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なないろめがね

北陸方面は年明けに行ってるのでお手の物。
新大阪に向かい、特急に乗り、一路金沢へ。
旅の移動中、いつも窓の外を見ながら、ハッとするような良い景色を眺める。
ただ草が青く生い茂っていたり、ただ小さな小川が流れていたり、
ただ湖畔の静かな無人駅だったり。
そんな素朴なハッとする一瞬を楽しみに外を眺める。
そして、「ここで商売成り立つんやろか・・・」と毎度考える。
ロケーションは財産です。
同じ店は作れるかも知れませんが、素晴らしいロケーションはお金じゃ買えません。
「はぁ・・・無理よなぁ・・・」と、現実に引き戻されては、
「お!ここ綺麗!!」と、テンション上がり、
「でも・・・こんなとこじゃ無理よなぁ・・・」の繰り返し。
移転願望があるわけじゃないんです。ただの妄想癖ですので、ご心配なく(笑)。
そんなシュミレーション(妄想)を恍惚の表情で一人繰り返してると、
年明けにも来た駅へとさしかかる。
今まで全然縁がなかった土地に、思いつきで2度目の訪問。
「ほんまに来てるし」と思った瞬間、「あ!」と思いだす。
今回の旅行、僕の計算では片道2時間。・・・・でもそれは前回の話。
今回は前回のもっと先の駅、金沢までやった!!うわ、3時間かかるやん!!
あと小一時間かかるところで時計を見たら、すでに11時。
恐る恐る昼食の予約を確認すると・・・・11時半!無理!物理的に不可能です!!
「あの・・・大阪でちょっとトラブルがありまして・・・・」、予約時間変更完了(笑)
あ~、ホントにすいません。余裕かましてた自分が恥ずかしい。

さ、金沢駅に到着するや否や、一目散にタクシー乗り場へ!
ちゃんと西口と東口のどっちが近いかも確認済み!珍しく用意周到!えらいぞ、僕!

金沢 池田町「小松弥助」
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今回の金沢旅行の大きな目的の一つがここ「小松弥助」。
前回の金沢でいただいた「志の助」さんのお師匠さんのお店。
その志の助さんの話をしてたときに、「弥助さんにも行かなきゃ駄目だ」と言われ、
ずっと心にあったお店。
APAホテルの一階にあるお店は、「・・・ここ?」ってくらい、素っ気無い作り。
中に入ると、思ったより和やかな雰囲気。
電話の応対からとても気持ちよくしていただいたので、遅れたことを侘びカウンターへ。
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目の前には齢80に近い大将の森田さん。
こういう場に慣れない僕は、やはりちょっと緊張するわけです・・・。
ただ、寡黙に握るわけでなく、ホントに気配りの人。
カウンター、テーブル席関係なく、「美味しいの握るからなぁ~」と声をかけてくれます。
常連さんとの温かく優しい会話に耳を傾けながら待つうちに、
なんだかホンワカしてきます。

赤烏賊
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2秒くらいしか握ってないんじゃないですか?(笑)
ふんわりしたシャリに、お塩でいただく赤烏賊がネットリ絡みます。


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甘海老
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なんだったったけ・・・
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口直しの水茄子
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バイ貝
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雲丹 鮪 トロロ
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この器との出会いで生まれたお寿司だそう。美味しくないわけない組み合わせ。

鰻の手巻き
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「熱い!熱い!」と熱々の鰻を包むパフォーマンスを、
目の前で何回見せられたことか(笑)やっと自分のを握ってもらえました。
熱々の鰻にきゅうりの瑞々しさ、パリッパリの海苔をほうばる幸せ。

・・・・
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なんか、うっとり見てて説明全然聞いてませんでした(笑)
とにかく所作も語りも柔らかい。握りなんて、あっという間。
握ったか握らないかくらいで出てきます。

ここで通常の1人前はお終い。
「なんか食べるかぁ~?」との声に・・・

ネギトロ
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ほとんど真ん前でしたので、何回も見せられてたネギトロ。
「美味しいよ~」と言いながら叩かれるトロ。
ワッサワサの白髪葱も合わせて小気味よく叩かれます。
それをおもむろに巻かれて手渡しで。
めちゃめちゃ良い葱の香りを鼻に纏いながら、「パリッ」と食いつきます。旨い~!

雲丹
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これも目の前で「サッ」と振られる塩の所作が美しくて追加。溜息の旨さ。

「それRICOHでっしゃろ?」と、恐縮しながら写真の許可をとる僕に一言。
「僕も食べに行ったら撮らせてもらうんですわ。向きはこうがええかな?」
あったかい・・・何とも心がじんわり温かくなる大将とのやりとりの数々。
それはもちろん僕だけじゃなく、
カウンターの端っこで背筋を正しながら食べる子にも「どや?」って。
その子が帰った後、「寿司屋の見習いの子なんや」と教えてくれました。
まるでわが孫と話すような穏やかな眼差し。
「お前さんも職人さんかい?」 
なんかね・・・話しかけてもらってるだけで帰りたくなくなってしまうんです。
思えば、このくらいの歳の方と日常接する機会って少なくなりましたよね。
緊張が解けてくると、ホントに田舎のおじいちゃんと接してるよう。
「よう帰ってきたな。今から美味しいお寿司握ったるわな」
お客さんみんなにそう言ってるかのよう。
派手な仕事や演出は一切ありません。
特別奇をてらうことは皆無です。
そういうのを期待する方には物足りないかもしれませんが、
そもそもそういうのを期待する方が来る店ではありません。
もちろん「また食べに来たい」とも思うんですが、
なにより「また会いに来たい」と思わせてくださるお店でした。
僕みたいな若造が易々と話しかけることもできませんので、
ありったけの気持ちを込めて「ご馳走様でした!」と告げると、
「ええ男やなぁ」と、にっこり笑ってくださいました。

また来ます。
お元気で、長く握り続けてくださいね。
次は「ただいまぁ」と、暖簾を潜らせていただきたいと思います。
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by monsieur-enfant | 2009-05-19 02:44 | 小松弥助