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なないろめがね

「世界」の向こう側へ

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本日から、
「Hajime RESTAURANT GASTRONOMIQUE OSAKA JAPON」から
店名を「HAJIME」に改め、細部の調整、変更、進化を携え、
更なる高みへ挑んでいます。
視野は常に「世界」に向けられ、
そしてその「世界」を超えていく為に、
自らの「世界」を超えることを課した、息の詰まるような挑戦です。
そこには一点の曇りもなく、
米田 肇の描く「最高のレストラン」を、
純粋に追い求めようとする飽くなき姿勢のみ。
価格も上がり、よりなかなか行けなくなってしまいますが、
ここに大阪を舞台にして本気で世界と闘ってる料理人がいます。
その意思を、どうか尊重して応援してくださると嬉しいです。

影・・・にすらなれるか分かりませんが、
僕も影ながら、その終わりなき挑戦を応援しています。

「HAJIME」のファンとして。
「米田 肇」のファンとして。そして友として・・・。
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by monsieur-enfant | 2012-05-31 23:10 | HAJIME

ブログが滞ってた理由・・・。
全然時間が無かったのもあるんですが、
こういうヘビーな店を書くときは「えいっ!」と気合を入れないと、
なかなか書き出せないんです。・・・・・だって時間かかるから(笑)
さ、ピクニックの仕込みを切り上げ一時帰宅。
一人4時出勤で仕上げに入るので寝れません。
BBQ、の二の舞は出来ませんからね、マジで。
明日はイベント初の「間に合った岩永」をお見せしましょう!
さ、その前に頑張って書上げてしまおう・・・。
(この後、出勤間際にコテッと寝てしまって、目が覚めたのは6時。
・・・・・結局また皆さんをお待たせしてしまいました。スイマセン。詳細は後ほど・・・)

これはいつごろだったかなぁ・・・・。
なんだかいろいろあったから、だいぶ前だと思ったら、
今月始めのことでした。

夜は1年ぶりかな?
肥後橋「Hajime」
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よその店はシェフだけとかが多いんですが、
ここはスタッフ全員顔馴染みなんで、僕より周りが緊張するんですよね(笑)
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お!久しぶりに見た「パンの舞台挨拶」。
コースの料理に合わせたパンを、こうして最初に紹介して下さるんです。
作り手としては嬉しい限り。
うちのパンも緊張して並んでるようです・・・・が、
僕に僕のパンを見せにくるのも緊張してますよね?(笑)
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「Le Menu nature et dialogue 2009 “自然と対話”」
アミューズからスタートです。
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のっけからエスカルゴとは意表つかれました。
先日のランチといい、以前は若干ぼやけたスタートでしたが、
ここんとこはビシッとピントを定めて来てる気がします。
個人的にはこういうスタートのほうがテンション上がりますね。
トップバッターは大事です。

シャンパンに続いてはロワールやったかな?それ以上は失念・・・。
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お~!遂に姿を変えてきました!
前々回かな?姿を変えずに変化していて度肝を抜かれた卵料理。
卵料理・・・と言っていいんだろうか?まぁ、卵料理には違いないけど・・・。
ずっと繰り抜いた卵の殻に入ってましたが、正に殻を破ったかのような完成度!
あのプレゼンはあれはあれで好きなんですけど、
こうしてザックリ合わせて食べられると表情も全然変わります。

さ、二種のバターとオリーブオイルが運ばれてきたら、
ここらでパンのお出ましです。
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一種目。シャバタに、更にオリーブオイルを追加して焼き上げた「もっとシャバタ」(笑)
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香りとコントラストが増しています。
この「もっとシャバタ」で「もっとチェッカーズ」を連想したあなた、ツワモノですね。
懐かしい!!自分で書いてて超懐かしい!!

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あのね・・・・何がスゴイってね・・・・。
まだアミューズなんですよ!!(笑)
前菜まで辿り着いてないんですから!!
牡蠣と胡瓜の組み合わせ。うん、この発想、何となくわかる。
そこに合わせたのはヨーグルトの乳酸菌の酸味。そこに漂う柑橘の香り。
これスゴイっすよ!!いやホント!
その全てのバランスたるや・・・・いやぁ、ホントに旨かった。

さてさて、ここでやっとメニューに表記されてるものが始まります。
さっきまでのはメニューにさえ書かれてませんから(笑)

mineral
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しばしご自由にご観覧ください・・・・








問答無用の美しさ・・・。
まるで、幾種もの色を湛えたパレットのよう・・・。
一種一種違う火通しで、ランチの80数種に対して100数十種の野菜の数。
その一つ一つの仕事を考えると、止まって手が動き出せません。
凄いというより、凄まじいと言うか・・・・、
この鮮やかさを生むために削りに削られ、研ぎ澄ましに研ぎ澄まされた感性に、
敬意を表さずにはいられません・・・・。

アルザスのリースリング・・・やったかな?
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saba
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はい、鯖です。
三陸・金華山周辺の「金華さば」。
オリーブのソース、トマトと黒糖が添えられています。
撮るの忘れてましたが、鯖に合わせるのは左から二番目にあった「アオサとノアゼット」。
潮の香りと、ノアゼットのコクを合わせてみました。
魚貝全般に強いパンです。

foie gras au naturel
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フォアグラを、パンに見立てたジャガイモで挟んだタルティーヌ。
横はこう・・・。
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相変わらず、ここのフォアグラは旨い・・・。
しかもいろんなアレンジが用意されてるので、回を重ねる楽しみもあります。

