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なないろめがね

カテゴリ:ホール オブ ホールズ 六甲( 2 )

小さな小さな物語

この日は祝日と定休日が重なった日。
そりゃズラしたほうが、お客さんも来てくれるんでしょうが、
なんせシュクレは連休なもんで、ズラすと後もややこしくなります。
ので、普通に閉めました。来てくださった方、今更ですがスイマセン。

ただ、年に数回あるかないかのこんな日。
子持ちのスタッフは、いつもは平日休みなので、
盆と正月くらいしか一日中子供と接することもないんですよ。
ですから「たまには子供と遊んであげてデー」だと思ってご了承ください。

僕もその「たまには子供と遊んであげてデー」に便乗させていただこうかと思うのですが
今日は、生憎の天気。陽が射したかと思えば一転、泣き出しそうな曇り空。
でも、なぜだか数日前から急に「淡路島」の気分。根拠は無し。
車で移動しながら淡路島通のスタッフにメールでアドバイスをもらい、段取りも完璧。
朝から回る順番までアドバイスをくれたスタッフへの、お礼のメールに一言添えて・・・
「雨降ってきたから止めるわ」。どないやねん。
西宮あたりで降ってきた小雨に心がポキリ。
行き先に困った挙句、今日は長女も一緒なので六甲のオルゴールミュージアム、
「ホール オブ ホールズ」へ。
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ところどころというか、ほんっとにごく僅か雪があり、それに戯れる次女。
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光も射さない冬の色の無い景色の中に、慎ましく放たれる「朱」の鈍い閃光。
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ここでオルゴールによるコンサートを聴くことができます。
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オルゴールはね、人が演奏するわけではないのですが、
もちろん録音されてるわけでもないんです。
そういう意味では、今、奏でられてる「生」の音なんです。
「刻まれた生演奏」という、なんともいえないセンチメンタルな空気感と、
切なく、儚げで、心が洗われるような音色が昔から大好きなんです。
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コイツは、オーケストラ顔負けの演奏をします。
皆さんが想像する「オルゴールの音」以外に、
オルゴールはちゃんと楽器で演奏したりもできるんですよ。
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ホントに一度、騙されたと思って聴きに行ってください。
小さなチロチロのオルゴールしか聴いたことの無い人は、
きっと心にまで響くオルゴールの音色に涙すると思います。・・・好きな人だけね(笑)

オルゴールの音に耳を傾ける長女。
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初登場ですね。
先に書いたように「長女も一緒なので」訪ねたオルゴールミュージアム。
彼女、眼も見えませんし、食事も出来ませんし、起き上がることも、歩くこともできません。
もちろん喋ることもできません。
触れられて喜ぶことはあっても、間接的に感じれる機能は鼻と耳だけなんです。

その彼女の名前は、オルゴールに所縁があるんです。
障害を抱えて産まれてくるかもしれないことを告げられ、
不安で笑うことも少なくなってしまった頃、
近所でやってたオルゴールコンサートに気分転換に行ったんです。21の頃でした。
そこで聴いたオルゴールの音色に、久しぶりに笑顔が戻ったんです。
その後、ま、上手くセールスに引っかかり(笑)、
当時にしては大金をはたいて1台のオルゴールと共鳴箱を購入したんです。
胎教にも良いと聞き、少しだけ前向きになれた気もします。
拠り所の無かった僕らには、縋る様な1台のオルゴール。
ショックと不安で名前を考えることすら出来なかった僕らは、
帰り道、そのオルゴールの曲の名を、長女の名に決めました。
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僕はね、これ以上彼女について書く資格も無い父親ですが、
やはりこれだけは言わせて欲しい。
こうして、頑張りたくても頑張れない子もいるんです。
もちろん彼女は彼女なりに、ものすごい頑張り屋さんで、
幾度の辛い手術にも耐えてきました。
でもね、自分で選択したわけじゃないんですよ。
僕がフランスに行く前、死にそうなくらいキツイ毎日を我慢できたのも、
「死にそうなくらいキツイ毎日を、自分で選択すること」が出来ない長女に比べれば
それを選ぶことの出来る僕が弱音吐いてる場合じゃないと思えたからです。
だから腹立つんです。ほんっとに腹立つんです。
選べるし、頑張れる連中が、選んで、頑張らなきゃいけない時に頑張らないのが。
だったらうちの子にその権利を分けて欲しいと思います。
一生懸命生きないなら、生きることに一生懸命になれないなら、
その権利を欲しがってる人なんて山ほどいますから。
「自分なんて」とか「自信ない」とか、何もやってないヤツが並べる捨て台詞を、
うちの子のような子の前で言えますか?
心の底まで映されてしまうんじゃないかと思うほど澄んだ瞳を見据えれますか?
五体満足は、当たり前じゃないんです。
障害者だって、特別じゃないんです。
毛細血管の一つまで繋ぎ合わせ育てるお母さんのお腹の中は、奇跡の空間です。
そこでなんのトラブルも起きずに産まれてこれる事自体が奇跡なんです。
当たり前じゃないんです。頑張れる身体は、当たり前に産まれるわけじゃないんです。
何も欠けてるところも無い有り難味にも気がつかないばかりか、
己の心が欠けてることにも気がつかない愚かさ。
志すものがあることが、どれだけ幸せなことか・・・。
挑めるものがあることが、どれだけ幸せなことか・・・。
思い通りにならないことは全て周りのせい。
居心地が悪いのは、自分に合わない周りのせい。
そんなに都合の良い職場、ないですよ。
現実が気に入らないなら、その現実を塗り替えてしまえばいいんです。
荒波を憂い、言い訳を並べる時間があるならば、
一人で泳ぎきるたくましさを身につけて下さい。
黙って溺れていては、溺れてることにさえ気づいてもらえません。
自力で岸に這い上がれとは言いません。
せめて、もがいて下さい。必死に這い上がろうと、もがいてください。
その必死さに誰かが気づくかも知れません。手を差し伸べてくれるかも知れません。
もしくは手に木の根が引っかかり、這い上がる糸口が見つかるかも知れません。
自分が志す仕事に振り向いてもらいたいなら、
その仕事を「職」として手に入れたいなら、
1、2年、その仕事に捧げずして、そう易々と振り向いてもらえるものではありませんよ。

