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なないろめがね

この日は結局一日中雨。
雨に滲む街の灯りや濡れるアスファルトの艶めかしい光沢感、嫌いじゃないです。
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でも、寒いのは嫌。
強い風も嫌い。
自分のペースで歩けない人混みも嫌いだし、
しいたけも嫌い。

駅から10分ちょっと歩いたかな?
何度も写真では見ていた「黄色いテント」
昨年のコートドールさん同様、「いつかは・・・」と何年も想いを馳せていた黄色いテント。
居酒屋だらけの四ツ谷という街に自然に馴染んでいて見逃すところでした。
四ツ谷 「北島亭」
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この「しっくりきてる感」を年季が入ってると言うのかな。
なんせこの場所に20年以上留まっているのだから、
むしろ周りの建物や景色がこのテントに馴染んできたと捉えるほうが正解なのかも。
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そこから奥に進み、現世と21年の歳月とを繋ぐ扉を開ける。
4年ほど前かな?
リニューアルしたと聞いてたのでどんな感じなのかと思ってたんですが、
「う~~ん、ノスタルジック!」
景色というか、空気が既にノスタルジック。
気のせいか、店内全てが若干セピア色がかって見えるくらい。
そんな中、目に飛び込んでくるのは意外にもファニーなテーブルセッティング。
基本、ピンク。皿も花もピンク。
ラブリー!!
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コックコートで店内を動き回るキュイジニエたち。
この店にサービス専門のスタッフはおりません。
ただ、若い子に接客の重要性を説くための手段ではなさそう。
もし仮にそうだとしても、少なくとも働いてるスタッフからその意識は感じられない。
僕のテーブルに来てくれた方はそつなくこなしてくれましたが、
周りを見ると正直マニュアルすら危うい感じ。
単純に、「じゃあ、やらなきゃいいのに」と思う。
店の責任?いやいや、働いてる子はいっぱしの社会人ですよ(笑)
ここは学校ではなく社会なんですから、
自分たちでより良い仕事をしようとするのが大前提。
料理だけできれば一流なのかというと、そうではないと思うし、
料理だけが精進しなきゃいけないことかというと、それも違う。
与えられた仕事に最善を尽くせないものが何故に料理に精進できると言うものか。
磨かなきゃいけないのは「人」であり自分自身。
料理は手段であって、表現の泉は自分自身の中にあるわけです。
そういうのって、手とり足とり教わるもんじゃないと思います。
ま、お店自体もここに重きを置いてるわけじゃないことは確かなので、
逆に客側がこのお店を楽しもうとするなら、
そこに目を向けるのは鼻からナンセンスということです、かね。
ただ、それならサービス料10%は取り過ぎです。

先に厳選食材のプレゼンがあります。
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どれもこれも生命力溢れる力強い食材。
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これらの食材が一旦厨房に運ばれ、
次に再会する時には変わり果てた姿になってるわけです。
素材に対しての責任を、食べる僕らもちゃんと考えなきゃいけませんね。

と、テーブルに目を移すとやっぱりラブリー!(笑)
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メインはさっきの厳選食材の中から福島産特選和牛イチボ肉を。
「量はどうしましょう。大、中、小となりますが、大だと結構な量になりますが」
いやいやいや、僕、結構食べますけど?
でも初めてなんで量がわからず、進言を聞いて中にすることに。
しかし、終わってみたら、
ここで大と迷ったことすら「調子に乗ってました・・・」と後悔せざるを得ない結末に。
そんな展開になるとは露知らず、静かにコースは始まります。

つぶ貝
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意外なアミューズ。
ただ、これが旨い。
食べかけた下の海藻は「食べないでください」とのこと(笑)
「素材」ありきの強くも優しいスタート。

パン
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印象にも残ってないってことは、
逆に普通に食べれたってことだと思います。

北海道産 生ウニのコンソメゼリー寄せ カリフラワーのクリーム添え
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言わずと知れた北島シェフのスペシャリテ。
今でこそ生ウニとジュレの組み合わせは珍しくないものの、
当時は本当にセンセーショナルだったんじゃないかな・・・。
で、更にこのウニの量。
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でも、ウニをコンソメが引き立てるのではなく、
スッと飲めるような柔らかさのコンソメのジュレをウニと一緒にいただく感じ。
で、実はカリフラワーのクリームが要だったりする。
フランス料理は楽しい。

兵庫産 生がきのマリネ フランボワーズの香り サラダ添え
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ヴィネガーの酸味より生クリームの印象のほうが強かったなぁ・・・。
キャビアよりカラスミの塩分とコクがねっとり牡蠣に絡む感じ。

仏 ロワール産ホワイトアスパラガス ポーチドエッグと生ハム添え
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パイ包みと迷いに迷った温前菜。
まだホワイトアスパラも出先の時期だったもので、春をいただくことに。
結果、うん、美味しかったです。
ガルニも視覚・味覚共に春を運んできてくれました。