ボジョレーだったかな?とてもそんな印象は感じないしっかりしたボジョレー。
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navet et truffe
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かぶですね。ほっくり懐かしい食感に溢れるジュ。瑞々しい!
そこに絡むトリュフはあまり主張せず、優しいかぶを厚い香りで支えます。

そこに合わすのは「しょうがのパン」
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旨い!自画自賛!(笑)
しょうがのコンフィを邪魔にならない程度に練りこんでみましたが、
これがこのお皿にドンピシャでした。ベストカップル賞です(笑)

コート ドュ ローヌ・・・・・辺りだったような・・・
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canard challandais
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これ・・・過去最高の鴨料理でした・・・。ただただ素晴らしい。
この料理になることがわかっているのなら、
「鴨になれ」という神様からの命令も甘んじて受けれてしまうかもしれません。
しっかり皮目を焼いた後、赤外線を使ってゆっくり火を通してるのですが、
炭で焼いた香りが付いてるんですよね。
添えられた柿ともよく合います。

くるみの粉末とくるみのオイルのパン
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そんなに「くるみくるみ」してなくて、
形はないのに胡桃の味や香りを醸し出せるよう作ったパン。
鴨に限らず、そこそこ幅広いメイン料理に対応できるパンです。

fromage
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嬉しいワゴンサービス。
なかなか良い状態のチーズを何種も食べれる機会はないですからね・・・。
で、「全部乗せ」です。
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そこにはドライフルーツの入った「サンクディアマン」、
穀類の入った香ばしい「パン オ セレアル」を合わせてます。
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今日のワインはお任せでお願いしたんですが、
結構、真面目で無難なチョイスが多かったので高揚感は得られず・・・。
そこで「もっと遊んで」とリクエスト。そこで出てきたのがこれ。
甲州 「甲斐ノワール」
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これ、今日一でした。どうしても感じる「日本のワイン」っぽさが全くない。
ブラインドなら絶対わからなかったと思うくらい、しっかりした骨格のワイン。

reine-des-pres
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シモツケソウのアイス。

chocolat
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チョコ好きにはたまらないデセール。
ショコラとカフェの苦味の競演。チュイルはオレンジ風味。
ショコラショーまで付いて、カカオの香りまで満喫。

ミニャ
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一躍、時の人となった米田シェフのサービスショット(笑)

いやはや、凄まじい料理のクオリティです。
人って、ここまで仕事に魂を捧げることが出来るんですね・・・・。
妥協の一点も無い料理を前にして、
今の自分の微温湯さ加減を痛感します・・・・。
それでも尚、「いやぁ、まだまだ・・・」と本気で言ってきます。
このシェフが、「まだまだ」と言ってる間、まだ伸びしろがあると思うとゾッとしますね(笑)
もちろん自分の伸びしろと共に、
「レストラン」としての総合的な伸びしろやと思います。
まだまだ2年目。まだまだ成長し成熟していくことでしょう。
騒動が収まるまで、しばらく行けないですが、
その信念は、変わらず、ブレず、揺らがず、真っ直ぐに貫かれることと思います。
何よりも、何の評価よりも、自分が自分に課したハードルが、一番高いのですから。


この日の夜風はとても気持ち良く、
素敵な時間を過ごせた心はとても穏やかで、
大阪駅までの足取りも軽やかに、
ふと見上げれば空にはキレイなお月さま・・・・。
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そしてこの数日後、
昼間でも眩いばかりに輝く星に照らされる栄誉を掴みました。
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by monsieur-enfant | 2009-10-30 02:06 | HAJIME

孤高の領域へ

なんだか夏のような陽射しの降り注ぐオフィス街。
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岸部から市内に出ると、いつもキョロキョロしていまいます。
いつもと違う景色は、好奇心を刺激するには十分な要素です。

そして、いつもと違う「非日常」を味わいに、肥後橋までテクテク、キョロキョロ。
「レストラン ハジメ」
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ミシュラン前の駆け込みの予約の電話が1日100件近くある日もあるそう。
でもその「とりあえず」的のおかげで、心無いキャンセルも多発してるみたい。
ミシュランの発売により、海外のお客さんも増えた東京のレストランでは、
クレジットカードの番号登録による予約が珍しくなくなってるようです。
そうでもしなければキャンセル料だって振り込んでくれないお客さんもいるわけで。
一部の心無いお客さんの為に、理解あるお客さんに規約を押し付け、
気軽に来てもらえなくなることを米田シェフは懸念してますが、
ある種、仕方のない措置なのかも知れませんね。
自分の店やスタッフも、シェフは守らなくてはいけませんから。
ま、僕はと言えば、そのキャンセルの恩恵に預かっての来店なんですけどね。
喜んでいいのやら・・・。
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席に着くと、何やらお隣から話し声が・・・。「シュクレクール・・」がホニャララ。
広げないでもいいのに話を広げるから、
恥ずかしくて黙ってたんですが名乗らざるを得ない状況に。
どうも前日にシュクレに来て下さってた御夫婦でした。
めちゃくちゃ良い感じのナイスミドル。
香川から車で来て、僕のブログを見てくださってたらしく、
「あなたが勧めるお店だから間違いないと思って」と嬉しい言葉。
香川にはこういうお店はないし、僕のブログを頼りに大阪巡り・・・かと思いきや、
とんでもない!話の端々に「ミッシェル・・・」やら「アルぺージュ・・・」やら出てくるので
聞いてみると、フランス料理が好きでフランス語を勉強してるくらい大好きらしく、
パリに行った時の、三ツ星のアルぺージュに行ったお話をサラッとされてたわけで・・・、
って、僕のブログの情報なんていらんし!(笑)
もうすでに「Hajime」の名前も小耳には挟んでらしたんでしょうね。

