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なないろめがね

カテゴリ:岩さき( 1 )

「再会」を誓って。

京都駅から電車で10分ほど。
烏丸御池の横道に、ひっそり佇むのは、このお店。
「岩さき」
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駅から徒歩5分くらいの距離を、ものの見事に迷ってしまい、
道案内のお電話をさせていただいたわけですが、
予約の時からそうですが、一貫して電話の応対が本当に気持ちがいい。
それだけで、「人に会いにいく」という十分な楽しみは生まれているわけです。

暖簾を潜るとそこには春のお出迎えが。
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外ではまだ梅も蕾を固く閉ざしている中、
柔らかな春の香りを纏いながら店内へ。
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思ってたよりこじんまりとした店内。
カウンター6席と、お座敷が1部屋。

そして、この空間を彩るのが女将さんの軽やかな京都弁。
少し張ってた気持ちも和み、ご主人の丁寧なご挨拶をいただき、
ゆっくりと「岩さき」さんの世界へ身を委ねます。
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最初に出てきたのは、松の実のおぶ。
まだ寒さの残る道程を歩いて来た身を、温かく迎えてくれたような心づかい。
香ばしい松の実にちょっと塩を利かせたおもてなしが、
じんわり身体の内側に広がっていきます。

食前酒として新潟の菊水を。女将さんから一杯を頂戴します。
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見ての通り、量は極々少量。
ただ、香りの広がりが半端ない。
残りはこっちでいただきます。
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こっちはこっちで、ふくよかな香りは抑えられ、
シャープな飲み口が際立ちます。
しばし菊水をお供に食事をいただきます。

先付け
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やっぱりこの季節は和食が食べたくなります。
身体が春野菜の苦みを欲するんですよね。
菜花の苦みにミョウガの香り。提供される温度も冷たくも温くもなく。
目でも香りでも楽しめる先付けは、吉野醤油がまろやかに全体を纏めます。

椀物
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アブラメだったかな・・・?と、引き上げ湯葉の碗物。
ず~~っと飲んでいたい、なんなら浸かってしまいたいと思わすような、
心地良い余韻のお出汁に、白身と湯葉の可憐な花が開きます。

向附
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奥から、ぐじ、ヒラメ、トロ、だったかな?
ぐじやヒラメは食感も楽しく、トロは脂がとてもキレイなお味。
自家製のポン酢と、トロは土佐醤油でいただきますが、
どちらも美味しくいただきました。
上に乗ってる黒いアクセントは、水前寺海苔。
熊本の一部の綺麗な川で採れる、淡水産藍藻類。
基本、そんなに味はしませんが、ほのかに海苔の香りが漂います。

焼き物
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桜鱒の南部焼き 酢蓮根添え。
脂の乗った桜鱒は、鮭ほどしつこくもなく上品。
胡麻の甘さと香ばしさがコクをプラスして食べ応えも十分な一皿。
酢蓮根の食感も心地良く、しばし幸せを噛みしめます・・・。
ワサビの葉も爽やかに一役買ってます。

お凌ぎ
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なんなんですかねぇ・・・、この削ぎ落した洗練さ。
シンプルでいて奥ゆかしい。もち米、白魚、百合根の、白の共演。
滋味深く、優しく長い余韻。静かに、でも健やかに広がる素材の風味。
根っこのほうでD.N.Aが揺さぶられる感覚。

続いては一転、
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ダイナミックに銅鍋での提供。
こういうプレゼンはテンション上がります!
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取り分けていただいたのは、焼きアナゴ、筍、花山椒の炊き合わせ。
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あ~~~、旨いなぁ~~~~。
春を頬張る幸せを筍でゆっくり噛みしめ、
穴子に手を伸ばすと、焼いた香ばしさが鼻孔に突き抜けます。
花山椒にミョウガという個性の強い脇役が良い味出してます。
華やかな銅鍋の中に、ホントに地味なビジュアルで登場した炊き合わせ。
みんなが持ち味を出し切れば、こんなに華やかな作品に仕上がるんですね。

続いては、スターのオーラ。
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軽く「しゃぶ」っと潜らせた、丹波牛。
ここに、胡麻ダレにポン酢を合わせたタレがかかってます。
まぁ丹波牛の脂のキレイなこと!
「しゃぶ」ってるのもあると思いますが、全く重さが残らない。

・・・・前にふてぶてしく鎮座してるのは憎っくきシイタケ。
さすがに大人になって、シイタケ出てきても泣かなくなりました(笑)
子供の頃は絶対噛めなかったですもん。給食の時は、牛乳で飲み込んでました。
最近、結構ハチ合わせるんですよね、シイタケと・・・。
でも最近のシイタケがシイタケシイタケしなくなってきたお陰で、
お店でなら食べれるようになりました・・・が、
家庭タイプはやっぱりダメなんです・・・ナメクジみたいで(笑)

