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なないろめがね

カテゴリ:鮨 さいとう( 1 )

『粋』

この日は満を持しての初東京鮨。
と言っても、もともとお酢が苦手だったのもあって、
「お寿司」というものをあまり食べてなかったんですよね。
母曰くの「安い寿司」を食べて気分が悪くなったのが発端だったんですが、
ホントに歳食ってからですね、お鮨を自分で食べにいくようになったのは。
でも食べる機会と言えば、北に向かう心の逃避行時くらいかな。
そこで素晴らしい鮨や職人と出会うことで魅力を知り、
「じゃ、東京のお鮨ってどんなんやろ」って興味が湧いてきてたのでありました。
ただ、躊躇させらてたのが、
「東京なら倍はするよ」って聞かされる地方との価格格差。
いやいや、金沢でも決して安いわけじゃないのに「倍」ですか・・・
って躊躇してたんですが、
今回、予約が取れてしまったら腹を括ろうと意を決し、電話をしてみました。

そもそも専門外なので全くわからないジャンル。
昼間にやってるお店自体少なく、さらに月曜定休日も多いんですよね。
「あ、取れた!ラッキー!」くらいで、
大した予備知識もないまま向かったのは、溜池山王。
初めて降りる街ってすごく楽しくて、キョロキョロしながら歩くんですが、
雨の合間に晴れ渡ったこの日も、
緑に囲まれた素敵な道を間違ってるとも知らずに延々楽しそうに歩いてました(笑)
「もっと早よ言えよ!!」と、
ルートが大きく外れてると言い出すナビウォークに突っ込みながら、
来た道を急いで戻る。
「これか・・・な?」
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らしき建物の近くに行っても周囲を歩いても全くらしきお店は見つからない。
もう一度確認してみる。
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そう、この建物に間違いないはず。
そろそろウロウロし過ぎて怪しまれてしまいそうだったのもあり、
中にいるガードマンさんに聞いてみる。
「そこを曲がった突き当たりを左です」
え・・・?地下とかじゃなくて一階?
だって、ここ、普通に日本自転車会館の事務局みたいな感じですよ。
そこを曲がったとこって言っても、学校の廊下みたいな感じで、
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突き当りを左って言われたって、こんなとこに・・・、あれ?
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あったりするんですね(笑)
溜池山王 「鮨 さいとう」
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たった7席のみの店内。
逆に、だから予約が取れたんですね。
1人で行くときは奇数の席数のお店は意外にギリギリでも取れるのかも。
この日も他の席は2人連れが3組。空いてる一席に滑り込んだ感じですね。

カウンター越しに対峙するのは大将一人。
まだお若くてびっくりしますが、すぐに「この人ありき」のお店だと実感。
職人としての腕も勿論ですが、特にカウンターを挟んでのお店の場合、
やはり人としての相性も大事。
特に初めてのお店の時は話すこともままなりませんから、
ちょっとした気配りも嬉しいもの。
常連さんとのやり取りの合間にかけてくれる一声一声に、
堅苦しさも緊張もない素敵な時間を過ごさせていただきました。
まずはビールから。
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せっかく予約が取れたことですし、つまみからゆっくり堪能することに。
白魚
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う~~~~!
ちゃんと一匹一匹がプリプリしてます!

余市の紫雲丹と馬糞雲丹
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豪華な食べ比べ!

ここでたまらず日本酒にチェンジ
越乃影虎
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煮蛸と蒸し鮑
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鮑はワサビとお塩でいただきます。

確かこの辺で聞かれたんですよね。
「岩永さん、夜と同じでフルで行っても良いんですか?」って。
「良いっすよ。お願いします!」と上機嫌で答えたわけですが、
一応、「ランチはお得」って聞いて来た・・・んですけどね(笑)
いや!なかなか来れない名店ですもん!ガッツリ行きましょう!


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鰹が口に充満したと思ったら溶けてなくなる感じ。
余韻に流し込む影虎の旨さったら・・・。

子持ちヤリイカ
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あ~~~~、旨い。しみじみ旨い。
これだけつまみの旨い鮨屋さん、初めてです。

青柳の貝柱
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ギュッです、もうギュッって感じ。
わかりますか?ギュッて凝縮されてるわけです、旨みが。
火入れも絶妙。

白海老
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アマ旨ヌメ旨トロ旨。

酒盗
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とっくに酒、盗まれてます(笑)

赤むつ・・・だったっけな?
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うわっ!旨っ!脂の甘みと香り、ふくよかな身、絶品です。
あ~~~~、ほんと旨いなぁ・・・・・。

さ、握りに行ってもらいます。
まずは水茄子の浅漬けで口直し。
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で、お酒もチェンジ。
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でも、夜の一人酒は良いんですが、昼から一人で手酌は何とも寂しいものです・・・。
ま、それでも飲みますけど(笑)