debut カボチャ トリュフ ノワゼット
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わ!静かなスタートかと思いきや、優しいカボチャの隙間からエロエロのトリュフ臭が!
印象には残るけどお腹には残らない。スターターとしては最高の一品。

oeuf
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卵のいろんな表情を引き出すために桃のピュレや、エピス風味のクリーム、
アーモンドのローストが入ってますが、ヴィネガーが下のほうにあるので、
勿体無いですが思い切って混ぜちゃったほうが良いですね。
印象がガラッと変わりますから。

シャンパンの後はなんだったけ・・・。
あ、アルザスのリースリングやったかな。それ以上の知識はありません。
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お昼の最初の小さなパンは、バゲットと同じ生地を使ってます。
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オリーブオイルに2種のバターを添えて。
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crevette
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これ、すごかった!「天使の海老」は何度か他店でもいただきましたが、
その「天使っぷり」には「?」だったんですが、これはまさに天使!
真骨頂の繊細な火入れも如何なく発揮。繊細といっても「弱い」ということではなく、
頭の部分は何とも香ばしくメリハリのついた一皿。

mineral
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言わずと知れたスペシャリテ。
シェフの自然への敬意も感じられる、説明不要の一皿。
「命」そして「敬意」さらに「歓喜」。それらが必然の繋がりの中で表現されています。

あ、これはもう・・・マジで忘れた(笑)
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mer
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食感の対比を表現した一皿。それはもちろん皮目と身の部分。
・・・素晴らしいの一言。ちょっと完全に図抜けて来てますね。
チンゲンサイは低気圧でオリーブオイルをゆっくり浸透させてるよう。
生を上回る「パリッと感」は、思わず楽しくなり頬も緩みます。

パンのおかわりは、バゲットよりしっかりめのラミジャンの生地。
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porc
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完全無農薬の天草梅肉豚。
もういないだろうと思っても、どんどん知らない豚がでてきますね。
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皮目の焼き目も重要なアクセント。豚の甘味にマンゴーのソースの酸味が好相性。
4時間かけて焼きあげます。

晴天のランチですし、ボジョレーで賑やかに。
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olive
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オリーブを様々な形で味わいます。ソルべ、乾燥、ソース。
やもするとアミューズに引き戻されてしまいそうな構成ですが、
ちゃんとアヴァン・デセールになってます。見事なさじ加減。

peche
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これも凄い!久しぶりにデセールで唸った!
比較は嫌いなのでしたくないのですが、
ミッシェル・ブラスの「クーラン」の進化系・・・というか、
このコントラストと完成度は比較にならない!
クーランのスーパーサイヤ人3と言えばわかり・・・・にくいですね。
鏡割りのように「サクッ」と!あぁ、めでたい!(笑)
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黒糖の生地の中に、白桃が少し温められて隠されてます。
その温度でキルシュのアイスが程良く溶けるそのタイミングの絶妙さ。

ミニャもランチでは十分な量。あ、写ってないですが、もう1種類あります。
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夏の終わりですからハイビスカスティーな気分。
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お隣のナイスミドル御夫妻が帰り際、
「車で来てワインが飲めないのが残念だったけど、
君が飲んでるのを見て飲んだ気になってたよ」って。
う~~、ベタなワインばっかりでスイマセン!!(笑)
とても静かで、上品で、ユーモアもあって微笑ましくて・・・・。
「またお会いできたらいいなぁ・・・。
Hajimeも、こんなお客さんに愛されたら幸せやろなぁ・・・。」
そう思いながら、外まで見送りに行きました。

さてさて、米田シェフの料理なんですが・・・・
途中で書きましたが、ちょっと図抜けて来てます。
今の店の状況では、ホントよくやってる・・・というよりは、
よくこれだけやれてるな・・・・ってのが実際のところ。
スタッフの成長、充実なくして、レストランはまわせません。
もう少しシェフの身体や時間に余裕が生まれれば、
また違ったお皿も見せてくれるんじゃないでしょうか。
このストイックで美しい料理に、「遊びの余地」みたいなのが生まれてくると・・・、
ってのは、先々の楽しみとしましょう。
でも前回・・・そう2回目の来店で感じた「厚み」ってのは、
今回もひしひしと伝わってきました。
コース全体の「厚み」、一皿一皿の「厚み」。
1回目の来店時に感じなったこれらが、2度続けて感じられました。
これらは圧倒的な想いや労力、思考、時間、
それらを全て注ぎ込んだ毎日を繰り返したものだけが得られる「厚み」。
そう、一枚一枚意味のある日々を積み重ねて生まれた厚みは、
もう決してシェフの手から無くなることのない財産やと思います。
その「厚み」を、この短期間で得ることが、どれだけ大変なことか。
ただ積み重ねるだけじゃだめなんです。
ただ毎日を過ごすだけじゃだめなんです。
「何を積み重ねたか」が、どれほどの厚みを生むのかにかかってきます。
でも彼は、まだ積み重ねてます。
決して自分に課すものを軽くせず、ただひたすら上に上に・・・。
だから図抜けてくるんです。だからストレスで蕁麻疹に襲われるんです(笑)