丹波牛の興奮を一旦落ち着かせて・・・
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車エビ、白きくらげ、舞茸、三つ葉の楽しい食感に、
炒ったカラスミが色目にも味にも良いアクセント。

酢の物
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ここに来て、蟹!!
ホント、「蟹!!」ってくらいカニカニしてました(笑)
カニカニし過ぎて、昔、帰る度に蟹を御馳走してくれてた、
亡くなった千葉は大貫の祖母の記憶まで呼び起こされ、
「アラフォー、泣きながら蟹を食べる」の巻、でした。
歳のせいか、涙腺が弱くなってるんですかね・・・。
あ、手前の茶色いのは、大徳寺麩。独特の食感でした。
土佐酢のジュレが良い塩梅です。

ここらで菊水から引き継いだ黒龍が終了。
最後にいただいたお酒は・・・忘れました。

さ!いよいよ羽釜が火から降ろされました!
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ちなみに、奥に見えるのは女将さんの娘さん。
まだ二十歳とは思えない、落ち着いた接客とキレイな所作で、
女将さんと一緒にお店に表情を加えます。
更に、大女将と言いますか、女将さんのお母さんまで手伝いに来はります。
なんかね、そんな空気が満ち溢れてるんです。
女将さんの口からも「念願の」って言葉が度々出てきてましたが、
みんなが心待ちにした5年前の開店だったんやろうなぁ・・・って、
一人一人に対しての接し方、もてなしの姿勢、もちろん料理もそう、
その全てから伝わってくるような気がします。

まずは、お供の香の物と、
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販売もしている、すっぽんちりめん。
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この後に白米を見ただけで涎が出てきます(笑)
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もうすでに、炊きあがった羽釜の中でお米が立ってます。
そして覗き込んだ中から立ち上る、なんとも言えない良い香り。
上品に盛られた白米、ここから6杯くらいお代りして完食することに(笑)
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香の物と、すっぽんちりめんと、白米と、
ただそれだけで満たされるという幸福感。
ただ単にデモンストレーションで終わってしまってるお店も多い中、
ここの御飯は本当に美味しい。
作家さんの羽釜も「すごく使いやすくて賢い」って女将さんが言ってましたが、
このお米、ご主人のお父さんが作られてる丹波米なんだそう。
こういうところにも家族のリレーがあったんですね・・・と、
しみじみと赤出汁を啜ります・・・。
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水の物
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彩りも鮮やか。すっとお腹に落ちていきます。

想いが同じなんでしょうね。
ご主人の料理、女将さんや娘さんの接客、
同じ温度で内側から外側から満たされていくのを感じます。
そして同じく共通して言えることが、「嘘」が全くない。
ご主人の料理、見て頂いてわかるように本当にシンプルです、
フレンチの手法を駆使した和食屋さんや、
和のエッセンスをフランス料理やイタリア料理に落とし込んだお店に比べると、
シンプルを通り越して「素朴」とも思えるようなお皿も出てきます。
でも、嘘が無いんです。だから、すっと内側に入ってくるんです。
ご主人の料理への姿勢やお人柄が、そのまま「料理」になってる気がするんです。
だから、物足りなさは感じません。いっぱい詰まってるものがあるから。
女将さんの接客もそうです。嘘がない。
良くお話してくださる女将さん、「本当に『人』が好きなんです」と笑う。
単純に「本当にそうなんだろうな」と頷ける、そんな接客をして下さります。
開店までの間、女将さんも喫茶店をやられてたそう。
だから基本、接客も上手なんです。
だけどテクニックで接客されれば、こっちもわかります。
料理、接客、共に「上手・下手」だけじゃないと思います。
今は席が空いてても、夜は三組しか取らないそう。
四組になると、それだけおもてなしも中途半端になり、
見送った後にご自身が消化不良になってしまうと、また笑う。
本当によく笑う。娘さんもよく笑う。だって、「人」が好きなんだからしょうがない。
ただし、あまり笑わないご主人が、
「人嫌い」なわけではありませんので悪しからず(笑)

大女将にも女将さんにも娘さんにも、
「またいらしてくださいね」と、結構な回数言っていただく。
もちろん水商売よろしく「ガチの懇願」ではないものの(笑)、
5年もやってる、いわゆる人気店で、
こんなに「また」の声をかけられることはまず有り得ない。
そういえば、カウンターで同席されたお客さんは、
初めて来た前回から間を置かずに再訪してました。
そして、女将さんがそれを本当に喜んでおられたのが印象的でした。
5年経ち、毎日毎日いろんなお客さんと接してる今、
まるでオープンしたての店のように再訪を喜んでおられました。
多分それは、女将さんにとっては「再訪」ではなく「再会」なんでしょうね。
食事が終わって、お茶を啜りながらそう思いました。

嘘の無いお店に、嘘の無い客として、
帰り際に交わした「また来ます」を、近いうちに形にしに行きたいと思います。
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by monsieur-enfant | 2012-03-08 21:45 | 岩さき