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なないろめがね

カテゴリ:薪焼きレストラン ヌーダ( 1 )

「姿勢」

何度か書いてますが、月曜日ってお休みのお店が多いですよね。
でも、だからこそ普段行かないお店に足を向けれたりもするわけで。

早速ですが、最近めっきり足の向かなくなった神戸・三宮。
時間もあったので、ゆっくり小さなお店を覗きながら元町まで歩くことに。
何度か冷やっとすることもありましたが(迷いそうになったってことです)、
無事に元町の商店街まで着きました。
そこから横道に逸れ、さらに細道に入ったところにあったのは、

神戸・元町 「薪焼きレストラン ヌーダ」
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スペイン、バスク地方の名店、
「エチュバリ」で修行を積んだシェフということもあり、
開店当初から話題になってた薪焼きのお店。
当初、数回振られてからめっきり頭から離れてしまってたお店に、
遅ればせながら行ってきました

店構えも店内も、ガッツリ作り込んだ感じはなく、
なんていうか、良い意味でざっくばらんな感じ。
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もっと堅苦しいお店かと思ってましたが、
畏まったレストラン使いではなく、
ちょっとしっとり目のビストロ使いが合うのかな?
ナイフもフォークも通し使いで、お箸も置いてあり、
肩肘張らずに細かいこと抜きで、
「楽しむ」ことへと気持ちもシフトしていきます。

飲み物はお任せで。
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サービスはアラン・シャペルにおられた方が担当。
明確に「薪焼き」と表記してる、ある意味主張の明確なお店に負けないくらい、
キャラと主張の強いお方(笑)
でも、ここからもやはり「かしこまらず楽しんでほしい」感が滲み出てます。

生チョリソーとポレンタ
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生チョリソー、こんなの初めて食べました。
少量ながら味の輪郭はハッキリしてますし、旨味も凝縮された印象。
添えてあるポレンタのアンニュイな感じが良いバランスに。

うずら
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軽く茹でたって言ってたっけ・・・。
口に当て、チュルッと吸いこみます。
上にチョコンと乗せてるの何だったけなぁ・・・。
ホント、行ったら早く書いていかないと、
歳と共に記憶の薄れ具合が半端なくなってきます・・・。

自家製バターと生原木しいたけのカナッペ
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ピュア!自家製バターのピュアなこと!
その上に乗って出てきたのは「言っときゃよかった!」と思ったくらい、
苦手なしいたけの大量投与でしたが、全部苦も無く食べきれました。
少し香りのあるフレッシュマッシュルームだと自己暗示をかけましたが、
ホント、そんな感じで美味しくいただけました。


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「とにかく急いで食べてください」っていうくらい、
入ったか入ってないか、限りなく生に近い火入れ。
ほのかに薪の香りも纏っていながら、ほぼ生という、
嗅覚と味覚と経験が軽くパニクる面白さ。が、至ってシンプル。

パンも薪焼き。
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薪の香りに全部支配されちゃってましたけど。

白子
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スープはひよこ豆だったかな?
白子は香ばしく表面を炙られ、そこを「プチッ」と破った中身は、
暖かく濃厚な飲み物をいただいてるよう。
そこに「土」を淡く連想させる、透き通ったひよこ豆のスープ。
しみじみと余韻に浸ります・・・。

イイダコ
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玉葱の食感と甘みに絡めて食べる、イイダコの柔らかさと弾力。
ソースは少量ながら、イイダコの墨を使ったコクのある味わい。

野菜とトリュフ
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薪焼きされたお野菜から立ち上る香り、シンプルに調理された本来の旨味。
そんな「純」なお皿に散りばめられた対照的なトリュフの艶めかしい香りに、
何とも心地よい罪悪感を駆り立てられる・・・のは僕だけですか?(笑)

ハリイカとイカスミ
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タコスミに続いてのイカスミ。
ただ、食感はコリコリと軽快。もちろんながら全く違う印象。
これくらいの火入れのイカ、大好きです!

