「ほっ」と。キャンペーン

ブログトップ

なないろめがね

時と時を紡ぐもの。

さ、東京に戻って、この日は確か昼もフレンチ・・・。
胃を完全にやられた感のある最近では考えられない食いっぷり。
しかも食べ終わってから、たいして時間が経っていない。
ちょっと遠くの駅からゆっくり歩いてお腹を減らしながら時間も潰す。
明るい時間帯に当てもなくブラブラ歩くのは久しぶりだった気が・・・。
木々がそよぎ、陽の傾きと一緒に伸びていく影を眺めながら、
あくせく過ぎていく日常の日々を憂う・・・。

途中、コンビニのトイレでジーンズからチノに履き替える。
靴も履きなれた靴からちょっと小ましな靴へと履き替える。
まだ「今年は冷夏」と今となっては幻覚のような情報が流れてた初夏ですが、
5月といえど既に十二分な暑さの中、ジャケットを羽織り、「ふーーっ」と深い息を一つ。
そう、僕らのような小僧には、流れる汗も引いていくようなお店。
僕が普段行かないジャンルのお店に、この日はあえて足を運びました。

港区 「コート・ドール」
c0116714_317039.jpg

この扉の前だけ空気が止まってるかのような静寂が。
重厚な扉や掲げられた店名だけで圧迫されてしまいそうな情けない僕・・・。
c0116714_3172497.jpg

やっと来れたというか、来てしまったというか、
オーボンヴュータン河田シェフ同様、
店に行く前から雑誌や著書を読み漁り、
存在や生き方に憧れ、
勝手にリスペクトしまくってた斉須シェフ。
もはや料理などは若干どうでもいいんです(笑)
何を思わせてくれるのかなんて滅相もない。
今の僕が何を思い何を感じることが出来るのか。
キュイジニエでもない僕が、どこまで「フランス料理」というものの本質を理解し、
作り手や時流に流されることなく正確に把握することが出来るのか。
若くて勢いのあるキュイジニエの料理を、
とりあえず思いつきで食べまくった今だからこその原点回帰。
フランス料理の「軸」を感じに、ここに来ました。
扉の横には夜のアラカルトのメニューと値段が通行手形のように貼り出されてます。
・・・・噂には聞いてましたが、入る前に帰りたくなるような値段でした(笑)

もう20年くらいやってはるのかなぁ・・・。
この空間の中に滞りながら共に歳月を重ねてきた空気が、
いわばワインのように熟成されたかのような上質で濃密な空気。
こればっかりは同世代のシェフの店では逆立ちしたって醸し出せないものですよね。
周りには、今あまり目にすることのない「The金持ち」みたいな風貌の方々が、
ノスタルジックな空間の演出に一役も二役もかっています。
案外、空気を読むのは早い方だと思う僕はすぐ気が付きました。
「場違い」だと(笑)

それでも、いろんな意味で自分に対して「よく来たな」と。
後輩や部下にラーメンはおごれても餃子は付けてあげれなかった修業時代。
財布の中身は中学生の時のほうが潤ってたのを思い出します。
気付けばフランスに心酔し、異業種のシェフの渡仏話に憧れ心躍らせ、
劣等感やコンプレックスの塊だった自分がまさかの渡仏を果たし、
会った事もない異業種の諸先輩に
「失礼のないように」などと思いながら頑なにフランスを貫き、
良いキュイジニエや良いパティシエとの出会いや教えによっていつしか、
本業のパンよりお菓子や料理を食べ歩くようになり(笑)、
日本人であることを常に自覚しながら「フランスという味覚」を舌に擦りつけて過ごす日々。
そして今、正直いろいろギリギリですが(笑)、この店のテーブルに着いてます。
うんうん、ほんと「よく来た」よね・・・って、自分に思います。
たまには、そんな自分にささやかな祝杯を!
c0116714_3174097.jpg

リストの値段に目眩がし、祝杯はたったこれだけで終わるのでした(笑)

冷製季節の野菜煮 コリアンダーの香りをつけて
c0116714_3175375.jpg

いわゆる、「野菜のエチュべ」。
「一皿のボリュームが多いので、3皿食べるのはキツイかと・・・」
ということで、泣く泣く前菜二皿食べるのを断念(笑)
すると、迷ってた一皿を、
「少しだけ、味見程度ですが・・・」と持ってきてくれました!
思いもよらぬ一皿は、その繊細な気遣いのように繊細で、
一つ一つの野菜への向きあい方は、
「はい、お野菜」みたいな単純なビジュアルからは窺い知れないほど。
お皿からも、お気づかいからも、真摯な姿勢がビシビシ伝わってきました。

パン
c0116714_31861.jpg

いいんです。
ここはこんなんで良いんです。
ここの空気に、うちみたいなバゲットは合いません。
ビジュアルも含めて、パンに限らず素材全般に言えることですが、
美味しいものや高いものが最良ではなく、合うものが最良ですから。

茹で上げホワイトアスパラガス ドレッシングソース
c0116714_3182088.jpg

まず無造作に、お皿にアスパラが。
「お・・・・これで4000円オーバー・・・」と、下世話な思いが駆け巡ります(笑)
でもほら、何かソースらしきものを持ってきてますよ。
パフォーマンスを兼ねて、ここからお皿が彩られるわけです。
うん、きっとそう!
c0116714_3183357.jpg

「・・・・・・・」

あの・・・終わりですか?(笑)
テロッとタラッと、マヨネーズ垂らしただけじゃないですか!?(失礼・・・・)
もちろんマヨネーズじゃなくてソースなんですけどね。
白いけどトマトのソース。酸味もしっかりしてます・・・・が、
そのソースなんていらないくらいロワール産のアスパラが素晴らしい!!
こんな瑞々しいアスパラは初めてです。
しっかり苦みもあって、大地の力強さを感じます。
でも・・・でもこの一皿で、そこそこのランチが食べれてしまう!!(泣)
ま、ここには値段見て注文する人は来たらいけないんでしょうね・・・。

鹿児島串木野産スズキ皮付きカリカリ焼き マスタードソース
c0116714_318481.jpg

カリカリの鱗の上には、
スタッフさんのご実家から送られてきた「こしあぶら」という山菜が乗ってます。
ま、皿の上にはそれだけなんですけどね。
ここは総じてこんな感じ。料理名以外のガルニはほぼ皿には乗らない感じ。
でも逆に、乗せようにも乗らないくらいメイン食材のボリュームが半端ないです。