ついでにもう一つ。
店で配布してる「シュクレ通信」19号(HPからダウンロード出来ます。)
にも書きましたが、うちの販売形態、「ショーケースにパンを入れた対面販売」に
ついてです。幾つかの意図がある中に、
「うちの子のように障害を持った友だちとそのお母さんが遠慮なく来れるように」
との狙いもあるんです。ショーケースに入ってたら安心でしょ?
ね、こうして一つの小さな店にも、いろんなドラマや意図が詰まってるんです。
よく好き勝手に「私は自分で選んでとるほうが好きやわ」って言われる方いますけど、
そういうこと、聞きにきたり、お話したお客さんいませんもん。
そりゃ慣れてるでしょうし、トングとトレイがお好きな方もおられるでしょう。
それはそれでいいんです。ものには好き嫌いがありますから。
でもね、その判断の全てが自分基準。全てが自分の物差し。
何故そうしてるのか、そこに何か意味はあるのか、考えることを忘れてませんか?
「そんなん言ってくれなわからんやん」って仰る方の多くが、
その前にこっちの言葉に耳を傾ける姿勢ではないですよね。
ま、店側が思うならともかく、お客さん側が「お客さん」を振りかざしがちな日本です。
前にも書いたように、店とは人生を切り取った1枚の画。
その画を「見に来たった」と、ズカズカ踏み荒らすのか、
「この画には、どんな意味があるんだろう・・・」と、何か感じようとしてもらえるのか、
店との付き合い方は変わってくると思います。

今も障害を抱えたお子様と一緒に来られるお客さんがおられますが、
やはり棚に陳列されてる店には一緒に入りづらいと思うんです。
うちならショーケースを叩いても大丈夫。一緒に選ぶって大事な時間だと思うんです。
店内のパンの匂い、一緒に嗅げるって素敵なことだと思うんです。
対面販売が苦手な方もおられるでしょう。僕らだって、人件費が3倍くらいかかります。
でもね、そんな店が一件くらいあってもいいと思うんです。
「スタイル」としてカッコつけてやってるわけではなく、
こうした必然的なとこから生まれてることでもあるのですから。
開店資金がギッリギリの中、それでも自動ドアに出来たのも、
そういうことを知ったデザイナーさんが、
車椅子でも入って来れる店に・・・と、頑張ってくれたからなんです。
確かにそれらは一部の方々だけへの配慮になるのかも知れません。
しかし、経験してきた僕らでしか考えれないことの一つなのかも知れません。
長女を授からなければ想えなかったことかも知れません。
彼女が教えてくれたことでもあり、彼女自身の、生きた証でもあるんです。

「ル シュクレクール」という、人生を切り取った一枚の画の中の、
小さな小さな物語でした・・・。
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by monsieur-enfant | 2009-02-26 05:04 | ホール オブ ホールズ 六甲

安らぎを求めて・・・。

パリは、そこにいるだけで刺激があるといいますか、
存在してるだけで、知らずに五感が解放されてるような街なんです。
日々何があるわけではないのに刺激的な街なんです。
・・・・そこと岸部を比べるつもりはありませんが(笑)、
日本はわざわざ足を運ばないと、そういう場所って少ないですよね・・・。

僕にとって、そんな場所の一つがここ。
六甲のオルゴールミュージアム「ホール オブ ホールズ 六甲」。
僕の大好きな場所の一つですね。単純に、昔っからオルゴールが好きなんです。
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ここは一日中、何回もオルゴールのミニコンサートをしてくれるんです。
ただ大好きなオルゴールに囲まれ、その音に心をうち振るわせる・・・。
自分を解放し、ただただ音や空間に身を委ねる、貴重な数十分なんです。
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皆さんが思ってるような音ではありません。
僕が口で説明するよりも、身体で聴いてきてください。
山々も、少しずつですが、秋のベールに覆われていってるようでした。
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by monsieur-enfant | 2007-11-05 05:30 | ホール オブ ホールズ 六甲