかなきゃいけません。
せっかくお金を払うんですから、選んで納得して使うべきです。
どんな人が、どんな想いで、何を伝えようとしてるのか嗅ぎ分けて、
用途によって、シチュエーションによって、
上手にお店を使い分ける目を養ってもらわなければ、
そんな店もそうでない店も、同列に並べて判断されてしまうのであれば、
報われることなく終わってしまう人たちは後を絶たないでしょう。
もちろん僕ら側にも伝える努力は必要なんですが、
聞いてくださる方がいなければ、発信することすら無意味になってしまいかねません。

僕はちょうど真ん中にいると思うんです。
生産者のも関わり、お客さんとも関われる、ちょうど真ん中にいると思うんです。
ですので、できれば両者の手を取って、もちろん僕らもその輪に入り、
もっともっといろんなことを伝えていって、もっともっと良い関係が築けたらと思うんです。
ブログ書くの、正直しんどいです。
この時間もらえれば、もっと他にやれることもあれば、休むことも眠ることもできます。
でも、もう少し・・・、こんな拙いブログでももう少し伝えれることがあると思うんです。
ですから、頑張って書こうと思います。時にはどうでもいいことも書くと思います。
たまにでいいんで、覗いてやってください。
今回もですが、これからも、同意を求めてるわけでは全くありません。
ただ、考えるきっかけになってもらえれば幸いです。
そんなきっかけに、なれるのなら僕も幸せです。

最後に、今回のきっかけをつくって下さった廣瀬さんと、
今回のブログに反応して下さったお客さんに、心から感謝いたします。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-08-09 15:22 | 滋賀県 日野町 廣瀬さん

まさかの展開。

えっと、
前回の記事に書いた、「農業家の廣瀬さん」。
このブログ見てくれたらしく、
「明日、朝から畑仕事なんですよね・・・。早くても9時ごろにしか終わらなくて・・・」って。
ん?どうしたんかな?・・・・と思ったら!!
「当日は廣瀬さんも・・・」って書いた一文に反応してくださったようで、
結果・・・・来て下さることになりました!

早くても10時半くらいの来店になりますが、
もし明日、廣瀬さんの粉を使ったパンを食べてみたいと思う方がおられましたら、
せっかくですから来られるまで待って、何か声をかけてみてください。
僕らと話す機会より、農家さんと話すことのほうが圧倒的に少ないと思います。
会話して、生の姿、生の声に触れていってはいかがでしょうか?

えっと、
無許可で書いた「当日は廣瀬さんも・・・」の一文ですが・・・、
言っときますけど確信犯じゃないですからね(笑)


明日は朝から頑張って、
せっかくですから僕も廣瀬さんと一緒に店内でお客さんと話せるよう試みてみますね!!

あ・・・でも渡せるパンは小さいパンを一人一個ずつしかありませんからね、悪しからず。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-08-07 17:55 | 滋賀県 日野町 廣瀬さん

原風景

ある日、一通のメールが届いていました。
「はじめまして」とありましたが、はじめましてじゃありません。
以前にも一度メールをいただいてました。
でも僕、店名だけ変えればどこにでも送れちゃうような内容に興味ないんですよね。
狙い撃ちじゃないと動きません。指名してくるなら対峙します。
今回、指名してきました。
「うちの小麦を使ってパンを焼いてみてくれないか」と。
営業臭は一切ありません。
生産者として、農家として、作り手の意見を聞きたいという極めてシンプルな言葉。
で、こう返しました。
「とりあえず、お会いしましょう」 
超アナログ人間ですから会わなきゃわかんないんですよ。
経歴や肩書などどうでもいいんです。
会ってみて、対峙してみて、そこで伝わってくるものが全てやと思ってます。

来てくださいました。
滋賀から1時間半。
「思ったより近かったです」と言いながら。
それから2時間くらいかな、顔突き合わせて話しました。
細かいことはどうでもいいんです。温度が同じかどうかが重要なんです。
「得るもの」とは、決して報酬だけではないわけで、
逆に報酬以外の何かを得れる相手じゃなきゃ交わる意味はないわけで。

あると判断しました。おそらく、あると判断してもらえたんだとも思います。
それが日野町の農業家 廣瀬さんと初めて顔を合わせた日でした。

「次は、畑を見にいきます」
そう言って別れたあの日から早や数カ月。
合間にお誘いもあったんですが体調不良で行けず、
「7月いっぱいくらいは刈らない」との言葉を信じて向かったのは、
7月最終週の暑い暑い昼下がりのことでした。

ま、突然行くのもなんなんで、一本電話をいれました。
「畑、見させてもらっても良いですか?」
「あ・・もう刈っちゃいましたけど」
「え?・・・7月いっぱいは刈らないって・・・」
っていうか既に高速乗ってるんですけど(笑)
とにもかくにも、以前お誘い頂いた時に行けなかったのもありますし、
御挨拶がてら足を運ぶことにしました。
哀しい現実を目の当たりにするとは思いもせずに・・・。

農業家の廣瀬さん。
滋賀県日野町で、ディンケル小麦を栽培されてる方です。
ディンケル小麦とは、パン用小麦の原種にあたる古代穀物なんです。
収穫量が少ないうえに、麦粒が固い殻に包まれていてるため生産性も低く、、
その割に殻の除去などに手間とコストが重なるため高価になってしまい、
ヨーロッパでも作られる方は少なくなってるのが現状です。
あ、パン好きの方なら、「大地堂」さんのお義兄さんと言えばピンと来るかと。
ドイツで修業された大地堂の店主の志穂さんが、
帰国後この小麦の栽培を廣瀬さんに依頼。
栽培技術を模索しながらも収穫に成功。
それを使って大地堂さんでパンを作ってるわけです。
業種は違えど、どこか同じ匂いを感じる方、
すなわち確実に「変人」と呼ばれる部類です(笑)
いや本人たちは、いたって標準だと思ってるんですけどね。