野菜にフォーカスが当たり初めてから特に感じますが、
「メイン食材がちょろっとでガルニが豊富」みたいな、
結局何を注文したのかわからなくなるような店も少なくない今日この頃。
メニュー上の食材を最高のものを仕入れ、最良のポーションで提供するって、
お皿は地味になるし、それ相応の値段もいただかなきゃいけないことですし、
今のフレンチの流れの中では、やりたくてもそう簡単に出来ないことなんでしょうね。

十勝直送 蝦夷豚のステーキ ペッパーソース
c0116714_319342.jpg

これも極めてシンプル。
お皿が全部白く光ってて見にくいでしょうけど、
例にもれず、お皿の「料理を乗せるための部分」、いっぱいいっぱい蝦夷豚です(笑)
最初に「料理3皿は難しい」と言われてた意味をここで痛感。

ルバーブのスフレ
c0116714_3192374.jpg

半端なく甘い。
で、多い(笑)

この日は紅茶で〆。なぜなら何となくエレガントな気分だから(笑)
c0116714_319436.jpg

総じてシンプル。
シンプルというと薄っぺらいし安っぽいですね。
総じて自然体。脱力した自然体じゃなく、行き着いた自然体。
サービスも料理も、いらないものは一切ない。
そのかわり、いるものに対しての妥協の無さも半端じゃない。
いらないものを削ぎ落とした結果残ったものではなく、
きわめて必要なものだけを構築していった結果、形となった印象。
ブレることなく一点を見つめ、長い歳月をかけ少しずつ昇華してきた姿には、
どこか水や風と歳月によって形作られた、
自然の造形美のような無理のない必然性すら感じます。

それからね、途中で「塩辛い」と感じたんです。
気付いたら、やたらと喉が渇く。
なんだかそれにニヤニヤしてきてしまいまして。
一般の方よりフレンチを食べる機会は圧倒的に多くなるので、
多分食べ慣れてない方が感じる「塩辛さ」は全く持って気にならないわけです。
むしろ、「日本人に合わせて」などとぬかしてるような、
塩や酸にビビってしまってる腰ぬけフレンチなんて食べたくないわけなんです。
ただ、それでもやっぱり多少優しくなってると思うんです。
それは「ソース主流」のフレンチから、食材へのアプローチが主になり、
火入れの技術の進歩もあって「素材」を全面に出せるようになった現在、
必然的に必要性も薄くなってると思うんです。
そんな「今」のフレンチに囲まれて忘れてた「しょっぱい」という感覚は、
幼少の頃、たまの外食で感じた「洋食のソースって、しょっぱい」っていう、
懐かしくも新鮮だった感覚を呼び覚ましてくれました。
「あぁ、フランス料理って、しょっぱいって思ってたなぁ・・・・」って、
ワインが生活やD.N.Aに擦り込まれてる国の料理だということを再確認するとともに、
なんか・・・、なんかね・・・、
不慣れな子供の頃の僕という「過去」と、大人になり経験も積んだ僕という「今」、
その二つの離れた時代と記憶が「しょっぱい」という味覚で時を越えてリンクして、
どちらの時代の自分を見ても感じる「照れ」や「恥ずかしさ」をいっぺんに感じ、
胸がキュンキュン締めつけられるような甘酸っぱい感覚に陥ってしまったわけです。
それでね、その時代と時代にあったいろんなことを思い浮かべてると、
なんだか意味もなくニヤニヤしてきてしまったわけなんです。
そりゃあ、いろいろありましたから(笑)

帰り際も、気持ちよく見送っていただきました。
ちゃんとこの店に時間を置いて帰れるような、終始丁寧で温かい接客でした。
またいつか来た時には、この日、置いて帰った時間にまた逢える気がします。
そしてその日まで僕ももっと頑張って、新たな自分として今日の自分と対面しよう。
変わっていくものでは紡げないものが、
変わらないものの中にはあることを知った今日という日を忘れないためにも・・・。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-09-30 01:06 | コート ドール

途中経過。

2年半も前に辞めて独立準備に入ったにも関わらず、よりによって、
関西ではここ10年最強のビッグネームのオープンと鉢合わせる強運の持ち主の店に、
初めて近況を覗きに行ってきました。

吹田から車でもかなり遠いですね。
電車なら、阪急だと駅から10分ちょっとみたいです。
JRは歩くのは諦めてバスかタクシーが良いですね。
バスだと「東浦」というバス停が目の前です。

前に停めれないので、離れたとこに停めて歩いて向かいます。
遠くに見えた建物が近くになるに連れて、いろんな感情が込み上げてきます。
長岡京  「サンク」
c0116714_1375292.jpg

厨房はほとんどできてるんですが、お店はまだまだ。
店名もまだ補強のテープが貼られたまま。でもなんだか初々しいですね。
c0116714_1383457.jpg

店はね、店舗付き住宅なんでかなり狭いです。
でも、狭い狭いと聞いてたんで、僕はそこまで気になりませんでしたけどね。

パンはシュクレと同じくショーケースに入れての対面販売。
c0116714_139086.jpg

まだ見ぬ地元のお客さんと、
このショーケースを挟んでたくさんの会話が生まれると思うと、
なんだか自分の店のオープン前のような、期待と不安が交錯します。

厨房も立派なもんです。
c0116714_139178.jpg

僕なんて、9割中古。しかもその8割はテンポスでも高くて手が出ずヤフオクで購入。
それを思えば、狭いながらも欲しいものをちゃんと揃えてるのは立派なもんです。

オーナーシェフである宮本君も、良い表情してました。
ここまで道程が長かっただけに、コックコートを着れること、パンを作れること、
それらに心の底から喜びを感じてるのが伝わってきました。
帰ろうとした時、「あ、岩永さん!」って、
ちょうど奥さんが保育園から、娘さんと一緒に自転車で帰ってきました。
僕が訪ねた2日前、やっと住居に認可が下りて住めるようになったとこだったんです。
住宅の認可も下り、保育園も決まり、晴れてこの地区の住人になっていく様を見てると、
「いよいよやなぁ・・・」と、しみじみ感じました。
そして何より奥さんの晴れやかな表情を見ると、
心から「良かったなぁ・・・」と思うわけです。

住宅の認可が下りたことで、急ピッチでオープンの準備が進み、
やっと・・・、ホントにやっと皆さんにオープンの日を告知する日を迎えることができました!