甘鯛
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!!
ネタもさることながら、シャリ!
なんですかね・・・塩を感じるんですがしょっぱくはなく、
お酢の円やかさと相まってのタネとの一体感。
「あ・・・、これがさいとうさんのお鮨かぁ・・・」と一貫で感じるクオリティ。

縞鯵
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こはだ
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づけ
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中トロ
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大トロ
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スミイカ
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車海老
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とり貝
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煮蛤
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馬糞雲丹
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穴子 塩
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穴子 詰め
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かんぴょう巻き
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こはだのお仕事も、マグロ3連発も、車エビのデカさと茹で加減、
鯖の締め加減、煮蛤のジューシーさ、かんぴょうも旨かったなぁ・・・と、
挙げればいちいちキリがないので画像のみでお送りしました。

でもね、やっぱりここの魅力は「人」。
勿論、美味しい云々は当たり前のレベルなので省かせていただいての焦点ですけどね。
この日は面白い常連さんがおられてブツブツ呟いてはったんですよ。
「鮑の旨味が増した気がするんだけどなぁ・・・。旨味調味料でも入ってんのかなぁ」
「味噌汁、相変わらず旨いねぇ。味噌は合わせてんの?タケヤ味噌と・・・・何かな?」
とかね(笑)しかも結構、延々と。
そこで唸ったのが大将の「客まわし」と言いますか、あしらいの妙。
そんな常連さんとなぁなぁになって、
他のお客さんなんて放ったらかしな店なんてザラにありますからね。
でも「営業妨害ですよ」とか「出禁にしますよ」とか笑いながら返しつつ、
「すいませんね、変なお客さんの日に当たってしまって」と僕らにも振ってくれて、
そのうちその呟きが面白くなってきちゃって、店に変な一体感が出て来ちゃって(笑)
目配り、気配り、ちゃんと行き届いていて、
それぞれのお客さんが良い気持ちで楽しめるような配慮は、
なかなか出来るもんじゃないですよ。
握った鮨を置いてもらうお皿がちょっと汚れただけでも拭いてくださる「気づき」は、
ちゃんと「一客」として見てもらってる安心感にも繋がります。
それから特筆すべきは、チラホラと奥から出てくるお弟子さんの姿勢。
毎回「失礼します!」と入ってくる声は、とても耳に心地よく、
ダラダラした所作は微塵もないキビキビ動く立ちまわりは、
見てて気持ちよいくらい清々しい。
暑くてジャケットを脱ごうとしたら入口が開き、
厨房からお弟子さんが回って取りに来て下さるんです。
ボーっと近くに立ってるだけで全く動かない、
サービス料ぼったくりのレストランなんて万とありますよ(笑)
こういうのがね、「良い店」っていうんですよ。
店主一人なんて、どうにでもなるんです。
注目されてるお店は大概がそれなりの厳しいとこで研磨されてきてるんですから、
それなりの対応なり仕事ができて当たり前。
ただね、なのにスタッフが酷い店は後を絶ちません。
正直、うちも全スタッフと意思の共有が出来てるかと言うと、そうではないかもしれません。
でも、お店は店主だけのものではありません。
店主だけで成り立ってるものでも、店主だけで支えきれるものでもありません。
店主一人で全お客さんに接することが出来るわけもないですし、
店主一人が評価されればそれで良いなんてことももっての外。
周りの人間、みんな含めて「お店」は成り立ってるんです。
そんな「周り」が気持ち良いお店に出会うとホントに嬉しくなってしまいます。
「だよね、やっぱりそうだよね!」と思ってしまいます。
全員(大将も含め)丸坊主の潔さ。挨拶や礼儀の徹底。
今の世の中、なっっっっかなか出来るもんじゃないですよ。
さいとうさんで感じた気持ちよさのほとんどは大将の存在かも知れませんが、
そこに出てくるお弟子さんの姿や声が全く邪魔にならず、むしろ好感を持ち、
更にお店へのイメージまでアップさせてくれるお店、そうそうないですよ。
うちも常日頃から言ってることですが、
厨房の声や活気は、必ずお店に伝わっていくんです。
「失礼します!」「後ろ通ります!」「わかりました!」
そんな毎日繰り返し使う他愛のない言葉だって、
同じ言うならハキハキキビキビ言うことで単なる返事の枠を越え、
ちゃんとお店のBGMの一つとしてお客さんの耳には聞こえるんです。
それを「なんて?」っていちいち聞き直さなきゃいけない我が店の意識レベルの低さを、
改めて突き付けられました。
そして改めて、やっぱり大事なことなんだってことにも気づかされました。
そしてそして、お会計の際には「あ・・・・、そっか・・・、ここ三ッ星なんだった」ってことにも、
改めて気づかされた次第であります(笑)
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by monsieur-enfant | 2011-06-16 20:56 | 鮨 さいとう