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なないろめがね

2次元から3次元へ。

パリ滞在最後の夜。
昼間の「SEPTIME」同様、
この日はパリの「今」を少しでも覗ければいいな・・・ってチョイス。
実は違う店に行こうと思ってたんですが、
世話になってるヴァッスール氏から、「ガッカリするから止めとけ」と言われ、
急遽変更したのが今晩のお店。予約が間に合って良かった・・・。

オデオンからお店へ向かう。
この日は、初めて食事に行く・・・というか、
まともにお話するのも初めての方とのdiner。
「是非いろいろ話がしたい」と名乗りをあげてくれたパン職人さん。
面識はあったので「はじめまして」じゃないんですが、
なんかぎこちない挨拶を交わしながら、
オシャレなお店が立ち並ぶ界隈を歩きます。
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「あれ?」
完全に通り過ぎたみたい。
「でも、それっぽいお店無かったしなぁ・・・」と、
今度は住所を頼りに探してみる。時間も結構ギリギリでしたし。
「あ・・・・あった」
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自信を持って通り過ぎたお店でした。
店先のガラス越しに服が掛かっていたので、
てっきり閉店したブティックかと思ってたら、お客さんの上着だったんですね。
そんな分かりにくい「それっぽくない」出で立ちのお店の名は、
「Agape Substance」(アガペ・シュプスタンス)
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えっと、まずは安定性の悪い椅子で、
後ろにひっくり返りそうになるという洗礼を受けるとこからスタート(笑)
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ここのシェフは、20歳のときに働き始めたアルページュで、
21歳のときにスーに昇格、その後ピエール・ガニェール、ランブロワジー、
アヌシーのマルク・ベラ、そしてスペインやニューヨークを経由して戻って来た今、
経歴は二の次でも、そのスピードったら半端ないっすよ。
だって、それでも今まだ31歳くらいじゃなかったっけな・・・。
僕もね、29でお店を始めるまでに9年間の時間がありまして、
そのうち最初のお店で4年間、その後の残り4年で5店で働くというハイペース。
放浪っぷりだけでは負けてないんですけどね(1年業界自体から離れてます)。
東豊中とか門真とか行ってる僕とはスケールが違い過ぎます(笑)

連日大賑わいの理由の1つに、シェフの類い稀な経歴や料理もありますが、
もう1つの大きな特徴の1つが、「保健所の許可、おりんの?」ってな印象の、
客席と繋がったキッチンなんです。ホントに地続きです。
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「キッチンから続く、対面するカウンター」なのか、
「シンプルに長いだけのターブルドット」なのか・・・。
戸惑いながらも、すでに上がりまくってる、お店のボルテージに身を委ねます。
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ビーツのフィルム
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あ、言っておきますが、もうほぼ料理は覚えていませんので、
基本、画像メインでお送りしたいと思います。

ちょんっと。
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これはグリーンピースのシフォン。
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下は、軽石。

お、今度は何やろ・・・
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また、ちょんっと。
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ちょん・・・結構続きます。
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なんかの天ぷらだったような・・・。

やっとここで「料理っぽい」お皿の登場。
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トマトと・・・ブラックオリーブとバジルのソルベ・・・だと思う。

ワインは料理に合わせてグラスでチョイスしてもらいました。
どんな料理かは来ないと分からないので、こっちで選びようもないですしね。
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また、ちょん。
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小さな試験管からスープが注がれ、
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とてもキレイな色合い。
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イチゴのスープだったような。

マグロのミキュイ。
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湯葉と何か。
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徳利で注がれる豆乳のスープ。
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スープもの、2種目・・・。
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牛タルタルとフランボワーズの組み合わせ。
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パン、素敵な仕上がり。
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温泉卵と・・・なんとか。
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鰻ですね。ソースは胡麻。
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今度は蓋開けて注がれる系。
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うわ、もう全然覚えてない・・・・。
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イカでしたね、イカ。
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ん~~~~~、全然分かんない。
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豚。
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48ヶ月熟成のコンテ。
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ここからデセール。
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何かが紫蘇だったような・・・。
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カフェ、飲んだっけな・・・・。

これだけの料理が、滞ることなく、そこそこのペースで出てきます。
合わせてワインも頼んでいるので、若干目が回ってくるというか、
一皿一皿は、あんまり覚えてないというのが感想です。
さらに、メニューには内容は表記されておらず、
各お皿の象徴的な食材のみが記されていて、
客側は運ばれてくるまでどんな料理が来るか分かりません。
ま、運ばれてきてもよく分からないお皿もしばしばでしたが・・・。
ただ、かと言って印象が薄いお皿ばかりなのかと言うとそうではなく、
一皿に盛り込まれた思考や、丁寧な仕事の施された料理は、
十二分に驚きや喜びを与えてくれます。
お店のテンションやモチベーションは相当高く、
そこに「さて、どんな感じやろ」みたいに受身で入ると辛いかと。
一緒に楽しもうと前のめりで行かないと、
いちいち「量が少ない」とか「皿が多い」とか気にしてては勿体ないです。
映画にもいろんな映画があり、日本映画の楽しみ方や心への残り方と、
ハリウッド映画の楽しみ方と心への残り方が違うように、
「どうやって伝え、どうやって楽しませるのか」っていう着地点が違うものを、
単純比較も肯定も否定も出来ませんよね。
好きか嫌いか、合うか合わないかであって、良いか悪いかは全く別問題。
僕も、この日はたまたま、久しぶりに話ができる同業者との席で、
会話から相当テンションも高かったので店のテンションに乗れた感じ。
「苦手」な部類に入るお店ですが、単純に「楽しかった」です。

そして一番感じたのは、
ここだけに限らず今回の旅で行ったお店全てで感じたことですが、
ザックリとした言い様ですが、料理は日本人でも作れると思います。
それだけレベルは上がってますし、
個人個人のポテンシャルやキャラクター、アイデンティティの違いはあっても、
もう国籍の違いなどは料理の差にはならない時代だと痛感しました。
もちろんフランス料理ならフランス人がアドバンテージを持ってますし、
日本料理をフランス人が解釈し表現するのは難しいでしょう。
でも、時代はそれを「言い訳」としか取らなくなっています。
選んだのならば国籍を問わずその舞台で闘えるだけの機会は与えられています。
現に、アガペ・シュプスタンスの料理を日本人が作ってると言われたとしても、
今はもう驚きません。それだけのスキルを持った料理人は少なくないと感じます。
ただ、「料理は」と限定したのには訳があって、
フランスにあるレストランと闘える料理を日本人が作れたとしても、
フランスにあるレストランと闘える「店」を日本人が作るのは難しいと感じたからです。 
最後に行ったアガペ・シュプスタンスもそう。
先に書いたように、技術、創造性共に、
非常にレベルが高いことは前提にしても、
日本人でやれるキュイジニエはいると思います。
決して彼のお店を軽んじてるわけでは無いので、
「同じようなことを」という言葉を足しておきます。
でも、あの「お店」を日本人が作るのは難しい。
店に溢れる活気、勢い、高いテンション、
日本では感じたことの無い「店との距離感」。
それは形は違えど、地方のブラッセリーでも同じことを思いました。
馴れ馴れしいわけでもないのに距離はなく、
他のお客さんと接してるのを見てるだけでも幸せになる景色。
これはもちろん店側の問題だけではなく、
それを上手に楽しめるスキルを持つ客の少なさも問題なのは事実。
「お店」とは、店と客・・・というより、
その空間を共有する全ての人たちで作り上げていくもの。
お手並み拝見的なつまんねぇ「自称グルメ」な客たちや、
店との距離感を勘違いした「自称良い客」気どりの客たちが、
店の成長やモチベーションの維持を妨げてるばかりか、
勘違いしたダメな客のモデルを作り、後に続かせてることを自覚しない限り、
なかなかああいう景色は見れないんやろなぁ・・・と思うわけです。
食べログなどの出現は、
レビュアーの感想の中で知識や経験や情報を共有でき、
一気に底辺の層を引き上げたことは功績に値するのかもしれません。
好きじゃないコンテンツですが、プラスを生みだしてないとは言えません。
ただ、そこで生みだされた新しい価値観で店を見るお客さん方、
そろそろ・・・というか、
いい加減「成熟」に向かっても良いんじゃないかなぁ・・・って思います。
店だけが良くなってもダメです。客も良くなっていかなきゃダメです。
ホントにね、前にも一回書きましたけど、
「店でこんな感じやったのに、匿名ならこんなこと書いてる!」なんていう、
「客ログ」書かれたら一たまりもなり方、少なくないですからね(笑)
あのね、せっかくスキルのあるお客さんは、
「良いお客さん」の手本になって欲しいわけです。
それは必ず遠くない未来に繋がるはずです。
スキルがあるのに、それをひけらかし「他の人とは違う感」を出しても、
店の本質を理解せず自分のペラペラの物差しを押しあて計っても、
それが出来るということはもしかしたら「優れたお客さん」なのかもしれませんが、
その優れたお客さんが必ずしも「良いお客さん」ではないことが現実ですよね。
なんかね、「たくさんのお店に行かれてる・・・のに」とか、
「プロ顔負けの知識を持ってる・・・のに」とか、「のに」を付けざるを得ない、
「勿体ないなぁ・・・」と哀しくなるお客さんが未だに少なくないですよね。
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「食」は素敵です。
「食」は素晴らしいです。
「食」を本当に愛してるのでしたら、その全ての人たちが、
「食」にも愛される人たちであって欲しいなぁって、切に切に願います・・・。



さ、そんなこんなで、
短かった滞在の長かったブログも最終日の朝を迎えました。
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何度迎えても、どんなに晴れ渡ってても、
強烈な寂しさに包まれる最後の朝日・・・。
今回の旅で一番多く歩いた、ホテルから駅まで向かう5分くらいの道。
いつも忙しなく歩いてたこの道を、
まだ人通りの少ない朝にゆっくり歩いてみると・・・。
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駅前ということもありますが、同じ通りにパン屋が5軒!!
これもパリならではの風景ですね。
その足で向かったのは、この駅。
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初日から当たり前のように来て、
そしてまた明日も来るのが当たり前のように過ごしてた時間も今日が最後。
何かが終わるってのは、
今年大阪でも知人のお店が何軒か、
その場所での営業を終えた時にも感じましたが、
時間であれ物体であれ、
継続することを疑わない惰性の中では気づけなかったことを、
改めて再確認させてもらえる一つの節目ではあると思います。
でも、この店をどんなに好きで、この街をどんなに好きかなんて、
その都度締め付けられるような寂しい想いをするくらいなら、
この先何度も確認されなくてもいいやって思ってしまいますね・・・。
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シェフの自転車にお別れを告げ、
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スタッフ用のお土産を紙袋いっぱい買って帰ります。
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今回の旅ではいつも以上にお世話になったので寂しさもひとしおです。
「一年後にまた来るんだろ?」・・・って言うけど、
また一年は来れないわけだし、イレギュラーだらけの僕の人生、
一年後に来れる確約を自分で出来ないのが哀しいわけです・・・。

製粉会社さんから粉をいただいたりと荷物が大幅に増えてしまったので、
急遽、カバンを買って帰るという予期せぬ出費もありました。
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で、出発までそんなに時間あるわけじゃないんですけど、
哀しいかな、こういうとこで迷うんですよねぇ・・・。
「もう、大きけりゃええやん!」って思うんですが、ヘボ過ぎるのも勿体ないし、
「どうせなら日本でも使えるような・・・」ってなると値段も上がりますし・・・。
結局、ここで予想外の時間と出費のロスをすることになりました・・・。

泊ってたホテルの最寄駅からホテルまでの道中、
「こっちのが近いんじゃないかな・・・」って、
常々思ってたルートが一本ありまして。時間の無い最終日、
最後の最後にチョイスしたそのルートで出会ったのが、このお店。
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なんとなく、フラフラッと引き寄せられて入った店内に驚愕。
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あっち見ても、
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こっち見ても、
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「大・中・小」と「白・黒」はあれど、生菓子がこの広い店内に一種類!!
他は何故か大ぶりなブリオッシュだけという潔さ!!
この何だかモコモコしたユルキャラ染みたお菓子の名は「メルベイユ」。
簡単に言うと、ムラング シャンティを横向きにして、
周りをシャンティで覆った素朴なお菓子。
つまり、ムラング→シャンティ→ムラング・・・周り全部シャンティ。
そして、味の違いは白か黒かのチョコの違い・・・のみ。
厨房はというと、ラックに大小のムラングが焼かれているのがストックされてて、
それをおもむろに先の順序で仕上げていく・・・・のみ。
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働いてる女の子のテンションがめちゃくちゃ低かったのも頷けます(笑)

そしてそのお菓子の名前を冠した「オ メルヴェイユ」という潔い店名に惹かれ、
パリ最後のお菓子は、なぜかメルヴェイユになってしまった・・・というお話。
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食べる前はメルヴェイユというお菓子を知らず、
食べた瞬間は、「なんか食べたことある!」と、
初食にして懐かしさを覚える味に、若干の感動すら覚えたものの、
何のこっちゃない、「ムラングシャンティ食ってら思うやろ」と、すぐに我を取り戻す。
でも、このメルヴェイユ、実はベルギーにも同じく「メルヴェイユ」で売られてるくらい、
昔からある由緒正しき懐かしお菓子だったんです。
周りにたっぷり塗られたシャンティは、
野暮ったくもあり温かくもあり、垢ぬけ無さもあり懐かしさもあり。
ベルギー・・・・にもあったってことは、
こりゃいつか逢坂シェフに言ってモンテベロに並べてもらわなきゃいけませんね(笑)

さ、どうでしたか、皆さん。
やっと終わりましたね(笑)
もう最初に何書いてたか覚えてないんじゃないですか?
僕はもう覚えてないですね、正直。
短い滞在時間でしたが、
自分が見てきたフランスを通じて、
皆さんが何かを感じてくださったなら嬉しいです。
フランス編はここで終わりますが、
フランスを宿したパンやお菓子という食べ物を通じて、
ブログでの文章や画像同様、
フランスを届けたいと思い続けて営んでる店は岸部にあります。
今度は2次元じゃなくて3次元にて発信してるフランスに、是非触れに来て下さい。
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成田から羽田に向かうバスで食べたおにぎり、
「わ!マジうめぇ!!」と感じてしまった自分にちょっとガッカリ・・・(笑)
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by monsieur-enfant | 2012-12-13 16:40 | フランス 2012

ある雨のパリの昼下がり

あ~~~~~、本当に年末までかかってしまってる・・・。
今回を含めて、あと2話で終われる目途は立ってきましたが、
他のことのアナウンスが出来なくなってるのが困りものです・・・。
では、「フランス編」、もうしばらくお付き合いくださいませ。

