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なないろめがね

カテゴリ:季節料理 津むら( 2 )

「かねてより早期リタイアを考えて参りましたが、
五十五歳になりましたのを機に四月三十日(木)をもちまして
季節料理 津むら を閉店させて頂くことに致しました」

こんなハガキが届く前から、このようなお話は聞いてましたが、
実際いただくと、何だか寂しいような・・・・。
以前、「作り手の顔の見えるパンだ。料理を挟んで話がしたい」と、
勿体無いお誘いをいただき、お会いしたこともないうちに日取りが決まり、
当日のお店で初対面となりました。
その時の緊張振りは、こちら
何度かシュクレにも来ていただき、僕も行かなきゃと思いながらも、
僕にとって気軽に行けるお店では無いんです。精神的にね(笑)。
こんな小童が恐れ多いといいますか、
料理を作っていただくことが申し訳ないといいますか・・・・ま、お店なんですけどね(笑)
ですから今回再びお誘いをいただき、本当に感謝しています。
ツワモノのお姉さま方がいて下さると、心強いのなんのって(笑)
今宵は津村さんと、お二方のお姉さまに委ねようと思います・・・・。
そして、この席に声をかけてくださった方と僕の四人の宴が始まります。
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「さ、なに飲みます?」の問いに、「着いて行きます」と一言。まずはビールで乾杯です。
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「あれ?まだ飲みきってないんですけど・・・・」ってうちにシャンパーニュ登場。
いいえ、男に二言はありません!着いていきますとも!
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温泉卵 汲み上げ湯葉 生うに 鳴門若布 一寸豆  木の芽ゼリー掛け
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「卵と、うに」・・・これだけで脳が興奮状態やのに、
そこから幾重にも重なる食感と、素材の組み合わせの妙。
ジュレが優しくまとめ上げます。

タイラギ貝のしんじょう 蓬麩 白髪葱
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一品目とは好対照。優しく温かいお味で、緊張してた肩の力も抜けていきます。
炙ってある香ばしさが良いアクセント。

「お刺身には何飲みます?」
・・・え?シャンパーニュは飲みきってませんが一休みなんですね(笑)
じゃあ、冷酒でいきますか!
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天然白身 赤貝 煽り烏賊 
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日本酒呑みながらお刺身をいただく。たったこれだけで至福の時間。
良い素材と、相性の良いお酒と、楽しいお喋りと。
烏賊がやたらと旨かったような。お皿の桜がさり気無い演出。

自家製カラスミと、ご飯
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なんだか湯気でメルヘンチックになってますが、このカラスミは強烈。
凝縮された旨み。こんな旨いカラスミ初めて食べました。
2mmずつくらい、ちびちび齧りながら、
その塩気と共に食すもち米と、喉に流し込む冷酒と・・・・・極楽か、ここは(笑)

飯蛸 千寿葱 菜の花 鹿児島の早取り筍
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緩急といいますか、フレンチのように総じて強いトーンではないのですが、
その中でも強弱がハッキリしていて、口が全く飽きてきません。
日本酒は飲み干し、またシャンパーニュに戻ってます(笑)
飯蛸をチラリ・・・。春が微笑んでいます。
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天然のあいなめ木の芽味噌田楽 エシャレット 花蓮根
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この頃には白ワインでしたね(笑)
ふっくらしたあいなめに、一緒に炙られた木の芽味噌もふっくら香ばしく。

炙り甘鯛 春野菜 餡かけ
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蓋を開けたら良い香りがフワッと。
芹などの春野菜と、甘鯛の調和。まだ寒い春の夜を、餡かけが温かく包んでくれます。

伊賀牛ロース わけぎ 粒マスタードソース
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少量ですが「牛食ってる!」と実感する濃密さ。
和食で粒マスタードソース?と思いましたが、ちゃんと「和」に落とし込まれています。
そして、白から赤に。ブルゴーニュ続きです。
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ちょっと、呂律が回らなくなってきてます。

豆ご飯と、お漬物
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思わず目を閉じて俯きながら、しみじみ呟いてしまう「旨いなぁ・・・・」って。

ワインが残っていたので、吉田牧場さんのカチョカバロをおすそ分け。
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蕨もち
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いやぁ・・・前回も言いましたが、これだけで店出せるほどの旨さ。
和食のデザートはあまり期待してないのですが、こちらは別格。
ビジュアルも素敵過ぎます!
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津村さんのお祖父さんから数えて三代目。
七十年の間、受け継がれてきた「津むら」の看板。
まだ5年のうちには偉大すぎて想像も出来ません。
様々な出会いもあったというお話も、それゆえ辛い別れも見てきたというお話も、
長くやられてるからこその重みや深み。
そしてその時間の中におられた津村さんの存在そのものが、
その時間や歴史の証人となっているわけです。
同じ場所に在り続けることの意味や意義、そしてその苦しみや難しさ。
それらを拭い去ってしまうような喜びの数々。
「料理人として大変恵まれた三十数年でございました」
その一言で結べる料理人人生、ホントに素敵やなぁ・・・と思います。
全く接点のない場所や業種でありながら、
こうしてお会いできたことを心から感謝しながら、
またお会いしたときに「あれ?」と思われないよう、
僕は僕の道を、しかと貫こうと・・・・帰ってから思いました(笑)
いやぁ、久しぶりにそこそこ飲みましたので、最後のほうはうる覚えなんです。
「津むら」さんに来させていただくのは最後になるかもしれない、
津村さんにも、そうお会いすることも無くなってしまうだろうと思うと、
とにかく楽しく食べて飲んで過ごしたかったんです。
「もう終わってしまうんや・・・」なんて辛気臭い感傷に浸らずにね。
その感傷には・・・・帰ってから浸ってます(笑)寂しいもんは寂しいですから。
二度しか伺えませんでしたが、同世代の店に行くことが多い中、
座ってるだけで何か得るものや感じるものが多かった気がします。
「楽しみたい」と笑う、これからの第二の人生。
また多くの人を惹きつけ、幸せにしていきはることでしょう。