もうすぐその生き様に、三つのご褒美が授けられることでしょう。
誰がなんと言おうが、その価値は自分の中で噛みしめるべき栄誉やと思います。
また様々な問題も生まれるでしょうが、
彼が越えれない壁なら、誰も越えれないとさえ思えます。
時間がいくらかかっても、たとえ何年費やすことになったとしても、
米田シェフの「行き先」「を、ずっと見守り、応援していきたいなぁ・・・と思います。
1ファンとして、この先ずっと。
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by monsieur-enfant | 2009-10-04 02:49 | HAJIME

「予約入れたんですけど、一緒にいかがですか?」
仕事中にかかってきた電話は和歌山の某フレンチのシェフからでした。
基本的におそらく誘いやすいタイプではないと思うので、
こういうシチュエーションは久々!
なんかデートに誘ってもらったみたいで、久々にワクワクします(笑)

店で待ち合わせ、お互いちょうど鉢合せ。
僕はオープンしてすぐ以来ですから、ちょうど1年ぶりくらいかなぁ・・・。
肥後橋 「レストラン ハジメ」
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普段しょっちゅう顔は合わすわけですけど、なんせ食べに来たのは1年ぶり。
「え・・・・!?」って、そんなに驚かなくてもいいじゃないですか!(笑)
ま、こうしてスタッフの緊張感を上げたところで、さぁ、いただきましょうか!
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debut
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ぐはっ!全っ然違うっ!!単純に、「旨い!」
クスクスのサラダに仔鳩のインパクト。
前回は、のっけから何だか頭で解釈しなきゃいけないようで
いまいちピンと来ませんでしたが、見た目やスタイルは変わらずに、
これだけ変えてこれるものなのか・・・。期待も一気に膨らみます。

oeuf
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ぐへっ!これもあからさまに違うっ!
桃のピュレにエピス風味のクリーム、アーモンドのローストにシェリービネガー。
先ほどのお皿と同じく、前回の印象は「?」。
プレゼンは変わらずに、明らかに「料理」として昇華しています!

岸部産のパン
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ま・・・、変わらないものも在りってことで(笑)

saint-jacques
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う~ん・・・旨くなってる・・・。
相変わらずホタテの火通しはパルフェ!

mineral
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まず思い描いてしまうのは、「これ・・・一日何皿盛りつけるんやろ・・・」
どうしても比較されてしまうガルグイユに、それでも真っ向から挑むこの一皿。
一つ一つの小さく且つ確実な仕事なくして成し得ない一皿ですが、
この皿から放つ壮大なスケールは圧巻です!
何種類だとか、一個一個が小さくて味わえないとか、つまらん輩もいるようですが、
そんなみみちい視野で捉える料理ではないですね。
ただ・・・結構これでお腹膨れるんですよね(笑)

foie gras au naturel
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シンプルにフォアグラを味わうのに、
今のところハジメ以上のクオリティに出会ったことがありません。
個人的にはもう2℃くらい温かいほうが香りも口解けも・・・と思うんですが、
良いお皿であることに変わりはありません。

agneau
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一瞬たじろぐくらいの赤(笑)
ビジュアルだけならギリギリですね・・・しかもアウトよりのギリギリ(笑)
が、食べてみると豹変。実に的確な火入れであることがわかる。
レーズンのソースは最初「レーズン?無いでしょ。」と思ったんですが、
一瞬でねじ伏せられました。秀逸です。

「低温調理」なる言葉が氾濫し、メニューにも表記してる店もありますよね。
僕、そういうの大嫌いなんです。知ったこっちゃないんでね、そんなこと。
パン屋でも「天然酵母」!みたいなね。ここは天然酵母屋か・・・と思います。
こっちは旨いもの食わせたい!って店で、旨いもの食いたいだけなんです。
それが「低温調理」ありきみたいなね。「うちもやってます」的な店ね、多いです。
で、それにまた浅い知識の客が乗っかって批評しだすわけですよ。
「低温調理」という言葉を使ってね。めんどくさい世の中です。
確かに「低温で調理すること」は、手段としてあるわけですし、
過程としても用いるシェフも多いはず。
実際に今業界においても、その「仕上がり具合」は時流とさえなってきてると思います。
が、なんでもかんでも「低温調理」って言葉で括るわけですよね、世の中は。
調味料でもなんでもないわけですよ、「低温調理」は。
時流として用いられる「低温調理」と、
最適な火入れを探究し続けて、現段階で辿り着いた「低温調理」、
それも似て非なるものなわけですよ。
で、もちろんながらその「低温で調理すること」は、
手段であってそれだけで完結する調理法ではないわけです。
ハジメでは「低温調理」の一文字も書いてません。
それでも括られるわけですよね、ガルグイユ同様に。
比較したり、括ったりしなければ自分の中で消化することも出来ない美食家気取りの
なんと多いことか。「どこどこがああやった」とか、うんざりしますわ。
今、目の前のものを、今、自分の感性で感じること、
そっちのほうが大事なんちゃいますかね?
フランス人は食べるために働きます。食べること、食べる時間を愛してるんです。
日本人は働くために食べます。
ですから栄養価やバランスが第一で、その時間を楽しむことは二の次です。
どちらが良い悪いではなく、どちらも大事なこと。
ただ、「生きる」ために食事が必要な日本人と、
「人生を豊かにする」ために食べるフランス人とは食に関して決定的に違うんです。
ですから、レストランに来たって自分のために食べるお客さんが多いんです。
楽しみ方を知らないから自分のためにしか楽しめない。
結果、同じ時間を共有しているお客さんやスタッフにかけてる迷惑すら顧みない。
前にも書きましたが、日本にだって「嗜む」とか「愛でる」とか、
素敵な文化があったはずなんですけどね・・・って、本題なんでしたっけ?(笑)
あ、そうそう、「低温調理」ですね。ま、旨けりゃいいんじゃないですか?(笑)