この日は、パリ滞在最終日。
ちょっとだけパリの「今」を感じたくて、昼夜共に予約していきました。
その「お昼の部」は、こちら。
「SEPTIME」
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シェフは、「ジュエル ロブション」や、前に書いた「アルページュ」出身。
今、最も勢いのあるお店に数えられる「アガペ」のシェフを経ての独立。
外見はいたってシンプルですが、店内は「オシャレ感」が半端ないです。
なんて言いますか、カッコいい家具がどうこうとかじゃなくて、
人間でも居るじゃないですか、頑張ったオシャレじゃなくて、
さりげなくセンス爆発みたいな、本当のオシャレさん。そう、そんな感じ(笑)
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働いてるスタッフさんも、採用基準に「容姿」もあるんじゃないかと思わせるほど、
タイプ別スタイルの良い男前さんが何パターンか揃ってます。
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テーブルもシンプル。大きなクリップに挟まれたメニューがお出迎え。
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初めてみたお水。
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「変わったお水やなぁ・・・」と思って裏返してみると、
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いやいやいやいやいや!オシャレ過ぎでしょ!
自家製のガス入りで、瓶に店名って!!・・・・いつか真似しよ(笑)

とか言ってる間に、店内は満席。
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キッチンのテンションも上がってきました!
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イチヂク、フレッシュマッシュルーム、ビーツ、ビゴール産の生ハム
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散りばめられたリコッタが良い繋ぎ役。

雑に切ってあるパンが旨かった!!
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メインは豚で。
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お皿は両方とても美味しかったです。
バランスがとてもよく、ソースというより食材を当てて食べさせる今のスタイル。
でも、味、印象共に軽過ぎず、お昼から楽しい時間をいただきました。
次は、夜に来てみたいなぁ・・・。

デセール!らぶり!
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なんかね、なんか一種類、相性の悪いもんが入ってまして、
3回に1回くらいの割合で、「!!」って薬品みたいな苦酸っぱいのが当たって・・・。
そこ以外は、美味しくいただきました。あれは何だったんだろ・・・・。

お昼から贅沢な時間にすっかりご満悦。
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「パン、美味しかったけど近所のパン屋さん?」と聞くと、
「一個先のメトロ上がったとこの広場にある薬屋さんの隣のパン屋」と、
丁寧だかなんだかわかんない感じでしたが、
こんなザックリしてるんなら行けばわかるやろ・・・ってことで、行ってみました。
が、結構薬局ありますやん!!(笑)

ここかな・・・と覗いては「絶対ちゃうわ」ってお店ばかり。
本場パリと言えども、
「美味しいオーラ」を発してるブーランジュリは少ないもんです。
「あ、ここも隣に薬局があるわ・・・」と、見つけたパン屋さん。
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横に周り込んでみると・・・・・、
「あった!!セプティムで見たパンだ!!」
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これこれ、これを探して雨の中を一駅歩いて来たんです。
・・・・・と、「岩永さんですよね?」
「?????」
「以前・・・・」
「あ~~!はいはい!え?これ君が焼いてんの!?」
そうなんです、セプティムで唸らされ、雨の中探しに来たパンは、
偶然、知り合いの男の子が焼いてたパンだったんです。

彼がパリに来る前にシュクレに来てくれて、
その後、僕がパリを訪れた際、彼の働くお店に顔を出したのがきっかけ。
ま、そこで彼のオーナーと喧嘩して出てきましたけど(笑)
でもまぁ、まさか彼がこんなとこで働いてるとは思わず、
顔を見てもすぐにはピンと来ませんでした。
で、彼もそのオーナーと喧嘩になったようで(笑)、
奥さんの出産を機に(妊娠だったっけな?)、帰国することを決めたようです。
あれ?当時「あと一ヶ月」って言ってたから、もう帰ってきてんのかな?
どこでどんなお店を開くのかは分かりませんが、
絶対旨いパンを焼いてくれると思います。皆さん、ご期待あれ。

別れを告げると「これ、よかったら食べてください!」と、
手渡されたバゲット。
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フランス生活が長くなると、
雨の中でも裸でバゲットを普通に渡してくるようになるんですね。
先っちょが濡れてシナシナです(笑)

さ、そのままタクシーで向かったのは、もう一軒パン屋さん。
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ガンベッタにあるこのお店の店主さんは、
実は昔、僕が住んでた「プラス ディタリー」にあった人気店のオーナーシェフ。
よく店の前を歩いて出勤したものでした。
「デュ パン エデジデ」のヴァッスールさんも、
確か少し学びに行ってたと思うんですが、本当に美味しかった印象があります。
もうお歳を召されてるので引退したんですが、数年前に突然再開。
その知らせを受けてから、ずっと行きたかったお店なんです。
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店内は、焼き上がるパンやヴィエノワズリーの良い香りに包まれ、
特にPAINが素晴らしく美味しそうな色とフォルムでした。
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中に案内してもらって見た生地は、
ヘニョヘニョでとても気持ちよさそうな生地でした。
リラックスした表情で、成形を待ってます。
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で、ニョニョニョッと成形されて焼かれたバゲット。
この適当さ加減が、実はスゴイ大事だったりするわけです。
クープが元気に開いてないなんてしょうもない定義は二の次三の次。
だって、刃が取られちゃうような緩々の生地なんですもん。
だからこその食感の対比。皮がパリッ!の後に中身がスーッと溶けていく。
そして喉から小麦の香りがストレートに抜けてきて鼻孔でブワッと広がる。
「キレイかどうか」よりも「旨いかどうか」が、絶対的に優先順位は上でしょ。
僕は「キレイなパンを焼く職人」って言われるより、
断然「旨いパンを焼く職人」って言われたいと思います。
もちろん、両方兼ねれることが一番ですけどね。
ここのバゲットは、間違いなく「旨い」バゲットでした。
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そして、焼き上がったばかりのバゲットを、また雨でも関係なく裸で渡される。
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今度はシナシナになる前に食べちゃう作戦。
三分の一くらい食べなあかんけど・・・・。

さてさて、この日の午後から翌朝までで最終回となります。
書くほうも読むほうも、「やっとか・・・」ですね(笑)
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by monsieur-enfant | 2012-12-05 20:34 | フランス 2012

優しい魔法に包まれて。

よく晴れた月曜日。
この日は、モンテベロの開店時を共に闘ってくれた、
パティシエールのきりちゃんが、
せっかくの休みの日に僕と遊んでくれた有り難い一日。
まずはランチから・・・ですが、この辺、通りの風景が似たり寄ったりで、
周辺で30分近く迷ってしまいました。
っていうか、そこら中に立ってる警備員はおろか、
警察だって「そんな店、知らない」っていう始末・・・。
実際、本国においての「三ツ星」って、
それくらい一般人にはかけ離れたお店なんでしょうね。
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「あ!」と、この壁を見ただけで、もう分かられた方もおられるかもですね。
そうです。店が店だったため、さすがの僕も30分前くらいに到着してたんです。
・・・結局、プラマイ0でしたけど。
「レストラン アルページュ」
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今回、そんなに「どこどこ行くぞ!」と意気込んできたわけじゃなく、
どちらかというと、久方ぶりの「パリ」というお風呂に、
ゆっくりじっくり浸かって帰るというコンセプトだったんです。
でも、きりちゃんも僕も「行ってみたかった」ってとこが一致しての初訪問。
滑り込みで参加してきた、パリに来てたスタッフの大遅刻で幕を開けました・・・。
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きりちゃんとは一昨年からパリでの食事を待ちわびてたのですが、
僕がなかなかパリに辿りつけず、ようやく・・・の食事となりました。
そんな一日のスタートを、シャンパーニュで景気づけ。
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Dejeuner des jardins.
「菜園の昼食」なるランチコースをいただきます。
野菜のカナッペ風
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マスタードのアイスクリームをそえた、ガスパッチョ。
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カナッペでのんびりスタートしたのに、急に「レストラン」に胸ぐら掴まれる感じ。
ガスパチョは普通に旨い。マスタードのアイスも単体でもそこそこ。
ただ、合わせて食べた時に走る戦慄・・・、これが三ツ星たる所以か。

パンは、最近の流れでは、
グランメゾンでもデカいパンをスライスすることが多くなってます。
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ワインは相談のうえ、サンセールに落ち着きました。
ホント、「困った時のサンセール」ですね・・・。
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今回は、トマトがやたらと出てきます。
これも「3種のトマトのサラダ」。はい、普通に美味しいです。
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次は、メニュー名に「Sushi・・・」とあったように、
中にはビネガーと合わせたご飯が忍ばされ、野菜で包まれてるわけです。
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「違う!鮨じゃないんだ!鮨と比較するもんじゃないんだ!」
日本人としてのDNAと闘いながら食べる。
いや、似て非なるものであって、しかも全く奇をてらってない。
必然のバランスがそこにはあって、素直に旨い。
ただ・・・ちょこちょこ顔を出すDNAがさぁ(笑)、
やたらと「鮨」と比較したがるわけです。哀しい性と言いますか・・・。

表記は「アルルカン」・・・でも「菜園の昼食バージョン」ってとこかな。
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何て言うんですかね・・・・独特の美的感覚なんでしょうね。
小さくとか、細かくとか、そういう切り方をしてるわけでもなく、
結構ざっくばらんな大きさであったり切り方であったり。
決して「繊細」という見た目では無いんですが、
それでもお皿の上で否応なしに魅せられる「美しさ」。
そして、味覚構成はいつも極めて繊細でエレガント。・・・なんかズルい(笑)

トマトのコンソメに浮かんだ、4種類の野菜のラビオリ。
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これはね、食べる順番に結構印象が左右されてしまうわけです。
僕は意外と良い順番、味の弱い方から順に食べれたので良かったです。
スープももちろん言わずもがなの美味しさ。

フラン・・・だったかブルーテだったか・・・。もう記憶も曖昧です。
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そこに無造作にボンッと乗せられるのは、
ニシンのフュメの薫りを移したクレームフェッテ。
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そして、メインに選んだのは珍しく「ヒラメ」
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ま、夜のことも考えてはいたものの、
先にガッツリ系を取られてしまったというのが正直なところ。
これもね・・・見た目なんだか頼りないですけど、
なかなかこのクオリティの皿は食べれないですよ。

続いてミニャ。リンゴで作った花弁がシャレオツです。
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リュバーブのソルベ。
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う〜〜ん、全然普通に美味しかったんですが、
リュバーブっぽくは全然なく、完全に和梨のような印象。

「わ!これ、来んの!?」
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だって、チラチラとデカミルフォイユが、
あっち行ったりこっち行ったりしてるの見えてたから、
てっきりあれがデセールだと思ってたのに!
ここで名物の「リンゴのタルト ブーケ仕立て」が来るんだったら、
せめてミニャにリンゴの花弁、混ぜないで欲しかったわけです!!
一度欠片を見てるので、感動半減なわけです!!
・・・・と言いたい気持ちを抑えながら、にこやかにお皿を見守ります。
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食べてみて「やっぱりさ・・・」と、沸々とさっきの思いが蘇る。
造形に比べて、食べてみると・・・「リンゴのタルト」なわけです。
どう考えてもビジュアルが大きな割合を占めてるこのスペシャリテ。
「だったらさあ、やっぱりさあ・・・・」ってね。
やっぱミニャにちょろっと混ぜちゃアカンよね・・・。

単純な疑問。・・・・毎年、一年限りなの・・・かな?
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カフェをいただいて、この素敵な時間の終焉です。
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と・・・思ってたら、狙いを定めたきりちゃんの視線が一向に外れない。
多分、「あれが食べれる」と確信を持っていたであろう、
スペシャリテのデカミルフォイユ。
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ね、本当にデカいでしょ?
僕らのテーブルには来てなかったものの、
アラブ系の石油マネー所持者と思われるテーブルや、
中国のお金持ち親子と思われるテーブル(カルトをガンガン頼んでた)には、
巨大なミルフォイユが運ばれて、その場で必要量カットされる光景が、
幾度となく繰り返されてるのを見せつけられていたわけです。
その瞳の奥には、「喰わずに帰れるか・・・・」くらいの、
執念めいた意志がメラメラ宿っていたので、
「・・・えっと、・・・・食べて行こっか?うんうん、食べるよね、そりゃ」
ってなことで、持ってきてもらったのが、こちら。
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かっる~い!なんちゅう軽さ。こんなエアリーなフィユタージュは初めてです。
ま・・・後は特筆すべきものは無いですが、
「今作って今挟んだ」という鮮度の与える儚さというインパクト。
飲み干してしまってたカフェも、フィユタージュの破片が喉に当たって、
カハカハしてたのを不憫に思われたのか、足していただきました。

楽しい時間はあっという間。
なんていうか、ま、「余裕」と言いますか、
めちゃくちゃ肩の力の抜けた三ツ星ですよね。
「パリで三ツ星を!」ってのを楽しみにしてる方にはオススメしません。
もっと過剰に「パリ感」を感じれる華美なレストランはいっぱいありますから。
でも、先に書いたように、独特の空気感はアルページュならでは。
「ガッツリ作り込んでます!」っていうより、
軽やかに優雅に気ままに、と言った感じでコースが流れていきます。
それは一枚のヴェールをかけられたような、
心地良い魔法をふんわりかけられたかの如き時間。
それは食後すぐくらいに、シャツにジーンズにサンダル姿、
かの井上陽水の「お元気ですか~?」を、
彷彿させるような軽さで入店してきたアラン パッサール氏を見て、
「カッコええ~!」と思わされてしまったことでも、
如何に「マジック」をかけられてたのかが分かります。
冷静に考えたら、全然カッコ良くない登場でしたから(笑)

それから一つ、今更ここで「アラン パッサールはね・・・」なんて、
薄い知識で軽々しく書くつもりもありませんが、
これだけはちょっと許せないと思うのが、、
このレストランを「ベジタリアン」などというチープな表現で括る輩が多いこと。
野菜が主役と言うのは情報だけに留めておいて、
目いっぱいアルページュの世界観を楽しむことが大事なんじゃないかと。
固定概念や一方向からの情報で物事を見ても、
立体的に捉えられることなど何もないですからね。

とりあえず、やっと来れました・・・。
僕が初めて勤めた「フランス料理店」のシェフの出身店に。
「フランス料理」に触れ、「フランス」を目の前に押しつけられ、
僕の脳裏に、常に「キュイジニエ」を意識せざるを得ないような、
そんな出会いをくれたお店のルーツに、遅ればせながらやっと来れました。

一つ、喉に刺さってた棘が取れたような気がしました。

さてさて、最後のミルフォイユが実はお腹に結構なダメージを与えている中、
次に向かったのは、とりあえず行ってみた「デ ガトー エ デュ パン」
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うん、年々惹かれなくなってる・・・。
オープンしたての頃は、惹きつける引力があったんですけどね・・・。
パンもお菓子も全く触手が伸びず。連れてったスタッフが数個買うに留まる。