・・・しかし、齢五十五にしてこのバイタリティー。
僕らのような若造がくたびれてる場合ではないですわ(笑)
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by monsieur-enfant | 2009-04-02 03:56 | 季節料理 津むら

東成区の「非日常」

ついに来たか・・というより、この日が来てしまったという緊張感に駆られます。
面識はないものの、ご主人が僕のパンを食べてのお招き。
「料理を挟んで、話がしたい」と、おっしゃって下さったらしく、今回のセッティング。
しかも、ご主人自ら来店いただいた時、僕は暇過ぎて店の裏手を散歩してまして(笑)
・・・いや、笑い事やなくてね、文章から伝わりますか?この緊張感・・。

ま、それでも時間はいつもどおりギッリギリ。ぶっちゃけ、どんぴしゃ(笑)
正直、悠長に写真など撮ってる暇は無かったんです、はい。

季節料理 「津むら」
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16年前に改装されて、今のスタイルに。
扉を開けて足を踏み入れれば、僕のような若造を威圧するには十分な落ち着いた店内。
奥様に出迎えていただき、チラッと横目に入りつつも見ないようにしていた、
ご主人とセッティングしていただいた方の待つカウンターへ。
・・・笑顔が引きつる(笑) 最初、何を話したか全然覚えてない・・。
二十歳でこの世界に入り右も左もわからなかった頃でさえ、当時の店長さんの友達に
「十年選手みたいやな・・」と言わしめたり(しかも同業者)、
高校の野球部時代、監督直々に「高校球児らしさがない」と告げられた(笑)
素でふてぶてしい僕には、とても珍しい事なのです(良いのやら悪いのやら・・)。
ふてぶてしくて尚且つ、人見知り。 ・・めんどくさい奴です。あ、シャイとも言います(笑)
その緊張が解けたのは、「とりあえず・・」のビールもありますが
なによりうちのパンの話になった時の「ほんまに美味しいわ」と話す、ご主人のお顔・・。
本当に美味しそうに、嬉しそうに、にこやかに話すお顔・・。
「絶対、悪い人じゃないわ」って、失礼ですよね(笑)
さて、ここからは、「津むら」の世界をご堪能下さい。

温泉卵、穴子、新牛蒡(実山椒) ジュレがけ
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一品目、もう少しやさしく滑り出すのかと思ったら、ジュレのお出汁もしっかり。
みょうがが、強烈なアクセントに。「行くで。気合入れて食べてや」と言われたかのよう・・。
 
椀物 グリルした甘鯛と天然の舞茸
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椀の中で「ワッサー」と茂る、天然の舞茸のあふれる生命力。
サッとグリルされて甘鯛の皮の香ばしさが・・。この皮だけで、ご飯一杯はいけそう(笑)
 
清酒 鄙願
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「お造りにはこれ」と勧められて。新潟のお酒でなかなか手に入らないんですって。
本当に久しぶりの日本酒。居酒屋でラッパ飲みしてたのは遥か遠い昔(笑)

お造り 天然の平目
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ため息出るほど美しい・・。添えられたえんがわも目を閉じて唸る美味しさ。

器も素敵です。日本にしかない佇まい。控えめで、厳かで・・。「日本人」を実感します。
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いくらご飯(かまどご飯)
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理性は吹っ飛び、かきこみました(笑)


蓮根饅頭 鮑
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・・・・・。黙って食べててもいいですか?(笑)

トマトのソルべ
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オリーブオイルとバルサミコがかけられたソルべに白ワインを合わせていただいてると、
ここが和食割烹であることを忘れてしまいそう。

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ゆるりゆるりと流れる時間に、
会話の華が咲き、
美しく繰り広げられる「津むら」の世界に
心地よいお酒の酔いも手伝って
ここがどこかなんてどうでもよくなり
「津むら」という空間に身も心も委ねる・・。
浮世の雑踏とは無縁の世界
楽しみに来たお客と
楽しませたいご主人と・・
そこが絡み合った時、異質の空気が流れる
単純に気持ちいい
恍惚の表情すら浮かべながら
シャンパーニュ片手に
またご主人に身を委ねる



自家製スモークサーモン
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今までのスモークサーモンは、なんやったんやろ・・と思わざるを得ない逸品。
これ、本当にすごかった。ボキャ貧の僕にはこれが限界(笑)

上賀茂の賀茂茄子 柚子味噌田楽
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一個一個コメントしなあかんの!?もういいでしょ?(笑)


吉田牧場のカチョカバロ グリルしたイチジクと
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一般では入手困難(不可能?)な吉田牧場のチーズです。
フレッシュのイチジクとの相性も秀逸。


太白油で炒めた、とうもろこしご飯。
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生のとうもろこしを、太白油とお醤油で炒めて、かまど炊きご飯にぶっかけただけ。
それだけでこの旨さ。香ばしく、絡んだ油分も甘みを引き立てる。・・家でパクろ(笑)


本蕨粉の蕨餅 和三盆と黒糖
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まいった・・。これ、単独で和菓子屋できるよ、ほんと。

良い出逢いに感謝、美味しいお料理に感謝。
良い時間に、良いお持て成しに感謝。
この場で今日という日を感じれたこと
ご主人の空気に触れさせていただけたことに感謝。
この席を設けていただいた方にも感謝。
出会いのきっかけを作った僕のパンには、「でかした!」(笑)
また勉強させていただきに参ります。
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by monsieur-enfant | 2007-07-19 14:21 | 季節料理 津むら