オープン日 10月1日(金)朝8時。

なお、金、土、日、の三日間は、
オープン記念でドゥミ・バゲットを先着50名様にプレゼントするみたいですよ。

シュクレ出身としては2店舗目。
でも、1店舗目のビエルの時もそうでしたが、
オープンの日に駆けつけてあげれそうにありません。
と言っても、僕の勝手な夢だったんですけどね。
一緒に頑張ってくれた子が独立するときは、オープンのお手伝いに行きたいってね。
初日の金曜が動けなさそうなので、
2日目の土曜か日曜にでも、少しお手伝いに行けたらいいなぁって思ってます。
ビエルの時はシュクレもグチャグチャで、手伝いどころじゃなかったですからね。

うちもそうですが、決して交通の便の良いところではありません。
でも、想いに溢れた作り手のお店です。
先に書いた神戸の西川シェフのような知名度もない職人ですが、
今の彼の全部と家族の協力あって作り上げた温かい想いに溢れた小さなお店です。
自分も店もパンも子供も家族も、
この土地でお客さんと共にゆっくり成長しようと願う心優しい男の焼くパンに、
近くにお住まいの方がおられましたら是非会いに行ってもらえたら嬉しいです。



・・・・そして、この日もう一店。
サンクと同じく手土産をぶら下げて近況を覗きに行ったお店がありました。
10月5日(火)オープン 
茨木 「イル ピスタッキオ」
c0116714_2124376.jpg

・・・・この日はもう居ませんでした(笑)
たまには「行くよ」って言ってから行かないとね・・・。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-09-27 02:14 | サンク

なかなか進まない東京編に時間を割かれてる間に、
どんどんタイムリーな話題が過去になっていってしまう・・・。

とりあえずちょっと中断して、今書いとかなきゃいけないことを優先しますね。


この日、向かったのは神戸。
一度も一緒に働いたことはないが、
何度か僕のブログにも登場してる人物に会いに車を飛ばす。

出会ったのは、もう15年くらい前かなぁ・・・。
面識を持ったのは、僕が24歳の頃。
「働きたい」と、お願いしに行ったのが始まりでした。
最初は「空きが無い」との話でしたが、
懲りずに何度も足を運んでるうちに「配送からなら」と枠を空けてくださったんです。
初めて店に伺ったときから僕の気持ちは奪われたままでしたので、
「いつかここで働きたい」、その一心でしかなかったのを思い出します。
ちなみに22くらいで初めて本店に伺った時の第一印象は、
「僕がやりたいことを既にやってる人がいる!!」でした。
ホントに何様やねんって話でしょ(笑)

ただ、配送からですと、出勤は夜中の2時。
そこからお昼過ぎくらいまでの仕事だったような。
もちろん、そのぶんしかお給料も出ず、
電車の無い時間からの出勤ですから近郊に住まないといけません。
僕、すでに妻子いましたんで、
二重生活しても養っていけるだけの給料ではないですし、
もちろんそれに耐えうる貯蓄だって出来てません。
そんな葛藤を引きずりながらも足を運び続ける僕に、
シェフは行くたびに忙しい手を止め、毎回2時間くらい話をしてくれました。
お土産にもらったパンを、妻やご両親に見せながら、
「行かせてください!!ここで働きたいんです!!」と懇願したのを覚えています。
あぁ・・・、若かったなぁ、あの頃は(笑)

もちろん、そんなことは出来るわけありません。
2重生活で、アルバイト程度の給料しかもらえず、
2か所の家賃や生活費を工面しながら、
障害児を抱えた不安な生活を今までより更に不安にさせるなんて、
さすがに身勝手な僕にも出来ませんでした。

その日も、「ここでは働けない・・・」って気持ちを抱えながら、
でもどうしても諦めきれず、また足を運んでいました。
いつものようにシェフは手を止め、いろんな話を聞かせてくださり、
やっぱりここで働きたい・・・なんとかシェフの役に立ちたい・・・、
そう後ろ髪引かれながら、「また来ます・・・」と、いつものように店を後にしました。
扉を出てすぐの階段を途中まで上った時、
「ハッ!」と、あることに気づき、僕は店内に駆け戻りました。

「どうしたの?」と、まだ厨房に戻る間もなく店内におられたシェフに、こう告げました。
「僕、やっぱり無理です。ここでは働けません」
多分、それだけ言うのが精一杯だったと思います。

自分のことばっかり考えてました。
「働きたい。でも、どう考えても難しいことはわかってる。でも・・・・」って。
その日もそうでした。また時間を割かせ、また結論もだせず、「また来ます」って。
そんな帰りに、急にカミナリに打たれたように目が覚めました。
「これ以上、シェフの貴重な時間を僕なんかに割かしたらあかん!!」
それで店内に戻ったんです。
出てすぐに帰ってきた僕の突然の言葉にも、シェフは多くは言わず、
「そうか・・・。でも、一緒に働けなくても 同じ方向を向いて仕事することは出来るやろ。
頑張れ。2、3年後にはきっと面白い存在になるよ」、
そう言って、右手を差し出してくれました。
その手を握り返した瞬間、言葉にならない感情が一気に込み上げて来て、
その感情は心を突き破り、涙と嗚咽となって溢れ出てしまいました。
手を握ったまんま、営業中のレジの前で、声を上げてしばらく泣いていました。

働きたかった。
学びたいなんて気持ちはなく、なんでもいいから役に立ちたかった。
でも、この日から一度もそれを思った事はありません。
僕はちゃんといただきものをしました。宿題をもらいました。
離れてても同じ方向を見て頑張らなきゃいけません。
いつかシェフが言われた「面白い存在」だと思ってもらわなきゃいけません。
その為に、前に前に進む日々がそこから始まりました。