そこから数分のとこにある、エルメのお店へ。
お腹いっぱいでも、やっぱテンション上げられますね。
ここで何個か買ったお菓子と、さっきのお店のお菓子を食べるのに、
暇そうなカフェを探して交渉(笑) 食べて良いって承諾をいただきました。
遠慮なく、関係ないカフェでお菓子を広げるの図。
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ま、この日がパリ滞在最終日のスタッフがいたので、
僕もきりちゃんも、それに付き合わされた感はあるんですが、
それにしても最初から戦意喪失のお菓子の数・・・。
「美味しそう」と、「食べれる」とは全く別問題ということを、
一口食べた瞬間に知らしめられる・・・。ギブアップです・・・。

もちろんギブアップと言って戦線離脱することを許してもらえるわけもなく、
振り分けられたノルマを淡々とこなす時間を強いられるのでした。

しかも・・・というか、よりによって・・・というか、
この日の夜に予約してるお店が、ガッツリ系ビストロ。
10年前、現ランデブー デザミの大谷シェフが勤めてた際、
現HAJIMEの米田シェフと食事に行く約束をしてたビストロ。
修業先のロワールから向かおうとしてた米田シェフは、
まさかのストに襲われ、パリへは来れず。
当時めちゃくちゃ勢いのあったビストロの中に一人投げ込まれた僕は、
借りてきた猫のように小さくなり、
残ったのは、その勢いと熱量にただただ圧倒されたという記憶のみ。
初めて「ビストロ」という文化に触れた、
というより飲み込まれた、思い出のお店。
その名は、「ラ レガラード」
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内装は未だに当時のまま。
ここが、瞬く間に埋まっていく人気店。
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相変わらず、頼んでもないのに持って来られるのが2種類。
パテは、そのままドン!好きなだけ取って良いんです。
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10年前は、頼んでも無いのに持って来られた代物に対して、
「あの読めなかった前菜は、これやったんか・・・」と勘違いし、
「こりゃゆっくり食べてたら食べ終わらんわ」と思って、
必死で食べてたという苦い思い出もあります。
もちろん「もうおしまい」と取り上げられましたけど。

コルニッションだって、ちまちま取りませんよ。
ポットごとテーブルに置かれて後は放置!パテはしばらくすると回収されます。
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パンも、こうです!だって、ビストロですから!
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そこにワインと前菜が来ると、必然的にテーブルはこうなります!(笑)
そりゃそうでしょ!だって、ビストロだから!!
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さて、興奮して順番が逆になりましたが、前菜はこちら。
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ジロールだらけとパクチーだらけ。
旨い。本当に素直に美味しい料理。
・・・が、やはり「今」なのかな。
10年前のシェフは、今のビストロブームの仕掛け人でもある、
現「Le Comptoir (ル・コントワール)」のイヴ・カンドボルド。
働いてた頃の大谷シェフからは「毎日、戦争みたい」と聞いていた武闘派。
ただ、そんな熱気もろとも皿の上に「おらっ!!」と乗せられてた印象。
歩くだけでも席にぶつかるほど密集した店内で、
読めやしない手書きの文字でびっしり書かれたメニューから、
一体何なのかも分からぬままやっとの思いで選んだ料理が、
ご機嫌なムッシュたちの笑い声の中をすり抜けて運ばれてくる。
もちろん、僕の経験値も相当低く、
圧倒されてたことでイメージ先行になってることも否めないが、
それを差し引いても、今は僕が描いてた「ビストロ」ではない。
誤解のないように付け加えておくと、今のシェフに変わった今も、
パリ中心部に新店を出すほどの人気店。
なので、勝手に僕が抱き続けてた「ラ レガラード」の面影を、
今のシェフに押しつけるほうがナンセンスなんです。
それは分かってるんです。比較したりするのは本当に好きじゃないですし。
ただ、単純には目の前のお皿を楽しめないほど、
僕の中での当時の「ラ レガラード」は強烈な印象を残してたんです。
僕に、本当の「フランス料理」を突き付けてきたお店でしたから・・・。

何度も「もう、いらないの?」とお皿を下げられかけながらも、
「いや、大丈夫!食べますよ!」とダラダラ食べてたのは他でもない、
理由はケーキの過剰摂取。単純に腹部の容量のキャパオーバー。
「やばい・・・もう本当に食えないかも・・・」と思いながらも、
運ばれてきたのが、こちら。
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もう何の肉だったかも記憶にございません(笑)
いや、本当に美味しいお店なんです。
僕の勝手な想い出と、ケーキの過剰摂取さえなければ、
もっともっと楽しめたはずなんです。
ただ・・・、無理矢理デセールを流し込んで、
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「もう一滴も入らない・・・」と言いながらカフェを飲みほして、
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言うても料理の皿数にしたら、前菜とメイン。2皿です。
19時に入って、出たのが11時半くらい。2皿に4時間半・・・。
その間、ず~~~っと少しずつ食べてました
どれだけキツかったかお察しいただけるかと思います。

なんてことない話ばかりでしたが、
なかなかじっくり向き合って話す機会の無かった、きりちゃん。
変わって来た部分、変わらない部分、変わりかかってる部分、
言葉の端々からいろいろな感情が迸っていて、
聞いてるだけで「充実した時間をパリで過ごしてるんやなあ」と、
嬉しくなりました。
昔から、放っといても自分が納得するまで止めない子だったので、
僕から何か言うとかよりも、自分が納得出来るか否かだけの問題。
好きなだけ挑んで、踏ん切りがついたら帰ってくればいいんです。
フランスでしか出来ないこと、いっぱいあります。
フランスでしか過ごせない時間、いっぱいあります。
今は「点」をいっぱい集める作業が大事で、
その「点」に意味を求めるのは先の話。
とりあえず手当たり次第「点」を集めておけば、
これから先の未来の中で、不思議とそれらが結びつき、
勝手に「線」へと繋がっていきます。
その「線」になる素をたくさん集めて帰って来て下さい。
どこに居ようが応援してます。
・・・落とし所を見失ったので、
タイミング良くきりちゃんが載った記事を貼付けときます(笑)
きりちゃん、一日付き合ってくれて本当にありがとね!
Gros bisous
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by monsieur-enfant | 2012-11-21 05:33 | フランス 2012

日曜日の過ごし方。

この日は日曜日。
フランス滞在も折り返しを過ぎ、ちょっと寂しさも芽生えてきだした頃。
だからと言って、ゆっくりしてる暇はありません。
日曜日はお店の休みも多く、選択肢が非常に限られます。
その中でオススメは「ベタなパリ」を満喫する日に当てること。
ベタは休みません!ベタは定番であり永遠ですから!

・・・と言っても、疲れが出てるのも事実。
今日はパン屋さんも休みなので朝は遅め。
いわゆる「ブランチ」的なものをいただきに来たのは、こちら。
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知名度抜群の「シェ ミッシェル」のすぐ横並び、
セカンドメゾンの「シェ カシミール」です。
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ここの狙い目は、なんと言っても土日限定のヴュッフェ。
確か朝の10時くらいからスタートしてるんじゃないかな?
ただし、予約は必至。この日も、運よく予約なしで入れたのは数組。
GARE DE NORDから近いので、結構デカイ荷物を持った人たちも、
残念ながら入れなかったりします。

もちろん外も良いんですが、
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外は子供連れが多いので、
ゆったりブランチを楽しみたい方は、中の方がオススメです。
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めちゃくちゃ可愛いんですが、結構節操無いので(笑)。

さぁ、ではでは、
あまりパリの街場では見る機会の少ないヴュッフェをご覧ください。
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こっちは、前菜取り放題的なスペース。
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サラダ系が多いですね。
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「肉が少ないな・・・」と、迂闊にパテとか多く取らないでくださいね。
そこは「シェ ミッシェル」直系のお店。胃の奥にドスンときますよ。

そして奥には、たっぷりデセールのスペースが。
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ここは食後のお楽しみとしまして、まずは一回目のお皿の完成。
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そして雰囲気抜群のパンコーナー。
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パンは、「シェ ミッシェル」で作ってる自家製のパンです。
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見た目はへっぽこですが、美味しかったですよ。

・・・・と、席に戻ると。
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おもむろに、たっぷりのビシソワーズ(ポットの中ね)。
プラス、ムール貝が熱々で有無を言わさず提供されます・・・。
これ、セットの中に含まれてるらしいので、
量の加減を考えないと痛い目にあいます・・・・・あいました。

でも、ここだと不慣れな観光客の方々も、
自分の目で見てメニューも決めれて、
尚且つ量も加減して食べれるので絶対オススメです。
いろいろ迷いながらお皿に取っていく行為は、やっぱり楽しいものです。
お野菜もたっぷり採れて、スープにパンで、結構お腹いっぱいになりますよ!
しかも、この後にはデセールも待ってるんですから、
確か28ユーロくらいだったと思うんですが、十二分に満喫出来るはず!
・・・・・って、おいおいおいおいおい。
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先、教えといて!
鳩ですね、鳩。しかも、たっぷり鉄分を感じる「ちゃんとしたほう」の鳩。重い・・・・。

ただ、それでもデセールは食べたいわけで・・・。
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プリンなんかも食べたいわけで・・・。
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もう・・・・お腹いっぱいです・・・・。ごちそうさまでした。

ちょっと朝から食べ過ぎたので、ふらっと散策します。
GARE DE NORDの近くの建物に立ち寄ってみると、
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入ってビックリ、マルシェだったんですね。
ここ、結構品揃えも良くて、駅も便が良いので、
修業時代はあまりこの辺の印象が良くなかったんですが、
案外暮らしやすいのかな?って思いました。
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さぁさぁ、ここからいつものサンマルタンに向かいます・・・が、
いつものとこよりもっと上の方(パリの地図だとね)へ行ってきました。
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デカイでしょ!広いでしょ!僕も今回初めてここに来ましたけど、
右見たら船、
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左見たらシネマ。
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川幅もホントに広い。
パリにこんなとこあったんですね・・・。
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ちなみに、この季節になると設置されるコイツ。
何だかわかりますか?
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正解は、簡易トイレ。正確には簡易過ぎトイレ・・・。
川辺でお酒飲む人も増える季節、そこらで用を足されたら困るわけですよね。
・・・・とは言っても、もうちょい何とかならんのかいな。

そんなこんなで、運河をぐるっと一周。
暑さに負けてここでもビールに手を出す・・・。
駅周辺でやってた、そこそこ大きなブロカント(骨董市)を眺めた後、
その足で次に向かったのは、パリ中心部。
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働いてた店がすぐ近所だったため、いつもここには歩いて来てました。
なので、最寄駅となる「シテ駅」に降り立ったのは、この日が初めて。
なんか、かっこいい構内ですね。

地上に出ればすぐ目的地が見えると思ったんですが見えず、
あっち行ったりこっち行ったり右往左往してると見えてきました。
今回の旅ではサクレクール寺院をガッツリ見た以外は、
エッフェル塔も凱旋門もチラ見程度。もちろん、ここは今回お初。
3年ぶりに対峙することが出来ました「ノートルダム寺院」です!
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やっぱ日曜日となると人が多いですね。
中に入りたかったんですが、
なんせ半端ない行列が出来てたので回避。
後日また訪れることに。

とりあえずノートルダムと挨拶だけ交わし、
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橋を渡り「ケ モンテベロ」を通り過ぎ、
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一応、古巣にも寄ったんですがあまりの変貌ぶりに、
ショックでアップ出来ず(笑)、そこから、ちょっと裏通りへ。
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やたらジェラートを食べてる人が多かったので探してみると、
ここでした。
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店内はやたらポップ。
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種類も彩りも豊富。ジェラートとソルベからチョイスします。
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そこで2種選ぶわけですが、盛り方がシャレオツ。
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色とりどりの組み合わせのお花が、次々と作られて手渡されていきます。
そのたびに周りからも歓声が上がり、みんな笑顔で去っていきます。
僕のは確かマンゴーとヨーグルトだったと思います。美味しかったですよ!

ジェラート食べながら歩いてても、
やっぱ9月頭のパリはまだまだ暑いわけです。
乾燥してるからベタつきはないんで過ごしやすいんですが、
やたらと喉が渇きます。
かと言って、そのたびビールってのも芸がないですし、
なんならビールよりもっと爽快感といいますか、
スカッとしたい願望が高まってくるわけです。
で、昼間っからモヒート。
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完全に方向性間違えました(笑)

さて、そこから晩御飯の前までの時間、
少し時間が空くのでまたまたセーヌ越え。
今回パティスリーがあまり登場しませんが、ここは欠かさず来るお店の一つです。
「パン ド シュークル」
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いやぁ、ビックリしましたね。
入ったらトゥレトゥールばっかり。
「あ・・・・夕方だからこういう業態にしてるのかな・・・」と、
自分を納得させるための理由を探してみるが分からず、
「あの・・・お菓子は無いんですか?」と聞いてみると、
「隣にありますよ」とのこと。慌てて外に出て隣を見てみると・・・
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移転してました!ってか、全然知らなかった!
めっちゃ立派になってるし、店の前にテーブルまで用意されてるし!