poivron
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これはちょっとアミューズに寄り過ぎですかね。
パプリカの香りも生きてるので、逆に今後のデセール中も鼻に纏わりついてしまって。

glace croissant
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・・・・・クロワッサンやわ(笑)
もうちょい脇役的な感じかと思っていたので、この扱いは生産者としては嬉しい限り。


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ミニャのクオリティも格段に上がってます!

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楽しい宴も終焉です。優しい紅茶で一息つきながら、この一年を振り返ると、
常に前のめりで闘ってきた米田シェフの姿しか浮かびません。
周りの評価に戸惑いながら、心無い声に胸痛めながら、
「もっと前へ、もっと先へ、もっと良くならなきゃ」と、
自分が求める料理、自分が描くレストランへと邁進してきた1年でした。
個人店であること、まだオープン間もなく体制も整わなかったこと、
言い訳にならないことを自分にプレッシャーとしてかけ続け、
ゾッとするくらいストイックな日々を送ってたと思います。
一年前、僕はあまり良い言葉を残せず帰りました。
それもありましたし、相手も選ぶ箱ですから、すっかり足も遠のいてました。
今回お誘いいただかなければ、もっと期間は空いてたと思います。
誘ってもらって良かった。料理は一言、別格でした。
今だから言いますが(って、本人には言ってましたが(笑))
以前は、「うん・・・すごいんだろうけど・・・」という印象。
すごいのはわかるけど伝わらない。単調で起伏がないから印象に残らない。
今日のコースは、この一年の短く小さな、でも凄まじい毎日を繰り返した歴史が、
事実、厚みとなって滲み出てたんじゃないでしょうか。
米田 肇というシェフの顔や生き様が、ようやく垣間見れるようになった気がします。
一年を経て、改善点にも妥協せず着手し、それとともに料理も素晴らしく変化しました。
それゆえ至らぬ点がより明確に浮き出てしまう現実も抱えていますが、
それもきちんと課題として捉え、成長の道標だと自覚し、妥協なく将来を見据えています。
またそうした進化を遂げていく過程を、一ファンとして楽しみにさせていただきます。
そしていつの日か、ハジメのパーツが全て揃ったとき、
ここから大阪の「レストラン」の文化が発信されることでしょう。
そう、世界へ向けて・・・ね。
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by monsieur-enfant | 2009-05-17 03:08 | HAJIME

実はもう二ヶ月も前の話。
その二ヶ月の間、一日一秒無駄にせず
一センチでも前に進もうとしてるレストランのお話。
皆さんに「レストラン」というカテゴリーを、少しでも理解していただければ幸いです。

まだ幾つかオープンのお祝いのお花が残ってる五月の終わり。
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まともに営業日に来たのは、この日が初めて。
米田さん以外の人の仕事に触れるのもこの日が初めて。
レストランとは、オーケストラのようなもの。
シェフ一人・・・指揮者一人有能でも意味がありません。
求めてるところが圧倒的に高い料理人です・・・
期待に不安が入り混じり、久しぶりに緊張して料理を待ちます。
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以前、あまりに酷い店があって、「これがレストランですか?」と問うたところ、
「レストランとはなんですか?」と逆に質問してきた馬鹿シェフがいましたが、
僕にとっては食欲という欲求を満たしながらも五感を満たす場であり、
尚且つ食を通じた最上の社交場でもあると思います。
あくまで「最上」とし、「最高」としないのは、それは適材適所といいますか、
「カツ丼食いたい!」って思った時にはカツ丼を食べるのが最高だからです(笑)
ビストロが好きって方にはビストロ料理が最高なんです。
でもレストランが「最上」であることには間違いありませんし、
「最上」でなければいけないとも思います。
当然のようにそれを求められる場所、それも「レストラン」です。
何が「最上」?なんて質問は愚問です。
なぜなら、「全て」だからです。
それが僕の中の「レストラン」という世界です。
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さ、硬い話は置いといて、
心と時間を委ねることにいたしましょう・・・。
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パンは某店のパン(笑)
お昼はプティ バゲットのみですが、夜は数種つきます。
アミューズの間はパン出ません。
前菜のスタートに合わせて右から、ニンジンとディルのパン。
オマールにはオレンジとアーモンド、オリーブオイルのパン。
フォアグラには少量のオールスパイスとノアゼット。
肉料理には黒米のパンです。
そしてフロマージュ用二種。
しかしあくまで個性は控えめに。
あくまでパンとしてのアプローチ。
そしてあくまで「いかに自分のところのパンをおざなりに考えてたのか」と、
ここに食べに来られた料理人に投げかけるメッセージ。
メニュー変更の際にはパンも変更になります。
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アミューズ
ヒラメのカルパッチョ
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うんうん・・・はいはい・・・美味しいです(笑)