ま、今となっては一緒に働けなかったことも、
ボロが出なくて良かったなぁと前向きに考えれるんですが、
今のスタイルを見つけるまでは、悩んで悩んで燻ぶった毎日を送ってたんです。
僕にはもう一店、京都に大好きなお店、大好きなシェフがいて、
その店と、今書いてる神戸の店に、
いつしか拭い去れないコンプレックスが生まれてしまってたんです。
それはもう一種の軽い諦めのようなものでした。
「もし自分が店をやっても、どこかで店を任されても、
どうせプチメックとコムシノワに憧れたまんま、
あの2店は特別だから・・・と言いわけをしながら生きていくんやろうなぁ・・・」って。
だってね、どうしようもなかったんですもん。
超えるものに出会えなかったし、もともと自分で生み出すような才能などありませんから。
「面白い存在になるよ」、そう西川シェフに言っていただいてから、
いつしかそれは自分の十字架みたいになっていました。
「今の自分は面白いか?面白いと思ってもらえるか?同じ方向を向けてるか?」
予想された「2、3年」なんて、僕は燻ぶりに燻ぶって発酵しかかってた頃ですよ(笑)

でもね、出来ないなりに懸命に模索してました。
もがいてもがいてもがき尽くしました。
言ってもらった言葉に何とか応えたかったんでしょう、いつかは報いたかったんでしょう、
出来ないからと言って、先が見えないからと言って、
貼りつけた心の中の掲示板から剥がすことはありませんでした。
そんなどうしようもなかった時、カイザーに出会ったんです。
今まで出会ったことのない衝撃を受けました。
「やっと見つけた・・・」って気持ちで打ち震えました。
だって、闘える術を見つけたんですもん。
日本でもまだあまり知られてないものに、たまたま出会えたんですもん。
「これはラッキーなことだ」と認識しました。自覚しました。
逆に、これをものに出来なければ僕はもう終わりだとも思いました。
必死でしたね。今までやってきたことなんてどうでもよかった。
所詮、抜きんでれなかった過去の経験なんて、しがみつくのもナンセンス。
全てを捨ててでも掴みとらなければ、僕にはもう策がありませんでしたから。

僕が独立する時もね、やっぱり強烈に意識しましたよ。
それは勿論、同じマーケットに参入するってことでの意識もありましたが、
「僕が何をしなければいけないのか」という意味での意識が大きかったです。
僕はコムシノワに出会い、西川シェフに出会い、
なんとか追いつき追い越したい、面白い存在だと思ってもらいたい、
そう思って苦しんできたし成長もしてこれたと思います。
じゃあ、そんな僕が店を開くときに何をしなきゃいけないのか。
それは、ちゃんとバトンを引き継がなきゃいけないと思ったんです。
西川シェフは、客観的に見ても、
「西川前・西川後」と分けても良いくらい、パン業界に影響を与えてきました。
コムシノワが生まれる前と生まれた後、大きく関西のパンは変わったと思います。
その後、化け物のような売り上げを叩き出す(笑)大阪のタケウチさんと共に、
「ブーランジュリ」って言葉を広く一般に知らしめた功績は半端ないと感じます。
じゃあ、それらを見て育ってきた僕は何をしなきゃいけないのか、そう考えたんです。
憧れた人は多いと思います。
影響を受けた人は多いと思います。
だけど、まだ実在してる店の真似をして何になるんですか?
同じような店を作って、西川シェフが喜ぶと思いますか?
気がつけば、
表面的なスタイルやアイデアだけを真似する店が後を絶たなくなってました。

それは違うと思うんですよね。
それで僕は僕なりに考えたわけです。
ブーランジュリという言葉を耳にするようになってから数年、
巷に溢れた「似非ブーランジュリ」によって、
若い職人たちがわからなくなってる気がしたんです。
「結局、ブーランジュリって何?どこを見て歩けば良いの?」
パン屋は未だに東京も大阪も中心部に集まり、
もうその数も飽和状態のように感じました。
「僕がしなきゃいけないのは、なんやろ。もらったバトンをどう繋いだらいいんやろ・・・」

だからむしろ迷いなく出来ました。
僕が次にしなきゃいけなかったのは「ブーランジュリの本質」です。
そこに含まれてるのは勿論商品構成だけではありません。
異文化を背負う意味や覚悟、生活圏で生活に寄り添うことで生まれる本当の価値、
ブーランジュリという言葉の真意、フランスの現在、そして空気。
なにより「ブーランジェ」という職人としての責任や誇りや覚悟や意地や・・・・etc(笑)
ま、そんなことですわ。
それがね、絶対に正しい一本の道じゃなくていいんです。
バトンを引き継いだのは僕だけではないわけですから。
実際、共に働き、傍で感じた職人が、おそらく一番確かなバトンを引き継いでるはずです。
僕がしなきゃいけなかったのは、新しい選択肢を作ること。
細くても小さくてもいいから、違う道を作ること。
次の世代に対して小さな道標と、今度は自分がなっていくこと。
それがね、時代を作った人を見て育ってきた人間が、
次にしなきゃいけないことだと思うし、それが恩返しだとも思うんです。
だってね、コムシノワがあって、次の世代が同じことして、
その次の世代が革新を起こせば、真ん中の世代は歴史上いらなくなっちゃいますからね。
それじゃあ、存在意義なんてありませんよ。
他の誰かでも出来ることやってても、僕じゃなきゃいけない意味は見出せませんよね。
それはね、やっぱり西川シェフに言っていただいた、
「面白い存在」って言葉が心にずっと引っかかってたからそう思えたんだと思います。
良い店を作ることが面白い存在ではないんです。
だって西川シェフは既に良いお店を作ってましたから。
じゃあ、シェフに「面白い」と言わせるにはどうしたら良いか・・・。
違うことするしかないですよね。今思えば、かなりハードル高い無茶振りですよね(笑)


たいして目標もなかったんですよ、僕。
野球しかしてこなかったし、好きな人がパンを好きだったから始めたこの仕事。
最初の店探しはカレーパンとアンパンばかりを比較しまくって決めましたし、
フランスとパンなんて結びつきもしませんでした。
専門学校にも行ってなかったんで、知識も皆無。なんなら興味も無かったくらい(笑)
そんな僕に、初めて目標をくれた人。
その恩師が、この秋、遂に独立することになりました。
・・・って、長っ!!冒頭からここに至るまでの説明、長っ!!(笑)

もう忘れてるかも知れませんので繰り返しますが、
この日、神戸に向かったのは、西川シェフの開店のお祝いに顔を出しにいったんです。

場所は三宮からかなり上った坂の上の上。
どうせオープンの日はお祝いのお花だらけになるだろうと思い、
シャンパンのマグナムをぶら下げての訪問。

通りに店舗は面しておらず、こんなアーケードを潜ってアプローチを歩きます。
c0116714_9151625.jpg

手前の「N」は、西川シェフの「N」だそうなので、皆さん踏まないように(笑)