前までは、さっきの狭いお店に並べられてたお菓子も、
広いお店の広いショーケースにのびのび並べられています。
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アントルメも、こんなに広々。
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以前は、ここで購入したお菓子を、
ポンピドゥーの広場まで持っていって食べるのがお約束でしたが、
これからはここで食べれます。
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ヴェリーヌはさすがに美味しいですね。
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洗練され過ぎず、野暮った過ぎず、
そのバランスの心地良さが、ここのお菓子を好きな理由。
いつも笑顔で迎えてくれるシェフの人柄が映しだされた、温度のあるお菓子です。

・・・・行かないでも良かったんですが、
行かなきゃ行かないで寂しいので、やっぱり来てしまうポンピドゥー。
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このメカメカしさが、男子にはたまりませんね。

そろそろ陽も傾いてきました。
お腹はそんなに減ってないのですが、
「日曜日には、ここ!」と決めてるお店があるんです。
8,9号線「GRAND BOULEVARD」から、すぐのお店。
「RESTAURANT CHARTIER」
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通り沿いからは店が見せないので、最初は分かりずらいかも。
でも、誰もが知ってるお店なんで、聞けば教えてくれるはずです。
中に入ると、こうなってます。あの先にあるのが、お店。
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1896年創業のノスタルジックな店内で繰り広げられる活劇は、
あたかも映画の中にいるかのような錯覚にすら陥る。
テーブルクロスなどもちろん無く、敷いてあるのは紙のクロス。
そして、注文はそこに書かれ、支払いの計算もそこでされるわけです。
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まぁ、とりあえず安い。安いものを置いてるとはいえ安い。
この日のオススメワインのリースリング、確か1500円くらいだったかと。
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料理も店内同様、ノスタルジック。そして安い。もちろん旨くはない(笑)
キャロット ラペ
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ウッフ マヨ
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パテカン
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パン
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エスカルゴ
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ブランケット ド ヴォー
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羊のグリル
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THE B級!!
クオリティ云々は、料理にもサービスにも求めたらダメです。
良くも悪くも、ここだけ時間が止まってる感じ。
そこに自分がトリップしてる感覚を楽しむ空間。
そう、一番ここで味わうべきご馳走は、ここで過ごす時間そのものなんです。
ここを出る時には、お腹はもちろん、空気で胸までいっぱいになってます。
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ちなみに、席数めちゃくちゃ多いので、予約はしないでも大丈夫だと思います。
予約するなら二階席がオススメです。ホントに映画観てる気分になると思います。


さ、この高揚した気分のまま、次はパリの街を走ります!
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・・・・と言っても、全っっっ然借り方がわからなくて、
めちゃくちゃ時間かかりましたけど。
結局、感じ良さげなマダムに教えてもらいました。

毎回必ず行う儀式として、物想いに耽りながら、
ノートルダムからエッフェル塔まで、もしくはエッフェル塔からノートルダムまで、
セーヌ沿いの名所を眺めながらダラダラ歩くという儀式があったんですが、
今回は、Velib(ヴェリブ)でパリの夜を駆け抜けます。
いちいち説明する必要のないようなベタなとこなので、
基本、画像メインでお願いします。まずは、オテル ド ヴィル(パリ市庁舎)。
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そして、昼とは違った表情のノートルダム。
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オルセーは、対岸からの眺めが一番好きです。
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ルーブルのピラミッド。
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ヴェリブを乗る時に一応頭に入れとかなきゃいけないことが一点。
パリでは日本と違って、自転車の扱いが完全に「車」扱いなのでご注意を。
自転車専用通路以外は、走るのは車道ですし(日本もなんですけどね)、
右折も左折も車と同じ車線から行います。もちろん一方通行の逆走もダメ。
ただ、セーヌ添いはず~~っと一本道なので難しくないですから、
夜のサイクリングには持ってこいだと思いますよ。

そうこうしてる間に、見えてきました。
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ヴェリブは一回のレンタルで30分。それを超えると延長料金が発生します。
オテル ド ヴィルからエッフェル塔まで、
ちょくちょく立ち寄って眺めながら走っても30分弱で来れてしまいます。
お世話になったヴェリブを返して、
ようやく今まで遠くから眺めるだけだったエッフェル塔の近くまで来れました。
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今回も上りません。ただ眺めるだけ。
サクレクールも、ポンピドゥーも、オテル ド ヴィルも、ノートルダムも、
オルセーも、ルーブルも、エッフェル塔も、それらを繋ぐセーヌの流れも、
その都度立ち止まっては、その時その時の自分を映して眺めていた場所。
ベタなパリの名所ではありますが、変わらない時を纏い、
僕が「過去」と向き合う時間を提供してくれる唯一の場所でもあるんです。
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セーヌを渡り、少しづつ遠ざかるエッフェル塔を振り返り振り返り眺めながら、
オテル ド ヴィルから始まったこのツアーの終着点へと向かいます。
近いようで、緩やかながら長い坂道が、結構遠く感じさせる道程。
エッフェル塔に向かいあう形で佇むシャイヨ宮。
近くもキレイなんですが、パリの景色をフレームにして眺められる、
ここからの景色がとても好きなんです。
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来年までの一年分の空気を心に溜めこむように、
一回、もう一回・・・・、大きな深呼吸を繰り返す。
そして、目に、心に、この景色を焼きつける。
逢いたくなったときの分まで、寂しくなったときの分まで、ね。
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by monsieur-enfant | 2012-11-04 00:34 | フランス 2012

パリでの、とある一日。

え~~っとですね、
画像が明る過ぎて時系列と記憶のバランスが崩壊したのが、この写真から。
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これ、製粉会社さんに行った帰り。つまり、晩御飯の記事だったんです。
とりあえずサンマルタン添いにて、疲れた身体に麗しの一杯だったわけなんですが、
完全に昼の画像だと思ってまして、「あれ・・・ランチが一回多い!!」と、
軽いパニックになってしまいました。ちょっと早めの夜のお話・・・。

疲れてたのもあって、サンマルタンから数分の「ヴェルヴォレ」へ。
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写真、めっちゃブレてますけど、
パッと見、外も店内も「ワイン屋さんかな?」って雰囲気。
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で、確かワイン屋さんスタートだったんじゃなかったかな?
そこのアテが旨くて・・・で、
しっかり食べてもらえる場所を作ったんじゃなかったっけな・・・。
ま、うる覚えなので忘れてください。
実際、ワインの品揃えは豊富で、
ワインだけを注文して店内や店前で立ち飲みしてるお客さんも結構います。
で、その料理の登場です。
パテはどんどんワインが欲しくなるほど肉々しく、
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パンとの相性もすこぶるヨロシ。
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鳩はムチムチでジューシー。
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さらに、お任せしたワインはハズレ知らず。
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予約なしで遅めのお客さんが来る前までに・・・、
という感じで滑り込んだので、
ゆっくり時間を過ごすことが出来ませんでしたが、
気の合うツレとダラダラ飲みながら美味いもん食って・・・、
ってシチュエーションが、とても似合う良いお店でした。

パリ到着後、アルザス、製粉会社さんと、ちょっとした旅が続いていたので、
この日は帰るなりバタンキュー。早めの就寝となりました。
ですが、早めの就寝にはもう一つ理由がありました。

朝からパリに居るのは、朝4時に到着した初日以来。
パリの景色は、季節、時間、問わずにどれも絵になるものばかりですが、
季節はともかく時間は譲れない場所が一カ所だけあるんです。
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もう、どこだけ分かってる方もおられるかもしれませんね。
僕はね、ここだけは、早朝まだ太陽が白い光を発してる頃、
この時間帯に見るのは譲れないんです。
お昼の元気な黄色い光もちょっとイヤ。
お昼を過ぎてオレンジになっていく光もイヤ。
夕方の赤い陽射しに照らされてるのも素敵なんですが、
ここに限っては、光に色が着いてない「朝」が一番素敵。
それは多分、光の色はもちろんですが、
まだ街が起ききってない澄んだ空気の中に佇む姿も好きなんだと思います。

フランスに来てから、アルザスや製粉会社へ行ってたので、
「パリ!」という景色は皆さんに十分お届けできていませんでした。
さぁさぁ、行きますよ。準備は良いですか?

パリ
満喫っ!!
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ね!ね!満喫でしょ?
飛行機雲が、良い「間」を作ってくれてますね!

ま、サクレクールをキレイに見ようと思うと、
ここまでの距離が良いのかな、と。
近づくとリアルに白くないですからね・・・。
ただ、そこから振り返った時のパリの眺望は、
なんだか時が止まってるかのように静かで美しいです。
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そこから下に降りて帰らずに、
サクレクールの裏側から回って降りることに。
急な坂の中にある地区ってこともありますが、
ここはここで独特の雰囲気があって好きなんです。
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今回も無事に、店名の由来にもなった場所へも訪れることが出来、
そこからランチのお呼ばれの場所へと向かいます。
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そ。おうちです。
お世話になってる、某ブーランジュリの某シェフの自宅です。
貴重な経験なので楽しみです。

部屋は玄関から「成功者!」って感じ(笑)
中も一部屋一部屋、広くてキレイ。
そして、窓からは店が見下ろせます。
・・・が、遊びざかりの子供二人。
もう、その為の家みたいになっちゃってますね。
遊び道具や本でグッチャグチャ。
シェフ自慢の高級オーディオのスピーカーから流れる童謡が、
無駄に超高音質だったのがウケました(笑)

マダムがバタバタとテーブルをセッティング。
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ちゃんとクロスも敷いてくれてます。
オレンジのはメロンですね。
あとは美味しいモッツアレラに、美味しいオリーブオイル。
それをパンデザミに乗っけて食べるだけ。
これ以上、何も要りません・・・。

ここらで可愛い息子さんをパチリ。
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で、家族のアイドルをパチリ。
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本当に可愛いでしょ?
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無邪気で、人懐っこくて、よく笑って、傍若無人で(笑)
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クルクル回る椅子で遊びすぎて、
途中で目が回りすぎてオチたのには周りの大人全員がビックリさせられました。

さ、料理が出てきました。左のはナスです。
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ちなみに料理はシェフが作ってます。
食べるのも飲むのも好きで、お店の情報も詳しいんです。
料理人や菓子職人との交流も多く、結構評価は厳し目。
今回も一軒「行ったらガッカリするから」と言われ見送った店がありました。
もちろん、オススメも何件か教えてもらいましたよ。
食べ歩きもたくさんしてるので、チョイスも信頼できるわけです。

・・・と、皿に今度は肉が乗ります!
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久々に見る、ここまでの「生」(笑)
僕、あんまり気にしませんけどね。
この肉も、付き合いのある業者さんから仕入れてる良い牛肉でしたしね。
さすがにもう一枚いただいたらお腹いっぱい。
・・・ですが、マダムがお手製のタルトを焼いてくれてました。
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ホントにあったかい、家庭の味。
これも、もう一個おかわりいただきました。
食後のコーヒータイムで、昨日の製粉会社のお礼と報告と・・・。
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ホントに家族想いのシェフ。
フランスではこんな感じなのかもしれないけど、
愛情表現がストレートな、すごい温かい家庭に身を置いた温かな時間。
せっかくの休みの日に、負担かけてしまったのでは?と聞くと、
「休みの日の昼は、だいたいこんな感じの食事をしてるよ」って。
…・成功者の余裕を見せつけられた、ある日のランチでした。

さ、羨ましい気持ちは押し殺して、爽やかにまいりましょう。
このサンマルタンの辺りは、お店がいろいろ豊富で、
客層も良いので良いお店が集まってくるんです。
散策するのも楽しい場所ですよ。

レピュブリックに戻って、そこから徒歩で10分かからないかな?
パティスリー 「ジャックジュナン」へ。
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中は無駄に広い・・・。セレブ仕様です。
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ショーケースは、種類は多くありませんが生菓子と、
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生菓子の奥にショコラがあって、
入り口付近にはキャラメルと、
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パートドフリュイ。
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ショコラ、キャラメルは普通に美味しい。
生菓子も、まぁ、結構オーソドックスなのが多いので、
「!!」的な驚きはないですが、安心して楽しめる美味しさ。
ですが、パートドフリュイは美味かったぁ・・・。
ただしお土産に買う際は、夏場だと周りの砂糖がグダグダに溶けるのでご注意を。

あ、観光で行かれる方も買い物は安心して出来ますよ。
片言のフランス語で日本人の僕が話しかけて、
流暢過ぎる日本語でフランス人に返された時には、
一瞬頭がパニックになりました(笑) それくらい上手な方がおられます。

さて、今回あんまりパン屋行ってないんですが、
オススメしてもらったパン屋さんを探しにメトロに乗ります。
降り立ったのはオデオン。日本人が多く陣取る有名なビストロを横目に、
ひたすら坂を上ります。
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久しぶりのパンテオン。昔、働いてた店の裏手に当たります。
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まだまだ暑かったこの頃。
ダロワイヨのジェラートに列が出来てました。
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本当はちゃんとした用があったんです。
珍しくパン屋さんを探しに来たんですが、
歩けど歩けど見つからず・・・。
で、少し秋めき始めたチュイルリー公園で休憩です。
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10年前は、週4日くらいはここを通って、
開店したてのエルメやアオキさんとこに、お菓子を買いに行ってたものです。

さ、日も傾きだしたので、晩ご飯に向かいます。
またセーヌを跨ぎ、確か2番線のANVERSという駅でおります。
「何もないやん・・・」って不安になるような場所に、
更に不安になるような佇まいのお店はありました。
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どうですか、この怪しい佇まい。
アジアとかエスニックな料理だと思ってましたが、
紛れも無くフランス料理なんです。
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入り口がカーテン・・・。
いろんな選択肢がある中での、あえてのカーテン・・・。
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もう「普通じゃない感」がプンプンするでしょ?(笑)

中に入ると、もう暗くて暗くて。
写真がブレてるのは目を瞑ってくださいませ。
入ってすぐに、無造作に土付きのお野菜が放り投げられてると思ったら、
「飾ってる」とのこと・・・。
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店内は、「こんな」感じ。
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もう「こんな」じゃ伝わらないと思います(笑)
だって、向かって反対側の壁は「こんな」感じなんです。
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「統一感」なるものは皆無。あるのはシェフの世界観。
久しぶりに「ヤバいかも・・・」と思わされる店に来ました(笑)
「メニューになります」
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・・・・ヤバいかも、の、「かも」が取れましたね(笑)
テーブルは大丈夫なの?って思うでしょ?
これが全然大丈夫じゃないんです。
こちらが横のテーブルの写真。
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間違い探しみたいになってきましたが、変なとこ気づきましたか?
これ、二人用のセッティングなんですが、
見ての通り、本やら額縁やら何やら関係ないモノが多いんです。
うちなんて二人用のテーブルで、ただでさえスペースがないのに、
「これ・・・置き忘れ・・だよね?」ってくらい邪魔なとこに、
本がセッティングされてるんです(笑)それ込みのセッティングです。

少し暗さに目が馴染んで来て、ひとしきりキョロキョロした後、
今日も暑い中、結構歩いたので、泡でスッキリしようと思います。
さすがにそこで奇抜さは出せないだろうと思ってましたが、
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「ぽん酒学んだ!?」
こんな入れ方しますか?(笑)
なんなんすか、ここ。ちょっと面白くなってきました!