甘鯛
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カリッカリの鱗焼きと、
ふっくらした身のコントラストの振り幅ったらないです。

チュレタ
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チュレタは「骨付き肉」を意味します。
国産牛での提供には拘るものの、
いわゆるブランド肉のサシの入った肉は使わず、
良い赤身の肉をチョイスし提供してるそう。
ま、日本人はそういう肉が好きなんだから仕方ないのかもしれませんが、
未だに地方のフレンチに行くと、
サシの入った脂たっぷりの肉にソースを回しかけ、
「〇〇牛の・・・」とか言って得意気に出してきますが、
相性良いわけないですからね。
3~4週間ドライエージングして旨味を凝縮した赤身を噛みしめる、
「肉食ってるなぁ!」と唸る瞬間・・・、幸せをいただきました。
そして、
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「骨付き肉」の骨のほうです(笑)
戦艦のような佇まいに、ちょっと神々しさすら漂います。
もちろん、齧り付かせていただきました。

パッと鮮やかなグリーンサラダは別添えで。
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骨に齧り付いたテンションはまだこの辺りでは治まらず、記憶なし・・・。
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アイス
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エチュバリのスペシャリテの一つ、燻製香のアイスです。
鮮烈というほど激しくはないのですが、とても鮮明に香りを感じます。
コースを締めくくるこの香りが、「今日の日の記憶」、
つまりヌーダさんで過ごした記憶として刻まれるわけですね。

「薪焼き」と言われてもピンと来ない方も多いと思いますが、
「熾き火」という調理法だそうで、3時間前から薪を加熱し、
赤くいかった状態にした薪で食材に火を入れるそうです。
だからどう違うのかまではわかりませんが、
炭火より柔らかく火が入るそうです。熱の「質」が変わるんでしょうね。
もちろん、その管理の大変さは想像に難くなく、
営業中、シェフは全く火の前から動けません。
各料理は何らかの形で「薪焼き」に関わる為、
コース終盤には意識外のものも含めて、
結構薪の匂いが鼻にこびり付いてきます。
ただ、当初描いていた「薪焼き」のイメージは簡単に覆され、
おおらかでいながら繊細な料理の勢いに、
とても楽しい時間を過ごさせていただきました。

ただ、気になったのは店ではなく客のほう。
もちろんタイミングが悪かったというのはあると思いますが、
左隣は、もろ普段着のバカップル。
最初見た時は、「こんな格好で、こんなとこ来れるんだ・・・」。
でも、まぁバカップルに文句を言う気はありません。
彼らは彼らで楽しんでいたんでしょうし、
まだこういうとこに不慣れな若い二人が奮発して来てるかも知れませんしね。
そんな彼らに「空間にいる皆で時間を共有してるんだよ」
なんて意識を求める方がナンセンス。
気になることは多々多々あれど、特別大騒ぎするでもナシ、
ホント「タイミング悪かった・・・」と思うしかないなぁ・・・
と思ってると、まさかの展開。
彼氏と思われる男性客が起こした行動が「寝る」。
こっちはこっちで食事しながらも「マジで!?」ってなもんです。
料理が運ばれてきてるのに寝てる。
料理の説明してる最中も寝てる。
彼女らしき女性客も怒るでもなし起こすでもなし。
おもむろに目を覚まして、冷めかかった料理を食べ始める。
幻滅もいいところ。失礼極まりない。
「なんだこの客・・・」と思ってると、デザートの際、彼女へのサプライズが。
厨房からはロウソクに火を灯したデザートが。誕生日だったんですね。
そんな気配りもするんや・・・と、こっちも若干微笑ましくもなります。
彼女らしき女性もすごく喜んでましたし・・・・・・で、彼氏寝てるし。
「マジか!!??」と目を疑いました。
このタイミングで寝る彼氏も、
このタイミングで寝られながら喜んでる彼女もですが、
もう1つ目を疑ったのが、もう彼らが30歳だったってこと。
十分、「ええ大人」じゃないですか!
お金払えば時間も空間も手に入るわけじゃないんです。
ま、更にもう一方の右隣の客も控えてるので、これ以上掘り下げませんけど、
別に「こんなオモロい客いましたで」とネタにしたいわけでは更々なく、
分け隔てなく必死に料理を作り、必死に接客をしてる、
お店が何とも言えず可愛そうでならないだけなんです。