伺ったのはオープン日の前日・・・のはずだったんですが、
思うように進んでないようで、翌日はレセプションに変更したみたい。
山本通 「サ・マーシュ」
c0116714_9153293.jpg

久しぶりにお会いしました。
と言っても、コムシノワを辞められる前に一度ご挨拶に行ったので、そうでもないか。
相も変わらずエネルギッシュな方で、
相も変わらず「おー!岩永君!」と、迎えてくれる。
ずっと変わらない西川シェフは、僕が「あの頃」に戻れるスイッチのようです。
え~~っと・・・・、前に書き過ぎたので、もう書くことあまり無いや(笑)

25日の土曜から、本格的にオープンされてるようですので、
また落ち着いた頃に遊びに行きたいと思います。
そこでもう一度、いつしかスタッフがこなせる「コムシノワのパン」として輝きを失ってた
生き生きとした「西川シェフのパン」に出会えたら嬉しいですね。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-09-26 14:09 | サ マーシュ

第一回の販売の時、予想を上回る反応をいただいたエコバッグ。
あれから2年の月日が経ち、
使い込んでくれてるお客さんのクタクタなエコバッグをよく目にするようになりました。

そこで、ですね。
「第二回 エコバッグ販売」を、
この何のイベントとも関連付けることのない中途半端な時期に企てることにしました!

先日、サンプルが上がってきましたが、ニヤニヤしてしまうくらい良い出来でした。
前回は店頭販売のみでしたが、今回は全国発送もしてしまおうと思ってます。
値段、注文方法、デザイン、その他諸々については、
来る10月1日(金)の未明に発表し、同時に予約の受付も開始いたします。

ってなわけで、取り急ぎ、お知らせでした。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-09-24 18:19 | シュクレクール

忍ばされた「上質」

この日は仕事を早めに切り上げ、東京へ。
翌日の打ち合わせがメインの上京だったんですが、
なっかなか取れなかったお店の予約が取れたので、
強行で向かいます。
が、案の定、出発が遅れ、
ホテルにチェックインしてすぐタクシーに飛び乗り、
奇跡的に予約時間の7時に・・・あれ?予約6時半やったっけ?(笑)

池尻大橋 「レストラン OGINO」
c0116714_23211389.jpg

今・・というか、結構前から、東京で一番勢いのある店の中の一つ。
2ヶ月3ヶ月待ちは当たり前。
予定が直前にならないとわからない僕には、
数ヶ月先の予定を勘で決めなくては取れないお店。
今の場所に移転する前から知ってたものの、全く縁がなく、
ホントにやっと来れました。
なんか、例えるなら、
長いこと知ってはいたけど喋る機会のなかった女の子と初めてお話するドキドキした感じ。
知ってるけど初対面やし・・・、初対面やけどなまじ知らんわけでもないし・・・、って感じ。
この例え、いらんかったですか?(笑)
c0116714_23212957.jpg

「今日は食うぞ!飲むぞ!」って時には、
やっぱり野郎同士のほうが挑みやすいわけで。
東京で気軽に誘える男子筆頭(一人しかいませんが)に、この日もご同行願いました。

シャンパンで夏の暑さを掃いつつ、胃に刺激を与えて臨戦態勢を整えます。
c0116714_2322327.jpg

ピクルスがどさっと。
c0116714_23224681.jpg

僕にはちょっと甘いかな。もう少し酸のエッジが立ってるほうが好み。

リエットとパン。
c0116714_2323067.jpg

リエットはさすが。抜かりナシです。

この日は初めてなので皿数を優先し、カルトよりコース仕立てを選択。

ラタトゥイユのムースとウニ トマトのジュレ グラス仕立て
c0116714_23231576.jpg

下にムース、上にジュレ、それぞれラタトゥイユにトマト、
そして真ん中にはウニが鎮座します。
口中に夏が広がりますねぇ。
c0116714_23233060.jpg

ワインも入り、食も進み出しますが・・・
c0116714_23245836.jpg

う~~ん、このパテ、なんやったっけなぁ・・・。
夏鹿やったっけなぁ・・・。
質感、ビジュアル、共に抜群のパテ。
雑な印象はなく、上質でいて繊細。

カナダ産 活きてるオマールエビの丸ごとソテー アメリケーヌソース
c0116714_2325187.jpg

ど直球。どストライク。
これ以上エビ好きを興奮させるビジュアルもないでしょう。
何も考えずにひたすらオマールを味わう。ただただ味わう。
たいして良いことしてませんけど、なんだかご褒美もらったみたい。

口直しのグラニテ。
c0116714_23253281.jpg

口もすっきり、ワインも赤に変えて、待ち構えるのは本日の主役。
c0116714_23255944.jpg

北海道産 夏鹿のパイ包み焼き 赤ワインソース
c0116714_23261254.jpg

おぉ・・・美しい。艶っぽいですよね。セクシーです。
これぞ「フランス料理」ってオーラがプンプンしてます。
生焼けみたいなシケた白い焼き色のパイ包みにうんざりしてる中、
もう、色でやられます。そそられます。挑発されます。
こりゃ旨い!問答無用で旨い!断面撮ってないから伝えづらい!(笑)
「あぁ・・・今フランス料理食ってんなぁ・・・・」
そうしみじみ思いながらワインを傾ける幸せ・・・。至福です。

料理の余韻に浸りながら・・・。
c0116714_2330951.jpg


季節のフルーツのパフェ バラ風味 ライチのグラニテ
c0116714_23273358.jpg

三十路過ぎの野郎2人、カウンターでパフェを頬張る。
デセールって、おざなりになってて選択肢も少ない店が多いんですが、
ここは選択肢も多く、それだけで「楽しませたい!」って気概を感じます。

カフェ ラテ
c0116714_2331150.jpg

癒されますねぇ・・・。
ラテアートってなんで心がこんなに和むんですかね?
以前、とある都内のブラッセリーで朝食を食べてたときに出されたカフェに、
なんだったっけな・・・四葉のクローバーだったっけかな・・・
さりげなく描かれてたんですよね。
なんかね、その日1日良いことあるような気がしたんです。
日常の、そんなささやかな瞬間に提供された小さな小さな幸せは、
ふいに渡された小さな花束のように心を晴れやかにしてくれたんですよね。
この日のクマさんにも、同じような魔法をかけてもらいました。
そう、あの日と同じような、幸せな魔法をね。