銚子産 金目鯛のポアレ グリーンアスパラガス添え ブールブランソース
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あの見事な発色の大ぶりの金目がポアレで登場。
旨いですねぇ。
そう言えば、どんどんソースが軽さに走り、
一時はブールブランとかは無くなってしまうんじゃないか・・・ってな流れでしたが、
最近は結構普通に出てくるようになりましたね。
ブールブランは大好きなので大歓迎です。
時流に流されないこちらのお店には関係のない話ですけどね。

ここまでね、画像だけだと普通に見えるかもですが、
噂に違わぬ相当なボリュームで出てきてるんです。
正直、すでにキツイくらい。
次は口直しのグラニテなんで、リセットして最後のお肉を頑張ります!
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・・・って、これ、ちょっとしたかき氷クラスのデカさなんですけど!!(笑)

あ、ワイン全然撮ってなかった・・・。
最後のいちぼ肉に合わせたのは・・・なんだったっけな。
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福島産 特選和牛イチボ肉 ローストビーフ風 じゃがいものピュレ添え
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これで中・・・・十分デカイ。
あかんあかん、戦意喪失しかけました。
ビジュアルを映し出した角膜から脳に「美味そう!!」ってサインが行ってるのに、
胃が「そんなに食えるか!!」と拒否しています(笑)
しっかし旨い。直観的に楽しむ旨さ。
「肉を食ってる!!」って行為を、最大限膨らませて実感させてくれる感じ。
で、ギリッギリです。
ギリッギリ完食しました。
これが「大」なら間違いなく無理でした。
パンをもう一口でも食べてしまってたら無理でした。
でも、取りあえず山は越しましたので、
あとは、「甘いものは別腹」とか言いますからね・・・と、その時、
視野の端っこに何やら山盛りの物体が奥のテーブルに。
「なんだろ・・・、なんかのパーティーかな・・・」と思ってたのも束の間、
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届きました、嫌がらせ・・・いやいや、ミニャ盛り合わせ。
無理でしょ!!無理無理!!ちょっと変な汗出たもん!!
だってこの量、今から奥様4人くらいのちょっとしたお茶会なんか開けそうですやん。
取りあえず、悪くなっちゃうと困るのでフルーツから食べる、いや、フルーツだけ食べる。
そう、心苦しくも最初から持って帰る前提です。
あたし、もう頑張れませんもの・・・。

で、これなんだったっけ・・・。
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あ、これもミニャに付いてたヤツだ!
これは持ち帰れないので飲みます。

次はデセールです・・・。
デセールにはプリンをお願いして・・・るんですが、
もう、こうなっては「どんなんが来るんだろ・・・」と、軽い恐怖すら感じます。
正直、バケツをひっくり返したような大きさは覚悟してました。
小さく見積もってデカイのが来られると、
多分今度は間違いなく現実逃避の失神に見舞われると思いますから・・・。
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イエス!!イエス、イエス、イエッス!!
普通(正確にはやはり少し大きいです)のサイズのプリンでした!!
ある意味、今日運ばれて来た中で、一番テンション上がったかも知れません。

もう一滴も入らないんじゃないかと思いながらも、
少しは清浄効果もあるのかとハーブティーをいただきます。
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いやぁ・・・、すごいっすね。
こんなに量で恐れ慄いたのは、
ブログ書き始める前に行った北浜のトォルトゥーガさん以来ちゃうかなぁ・・・。
トォルトゥーガさんは前菜一皿でほぼ満腹、
メインである二皿目が視界に入った時点で「無理・・・」でしたけど(笑)
それでも「旨い」と唸らせるんですから、
北島シェフはやはり凄いですね。
大きいからこそ生まれる美味しさもあるとは思いますが、
大きければ必ずしも美味しく提供できるというわけではないですからね。
そこには大きさならではの難しさも生まれますし、
それらに最適且つ最良の調理を施すのは簡単ではないですよ。
更に、まぁ、どこもそうなんですけど、
味覚も嗜好も違う世代を越えて「旨い」と言わさなきゃいけない。
しかも技術のベースや叩き込んだ味覚は自分が修行した一時代なわけで、
それで幅広い世代の「お客さん」と呼ばれる、
不特定多数の方々を満足させなきゃいけないわけですし、
そもそも「美味しさ」なんてものに絶対はないわけで・・・・。
いつもわかっちゃいるこっとなんですが、
改めて、難しい仕事やなぁ・・・と思うわけです。
そしてその難しい仕事に今も真正面から向き合い、
この場所から日々黙々とトラディッションを生み出し続けてる北島シェフを、
純粋に「かっこいいなぁ」と思うのでした。

ただ、
フロアにこれ見よがしに著書が並べられ販売されてるのはどうかと思いましたけど(笑)
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by monsieur-enfant | 2011-05-16 03:08 | 北島亭