ウッフ ア ラ コック
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メレンゲもそうですが、火入れが弱い白身は生臭を感じてしまう。
スプーンが入れにくいので、殻を持って飲んじゃいました(笑)

ホタテのムース・・・だったかな?
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う・・・これはこれで・・・なんですが、現物も食べたかった・・・。

サンセール
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mineral
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大地への敬意とミネラルの表現。
土の養分を吸って育つ野菜でその豊かさを、
それ以外の海に流れ出たミネラルに出会う貝のエキスを還元することで
一皿の表現としています。
今は盛り付けも野菜の種類や数も、だいぶ変わったんじゃないかな?

オマール バニラとオレンジのアクセント
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素晴らしい火入れ。溜息ものです・・・。

今日は白に続いて二本目。知り合いの店ですから張り込みました(笑)
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フォアグラ 焼塩のみの調理
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昔、ノルマンディのビストロで
ポトフの上にフレッシュのフォアグラを山盛り乗せられたことがあったが、
風味を損なわず加熱してることで、より凝縮された印象。

ジャガイモのスープ トリュフのグラス
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いやぁ、これ美味しいです。トリュフのグラスはエロエロでした。
でもショーフロワが狙いのはずなのに、ほとんど溶けて温かったのには残念。

ブレス産の鳩
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パルフェな火入れ。比較して申し訳ないが、
カンテサンスでいただいた鴨の火入れを思い出させる。
比較して申し訳ないが、ロオジエのそれとは別次元(笑)
随所に表れる、技術の高さと求道者の如き精神。

フロマージュ  ちょっとづつ沢山の種類をいただける幸せ。
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イタドリのソルべ
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イチゴのサンドイッチ
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プティ フール
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エスプレッソ
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オープン前に試飲もさせてもらいましたが、
ここのエスプレッソ、美味しいです。


いやぁ、大阪のお店でこんなに写真が多くなるとは(笑)
しかし、この量を食べてお腹が重くならないフランス料理はやはり今の世代。
その中でも秀逸の料理の数々。
でも逆に全体的に観た場合、ドラマがない。
素材に最良の・・・と考えると、
アプローチは変われど自ずと提供する温度も似通ってくる。
優等生だが表情に欠ける・・・と言ったところか。

そして、多くの人が思っている「今のフランス料理」の
さらにその先を行く世界観。素材観。
カンテサンスの時にも書いたような「削ぎ落とされた」フランス料理。
受け入れられず苦しむのか、
凌駕しねじ伏せるのか・・・。

僕もオープン時そうでしたが、まず再現することから始めなければいけない。
よりリアルに再現出来て、初めて次のステップに進めるわけです。
物真似という意味の「再現」ではなく、
自分の中に培ってきたアイデンティティを具現化していく作業なんです。
そしてそのあと、一種の開き直りに入ります(笑)
というか、やっと開き直れるんです。
「自分が感じたままが正しいんだ」って。
苦しみ、乗り越えたものだけが感じる揺ぎ無い境地です。
今まだオープンして数ヶ月ですが、
毎日の些細な瞬間瞬間の中でその作業は行われ、
そして幾つか確信へと変わってきています。
まだ伸びしろを感じる恐ろしさ。
それこそ米田という料理人の最大の魅力なのかも知れません。
いつしかその魅力的な人間性も料理に投影され、
お皿の向こうに、いろんな表情のシェフの顔が見えた時、
沢山のお客様の心のアルバムに、
このレストランで過ごした時間が刻まれていくことでしょう。

五時間かけて、やっと書き終わりました・・・。
未だにブログは重労働です・・・・。
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by monsieur-enfant | 2008-07-24 06:33 | HAJIME

産声

さてさて、ほんとは僕が真っ先に紹介しなきゃいけなかったんですが・・・
もう既にいろんな方に紹介されてる「レストラン ガストロノミック ハジメ」。
今月からいよいよ各メディアにも登場。
業界的に下火になるこの季節に、
徐々にではありますが本格的に動き出します。

今日はそのオープン前のお話。
初めて一部の方にお披露目となったレセプションのお話。
一人の男の強い想いが、世に「形」として産み落とされた日のお話。

先日、ルールブルーさんで打ち合わせもせず食べまくったせいで、
ろくに煮詰められず解散となった数日前。
「とりあえず時間もないことですし、G.Wも重なって食材調達もままならないんで、
割り切って軽いフィンガーフードとかで行きましょうよ」と僕。
・・・・・「そうですね」って、言いましたよね?
だからこっちもプティパンとかでお茶を濁そうと思ってたのに~!
「あ、食材決まりました。えっと、フォアグラ、オマール、アニョー・・・」
「え?・・ちょ、ちょっと待ってください!・・・え~!?」
「で、調理法と添えるソースは・・・」
「え?ですから・・・マジっすか!?それならこっちも考えな駄目じゃないですか!?」
あれはレセプションの何日前でしたっけ、米田さん?(笑)
ま、そんなシチュエーション、嫌いじゃないですけどね。

・・・・しかもレセプション、木曜やん・・・。
ってことは水曜に仕込まなあかんのがシュクレの製法。
そっから12時間ほど、ゆっくりじっくり育てます。
あ・・・水曜・・・休日出勤や。一人で。