マドレーヌ
c0116714_23312197.jpg

このクオリティなら無くても良かった気が(笑)。

「レストラン」ですが、肩肘張らないカジュアルな雰囲気。
そこには店内の内装もそうなんでしょうが、マダムを始め、
サービス陣の柔らかい対応によるところも大きいと感じます。
お皿からも伝わるシェフの「楽しんでってね」っていうメッセージを、
お店全体で体現しようとしてる空気が伝わってきますよね。
入ってくるお客さんに「こんばんわ!」って声をかけるのは、
個人的には「いらっしゃいませ」より好きですね。
「お待ちしておりました」と「ようこそ!」の違いのように、
迎えてくれる側も畏まらず楽しんでくれてるかのような気持ちになります。

視覚的にも味覚的にも頭で解釈させるのではなく、
「美味しい」をストレートにぶつけてくる料理ですが、
総じて粗さや雑さはなく繊細で、メニュー上はビストロを連想させる料理も多い中、
完全に「レストラン」の料理と昇華したお皿となっています。
ボリュームもありパンチも効いたお皿が多い中でも単調になり飽きてきたりしないのは、
豪快さの中に忍ばされた「上質」あってのものかと思わされます。

今度は是非、ジビエの季節に伺いたいと思います。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-09-24 02:06 | レストランOGINO

メッセージの送受信。

僕、かなり「ヨシ!」と気合入れないとブログ書けないんですよ。
やっぱモチベーション落ちてくると、そこからさらに搾り出す作業は拷問に近く、
一文字も言葉が出てこないなんてこともしばしば。
パソコンに向かった瞬間に、「今日は無理やわ」って思うこともあるし、
もちろん向かう気力すらないときもあります。
そんなときに背中を押してくれるのが、やっぱり覗きに来てくださってる方々の数です。
こんな僕でも相当励みになってるわけです。
今日もそう。ちょっとしんどくて書くつもりもなく開けたんですが、
「お・・・・、こんなに見に来てくれてるんや・・・・」と思うと、
頑張れるときは頑張って書かないと!って思うわけなんです。
めちゃくちゃ一生懸命書いた翌日に、
「は!?」みたいな人数しか来てくれてないときも逆にありますけどね(笑)
そんときは素直に「必死になって書かんかったらよかった・・・」ってブルーになるんです。
強烈に睡眠時間削ってますからね(笑)

さ、もうちょっと気合入れて、東京編、書ききってしまいましょう!!
ってことで、この日はもういきなりお店の前!
広尾 「ア ニュ」
c0116714_3381014.jpg

ややわかりづらい入口を抜けると、やたらと天井の高い店内。
「空間」を最大限に使って上質を演出しています。

「ムニュー・ドゥ・コンパレゾン」、
いわゆる 「比較のコース」という名前そのままの、
1つの素材を趣の違う2皿で表現し、それを同時に味わうという主旨のコース。
なので単純に皿数は通常の倍になるのかな?
ま、あまり体験したことのない構成なので楽しみです。

アミューズが運ばれてきました。
c0116714_3382691.jpg

くぼみにはめられて運ばれてきたアミューズは、
なんとパズルみたく位置皿のくぼみへとセットされます。
こんな感じ。遠いですけど(笑)
c0116714_3383965.jpg

ワインは皿ごとに当ててもらいます。
最初はシャンパンから。
c0116714_338516.jpg

枝豆のクルスティヨン
c0116714_339651.jpg

塩気が良い塩梅です。

パン・・・なんですが、
c0116714_3392164.jpg

確かに小さな型に入れられてビジュアル的には可愛いんですが、
「サレ仕様」とか、予想を裏切らず普通に甘いブリオッシュなわけです。
・・・・意図がわかりません。
これから繰り出される料理、ワイン、
どれをとってもブリオッシュに合うわけがないんです。
何故にブリオッシュなのか・・・。
相性だけで言うと、バターロール持って来られたのと変わらないくらい合いません。
なんなんですかね・・・わからないんですかね・・・・。
c0116714_3393418.jpg

なぜワインはスタートに相応しい爽やかなチョイスが出来るのに、
パンはブリオッシュなんですかね・・・。

じゃがいものブランマンジェ 初夏の香り
c0116714_3394638.jpg

しつこいようですが、この料理にブリオッシュが合うと思いますか!?
ま、とりあえず、恨み節みたいになるのでパンのことは置いておきましょうか・・・。
いつもだいたい「ブランマンジェ系」に全く期待はしないんですが、
これは普通に美味しく、ちょっとホッとしましたね。
これからの流れが楽しみになります。

さ、ワインも変わって、アユのコンパレゾン。
c0116714_3401695.jpg

①ラタトゥイユのコンソメ 稚アユのフリットと共に
c0116714_3403031.jpg

見た目、普通のコンソメですが、味ラタトゥイユなわけです。
うん、ラタトゥイユ、見た目ちょっと賑やかでザワザワして暑苦しいですからね(笑)
こうなると香りや味の「夏」してる部分だけ摘出できるわけですね。
そこに稚アユ。苦味が心地良く季節を漂わせてくれます。

②スモークしたアユのキッシュ 肝のソース
c0116714_3404518.jpg

アユのキッシュ、なかなか食べれませんもんね。
キッシュも旨かったですが、やはりアユは肝が命。
ただ、添えてるのがスイカなんですね。これがちょっと甘すぎてバランス悪し。
むしろ野菜に近い感じだと清涼感など意図が酌めたんですが・・・。
農作物は、難しいですね。

ここで別のパン。
c0116714_34124.jpg

この店、パンどうでもいいんですかね・・・。
パン一つ取っても、自分のお店からお客さんに提供する、責任あるもののはず。
最良の食材を最良の調理法を使って、
最良の体験を提供する「レストラン」ってジャンルにおいて、
ここまでクオリティの低い「食材」を提供してることに胸を張れるんでしょうか・・・。
「パン屋だから」気になるんじゃなくてね、
むしろパン屋だからパンに関してはなるべく見ないようにしてるわけなんです。
なんか、いやらしいでしょ(笑) だからどっちかって言うと、
教えてあげれてないパン屋さんが悪いんだって思うようにしてるんですが、
このクラスの店だと正直腹立ちますよね。
パンだって、肉や野菜と同じく一つの素材です。
はたして肉や野菜のように吟味した結果、
責任もってお客さんに提供してるかというと甚だ疑問ですね。