料理は、お野菜メイン。
アミューズはラディッシュから。
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もう詳しい内容はさすがに覚えてません。
ですが、お野菜メインと言っても、
アルページュのそれとは勿論全然スタイルは違います。
店に入ってすぐにあったような、
土付きの野菜の生命力というか滋味深さというか、
非常に力強く、そしてとても優しい料理なんです。
次はマメとオマールだったかな。
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オマールのジュをしっかり吸わせ、
やっぱりそのマメを食べさせる料理。
優しく、力強い。ホント、店の奇抜さとは料理の印象は全然違うんです。

パンは、パンデザミ。やっぱ旨いわ。
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メインはリードヴォー。
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シンプルですが、パリでこれだけガルニが旨いとこは珍しいです。
どっちがガルニか・・・ってくらい、野菜への愛を感じます。

デセール・・・なんですが、
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大体どれ頼んでも、メニューに書いてる素材まんま出てくるパターン。
同席した友人は、死ぬ程プラム食べてました(笑)

はい、楽しかったです。
料理も美味しかったです。
デュパンエデジデのヴァンドウ−ズの方の行きつけらしく、
「彼女、変わってるから変わった店かも」とは聞いてましたが、
完全に彼女が変わり者だということは確信しました(笑)
ま、さすがにカフェくらいはね、ゆっくりと楽しみたいものですよね。
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シェフの作る世界観に、ガンガン脳みそ揺さぶられたわけですが、
まだありました。カフェ飲んで、一安心してる場合じゃなかったです。
あえて書きませんし、写真も撮りませんでしたが、
もし足を運ぶ物好きな方がおられましたら、
見つけれなかったくらい真っ暗な地下への階段と、
これまたぶっ飛んだトイレのフロアに苦笑いしてきてください(笑)
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by monsieur-enfant | 2012-10-26 18:04 | フランス 2012

「いつか」へと続く道。

さて、と・・・、
諸々の発表もとりあえず終わったので、
フランス日記の方を再開させていただきますね。

アルザスから帰ってきた翌朝、いつものようにサンマルタンで朝食。
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いつものパン屋さんは、サンドイッチ担当のスタッフが休んだ時、
代わりに入ったシェフが一言、「面倒くさい!」
これで、カスクルートは販売中止になったそうです(笑)
なので、いつもと違うパン屋さん。普通に美味い。マヨネーズが。

この日は、渡仏前に唯一そのシェフに頼んでた、
「製粉会社に行きたい!」を叶えてもらった日。
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そもそも「美食の国」フランスとは、
腕の良いキュイジニエがいたから呼ばれるようになったわけではなく、
豊かな土壌があって、そこから色鮮やかな野菜や果物が生まれ、
その野菜や果物を食べる鳥や動物、更にそれを食べる獣など、
美味しいものが常に巡る、食材の宝庫だからだと思うんです。
土壌と言えばやはり連想するのはワインなんですが、
もちろん小麦もワイン同様、
直接テロワールの影響や恩恵を受け易いわけです。
なので、日本の国産小麦とは、そもそもポテンシャル自体が違うんです。
ですが、そこはキャラクターや用途で使い分ければ良いと思ってます。
なので、結局は描く終着点の問題。
好みはあれど、善し悪しを比較するのもナンセンス。

参考までに、
僕は、国産小麦には粉に触った際のザワザワとした高揚感を感じません。
腕を突っ込んでみても、とっても静か。尋ねても黙ってて答えてくれない。
粒子が均一で密着してしまい、香りが立たず、大人しい印象。
もちろん、その特徴を生かして使ったりもしますので、
あくまで特徴であって、ネガティブな意見ではないので悪しからず。
ではフランス産ですが、だからと言って良いわけではありません。
日本に多数入って来てる粉も正直ピンキリなので、
「フランス産だから」ではなく、ちゃんと選択することが必要です。
僕が選ぶ基準は、腕を突っ込んだ際にザワザワするかどうか。
粒子が粗く、不均一。表面積が大きくなり、放つ香りのトーンも高い。
いかにも元気でやんちゃそうな子に出会った時は、
作り手として「どうしてやろかな・・・」との高揚感を抑えきれなくなります。

そんな粉が、作られてるのはどんなとこだろう。
皆さんは気になりませんか?
どういう想いで小麦に向き合い、
どういう想いで小麦粉を生産しているのか。
気になったら確かめずにはいれないのです・・・。


この日も晴天。まだ暑かった夏のパリ。
アルザスと同じくGARE DE L’ESTからの出発。
パリで働くパン職人の友人との約束の時間を、丸一時間間違えての到着。
携帯も使えない中、「待ち合わせ場所、間違えたんちゃうかな・・・」と、
ひたすら待ち続ける一時間、正味、地獄でした。
そこからR.E.Rにてパリ郊外へ。
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昨日乗ったTGVと、こんなに格差ある?ってくらい不安なビジュアル。

しかも、ここから小一時間動かない。
アナウンスは「ちょっと待ってね」程度。
正直、行き先も正確に知らないし、
その見知らぬ街で製粉会社の人に迎えに来てもらってるわけで。
・・・と、黙って発車しやがった(笑) 
日本なら、少なくとも平謝りのアナウンスが連呼されるやろうに。
・・・と、次の駅ではまた30分程動かない。
アナウンスは「ちょっと待ってね」程度。
友人も、「40分で着くところが既に1時間半・・・」と嘆いてましたが、
ちなみに僕は既に2時間半経過してるんですけど・・・。
だからぁ!黙って動き出すの止めてくれへん!?(笑)

結局、原因も告げられぬまま、2時間近くかかって到着したのは・・・、
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そこそこの田舎っぷり!
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初めて聞いた駅名。
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なんとも長閑な空気漂う駅前で、「あの人かな?」と、
ほぼイメージで近づいていった老人は完全に人違い。
意外に若い人が迎えに来てくれてて驚きました。
ま、僕の「田舎町→若者が少ない→寂れた製粉工場→ほぼ初老の従業員」という、
勝手な妄想でしか無かったんですけどね。

そこから車で5分・・・と聞いてたけど、とんでもない!
15分はかかるうえに、それは信号が一つも無かったからで、
普通の街並みで信号があれば、優に30分はかかってた道程。
駅前を抜けて少し走ると、こんな感じ。
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え・・・・っと、また少し走ってもこんな感じ(笑)
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いやぁ、ず~~~っと一本道。ただただ一本道。
そして横を見れば、
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しばらくして横を見れば・・・、
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基本、景色一緒です。で、さすがにめちゃくちゃ広い!
十勝も広かったけど、その比じゃないですよね。

で、合間合間にチョロッと小さな集落があって、
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もう着くやろと思ったら、またさっきの景色の繰り返し。

そして、やっと「らしきもの」が見えてきました。
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そうそう、来たかったのはこの製粉会社さん。
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パリでもよく見かけるこの車、「ムーラン ブルジョワ」です。
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ちなみに皆さんピンと来てないかもしれませんが、
このタンクの中には小麦粉が入ってるんですよ。
パン屋さんの厨房まで外からホースを伸ばして、
貯蔵室にホースを接続して流し込むんです。
僕らの頃は1袋50kg、今では「重すぎる」ということで40kgになったようですが、
そんなのを搬入してたら、一回で何往復しなきゃいけないか分からないのです。
フランスのパン屋の粉の使用量は、それくらいケタ外れ。

そして、いきなり奥に通され、責任者の方が自ら案内を買って出てくれました。
上着を脱ぎ、タンクトップで挨拶の席に着く、なかなか気風の良い女性です。
なんかいきなり商談みたいな流れになって驚きましたが、
話が落ち着くと、その方に連れられて製粉工場へと向かいます。
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「立派な建物ですねぇ・・・・」と言うと、
「前に全焼したから」とサラリ。・・・・ちょっとブルーになりますやん。

ここは言わば検査室。
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成分から、実際にパンにしてみての発酵具合まで全てここでデータを取ります。

そして工場内へ。
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いやぁ・・・さすがにキレイ。でもそれは全焼したから・・・。
ま、それは一旦忘れて、やはり規模がデカイ。これでも中規模だそう。
それに、やはり粉の香りのトーンが高い。
湿気が少ないということも無きにしもあらずなんでしょうけど、
日本の製粉工場では、総じてもう少し重くてムワーーっとした香りだった記憶が。

ここでは、いろんな粗さの粒があって、
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上に行ったり下に行ったりを繰り返し、
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それぞれの粉の粗さによって分類されます。
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それを今度はふるいにかけるわけです。
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止まってるように見えますが、この箱が常にブルブルと動いて、
あたかも手でふるってるかのような効果を生みます。

周り同様、敷地内は緑に溢れています。良い環境ですね。
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ちょっと場所を移動して、ここで最終的に分類されるようです。
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ここはまた独立した部屋で、石臼挽きの粉を挽いています。
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中に入ってグルグル回ってるのは、この石臼。
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やっぱりフランスでも石臼挽きの粉は高いみたい。

その部屋を出て、
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あのパイプを通って、
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ブレブレでスイマセンが、この狭い通路を通った先には、
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ここで詰め立ての小麦粉が生まれるわけですね。
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小麦粉が詰められる前の粉袋。なかなか見れないですよね。
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そして、併設のラボを見学。
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機材から何から、ホント懐かしい景色です。
で、何より驚いたのが、ここで焼かれたパンの美味しいこと!
日本でも当然ながら各製粉会社にテストキッチンなる物はあるのですが、
まぁ美味いパンなんて食べたことないわけです。
販促用のパンフレットに写ってるパンも、
「これじゃ逆に購買意欲を削がれるんじゃ・・・?」と、
こっちが心配になるくらい、つまらない表情のパンばかり。
それが文化の厚みだと言ってしまえばそれまでですが、
「製粉会社」という存在の持つ役割や責任が、おそらく根本的に違うんですね。
プライド持って仕事してます。プライド持って粉を作っています。
だから同じくらい、その粉を使ってパンを焼くことにもプライド持っています。
それは表現としてとても大事なこと。伝えるのは実践しかないんです。
粉だけ作って後は問屋に流すだけでは、
届くものも届かないし、伝わるものも伝わらない。
それでは非常に勿体ないと思うんです。

フランスでの粉屋とパン屋の関係は、とてもドライでシビア。
「使う」「使ってもらう」だけの関係じゃなく、
自分たちが作り上げた粉を使う職人にも、技術と情熱を求めます。
でも、そこには、リスペクトと愛情が含まれています。
出来なければ売らない粉もある代わりに、
出来るようになるまで教える制度を製粉会社が持ってるところもあります。
ここ、ムーラン ブルジョワでは、
テストキッチンにて何日かの講習を受けたパン職人には、
独立の際、会社が保証人を引き受けるというのです。
これを聞いた時には涙が出そうになりました。
僕は本当にキツかった。
本当にキツかった以外の言葉が出てこないくらいキツかった。
10年この業界に居ての独立でしたが、
10年居たことでのメリットなどありませんでした。
機材の一つ一つが高く、本当に初期投資額がかかります。
それで借り入れ出来ず独立できない人なんてたくさんいます。
返済がキツ過ぎて閉店してるところもたくさんあります。
修業期間や修業先なんて、社会的信用にはなんら転換されません。
いわば、そんなことしなくたって自己資金さえあればお店は出せちゃいます。
時間や労力を犠牲にし、お客さんに出来るだけ美味しいものを・・・、
そう思って修業に明け暮れなくても、
有望な保証人さえいればお金は借りれてしまいます。
それは今に始まったことではないんです。
つまり、今も変わってないんです。
以前にも書きましたが、
同じく初期投資の高い業種である美容師さんの美容師協会は、
会員になってると独立の際などに、
保証協会に働きかけれるメリットがあると聞きました。
僕らの業界には何かあるんでしょうか?
自分たちが苦しんできたこと、乗り越えたら後は知らんじゃないですよね。
僕は、入ったことも繋がったこともありませんが、
パン業界でももちろんそういった協会はあるそうですね。
苦しい時代を乗り越えた先人達が知恵を絞って、
次の世代に何かの手を差し伸べてあげれてるような、
温かい繋がりや制度が作られてるなら素敵やなぁ・・・と期待してしまいます。
製粉会社さんも、もっといろんなことフランスに学びに行くべきです。
製粉技術だけじゃなく、歴史、文化、ブーランジェとの関係性など。
そういうとこまで理解してお話できる方は少ない気がします。
切っても切れない関係なのは周知の事実。
双方の向上なくして双方の未来は開けないわけですから・・・。

「時間が無いよ」との一言で車に飛び乗る。
別に何時に帰らなきゃいけないわけでもないんですけどね。

もちろん帰りも一本道。
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「あれだ!あれ!」
駅に着くか着かないかで列車がホームにやってきた。
その「あれ」に走って飛び乗れといわんばかりに荷物を渡される。
正直、無理だと思うくらいのタイミングで客人を降ろした彼の最後の言葉は、
満面の笑みでの「Good Luck!! 」
必死に走りながらも、その言葉に食い気味に返した最後の言葉は、
「ざけんなっ!」
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なんとかギリギリで列車に飛び込む。
ネックになったのは渡された、このお土産。
これだけで7,8kg。手提げの部分切れそうでしたもん。
これ抱えて走らされて「Good Luck!! 」は無いでしょ・・・。

ま、いろいろありましたが、良い時間を過ごせました。
こんな時間をコーディネートしてくれた某シェフに感謝。
この間、ずっと僕の想いを伝えてくれた友人に感謝。
そして何より、こんなに誇らしげに、
自分とこの粉を語る社長に出会ったことがありません。
そんな出会いに、心から感謝です・・・。

会社で車に飛び乗る前、最後に質問したのが、
「あなたたちは何を一番大事に仕事をしてるのか?」の問いに、社訓を指さし、
C’est la qualite du ble 
qui fait les meilleures farines.