で、続いて右隣。左隣はここまでの前座です。
6名でのご予約。が、来ない。連絡も来ないし繋がらない。
「お客さん、来てくれたらいいですね」と、こっちが心配になり声をかける。
結局、「忘れてた」と。そもそも「予約したことを忘れてた」と。
ただ、この方はそれでもまだ良い方で、
常連さんだったんですね、その後、店に来て謝って、
ちゃんとキャンセル料払っていかれたと思います。
もちろんそれで3時間前から薪に火を入れ、食材も準備し、
テーブルもセッティングしてお待ちしていた、
店側の気持ちを埋めれるわけではありません。
埋めたのはあくまで「料金」だけです。
が、気持ちの面で「救われた」のは確かです。
でも、それでも「まだマシな例」
と言わざるお得ないのがレストランの現状です。
・・・と書いてる傍から、
間違ったこと書けないから何か参考にと覗いたヌーダさんのHPのツイッターに、

■予約2時間前のドタキャン発生。
今日、満席でお断りしたお客様、丁寧に育ててくれた生産者の方々、
2名分の食材とテーブルが無駄になりました。
申し訳ありません(つらいなぁ 泣)

これ見て、キャンセルした人は何とも思わないんですかね。
ま、大体が「こっちにも都合があるんですよ」。
これ、連絡なしと合わせると8割くらいじゃないですか?
各店のHPに、キャンセル料の掲載をしてるところも多いですが、
平然とキャンセルする客の誰が払うと思いますか?誰が振り込むと思いますか?
海外や東京では、予約際にカード番号も必要になってるところも増えてます。
それくらい深刻な問題になってきてるんです。
そこまでしなくちゃいけなくなってきてるんです。

更に、ヌーダさん、その後、同じ日ですよ、

■10分前のドタキャン発生、キャンセル料の話をすると逆ギレ。
どうしたらいいのでしょう?Help me

これ、キャンセルの現状です。
一度しか伺ってませんし、特にお話させていただいたわけでもありません。
でも、読んでて涙出そうになりましたもん。
なぜなら飲食業、おそらく全員共感できる問題だからです。
うちもそうですが「雨降ったから行けなくなりました」「・・・・は?」
みたいな意味不明なやり取りも珍しくありません。
パンの取り置きなんて、
レストランの予約の数倍軽視されてるのは目に見えてます。
例え「てめぇ、ふざけんなよ!!」的に電話越しに喚いたって、
向こうが払ってくれなきゃ料金はいただけないですし、
普通にキャンセル料の話をしたヌーダさんが逆ギレされてるわけです、
下手にこっちが声を荒げようもんならネットで何書かれるかわかりません。
どうせ都合よくボロカス書かれて、状況も把握してない馬鹿どもが飛びついて、
書いたほうは慰められ満足、飛び付くほうもネタが転がって来て満足、
とばっちり受けるのは、ただ真摯に準備して来店を待っていたお店の方。
こんな不条理な関係、ありますか?
で、またこういうヤツに限って自分の行いなど顧みず、
抜けぬけしゃあしゃあと知った風なこと書いとるわけですよ。
見てるのは客側だけじゃありません。
もちろん店側だってお客さんのこと見てるわけです。
ま、僕はtwitterもFacebookもしないのでわかりませんが、
僕らだって店から一歩離れれば一ネットユーザー、
情報など皆さんと同じく平等に把握できるわけですから、
誰が何言ってるかだってほぼ一致するわけです。
ころころ名前を変えてたってね。
ホント思うんですよ、「客ログ」作ったろかって。
そのほうが一部の勘違いと一部の非常識によって、
「お客さん」と一纏めにされ制約を設けられる、
健全に飲食を楽しんでくださってる方々にとっても良いと思うんですけどね。