はい!!焼き上げましたよ!!
とりあえずかじりついてもらえるように、バゲットのプティサイズ。
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フォアグラ用に「パン ヴィエノワ ア ラ キャトルエピス」
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今は昔みたいにフォアグラとブリオッシュを合わせることはフランスでも少なくなりました。
もう少し軽いパン ド ミーを合わせるのがポピュラーです。
うちのパン ド ミーは、もちもちしちゃうので却下。
ヴィエノワにオールスパイス、シナモン、黒胡椒、ナツメグを練りこみ焼き上げました。
これを6ミリの厚さにスライスして、ほぼフレッシュに近いフォアグラの下に敷きます。

オマール用には「プティ パン オランジュ」
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オマールの上質な甘みをアーモンドになぞらえ、アーモンドプードルを練りこみました。
香りは、きつくならない程度のオレンジ、少量のオリーブオイルでまとめてます。

アニョーには「カレ カカオ」
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四角く成形した黒いパンには、カカオの粉末、
ローズマリー、ラヴェンダー、少量のハチミツを加えてます。

さ、遅刻、遅刻~!!(笑)

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静かにそのときを待つレストランは、
不安や期待、そのほか数々の感情を飲み込む静寂に包まれています。
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この地に決めるまで、数々の問題を乗り越え、
周りから聞こえるのは「大阪では難しい」という右へ倣えのアドバイス。
百も承知ですよ、そんなこと。
でもね、「どこで」じゃなくて「誰が」やと思うんです。
誰がやってるのかが一番の付加価値やと思うんです。
立地、資金、人材、客層・・・
いったい全て揃ってるところはどこですか?
そこなら皆さんは、やりたいことをやり、必ず成功しはるんですか?
いろんな言い訳をしながら中途半端にやってはる人らは、
結局どこでやろうが言い訳を探し、コンプレックスすらお世辞に変えて生きていくんです。
僕は、よっぽど潔いと思います。
ま、比較するレベルの人じゃないですけどね、米田さんは。

ってか・・・全然間に合ってないんですけど・・・・(笑)
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ゲストは既にアペ飲みまくり。
料理が出ないので、とりあえずプティ バゲットに出てもらいました。
準備も揃ったところで、シェフのご挨拶。
あんなに緊張した米田さん、初めてみました。
いろんな想いがこみ上げてきたんでしょう。
いろんな景色が駆け巡ったんでしょう。
でも・・・・ちょっとウケました(笑)

ま、料理はササッと紹介するにとどめます。
レセにしては在り得ない上質な素材、品数。
全部は撮れなかったのもありますが、やはりレセ。
ベストな状態ではないですので。

これ、フォアグラですね。
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これはオマール。
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なんだったっけな・・・。
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ホタテの火通しはサスガ。
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アニョーです。
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やっとお披露目できましたね。
僕は独立の話を聞いた後の
「目を瞑ってもガストロノミーしか作れない」との一言に鳥肌が立ちました。
以降、いろんな障害にぶち当たり、
その都度「レストランとは・・・」という己の信念を貫き、
もちろん今全て叶えたわけではないですが、
言い訳につながる妥協は一切せず、
逐一報告をうけていた僕は、
「テーブルクロスが来たんですけど、スゴイですよ!良いレストランです!」
との嬉しそうな声を聞いて、電話越しに涙が出ました。
肩にかかる重圧は相当なもののはず。
それでもそれを背負うことすら責務だと捉えて前に進む。
今はまだ産まれたて。産声を上げた瞬間です。
スタッフ、お客さんを絡めて、
これからどう成長していくのか。
一ファンとして楽しみであり、
10年後、20年後も、この料理人と旨い酒を呑める様な自分でありたいと強く思うと共に、
出会えたことに心から感謝します。

ま、負けませんけど。
・・・って、この人に限っては自信ないですわ(笑)
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by monsieur-enfant | 2008-07-10 11:53 | HAJIME

真に遅ればせまくりましたが、
今回は、良き親友であり、良き先輩であり、尊敬する職人でもある一人の男の物語・・・。

まあ最初は「イヤなヤツ・・・」って印象でした(笑)
出会ったのは9年程前ですかね。
神戸摂津本山のレストラン「ルイ ブラン」。
アルページュなどで経験を積まれた島田シェフのお店です。
彼の名前は「米田 肇」。
ほんの数日違いで入店された先輩です。
歳も2つ上でした・・・よね?
そう、オープンして瞬く間に時の人となってる、
「レストラン ガストロノミック ハジメ」のオーナーシェフです。
いちいちうるさい人でした(笑)
あの頃から一切の妥協を嫌うキュイジニエでした。
「なんでこんな不味いの作るの?」って聞かれたこともありました。
本人忘れてるでしょうけど(笑)
でもまぁ、お互い変わってましたね、あの頃から。
「料理人として、1番になりたい」
言ってましたよね?
「でも、パンは岩永さんには勝てそうにない。」
しょぼいパン作ってた僕にそう言ってくれましたよね、最期のほうでしたけど(笑)