よい小麦粉を作るには、良い品質の小麦が何より大事なんだ」(ざっくりね)
シンプルにして明確、そして絶対。それが彼らのphilosophie.
この社長や会社の想い、広がる広大な小麦畑、
それらがバックヤードにあるこの粉を是非使ってみたい。
吹田の岸部にある小さな店からで恐縮ですが、
何とかして皆さんにもこの粉を使ったパンを食べてもらいたい。
そう強く強く思わされる、今回の訪問でした。

・・・・と、これだけで終わる僕ではないですよ(笑)
実は、パリでもう一個バッグを買い足してまで持って帰ってきたものがあります。
何だかわかりますか?
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Moulins Bourgeois
 Label rouge 5kg

ムーラン ブルジョワの中でも最高級の、「ラベル ルージュ」と呼ばれる粉。
その中でも僕の最も好きな灰分TYPE-65を、パリから引っ提げてきました!
そして可能性を模索してる最中ですが・・・・まだ彼らとのやり取りは続いてます。
うちのような弱小店舗では正直難しい現実はありますが、
まだ夢は続いています。まだ物語は続いています。
舞台は岸部へと移り、そして「いつか」皆さんの元へと・・・。
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by monsieur-enfant | 2012-10-13 00:33 | フランス 2012

セレスタから電車で30分くらいかな?
10年ぶりのストラスブールに帰ってきました。
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駅は、昔ながらの建物に見えますが、実は周りを覆われた二重構造。
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遠目から眺めると、こんな感じ。
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一転、とても近代的な駅なんです。

ここから、正面の通りに入ります。
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フランスはやはり印象深かったのか、行ったことあるとこはすぐ思い出します。

10年前は、お菓子も食べたし、ワインも飲みました。
無知だった僕はシュークルートとベッコフを同時に頼み、
その為に朝から何も食べなかった空きっ腹に、
「アルザスのワインを!」と流し込み、
男二人で吐きそうになりながら食べたのを思い出します。
でも、今回は時間が無いこともありますが、目的は一つ。
フランスで一番好きかもしれないノートルダム寺院を見るためです。
今まで、ノルマンディ、イル・ド・フランス、アルザス、
ブルゴーニュ、ローヌ・アルプ、プロヴァンスと、
なぜか中央から右半分ばかりに偏ってますが、
いろんな寺院を見てきました(ステンドグラスが好きなんです)が、
その中で、やはりここのノートルダムは別格な気がするんです。
今回のストラスブールは、ここがメインですが、
むしろここだけ見に来る価値があるとも思ってます。

逸る気持ちを抑えながらライン川を渡ります。
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コルマールでは曇り気味でしたが、ホントに良い天気。

前回も危うく轢かれかけた路面電車の「トラム」。
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どこから曲がってくるのか未だに良く分からないのです・・・。

「あ・・・・」と、胸が「ドクン」と音を立てる。
高さ142mの尖塔と、目があった瞬間です。
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徐々に近づいていく「街越しのカテドラル」、
このドキドキ感、嫌いじゃないです。
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気付いてるのか、気づいてないのか、振り向きもしない。
こういう、すました素っ気ない態度を取られるの・・・・、
リアル混じりますが、ほどほどなら嫌いじゃないです(笑)

毎回、真っすぐ歩いた角を左に曲がった、ここから対面するのが僕の儀式。
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そして、圧に押されながらも前に立ち見上げます。
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ヴォージュ山脈から切り出された岩が赤みがかってたせいでの独特の色合い。
鱗のようにも、分厚い皮膚のようにも見えて、
僕にはどこか生き物のように感じるんです。
体温があるような、建物が呼吸してるかのような、そんな息吹を感じるんです。
なので、少し怖いんです。フレンドリーな感じでは近づけません。
また会えた喜びを全身で噛みしめながらも、恐る恐る少しづつ近づき、
見降ろされ、押し潰されそうになりながら中に入ります・・・。
と、そこはまた別世界、そして全く別の景色が待っています。
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神々しくも優しく、穏やかでいながら厳格で、
母親のような父親のような・・・。みなさんはどう感じるのでしょうか?
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ぐるりを囲まれたステンドグラス。一つ一つが大きな窓なんですが、
決して大雑把ではなく、非常に細かい細工になっています。
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ちょいちょい出てきてる、右の豪華な装飾の物体はパイプオルガンです。
大型のパイプオルガンは多々あれど、こういうタイプは稀ですよね。
メインの大きなバラ窓は、直径13メートルもあります。
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入って左隅には、ここだけ自然光の射し込む一角があり、
他との対比か、白く輝く部屋のようにも見えました。
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左前方にず~っと座ってたおじいちゃんが、
キラキラと舞い降りてきた天使たちに、
このまま連れ去られてしまうんじゃないか・・・と、一抹の不安を覚える。
ちょっと白く光り始めてるし・・・。

ここは、入り口もそうですが、すごく繊細な彫刻が多いのも特徴です。
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いろんな想いで灯された火が暗がりを照らします。
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カテドラルの前の広場は、いつもすごい賑わい。
一歩外に出ただけで、すぐ浮世へと引きずり戻される。
同じようなものばかり並ぶ土産物売り場、
センチな気持ちと空気をぶち壊す大道芸人、
ここぞとばかりに店前で売り出されてるパティスリーのジェラートと、
それに群がる観光客の長蛇の列・・・。
人と人が絡み合い、人と人の思惑が交錯する。
需要が供給を生み、供給が需要を生み、
煩悩という名の鈍い火花を飛び散らせながら、
必要とし合い、利用し合い、消費し合った結果、
愚かなモノは滅び、賢きモノは繁栄する。
僕もまた、その摂理の中に身を置く一人ではありますが、
一歩違った中と外、
これほどまでに違う世界になるか・・・と、少々げんなりしてしまいます。

最後に振り返ったノートルダムは、やっぱり大きいなぁ・・・。
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また、必ず帰ってきます。
今度は、あなたの前で弱音を吐かぬよう、
迂闊にも、涙を流してしまわぬよう、
もっと強くなって帰ってきます。
強くなって帰ってきますから。

センチになると、北か川に足を向ける習性があるらしいことに気付く(笑)
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ゆっくり静かに流れる川の流れ。
いつの時代も変わらず街を映し、空を映し、そこに在り続ける雄大さ。
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ストラスブールの観光名所、プティット フランスに到着。
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この一枚は、この旅の中でもお気に入りの一枚。
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無条件でウキウキしてきませんか?
僕は、この中に飛び込みたくなります。

と・・・・、リアルに時間が無いことに気づく。
一軒、寄りたかった土産物屋があったことにも、ここで気づく。
プティット フランスなんて、ゆっくり見て回る余裕はゼロ。
「どんなとこ?」って思われる方は、
10年前の写真で良ければお見せしますので声をかけてくださいませ。
ここから仮に、まったく迷わず店に辿りつけて、
さらに欲しい品物も迷わず見つけて、
すぐ買って駅に向かえればギリ間に合う感じ。
アルザス数カ所回ってきましたが、未だほぼ手ぶらの言い訳は、
「重くて荷物になるし、全部ストラスブールにあるでしょ?」でしたが、
まさかタイムオーバーになるとは思いませんでした。
「帰ろうと思ったら、電車が無くて帰れなかった」とかならないように、
着いたその足でパリ行きのチケットを買ったんですが、
若干ビビり過ぎて、早めの時間で買ってしまったようです・・・。

で、土産物屋を目指してる途中に迷うという最悪の事態(笑)
探すのを見切って駅を目指してからは、
時間との闘いってくらい笑えない状況に。
早歩きというより小走りでしたね・・・・。
感傷に浸る間もなく5分前に到着。そのままTGVに乗り込む。
そして・・・・、気づいたら煌々と明かりの灯る、Gare de l’Estでした。
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パリという現実に降り立った時、
アルザスの記憶は夢だったんじゃないか、
そう思わされるくらい、素敵な素敵な2日間の小旅行でした。

その夢の中に、少しでも皆さんをお連れすることが出来たなら嬉しいです。
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by monsieur-enfant | 2012-10-05 02:52 | フランス 2012

「ツッコミ博物館」

さて、コルマールから電車で30分ほど。
「セレスタ」という街に移動。白くてキレイな駅に降り立ちます。
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えっと、基本降り立つまでしか決まってません。
過去の街も大概でしたが、ここセレスタは全く予備知識がありません。
画像も見たことがなく、知ってるのは「セレスタ」という名前と、
「パン博物館」なるものがあるということ。

候補には他の街もあったんですが、
さすがに頭のどこかに「パン博物館」が引っかかってしまってまして、
それじゃ、無視するわけにはいかんやろ・・・と、
多少の胡散臭さも感じつつ訪れることにしました。
ま、フランスでもあまり聞いたことのない「パン博物館」、
小さな街にあるわけやから駅で聞けば問題ないでしょ。
なんやったらパンフレットくらいあるかもですしね。
「・・・知らないけど。」
早速、問題ありました(笑)
三人に聞いて三人アウト。仕方ないので駅の地図で探すことに。
いやぁ・・・微妙。「La Maison du Pain」という名で発見したものの、
扱いがその辺の知らない建物と同クラス。
幾つかアルザスを歩いてみて、
「メインの面白施設は街の中心にある」という結論に達したので、
駅の地図からとりあえず真ん中を目指すことに。

信号ちっちゃいんですよね。遠くの車から視認できるのかな・・・。
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アルザスとかドイツとか感じさせない普通の街並みが続きます。
と、そこへ、「あった!」 第一関門の「水の塔」です。
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帰国後に調べてみると、今でも街の飲料水を補給する役割を担ってるんだそう。
ちなみに「観光名所」として紹介されてましたが、
周囲に何もないうえに中にも入れません。
ただ建ってるだけといえば建ってるだけです。
「~の塔」といえば、他にも「魔女の塔」というのがあって、
実際に魔女狩りが行われてた塔らしいです(これも帰国後調べ)。
そういうの嫌いです。オカルトとかダメです。お化け屋敷なんて発狂します。

さて、第一関門の「水の塔」を発見したおかげで、
「関門」が無くなってしまいました(笑)
第一しか用意してないというか、別に目印になるようなもにが無いんです。
と、目の前の景色がちょっと変わってきました。
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どうやら目抜き通りらしきとこに入ってきたようです。
周囲はアルザスっぽくなってきましたし、今まで全く無かったお店も現れ、
人もよく見かけるようになり、活気が出てきました。

時間も時間なんで、どっかでお昼でも・・・と思ってたところに、
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良さげなお店と遭遇。席からの街並みもキレイなので、ここでいただくことに。
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「ムニュ テロワール」は、郷土料理のコース。
まずは滞在中のお決まりのクレマン ダルザスで一息。
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さりげなく当たり前にパンのある景色。一人でニヤつく。
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パン食べるの・・・というより、パンという存在が好きなんだと思います。

まずはパテ アン クルート。
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思ってたよりちゃんとしたの出てきてビックリ。
下にはキャロット ラペ他、相当な量のサラダが。

怪しい台の上で取り分けてくれてるのは、言わずもがなのベッコフ。
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ブリキチックな怪しい台の中には、ロウソクが二つ灯されてましたが、
冬場にこの保温効果は期待できないでしょ・・・。ロウソク増えるのかな?

取り分け完了のベッコフ。これで後半量まだ残ってます・・・。
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で、ご丁寧にボリュームたっぷりのサラダ付き。
日本ではこれをお節介と言います(笑)

お決まりのグラスにリースリングをナミナミと。
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でも、今日はデセールも食べます!
その為にコルマールのマルシェで見て見ぬふりしてきたんですから!
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これも思ってたよりまとも。いや、どれも本当美味しかった。
仕事も丁寧。接客もトレトレサンパ。
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来る人、来る人と、握手やハグ。
お客さん同士もそう。多分、昨日もここで会ってそう。
そんな景色を見てると、本当に愛されてるお店なんだなと思う。
それにしてもこっちに来て思うのは、店と客の距離感の近さ。
それは「遠慮ナシ」とか「なあなあ」とかとは違っていて、
店は客を店の一部だと、客は店を生活の一部だと、
お互いがファミリーのように存在し合ってる。
もちろん国民性の違いもあるでしょう。
どこに行ってもせめて一店につき一名はサンパな方がいるのがフランス。
日本では、そんなテンションで接客を回せる人材を探す方が困難。
ある程度の縛りのあるレストランならまだしも、
ほぼフリーなビストロやブラッセリーなどは、
日本人の特に苦手とするジャンルだと思います。
でも、そこはある種仕方の無い部分だと割り切っても、
日本は「店は店、客は客」と、明確に区別していることが問題で、
ある意味何かを共有もしくは共感しなければならない部分すら、
引き離してしまってるような気もする。
時間も空間も、一緒に作ってるのにな・・・って思う。
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あ、話は逸れましたが、これでムニュが29ユーロ。
近くの街に宿泊してたら、ここまで食べに来るかも。
・・・ってくらい美味しかったです。

さ、目的地はここでは無いわけで、
出発前に聞いてみました。「パン博物館って、どこにありますか?」
結構、通り過ぎてましたね(笑) でも、それでこの店に出会えたなら本望です。
一応、ざっくり説明された方向に歩いていきます。
旧市街のような街並みを歩くと、駅周辺とは見違えるような美しい街並み。
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そして、お花は付きものですね。心がパッと晴れやかになります。
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確か、教会がどうとか言ってたような・・・と思ったら見えてきました。
手造りで建てられたような温もりのある佇まいの、サン・フォイ教会。
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今まで何回も教会なるものにはお邪魔させていただいてきましたが、
今回は入れませんでした。それは街の方のお葬式があったからです。
観光用とまでは言いませんが、たまに祈りを捧げている方を見るだけで、
リアルな「生活」の中にある教会の姿を感じる程度。
これだけ生活に密着した使われ方を見るのは初めて。

12世紀に建てられた、この教会。
街の中にあり、市民の中にあり、今も尚その役割を果たしてる姿と、
街中に、この哀しい出来事を届けんかの如く鳴り響く鐘の音が、
どこか泣いてるようで、寂しげで、胸の奥の方を揺さぶられながら、
しばし教会の前で立ち尽くしていました・・・。

と、そう言えば、教会がどうの言ってたけど、
周りには何も無い・・・と思ってたら、もう一つ、さらに大きな教会が。
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こちらはサン・ジョージ教会。1452年に建設されたそうです。
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中に入ると、他とは違った色に包まれてます。
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「へぇ~~・・・、ステンドグラスの色が他と違うのかな・・・・」と思ってると、
ベタに赤とか緑とかのフィルムを貼ったライトで照らしてるだけでした。
・・・・そういうの、やめて。

ここに来て、結構大きな建物も目に飛び込んでくるようになりました。
で、目指す「博物館」、どんな立派な建物なんやろ・・・と期待も膨らむ中。
「あれ?」
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それは、うっかり唐突に目の前に現れました。
正確には、現れたというより気付いたらそこに在りました。
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「La Maison du Pain D’ALSACE」(パン博物館)
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これ、「ちょっとデカイ家!」
それに、「D’ALSACE」とか初めて出てきたし!!
めっちゃ限定されてるやん!!
ある程度は覚悟して来たものの、すんげー小さい。
今はお昼休憩のため灯りも落としてて中もあんまり見えない。
午後のオープンまで30分はある。
どうしよっかな・・・って、さすがにここに来て帰るのは悔し過ぎる。
そうこうしてると、何名か、中を覗いたり、傍で腰掛けて待ってたり。
「あ・・・、もしかしてここはやっぱり有名なパンの聖地みたいな感じで、
アメリカとかから熱心に見に来たとかいう感じなんかな・・・」と、
単にリュック背負った外人さんを、
アメリカからの熱心なベーカーさんに見立てて自らの気持ちを繋いでいました。
14時前には4,5人が開店を待ってる状態で、
「彼は多分オランダからで・・・・、彼はニュージーランドで5年くらいやってて・・・」
と、妄想を膨らませている間に14時になりました!!
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・・・・って、ガチのパン屋!!
普通にパン売ってるし、みんなパン待ってただけやったし、
しかも、「パン博物館併設ならでは」みたいな珍しいものとかも無いし、
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ん~~~、かと言って、変なパンは無くて比較的キレイな成形で・・・・って、
そこ、中途半端!!
ツッコミ疲れも出てきたところで、ふと目をやると受付のようなものが。
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やっぱり、ただのパン屋じゃなさそうですね。
どこがそうなのか見当たりませんが、ちゃんと「パン博物館」は存在してそうです。
「博物館に行きたいんですけど。」「4.6ユーロです」
金、取りますか!?
しかも、金閣寺でも400円ですよ。結構強気・・・ということは、
逆に期待も高まるというものです。
「で・・・・、どこに博物館は・・・・?」
「そこの入り口から入ってください」
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これ、厨房~!!
さっき生地持ってオッチャン出てきてたとこ!
そこに貼り紙してるだけやん・・・。