家に伺ってから、廣瀬さんの車で畑に移動します。
c0116714_9213727.jpg

どこまでも高い夏の空。
照りつける日差しに、むせ返る緑の匂い。
c0116714_9212519.jpg

風は畑の表面を撫でるように走り、
撫でられた稲はザワザワと心地よさそうに音を奏でる。
c0116714_9201851.jpg

畦道から一歩足を踏み入れれば、慌ただしく四方八方にバッタや蛙が飛び跳ねる。
踏みしめる草や土の感触とともに幼き頃の記憶が蘇ってくる。
c0116714_921111.jpg

一面広大な小麦畑だった帯広とは違い、顔を上げれば民家も点在する。
畑の横に生活がある。生きてる人間の気配と自然が調和する景色。
日本の原風景がここにはありました。とてもとても懐かしい気持ちが込み上げてきます。


「この隣がディンケルの畑です」
そう言われて目を移した先には、もう一つの自然と共に生きる証が広がっていました。
c0116714_9203636.jpg

倒れてるのが全部ディンケル小麦です。
パン用のディンケル小麦の収穫はゼロ。
収穫間際の長雨により穂発芽してしまったそうです。
詳しくはこちらをご覧ください。
c0116714_9204862.jpg

「これも込みで農業」と笑う廣瀬さん。
確かにそうなんですけどね・・・そう思わないとやっていけないんでしょうけどね・・・、
一年一度の収穫が全滅だなんて、そんな酷なことありますか・・・?

なんかね、やっぱり「当たり前」なことってないと思うんですよ。
大地堂さんでは、粉の在庫が切れ次第パンの製造は出来なくなってしまいます。
来年の収穫まで、ディンケルを使ったパンは焼けなくなってしまうんです。
パンが好きな方って増えてきてますよね?
でも、収穫時期の長雨の際、
雨に打たれる小麦を憂う方が何人おられるでしょうか?
「国産小麦」だの謳ってるパン屋の店主の何人が、
生産者への労いの心を持ってるのでしょうか?
温暖化が進む猛暑の中、
汗だくでコンバインに乗って収穫してるお年寄りの姿を知っているんでしょうか?
小麦粉は小麦という農作物から作られるんです。
その農作物は勝手に成るのではなく農家という人の手と自然によって育まれるんです。
「小麦粉」という、袋に入ったものが最初からその辺に転がってるわけではないんです。
米はね、食べる時まで米でしょ?
だから比較的農作物である意識は高いんですよ。
でも小麦粉は既に粉になって売られてるでしょ?
やはり実感が薄いのは、いたしかたないことだとは思うんです。
でも少なくとも僕らのような職業に就く者だったり、
パン好きを自負する方だったり、
せめてそのくらいの人間は脳ミソのどこかに置いておくべきなんじゃないんでしょうか。

米の稲が膨らむ頃、その養分を吸いにカメムシが増える。
そのカメムシを狙って、その時期は蜘蛛が集まってくる。
「今年は蛙が多いなぁ」と思ったら、ヘビをよく見かける。
自然の生態系には矛盾がない。矛盾がないから無理がない。
しかし人の手によって、はたまた外来種によって、
バランスを失った生態系を戻すことは容易ではない。
はたして、生産者さん、職人さん、お客さん、
この関係性に矛盾は生じていないんだろうか。
理解し合い、尊重し合い、必要とし合い、無理のない関係性が築けてるのだろうか。
どこかが「当たり前」になってしまってはいないのだろうか・・・。

「そろそろ移動しましょうか」
畑でそこそこ話しこみ、ちょっと暑さにやられかけた頃、
大地堂さんへお邪魔してきました。
c0116714_9215053.jpg

以前、お会いする機会があったんですが、僕の体調不良のため実現せず、
ちょっとどんな方か楽しみにしての来訪でした。

それにしても暑い中お仕事されてますね~(笑)
厨房に空調ないんじゃないですか?こりゃ大変ですわ。
でも元気な方でしたよ。外連味のない素敵な笑顔をされてました。


で、ですね、
廣瀬さんからいただいてたディンケル小麦を使ったパンを、
そんなこんないろいろ考えたりする機会として皆さんに食べてもらおうと思うわけです。
8月8日(日)、朝10時から、廣瀬さんのディンケル小麦100%の小さなパンを、
だいたい70~80名分はあるんじゃないかなぁ・・・、無料配布させていただきます。
あくまで、なんかちょっと考えたりする機会にしてほしいんです。
いつも何気なく食べてるパンを、この機会だけでも少し時間かけて味わってみてください。
うちが取引したくても、少なくても来年の収穫までは使えません。
早くも今年最後のディンケル小麦を使ったパンになります。
当日は廣瀬さんも・・・・いや無許可ですので止めときます(笑)
では当日、っていうか僕もまだどんなパンになるのかわかりません。
なんせ初めて使うわけですから。
でもどうせならこの貴重な粉を、試作なんかで無駄に使わずに、
お金なんていらないから食べてもらいたいわけなんです。
「その想い、いただきにあがります!!」っていう方がいてくださることを祈ってます・・・。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-08-06 18:12 | 滋賀県 日野町 廣瀬さん