さ、気を取り直してオマール・ブルー。
すなわちブルターニュ産オマールのコンパレゾンです。

①温製  オマールブルー メープル
c0116714_3411612.jpg

ビジュアル、凄すぎ・・・。
エビ好きとしてはむしゃぶりつきたい衝動に駆られますが、
ここはオマール・ブルー、ちゃんと味わって食べなきゃね。
メープルはたまにフワッと香るくらい。
甘さのサポートが要らないくらい素材が甘い。
伊勢海老じゃないんだから、オマールはしっかり火を入れて欲しいほうですが、
僕的に火入れはドンピシャ。
パサつかず、甘みが増し、細胞が熱でプクッと膨張してる感じ。
こりゃ旨いっす。

②冷製  オマールブ ルーのタルタル
c0116714_3412913.jpg

オマールに、他の甲殻類のジュレで風味を補ったタルタル。
一転、ほとんど印象に残らず・・・。

さ、ワインも変わって、本日の鮮魚。
c0116714_34219.jpg

本日の鮮魚 モンサンミッシェル産ムール貝のナージュ
c0116714_3421950.jpg

お魚は鯛でしたかね?身もふっくらで美味しかったです。
ムール貝のナージュも優しい良いお出汁、出てました。

さ、ワインもボルテージ上がってきました。
c0116714_3423765.jpg

次は鴨のコンパレゾンです。

①マダムビュルゴーのシャラン鴨胸肉のロティ 白と赤のソース
c0116714_346158.jpg

②鴨肉 本日のアンプロヴィザシオン
c0116714_3461513.jpg

この日はフォアグラでした。

フロマージュもお願いしました。
c0116714_3463113.jpg

こうして一口で食べれるようにしてくれます。
c0116714_3464660.jpg


フロマージュ、デセールと、両方いける感じのこれ、何やったっけな・・・。
c0116714_347171.jpg

パッションのソルベ ココナッツのクランブルを添えて
c0116714_3471691.jpg


さ、最後のコンパレゾン。桃です。
①フレッシュ桃とほうじ茶のジュレ 
c0116714_3473347.jpg

②・・・・と思ったら、あれ?デセールは一種類やったっけかな?

ハーブティーでまったりと。
c0116714_3481193.jpg

ミニャです。
c0116714_3482497.jpg


先に書いたように、
「ムニュー・ドゥ・コンパレゾン」という「比較」のコースだったわけですが、
1つの素材を違うアプローチで2皿で表現し、
その違いを比較しながら同時に楽しむというコンセプトどうり、
多種多様なお皿で構成されたあまり類をみないコースでした。
確かに皿数も多く、一度にいろいろな調理法で提供してもらえるのは楽しいんですが、
結局シェフが伝えたかったのは何だったのか、あまり印象に残らないわけなんです。
特に店名にもなってる「ありのまま」という意味は、
様々な解釈はあれど、このコースから読み取るのは難しい感じ。
もちろんコースはこれだけではなく他にも2種類あるので、
単に今回はコースの主旨と自分が望んでたものと、
ちょっとピントが合ってなかったような気もします。
オマールにしても鴨にしても、技術の高さや的確さは明確なので、
次にもし機会があれば、シェフの「ど直球」を食べてみたいなぁ・・・と思います。

メッセージは発信するだけで終わりでなく、
受け手がちゃんと受信できて初めて理解し交われるものです。
つくづく、人に伝えるっていう作業もですが、
受け取る作業も難しいもんだと考えさせられる夜でした。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-09-21 23:19 | ア ニュ

「センス」

同じ時に東京に来てたモンテベロ橋本夫妻にばったり会って、
「じゃ、一緒に行こうか」ということで、ブロンディールさんからタクシーに乗り込みます。

・・・・僕、「埼玉」ってことで一くくりにしてしまってたんですけど、遠いっすね。
みるみるタクシーのメーターが上がっていきます(笑)

で、なんか中途半端なとこで降ろされて、とことこ歩いて探すと・・・着きました。
浦和「パティスリー アカシエ」
c0116714_23532062.jpg

アカシエさんとは数年前、
初めてモンテベロを東京の催事に出した時、
偶然横のブースになったんです。
その時良くしてもらったり、その後大阪まで来て下さったりして、
シェフ同士も良い関係を続けてるそうです。
いつか・・・と思ってたんですが、僕は初めての来店になります。
と言うのも、サロンが出来ると聞いてたんで、サロンが出来るまで待ってたんです。
本店から100mくらいかな?少し離れたところにサロンはありました。
c0116714_23535326.jpg

店内はめちゃくちゃラブリーです。
c0116714_2354957.jpg

c0116714_2354283.jpg

でも品があるラブリーなんで、男性でも大丈夫な感じですよ。

とりあえず橋本に食べたいもの頼ませて、3人でつまみっこすることに。

ラブリーな店内なんで、ちょっとテンション上がってこんなの飲んでみたり。
c0116714_23544686.jpg

お菓子はこちら。
c0116714_2355286.jpg

橋本夫妻がアシェットを頼んだので、僕は店売りのガトーをいただきます。

ここを一言で例えるなら「センス」。
店から商品から、全てが意図的で、全てが戦略的。
いわゆる良い意味でも悪い意味でも「センス」を感じる数少ないお店。
これ、褒めてますからね(笑)
商売をしてるのだから当たり前の要素だと思われるかも知れませんが、滅相もない。
ここまで意図してやれてるお店は同年代では稀有の存在。
かといってビジネスに走ってるとかいうとそういう意味ではないんですよ。
物事にチャレンジする時に、意図がなければ結果は受け入れれません。
「たまたま」を繰り返してては反省もできなければ成長もできないわけです。
狙ってやらなきゃ意味が無いんです。狙って得ないと意味が無いんです。
掴みにかかって掴んだもの以外は掌から簡単に零れおちてしまいます。
それから、全てに意図があるということは全てに意思があるということで、
言いかえるならば全てに自己責任を課してるというわけです。
ま、言いかえれば「合わない人は来るな」くらいの気概と、
逆にそれでも来てくれる人たちに対して精一杯のことがしたいという気概と、
きちんと自分たちのスタイルを持ってる店じゃないと発せれないメッセージを
持ち合わせているような気がするんです。
そこに僕は非常に潔さを感じるんですよね。
「曖昧さ」は、逃げ道と言い訳を生みだす以外、何も生みだしませんから。