扉を開けると、ちょっとムワッと発酵臭のするパン屋の厨房。
ま、主には粉を扱う仕事は店内で、発酵はこっちにホイロがあるのでこっちで。
なので、粉が舞ってたりはしないんですが、その同じフロアに、
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こういうのとか、
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こういうのとか、
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こういうのとか、
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実際使ってるのとか(笑)、
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ミニマムな製粉機とかが展示されてるわけです。
展示というか、置きっぱです。
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で、次は螺旋階段を上がります。
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そして、二階以降はフロアもなく、単に螺旋階段を上りながら、
窓際のちょっとしたスペースに展示されてるものを眺めていく感じです。
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こういうのとか、
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こういうのとか、
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実際、貴重な物とかあると思うんです。
間違いなく日常的には見れないものや初めて見た物もあります。
でも、それをそう見せない感じ。いや逆にそれをそう見たい感じなんですけどね。
とかブツブツ言いながら螺旋階段を上って見上げると、
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こぅわっっ!!
ここでマネキンいりますか!?本気で怖いんですけど。
あんまり変わってない売り場の再現とかもいらんし・・・。

さ、最上階に来ますと、ようやくフロアに出ます。
ここは、ようやくまともな展示らしきものも置いてます。
フランス人のセンス炸裂の、ダサ可愛い飾りパン。
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大体のフランス人が動物とか作るとこんなビジュアルになります。
それを爆笑してたら、ちょっと足が細かったとこを指摘され、
「お前の象は、競走用か!(笑)」と笑い返された屈辱を思い出します。
・・・ツッコまれてるけど、字は大きくしてあげません。

あ、こっちは「らしい」と言えば「らしい」ですね。
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さすが本場。いろんなサイズがあるんですね。
あとは、日本でもよく見られるような、
水車とかあるような、昔の生活を再現したミニチュア模型とか、
ちょっとした機材とかも展示してましたかね。
もちろん日本と違うのは、米じゃなくてパンを作って食べてること。
当たり前なんですけど、「こんな頃からパンって作られてたんや・・・」と、
感慨に浸りながらも、何か音がするのでそっちのほうに歩いていくと、
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だから、マネキン要る!?
急に前触れ無しで立ってるから、ホントにビックリします。
完全に無くてもいい感じ。でも、自分もビックリしたから撤去はしないでいい感じ。

音の鳴るほうへ歩いていくと、
そこはちょっとしたスペースに。・・・ホントに「ちょっとした」ですが。
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音の主は、上にあったブラウン管のテレビに映されたビデオ。
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どのくらい上か、そしてどれくらい「ちょっとした」かと言うと、このくらい。
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角度、急ぅ!そして狭っ!
基本、前列しか見れない感じ。
一応、内容はまとも。
小麦から小麦粉になるまでのドキュメント番組を録画して再生してる感じ。
今回、製粉会社への訪問も予定にあるので、良い予習になりました。
で・・・・・、え?おしまい?

そうです。ここからはエレベーターで一階までピューッと降ろされます。
で、勿論さっきのパン屋のフロアに出るわけです。
ちょっとしたサロンがあるのですが、そこも「博物館用」とかではなく、
パン屋同様、普通に近所のオッチャンオバチャンの溜まり場と化してました。

幾分かの消化不良感を引きずりながらパン屋・・・いや博物館を後にします。
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振り返った「パン博物館」の横に並ぶさっきの教会が、
「ごめんやで・・・・」と言ってるようでした。
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by monsieur-enfant | 2012-10-04 02:10 | フランス 2012

おっちょこちょい。

アルザスの旅程は2日間しか取れず、「どの村に行くのか」、
「どの交通手段をチョイスするのか」、「どこで宿をとるのか」、
これは結構重要で、直前まで悩んだんです。
今回立ち寄った街の他にも、リクヴィルやユナヴィルなど、
近くに素敵な小さな街がたくさんあるのが、結構頭を悩ませるわけです。
で、効率も考えて選んだのが、コルマールは素通りして、
初日はカイゼルスベルグをメイン。夜はコルマールに帰って来て宿泊。
そして最終日に朝のコルマール観光からスタート。
セレスタという街に移動して、余裕を持ってストラスブール着。
コルマール→セレスタ→ストラスブールは、電車で繋がってるので安心。
うんうん。我ながら無理のない試合運び。

カイゼルスベルグで歩き倒したので、夜の街を徘徊する元気も無く、
むしろ翌朝に備えて早めに寝ることを選択し、迎えたコルマールの朝。
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ま、早朝ということもあり、めっちゃ静か。
ん~~~、なんか写真で見てたコルマールの景色とちょっと違う気が・・・。
多分、安いホテルを選んだから、立地が街の外れとかなんかな・・・?
と、一旦部屋に戻る。
若干テンションも上がってるのもあり、早く目覚めたこの日。
ちょっくら予定を立ててみる。
・・・ですが、なんせ手元にコルマールの資料が無い。
資料が無いというか、地図も無い。
コルマールに何があるのかも実は知らない。
10年前、ストラスブールには来てるのですが、
その時の印象が、一つの村や街がそんなに大きくなく、
駅があって、そこから遠くないとこに観光の目玉になる場所があって、
そこを中心に街が形成されていて・・・」と、アルザスはそんなイメージ。
なので、とりあえず「駅に行こう!」と。
どこに行くかは、それから考えることに。

「時間があるって良いなぁ・・・」と、
ベッドに横になりながらダラダラする。
「ホテルの朝ご飯を食べて行くのも有りやなぁ・・・」
確か写真で見たらビュッフェ形式だったはず。
大きなクグロフがあったりと、ホテルならではのゆるい朝食も楽しそう。
そこからスタートしても十分間に合います。
「その前に、散歩もええなぁ・・・」
だって、今日の旅のスタート地点のコルマールに、
僕は既にいるんですから!
・・・と、ふとホテルに常備してある、
「アルザス・ホテルカタログ」みたいなのを何気に手に取る。
「へ~」、「高いなぁ・・・」とか言いながら、お気楽にペラペラめくってると、
「あ、載ってるやん!」と、この日の宿を発見。
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そりゃ、載ってるんでしょうけど、こういうのってちょっと嬉しくないですか?
ちょっと嬉しい派の僕は、ご満悦の顔で説明に目を通す。朝の幸せな一時。
と、「・・・・え?」と、我を疑う。
一瞬頭が混乱しましたが、すぐに置かれてる状況が把握できた。
右下の地図、見にくいので解説しましょう。
赤い字で書かれてるのがホテルの名前。赤いポイントがホテルの場所。
・・・・・そして、右にズレたところに薄い字で書いてるのが「コルマール」。
つまり、ここ、コルマールちゃうかった!!
そういえば昨晩のタクシーのおっちゃん、
「コルマールまで」と言ったら、「あ、近くだよ」って言ってた。
てっきりカイゼルスベルグから「近く」だと言われてると思ったら、
この見知らぬ街がコルマールから「近く」の街だったってことか!
そういえば料金も高かった。時間外とか予約車だからとか思ってたけど、
内心は「こいつ、観光客や思うてぼったくってんちゃうやろな・・・」と、
気さくに話しかけてきてくれてたサンパなオッチャンを疑いの目てしまった!
ごめん、オッチャン!ごめん、見知らぬ街!
この街には用は無いんです!僕が行きたいのはコルマールなんです!

・・・と、速攻で荷物をまとめ、「駅はどこですか?」とフロントで聞く。
「駅?駅なんて近所に無い・・・」「いやぁ~!!それ以上言わないでぇ!!」
もう、ここがどこかなど確認もせず、タクシーを呼んでもらう。
「コルマールまでお願いします」と、一路、今度こそコルマールへ。
でも、そのタクシーの中で考える・・・。
昨晩、「コルマールまで」と言いながら、一緒にホテルの住所を見せた僕。
で、「近くだよ」と言われたわけだが、もしそれを見せてなかったら、
おそらく駅前で降ろされてたはず。そしてお望みのコルマールに着いたものの、
お望みの予約したホテルには延々辿りつけなかったわけです。
じゃ、ラッキーだ。うん、とてもラッキーだ。きっと今日はおうし座が一位なんだ。
と、正真正銘のコルマール。
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「わーーーーーーー。」
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「わーーーーーーー。」
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「わーーーーーーー。」
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また、おもちゃ箱の中のような街に来てしまった。
どちらかというと、昨日のカイゼルスベルグより、
こっちのほうが「ハウル」っぽい気もする。大きく分類すると一緒なんですけどね。

地図もなく、目的もなく歩いていると、マルシェに辿りつく。
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あれ?2周年?まだ2周年の新しいマルシェなんですね。
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中は、明るくてキレイ。
通路も広くて見やすくて歩きやすい。
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まだ朝の早めの時間でしたが、そこそこ活気はありました。
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野菜がキレイですね。
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果物もキレイ!
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朝からシャルキュトリーにおばさんたちが並ぶ風景。
日常だからこそ、そこに「生活」という息吹を感じるからこそ、
温かくて微笑ましくて、なんだか気持ちが優しくなります
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近くに来ると臭いですぐ分かるフロマジュリー。
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ブレッツェル三昧のブーランジュリ。
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雑貨屋さんでは、コウノトリがメインキャラクター。
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「荷物になるし、どうせ最後のストラスブールにもあるでしょ」と、
何も買わず退散。結果、時間切れでパリ行きのTGVに飛び乗ることも知らずに。

この街も、至る所にお花が散りばめられている。
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街の可愛さといい、お花の配置といい、
誰かが街全体をプロデュースしたかのように計算されてます。
それを、シレ~~ッと何も考えずやってのけちゃうところが、
フランス人のスゴイとこ。自分たちも楽しみながら、ね。

「あれ?」と思ったら、ロウソクでした。可愛いですね。
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・・・・と、マルシェの周りぐるりにも屋台が並んでいました。
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左の、黒白のおばちゃんの右側にぶら下がってるもの、
「SAC A PAIN」、つまり「パン袋」。いやぁ、思わず微笑んでしまいます。
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基本、パッとしないのがブーランジュリ。それでも人はたくさん来てます。
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この周辺一の大きさを誇るトレーラー店舗。
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こういうのがあれば、いつも遠くから来ていただいてるお客さんの街まで、
たまにはパンを届けに行けるのになぁ・・・。

何気ない無造作なディスプレーでも、ホントに素敵ですね。
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朝ごはんもまだだったんで、イチゴとフランボワーズを購入。
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居ても居ても飽きないマルシェでしたが、また当てもなく歩くことに。
そうすると、必ずありますね、街に一つは立派な教会が。
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この角度、好きなんですよね。
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外から見ると、そんなに大きな印象は受けなかったんですが、
とても立派で、荘厳な教会です。
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この後、若干迷子になり、訳の分からないところに。
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なんか知った気になってどんどん歩いていましたが、
そういえばタクシーで街の中心まで送ってもらったんでした。
可愛い街並みから外れ、見たことのない景色に焦り始めた頃、
懐かしい移動式メリーゴーランドを発見。
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娯楽施設の少ないパリでも度々見てたメリーゴーランド。
子供がこんな単純な乗り物に入れ換わり立ち替わり、
終わっては列の後ろに並びと、キラキラした顔で楽しんでるのが印象的でした。

可愛い街では観光客だらけで、道を聞いても「知らない」ばっかりでしたが、
この辺は家族連れが多く、駅までの道もすんなり教えてくれました。
結局、教会から小一時間歩いて、駅に到着。コルマールを後にします。
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次は、「セレスタ」へ向かいます。
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by monsieur-enfant | 2012-10-02 09:31 | フランス 2012

たなびく旗のように。

さてさて、書く方も覚悟して書いてるので、
読む方も覚悟して読んでください。・・・・というのも、なんせ長いです。
っていうか、良い頃合いで区切れるところが無いんですよ。
なので、朝から夜までを1セットにしてお届けする覚悟を決めました。
フランス2日目(・・・まだ2日目(T_T))、アルザスへの旅をどうぞご覧あれ。


「ま、何なら『行かない』って選択肢もあるよねぇ・・・」と、
前日の夜までぐうたらしてたのは、パリ初日の疲れもありましたが、
チケットもホテルも取ってないという自由な状況がもたらしていたのであります。
「パリもゆっくり出来無さそうやし、行かないでのんびりしよっかな・・・」
そう思って結局、朝8時出発予定が、10時くらいまでダラダラしてました。
そう、フランス2日目、予定では朝からアルザスへと飛ぶ予定でした。
お昼前に着いて、ランチして・・・の予定が、今から出ると、もう間に合わない。
でも、急いで支度すれば、ストラスブールまでTGVで2時間半。
何とか「昼枠」中にはアルザスへ到着できる可能性はまだ残されている。
今決めなきゃ!もう決めなきゃ!時間無いよ!どうすんの?じゃ、やっぱ行く!!
・・・ってな感じで決めてからは、
あまりの時間の無さに泣きそうになりながら(自分が悪いんですが・・・)、
急いで荷造りしてGare de l’Estへ向かいます。
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「とりあえず、今から一番早い切符をください!」
というと、まさかの10分後。効率的ではあったんですが、心の準備が・・・。
こういった、地方へ出てるTGVの発着駅はパリに幾つかあるんですが、
駅はデカイわ、出発地点が意表ついて遠いとこにあったりするわで、
洩れなく何度も危うい目にあってるわけなんです。
ですが・・・今回はすんなり5分前に乗り込めました。
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10年前にアルザスに行った時は、まだアルザス行きのTGVは無く、
えっちらおっちら5時間弱くらいかけて行ったものです。しかも日帰り(笑)
今回はTGV、しかも勿論久しぶりのTGV。テンション上がります!
テンション上がりついでに、「こんなんやったかな・・・」と、
10年前の記憶と重ねながら室内をパチリ。
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「あ!!テンション上がり過ぎて忘れてた!!」
TGVは改札が無くて、乗り込む前に小さな黄色いポストみたいなとこに、
チケットを「カチッ」と差し込まなきゃいけないんです。
「出発まであと2分しかない!!」と猛ダッシュでホームを駆け抜ける。
そしてチケットを差し込むや否や、そのままターンしてダッシュで戻る!
息切れして戻ってきた僕に、「チケット入れるの忘れたのね?(笑)」と、
どんだけ聞くねんってくらい聞かれました。あーそーですよ、忘れたんですよー。
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「・・・・あ。」
5時間だと持て余し過ぎた時間も、2時間半だと寝てる間に着いてしまいます。
アルザスの玄関口であるストラスブールから30分。
目的地のコルマールに着きました。
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今回、コルマールは中継地点。
ここからバスに乗ってカイゼルスベルグという街を目指します・・・が、
探せど探せど、カイゼルスベルグへ行くバス停が見当たらない。
「ここは時間食ってる場合じゃないな・・・」と、
早速駅員さんに聞いてみる。一人目の女性は「バスは分からない」の一点張り。
「いや、間違いなくあなたより分からない人が聞いてるんですけど~~!」
と思ったんですが、時間の無駄なのでサッサと分かりそうな人を探す。
「カイゼルスベルグ行きのバス?ちょっと待っててね」
そう言って、往復のバスの時間帯をコピーしてくれた親切な方がいて、
「これを見ればオールオッケー!」くらいの満面の笑みで渡されたのが、こちら。
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え?なになに!?どこ見りゃいいの?
数字とか多過ぎて全くわからんやん!
・・・そもそもバスは苦手なんです。
以前、金沢にて、自信満々で乗ったバスが真逆のルートを走り、
それに終点まで気付かず、たまたま通りがかった地元の方の車を、
ヒッチハイクして駅に戻った苦い記憶が脳裏をかすめる。
「タクシーで行こっと。」
フランスのタクシーは、初乗り料金が安い。
なので、そこそこ乗っても日本よりは全然安い。
それに、基本自分の車を使ってるので、
車好きの方なら、いろんな車種に乗れる楽しみもあります。
今回はシトロエン。帰りはプジョー。
パリでも、アウディやらベンツやらで楽しませてもらって、
最後の最後、ホテルで呼んでもらった空港までのタクシーが、
まさかのプリウス・・・。