ま、話は逸れましたが、レストランのキャンセルの件は、
ちょうど今月号の某誌にも掲載されてまして、その内容というのが、
「ドタキャンした客の実名恥さらしに共鳴!」という、
なんともタイムリーなもの(笑)
オーストラリア、シドニーの高級レストランのシェフが、
年末の繁忙期に連絡も無く予約のキャンセルが相次いだことに嫌気が指し、
数名の実名をSNSでツイートした模様。
すると他のシェフも追随して、恥さらしがネット上で繰り広げられたんだそう。
これを聞いて皆さんはどう思われますか?やり過ぎだと思いますか?
僕らなんて頼んでもないのに、住所、電話番号、
実店舗名挙げられた上に点数までつけられてるんですよ?(笑)
ちなみにオーストラリアでの客側の反応はほとんどが好意的なんですって。
一方で「高級店なんだからそれくらいで騒ぐな。」
「人気店なら売り上げには影響ないはず」という声もやっぱりあるわけです。
「そうだ、そうだ!」と仰る方、その意見は尊重しますが、
是非ともシュクレには来ないでいただけるよう心から宜しくお願い申し上げます。

こういった試みに対して、いろんな声が上がるのは理解できなくもありません。
ただ、どこのだれがこんなことやりたくてやると思いますか?
シドニーではドタキャンを恐れて「予約不可」のお店が増えてると聞きます。
そこまでに至った経緯を含めて、シェフをそんな行動に走らせた経緯も含めて、
日本でも同じことが行われてることも含めて、ちょっと考えていただきたい。
なぜならシドニーのこの記事、ヌーダさんもそうですが、
大きく共感してる日本人シェフは山ほどいるはずですから。

最後に、
別にお客さんを非難したいわけじゃないんですよ。
こんなん書いて「すっきりした!」っていうほど人間堕ちてません。
良いお店は共有したい、皆さんがそう思うように、
良いお客さんは共有したい、僕はそう思うんです。
何度も言ってるように、店は優秀なスタッフだけでは育たないんです。
良いお客さんについてもらって初めて良い店へと導かれるんです。
うちは、良いお客さんに足を運んでいただき、
自分たちがやろうとしてることを応援していただいた結果、今があります。
そのお客さんに、「こんなお店もあるんですよ」
「こんな熱いシェフがいるんですよ」
「このお店、勘違いされてますけど本当はこんなこと思ってやってますよ!」
などと、ここで他店のことばかり書いてるのは、
やはり「良いお客さんを共有したい」との想いからです。
良いお客さんには良いお店を知ってもらいたい。
良いお店には良いお客さんに行ってもらいたい。
「良いお客さん」とは、頻度でも、支払い金額でも、何時間喋ったかでもなく、
どれだけ店のことを理解しようとしてくれてるのかという、
「姿勢」なんじゃないかって思ってます。
「良い店」も同じく、知名度でも、売り上げでも、店舗数でもなく、
自分の仕事に如何に真摯に取り組むかという、
やっぱり「姿勢」なんじゃないかなって思うんです。
もちろん価値観は人それぞれ。
強要もしなければ、ましてや万人共通の正解でもありません。
ただ、その姿勢を持った双方が交われば、
双方間にリスペクトが生まれ・・・何てことは淡い夢物語なんですかね・・・。

単なる1つの小さな問題提議。どう取るかは受け手の自由。
毎度のことながら、
ちょっと考えるきっかけにでもなっていただければ幸いです。

最後まで飽きずに読んでくださった方々、
長々とお付き合い、ありがとうございました。

ちなみにヌーダさん、
訪問時に「3月、4月がオススメです!」と仰ってました。
告知、ギリ間に会いました(笑)
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by monsieur-enfant | 2012-03-18 22:32 | 薪焼きレストラン ヌーダ