その中でマダムのホスピタリティーは、前々から思ってましたが秀逸ですね。
浦和で、ある意味挑戦的かつ挑発的なお店かも知れませんが、
それらを全て丸く収めてるのがマダムの存在。
僕らが行った時はサロンにいましたが、
より多くのお客さんに接してもらうことを考えると、
本店のパティスリーにおられたほうが良いように感じます。

駅から遠く、うち同様恵まれた立地ではないかも知れませんが、
僕らにとって「恵まれた立地」ではなくても、
自分たちの店があることによって近隣の住人の方々が、
「恵まれた立地」に住めてると思ってもらえたら幸せですよね。
また、そう思ってもらえるくらいのエネルギーを発信できなければ、
僕ら郊外でやってる人間の存在意義だって薄れてしまうわけです。
郊外でしか出来なかった負け犬だと片づけられるのか、
ここでやる意味があったからここでやってるんだと知らしめるのか、
全ては自分たちの掲げる意識次第ってことですよね。
「郊外の割に」なんて言葉に一銭の価値も喜びもありません。
シーンを牽引して行けるか否か、挑むならその辺りを狙ってみましょうか(笑)

さ、負けずに頑張ってね!橋本君!!
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-09-20 23:24 | アカシエ

「意思」の形

レストランの記事が進まないので、やっぱり菓子屋に逃げますね(笑)

この日は朝からちょっと遠出。
僕、かなりの方向音痴なんで、
知らないとこに一人で来れただけで、
相当な達成感を得れるんです。
その達成感を得たいがために、
人に聞かずに動いてしまって最終的に痛い目にあう確率のほうが高いですけどね(笑)
c0116714_8383993.jpg

キレイな名前の駅ですよね。
富士山でも見えるんですかね?
東京からそこそこ離れたのもあって、
久々に静かな駅に降りました。

そこから真っ直ぐ歩いて5分かからないかな?
「ブロンディール」
c0116714_8385418.jpg

比較的若い世代のお店で、「行きたい」と思わせてくれた数少ないお店の一つ。
この店は、なんと言っても「心意気」じゃないでしょうか。
決して恵まれた立地じゃないでしょうに、
「フランス」を体現すべく作られた店やお菓子。
その随所に意地や誇りや敬意が散りばめられてるような気がします。
上辺じゃなくて、スタイルじゃなくて、
本気で挑んでる気概みたいなものがプンプン感じるんですよね。
c0116714_83961.jpg

この店の規模や立地でここまでやらないだろうと思うような売れそうもないお菓子も、
その全てが店内に「フランス」を薫らすための手段だと言わんばかり。
見た目だけじゃなく、味も普通に違和感なく「フランス菓子」でしたよ。
ただ、そこに固執しすぎてるのか、
その向こう側のあるべき独自色みたいなのが見えなかったんですが、
それを多少犠牲にしてでも、
若いうちはこうして伝えたいもののためにガンガン突っぱねて欲しいもんですよね。

なぜならそれが、自分のアイデンティティなのですから。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-09-17 01:38 | ブロンディール

ちょっと一息。

東京編、もうすぐ終わりますが、
今年行ったの繋ぎ合わせてると、かなり長くなっちゃいましたね・・・。
そりゃ実質2日で4食中4食フレンチとかもあったんで仕方ないか・・・。

体調崩してからは固形物が食べれず、
先日夜中3時くらいに、お腹が空き過ぎてお腹痛くなってきちゃったので、
急遽、吉野家に行ってきました。
これ以上ない空腹だったからか、牛鍋丼、最高に旨かったです。

さ、記事のほうも、ちょっと一息いれましょか。
フレンチばっか食べてても、
合間にやっぱりパティスリーには行ってしまうものでして・・・。

キャラメル・ポワール コム・ニューヨーカー カフェ・ロワイヤル 
c0116714_3213278.jpg

やっぱりお菓子は癒されますね・・・。
あ、ちなみにいつものパリセヴェイユさんです。
他にも行きましたが、また記事に煮詰まった時に、ひょっこり書きますね。
レストランと違って、画像も文章も、短くて楽なんです(笑)
この日は、朝早めの訪問だったんでお客さんも少なく、
まったりとした時間を過ごさせていただきました。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-09-14 23:25 | パリ セヴェイユ

すいません・・・

夏休み中盤から崩れた体調が以前優れず、更新がまた滞ってしまってます・・・。
帰ってから、なかなかパソコンに向かう気力も生まれず、
大事なお知らせも後回しになってしまってまして・・・・。

最近、やっと固形物が摂れるようになってきたと思ったら喉をやられて声が出せません。
ま、厨房に入ると、
そんな中でも黙ることを許してくれない優しいスタッフが待ち構えてまして、
ここんとこは喉から血が出てきてます(笑)

そんなことより、お知らせを2つ。
えっと、先日・・・いや先月ですね(笑)
久々に雑誌に載せていただいたわけなんですが、
c0116714_228301.jpg

ランキングみたいなヤツで、
うちはバゲットを取り上げていただいたわけなんです。
ま、順位はともかく、東京の2強に岸部から食い込んだのは、
多少の存在感くらいは出せたんじゃないでしょうか・・・と思っております。

が、お知らせはそれじゃなくて、
掲載していただいたバゲットについてなんですが、

粉、替えちゃいました(笑)

ま、全部じゃなくて一部なんですが、
ちょっとキャラが変わるくらいの変貌ぶりです。
夏休み明けに合わせて告知しようと思ってたんですが、
スタッフの帰国が遅れたりなんだかんだで忘れてしまってまして・・・。

クロワッサンはちょくちょく変えてましたが、
バゲットに関しましては、いつ以来かわからないくらいのリニューアル。
土曜から新しいバゲットになってましたので、気づいてるお客さんもいたかな?
ちなみに原価、下がると思ってたら計算違いで、また上がっちゃってました(笑)


それから、お知らせ2つ目です。
これ、多分・・・なんですが、11月から定休日変わります。
現在の「水曜、木曜」から「月曜、火曜」に変更になります。
もちろんモンテベロも一緒です。
またHPにて正式に告知しますので、その際はご理解の程よろしくお願いします。


以上、お知らせ2点でした。
[PR]
by monsieur-enfant | 2010-09-14 02:03 | シュクレクール