さ、コルマールから30分くらいかな?
2000円くらいで着いちゃうので、バスに自信の無い方はオススメです。
「カイゼルスベルグのどこ?」って聞かれたので、
「とりあえず、真ん中で」と答えて降ろしてもらったのが、ここ。
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「わ~~~~~~~~。」
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「わ~~~~~~~~。」
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「わ~~~~~~~~。」
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「わ~~~~~~~~。」
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「わ~~~~~~~~。」
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・・・・くらいしか言葉が出てこない。
ここカイゼルスベルグは、宮崎駿さんの「ハウルの動く城」の街の、
モチーフになったと言われてる街。はい、来た理由は、基本それだけ。
「なるほど・・・」と思わされる街並みが続きますが、可愛らしい街並とは裏腹に、
幾度となく領土侵略が繰り返された、複雑な歴史を持つ街でもあります。
更に、山間の小さな街ではありますが、
マザー・テレサやマハトマ・ガンディーと並び、
20世紀のヒューマニストとして称さる、
アルベルト・シュバイツァーの出身地でもあります。・・・・あるそうです。

さ、時間も時間ですし、お腹も空きました。
到着したところがレストランで、食べようかと思ったんですが、
ランチは14時まで。・・・・グダグダせんと、あと30分早く出てたら良かった。
周りを見渡しても昼食は続いてるので、どこか良さげなお店を探しに行きます。
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結局、開いてるのはブラッセリーだけなので、適当に入ってみることに。
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朝から何も食べる暇が無かったので、好きっ腹にワインが沁み入ります。
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あ、基本、アルザスではワイングラスはこんな感じのが多いんです。
これ見ると、「アルザス来たなぁ・・・」って思います。
そして、もう一つ、アルザスと言えば、「タルト フランベ」。
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何度も言ってるのでご存じの方もおられると思いますが、
うちのタルトフランベは、「生地を食べてもらいたい」との気持ちで、
大分厚めに作っています。実際はこんな感じで、薄くてペラペラなんです。
見た目はピッツァを連想され、実際そのほうが分かりやすいとは思いますが、
生活の中の役割とすると、どっちかというとブルターニュのガレットに近い印象。
いつでも気軽に食べれるソウルフードで、同じ生地でデセールも普通にあります。
ただ、ガレットとは生地そのものが全然違うので、
タルトフランベの方が当たり外れが多い気がします。ここはまだ当たりの方。
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「タルトフランベ ~」と、やたらメニューが多かったのでよく見てみると、
その半分くらいが、トッピングのフロマージュの種類が違うだけでした。
ですので僕が食べたのは「タルト フランベ マンステール」。
基本のタルトフランベに、数切れのマンステールが乗っけられてる・・・だけです。
が、美味いんですよね~、普通に美味い。これ、大事なことです。

さ、腹ごしらえをしたら、また街を散策します。
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なんせ天気が良くて良かったです。
少し歩けば水の音が聞こえてきました。
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良いですね、こういった小川の流れは本当に心が癒されます。
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しばし、川沿いを歩いてみます。
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水の流れもですが、お花も良いですよね。
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ここは本当にお花が多い街。
道にももちろんですが、見上げるとどに窓にも可愛い花々が。
素敵にオモチャ箱を彩ります。
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ホント、メルヘンの国ですね・・・。
と、少し広い道に出ると、なんだか大きな建物が。
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聞くと、ここがメインストリートの入り口だったんですね。
ま、メインストリートと言っても、歩いて10分ちょっとくらいですけど。

この日は本当に暑くて、
ちょっと歩くとね、やはり喉が渇くわけです。
日本ではあんまり飲みませんが、
こっちに来ると一気に比率が上がるのがビール。
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続いて、もう一枚タルトフランベ。
店によってホントに様々なので、ここのはどうかな?と思って頼んでみました。
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こりゃ、あかんわ・・・。
買ってきて家で作るような、冷凍シートのような生地。
やはりタルトフランベは生地が命。
先に食べたほうが全然美味しかったです。
ね。本当に当たり外れが大きいんです。ちゃんとリサーチしましょうね(笑)

なんかこう満たされない感があったので、ふらっとお店に。
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ま、後でも出てきますが、パリと違うところといえば、
やはりクグロフとブレッツェルがやたらと多いことも、その一つになるでしょう。
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クグロフは、相変わらずやたらデカイのが並んでるのに加え、
10年前には珍しかった極小サイズが増えてました。
ま、どれもパッサパサですけど。
更にブレッツェルは、よく見慣れた通常のタイプに加え、
甘めのブレッツェル、揚げたブレッツェル、なんかチーズ乗せて焼いてるのやら、
無意味にバリエーションが増えてるのは、ちょっと衝撃でしたね・・・。
十年一昔とは、よく言ったものです。

少し傾いた西陽を受けたサントクロワ教会。
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街の真ん中にあり、街の中では一番高い建物でもあります。
入り口では、僕が入る前に入った老夫婦の、
「ここで待っててね」を、
地団駄踏みながら賢く待ってる犬がいました。
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中は、そんなに広くないながら、自然光が入り、厳かながら柔らかい雰囲気。
結構メインで掲げられてるキリスト像ですが、
これ以上寄りで撮るとキツいくらいリアルな描写。特に杭の辺りね・・・。
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協会を出て、またブラッと歩いてると、
ガラス工芸の実演を見れる工房がありました。
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火、ガンガンつけてるんで、部屋の暑さに耐えかねて早々と退散。
晩飯までに行こうと思ってた、街の裏山に行きます。
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街並みの間を抜けると、やっと標識のようなものが。
左側にある小さなグレーの矢印に、
小さく「chateau」と書いてありました。
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街の裏手に外れると、広大な葡萄畑が。
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ぐるりと見渡すと、その向こう側に、小さく城跡が見えます。
目的地は、あそこです!
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・・・と、その前に、本当に美味しそうに葡萄が生ってます。
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美味しいワインになると良いですね。

さてと・・・・、城跡に行くにも道が見当たらない。
キャッキャとはしゃいでる家族連れが居たので聞いてみると、
「そこを真っ直ぐ行くんだよ。で、突き当たったら左に曲がって・・・」
「うんうん・・・」と頷きながら、その「そこ」と指差す方を目で追うと、
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いやいや・・・普通に葡萄畑ですけど・・・。
ま、キャッキャとはしゃいでた家族も、声だけがする中、
突然葡萄畑から出現してきたわけなので、
その辺はオッケーってことですよね。
ということで、葡萄に囲まれながら城跡を目指す。
とりあえず突き当たりまで歩くと、アンニュイな標識のようなものに出会う。
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気にせず、言われたまま左に進路を取ってみる。
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「これ・・・観光用の道なの?」ってくらい、まあまあ険しい。

葡萄畑越しのサントクロワ教会。
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こうしてずっとこの街を見守って来たんでしょうね。

ちょっとしたトレッキングみたいな足場を進んでいくと、
城跡がいつの間にか近づいてきました。
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思ってたより結構距離もありましたね・・・。
迂闊に観光気分でサンダルなんかで登ったら、相当キツい道のりです。
僕も夏用の底の薄い靴でしたし、
以前捻挫した左足首が未だ完治せずグラグラするのと、
初日パリを市中引き回しのように連れ回されたダメージがね・・・(笑)
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「お!」
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遂に、その城跡がその姿を露わにしてきました。

やっと入り口に立ちます。
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中に入ると、さっき教会にいた犬と老夫婦が。
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「いつの間に登ってきたんやろ・・・」との一抹の疑問はありましたが、
なんとなく「登ってきた」という連帯感に包まれる。
だって、そこそこ観光スポットのはずなのに、
他には誰もいませんでしたから・・・。
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塔の入り口は、薄暗くてちょっと怖い・・・。
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なんでこうフランスは螺旋階段多いんですかね・・・。本当に目が回ります
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「お・・・」
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真ん中くらいに外を眺めれる覗き穴が。
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「頑張ろ!」と思わせてくれる景色。
ちゃっかり、おばちゃんと犬が写り込んでましたね。

さ、やっと頂上!かなり急な階段でした!
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・・・・と、さっきまで歩いてた街並みが!
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葡萄畑が!
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見えなかったとこまで!
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まるで、ジオラマ!
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いやぁ・・・、上って来て良かった。
この景色を届けれて良かった。
頑張って歩いて来た甲斐があったというものです。
・・・と、もう一つ、上らなきゃ見えなかったものがありました。
塔を降りて、裏手に回ると、更に上れる道がありました。
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そう、こんなとこにベンチがあったんです!
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座って眺める景色は、こんな感じ!
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そして!上りきったら御褒美で食べようと、
下から持参したミラベルのタルトを頬張る!美味い!
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あ~~~~、幸せ。
ミラベルは美味いわ、景色はキレイだわ、誰もいないわ。
ただ風に吹かれ、ただ雲の流れを追い、
時間と、時代と、歴史と、その狭間で強く生き抜いてきた、
カイゼルスベルグの街を一望する贅沢な夕暮れ。
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猛々しくも静かに、そして誇らしげにたなびくカイゼルスベルグの旗。
この旗のように、風に身を任せれる柔軟さと、
その風に吹き飛ばされない強固な軸を、いつも心に持っていたい。
そしてその旗を、いつも心の奥にたなびかせていられるような、
そんな生き方をしてみたいです。
ふと見たら、心の旗が「へにゃっ」ってなってるような生き方、嫌ですもんね。

ちょっと覗いてみてください。
皆さんの心の中の旗は、猛々しくたなびいてますか?

陽も大分傾き、風が冷たくなってきた頃、
「そろそろ降りよっかな・・・」と思った僕がふと目を向けたそこには、
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城跡の入口まで街から最短距離で来れる道の存在が・・・・。
やはり、葡萄畑は正規ルートじゃなかったようですね・・・。
老夫婦も、ここから上がって来たんですね・・・・。
見なきゃ良かった・・・。

そして街に戻り、
「どうせ美味くないやろ」と写真も撮らなかったブーランジュリをパチリ。
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もし、これきっかけでカイゼルスベルグに行く人がいるなら、
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ここのタルトは買いですよ!ミラベル、ありがとう!

・・・と、「ん?」
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なんか、こないだの柿田川の時から猫遭遇率が上がってるような気がする・・・。
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シャイなのか、目線を合わせそうで合わせない。
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とてもエレガントな雰囲気の猫さん。

カイゼルスベルグ到着時、目の前にあったレストラン、
ランチを逃した悔しさから、勢いで夜を予約。
なので帰れなかった・・・という経緯もあったりなかったり・・・。
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城跡で散々時間を潰してきたのですが、
さっきミラベルのタルトを食べきってしまった満腹感から、
なかなか解放されないまま食事が始まる。

「美味しい!」と感じるパンに出会う確率は、意外に低い。
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カトラリーの「ちょっと斜め置き」は、アルザスではよく見かけます。
ささやかに、クレマン ダルザスで一人で乾杯。
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「アルザスといえば」の一つに、フォアグラ料理があります。
なので、フォアグラのテリーヌを前菜に。
合わせるのは、やっぱりゲヴェルツトラミネール。
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これが、期待してませんでしたが普通に美味しかったです。
ガルニも美味しく、フォアグラとの相性もバッチリ。
食パンみたいなブリオッシュ以外は・・・・ですが。
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隣の席に座った男女計8名の旅行客。
リヨンの近くからアルザスに来られたそうで、とても楽しげ。
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でも、ずっと皆の写真を撮ってる方がおられたので、
「僕撮りますから、入ってください」と声をかけると、
「めっちゃ親切やん、自分!」的なテンションで大歓迎されまして・・・。
グラスが空けば、彼らのミュスカを注がれるという、
「あの、次、リースリングが来るんですけど・・・」とは、
とても言いだせない空気になてしまいました。
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そこへシュークルート!
結構、お腹タプタプなとこに来てシュークルート!
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え~~、ジャガイモの大きさから大体の全体像を連想してみて下さい・・・。
そして、もれなく合わせて頼んでたリースリングも有無を言わさず・・・。
「なんかのペーストなんかな?」と思って、思わずペロッといきかけたのは、
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シュークルート用のマスタード。
ややこしいポーションで出しなさんな・・・。

「あぁ・・・・キツイ・・・・」
苦悶の表情が伝わったのか、さっきのテーブルから声援が飛ぶ。
「あと、ふた口!あと、ふた口!」
そして、それに後押しされてパクッと一口で最後を飾る。
声援が歓声に変わる。・・・・・何これ。俺、何してんの?(笑)

「デザートは?」と、この状況で聞きに来たのは、
「いや、もう頼んでても良いですけど?」と、
「デザートは食後でお聞きします」と言われた後に返した、
食べる気満々だった食前のやり取りに対する当てつけだったんだろうか・・・。

もう何も入らない。カフェすら入らない。
パリ出発直前に手配したコルマールの宿に戻るために、
タクシーを呼んでもらう。

「コルマールまで」と言って渡したホテルの住所を見て、
なんか言ってたのは薄ら聞こえていましたが、
満腹感と、そこそこ飲まされたミュスカのおかげで記憶がおぼろげで・・・。
とりあえず、予約してたホテルに無事送り届けてもらう。
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とにかく疲れた。
昼過ぎに到着したとは思えない疲労感。
そして、なかなか可愛いお部屋で、あっという間に眠りにつく。
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翌朝、衝撃の事実を知ることも知らずに・・・。
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by monsieur-enfant | 2012-09-28 23:58 | フランス 2012