当時のメンツは、今思えばとてつもなく意識レベルが高く、
ソムリエの岸田さんは東京に渡りレストランで働いた後、
今は六本木でワインバー「ル カプリス」を営み、
スーシェフだった大谷さんは、またいづれ紹介することになるでしょうが、
この秋にビストロを市内でオープンさせます。
パティシエールの子も、当時20歳だったかな?
よくみんなの中でついてきてたよね。・・・超安月給で(笑)
今は旦那さんと一緒に六甲道でお菓子屋さんやってます。
そして米田さんと、・・・変態パン屋の僕(笑)
各ポジションに、それぞれのプロがいたあの時間は、
振り返れば濃密でかけがえの無い大切な時間でした。
そこで「フランス」を明確に意識づけられ、
キュイジニエという人種に出会い
見た事も無い食材に刺激され、
ソムリエには、サービスとは・・・と休み時間中延々話され(笑)
パティシエールの子とは作業場が一緒やったんですが
場所の取り合いと愚痴を聞いてやったことくらいしか覚えてないなぁ(笑)

とりあえず、「料理を知らんことには、この人らと対等に話すこともできへんわ」
と、パンしか知らんかった僕に強烈な意識改革が起こったのは、
紛れも無くこの頃でした。
それから偶然にも渡仏時期が三人重なり、
大谷さん、米田さんとは、一つ同じ時代、同じ場所を、
肌で感じ、共に過ごし、そして生きた、絆のようなものがあるんです。
・・・僕だけですかね?(笑)

大谷さんについては、いづれまた書きますので
話を米田さんに移します。
南仏での語学留学を経てロワールに渡った米田さんは、
二ツ星で腕を磨き帰国・・・したと思ったらすぐ北海道へ。
そう、洞爺のウィンザーホテル内、「ミッシェル ブラス」です。
しかもその年は、まだただの知り合いだった頃のうちのパティシエ2人を
同時にウィンザーに放り込んだ年だったんです。
どこまで縁があるんやら(笑)

僕はと言えば、やはり「米田 肇」の存在は大きく、
フランス滞在中も常に意識の中にありました。
パン屋より菓子屋、菓子屋よりレストランに足を運びました。
もし仮に米田さんといつか仕事する時が来たとして、
知らないじゃ済まないとの危機感に駆り立てられ
ブラッセリー、ビストロ、レストランも一つ二つ三ツ星と、
そのジャンルの何たるかを理解しようと必死で食べました。
どのような空間の中で、どのような時間が流れ、
どのような人たちが訪れ、何を望まれ何を返すのか。
そして・・・パンは、どう存在してるのか。
短い滞在期間の中で、無理やり地方に足を運んだのも、
米田さんが知ってて僕が知らないことを少しでも無くしたかったから。
ブルターニュ、アルザス、ブルゴーニュ、プロヴァンス・・・。
プロヴァンス以外は常に日帰りの強行スケジュールでしたが(笑)

あ、余談ですが、米田さん、実は絵も描きはって、
ロワールで労働ビザの申請したときなかなか下りず困り果ててた頃、
描いた絵がロワールのAOCワインのラベルに選ばれ
「絵を描きなさい。そのために収入がいるなら料理をしなさい」みたいな(笑)
あべこべの理由ですが無事労働ビザが下りたんです。
そのワインがこちら(シュクレに飾ってます)。
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一時帰国した際その話を聞いて、
「じゃ、うちにもなんか描いてください」と
あつかましくお願いしてフランスから送ってきてくれた絵がこちら(シュクレに飾ってます)。
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確か「手作りの手」って言ってたような。モチーフは僕の仕事だそうです。
戒めも兼ねて、ちゃんと目につくところに飾ってます。
ただ、お店は「東京かフランスで・・・」と言ってたので
現実的には一緒に働く可能性は低いはずでした。

人生いろいろありますよね。
まさにいろいろあって、出店を大阪に決めてくれました。
その理由の一つに、うちのパンを使えることを挙げてくれました。
もちろんそこに馴れ合いは無く、
「良いパンだから使いたい」と願うキュイジニエと
「良いキュイジニエだから是非使って欲しい」と願うブーランジェと
純粋にその選択の場にどちらも妥協せず、
胸張って対峙できたことが、武者震いするほど嬉しかったんです。
どちらかが中途半端なら、恐らくどちらかが断っていたでしょう。
それを一度も接点の無い中で、
また同じ・・・・いや、遥か高みを目指せる舞台で競演できる素晴らしさ。
選んでもらえるブーランジェになってて良かった・・・と少しホッともしましたが・・。

フランスでの修行経験のあるパン職人も増えてきましたが、
三ツ星の空気、料理、パンを知る職人は少ないはず。
まだ店では開いてない引き出しを開いて、
米田さんのサポートが出来たらなぁ・・と思います。
そして、うちには来ないけどハジメには行く料理人全てに、
自分の店で出すパンに如何に意識が行き届いてないかを問いたいと思います。
いくら「なになに産の有機野菜を・・・」とか言われても、
「は?」ってパンを平気で出しはる店が余りに多すぎます。
所詮そこまでの意識か・・・と愕然とします。
ま、そこを気づかせれない僕らも寒いんですけどね。
あ・・・・「レストラン ガストロノミック ハジメ」のレセプションの記事やったのに(笑)

相変わらず、パソコンに向かうまでにかなりの条件が整うことが必要で、
なかなか更新できないのに書けばこの長さ・・・。疲れます。
とりあえず、今日はここまで。本題は次回書きますね。
さ、お風呂入らな・・・・って3時半やん・・。
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by monsieur-enfant | 2008-07-10 03:10 | HAJIME