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なないろめがね

熊本~平戸  ~後篇~

「ホテルの場所くらい確認して予約するもんだ・・・」と激しく後悔しながら、
やっと辿り着いたホテルで明日の船の出発時刻を確認。
「佐世保から、平戸のどちらまで?」
「え・・・?平戸・・・って、一つじゃないんですか?」
「何カ所か港があるんです。では行き先のご住所はわかりますか?」
「・・・・わかりません」
どうやって行こうと思っててん!!って話ですよね(笑)
住所知らないのは、その時初めて知りました。
行き先だけはさすがに知ってたので告げると、「調べておきます」と。
しばらくして部屋にフロントから電話が。
「船は出てますが、そこからだと着いてからが相当遠いかと・・・」
ちなみに今回、地図もほとんど見てきてないので、
平戸って吹田みたいなもんかと思ってたんです。
だから平戸に着きさえすりゃ、ま、どっからでも距離は知れてるやろ・・・・と。
で、バスやら電車やらいろいろ相談して考えた末、
一番効率的なのは佐世保からレンタカーだという結論に。
なので早くも佐世保に宿をとった意味はここで消滅。
加山雄三も杉山清貴もここで消滅。

ただ、レンタカーって、レンタル料が安いと思ってたら、
ガソリン料金は別で、結構な値段したりするじゃないですか。
だからねぇ・・・なんかしっくり来なかったんですよねぇ・・・・。
頼みの「ナビウォーク」からの情報だと、
電車で1時間半かけて平戸に向かい、
そっから3時間かけて歩けというとんでもない指示を出してくる。
レンタカーは8時から。
でも電車を使えば8時には既に平戸に着いてるし、
何より道中も読書や仮眠など有意義に使える。
なら平戸まで行って、平戸からレンタカー借りればいいやん。
こんなとこまで来て運転だけの2時間なんて御免だ!!と言うわけで、
「駅からバスがあるにはあると思いますが・・・」とのフロントの言葉を頼りに、
朝、6時半にホテルを出発。
この時点で僕の思う「駅」と既に相当な温度差があったことは、
翌朝すぐに思い知らされるわけですが・・・。

聞いたことない「松浦鉄道」というローカル線に乗るわけですが、
駅も駅でインパクト大。
まず、大きなアーケードの商店街の横道に入る。
10メートル無いくらいで横みたら、いきなり駅。
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「近っ!商店街から近っ!」
しかも、なんだこの作りは・・・。仮設か?
階段を上がり切符を買おうとしたら、
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「なんで!?」
有人でもないのに9時からしか買えない理由は何?
そして、この路線、実は「日本一」の称号も持ってるんです。
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隣駅の中佐世保駅まで200mしかなく、「日本一駅間距離の短い区間」だそう。
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早かった。確かに早かった。トラブルかと思うくらい発車してすぐ停まった。
さすが日本一。
そんな2両編成の電車に揺られること1時間半くらい。
着いたのは、またしても「日本一」。
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今度は「日本最西端の駅」。
ここらへんでやっと、「平戸って、相当端っこなんじゃ・・・」と悟る。
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そして駅に着いた瞬間、レンタカーを借りれる場所を聞く行為そのものを放棄しました。
あるわけない。こんなとこにレンタカーなんてあるわけないですもん・・・。
ただ、タクシーは停まってました。乗ろうかと思ったその時、
昨日のフロントからの電話が頭をよぎる。
「駅からタクシーだとすごい料金とられますよ。佐世保からレンタカーで・・・」
うん、あかんあかん。まだ時間に余裕もあるわけやし、そんな贅沢したらあかん。
「バスは出てますか?」と近くにいたオバチャンに聞いたところ、
「駅からはもう出ちゃったけど10分くらい歩けばバスは走ってる」、とのこと。
「下の方に歩けば」という曖昧さに一抹の不安を抱えながらも歩きはじめる。
10分歩けどもバスらしきものは通ってない。
嫌な予感がし始めた中、GSがあったので聞いてみる。
「あの、すいません。バスターミナルがあると聞いたんですが・・・」
「あ?バスターミナルなんてないとよ。あるなら対岸かばってん」
対岸・・・?と視界を上げると、そこには恐ろしい光景が。
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「あかんあかん!ガチの大橋やん!」
いや、マジで、そんじょそこらの橋じゃないっすよ。
「なんとか大橋」とか言われるクラスの、壮大な大橋ですよ!
っていうか、ここで初めて平戸が離島だということを知りました。
電車とかバスが普通に走ってると思ってた自分が甘かった・・・。

あ~~~、なんというか、
近づくにつれて全貌が明らかになっていくわけです。
橋のたもとが見えてきました。
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っていうか、ここまででも結構歩いてるんですよ。
でも「対岸にバスターミナルがある」ってことは、あとはこの橋を渡ればいいってこと。
入口まで頑張ってきたんですから、頑張って渡ります。
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こわいこわいこわい!
何が怖いって風が怖い!
風、半端ないです!
そして下は下でやっぱり怖い!
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この時、多分まだ朝8時半くらい。
8時半でこのテンションは、37歳には堪えます。

渡りきりかかると風も緩まり、バスターミナルも近いということもあって、
ちょっと海を眺める余裕もでてきます。
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「きれ~~~」
噂通りの綺麗な海。
もう少しゆっくり眺めてたいけど、バスが行っちゃったら困るからね。
半ば小走りにバスターミナルへ向かう。
正確には、バスターミナルらしきものへ向かう・・・ですが。

入って行ったのは観光バスでした。
大きなスペースは、この橋を眺める観光スポット。
「小走りのテンションと体力を返せ・・・」と思いながらも、
さすがに「対岸」と言われたとはいえ、
渡ってすぐってわけにはいかないんじゃないかと自分を説得。
「そのカーブ曲がれば「対岸のバスターミナル」や」・・・と、
幾つのカーブを曲がり歩いたかわかりません。
この時、常に頭に描いてたのは、「いつヒッチハイクするか」でした。
いや、マジで。もう覚悟決めてました。あとはタイミングのみでした。
ただ、金沢で捨て身のヒッチハイクした時と決定的に違うのは、
目的地があとどのくらいで、自分が今どの辺にいるのかもわかってないところ。
躊躇してると、ちょっと視界が開けてきました。
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なんとなく「平戸らしい」ような、海沿いの集落。
またしばらく歩くと、歩き始めた時に薄っすら見えたものの、
橋の画像のず~~と右手にあったためノーマークだったお城に近づく。
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「街だ・・・」
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やっと街らしき場所に着きました。
途中で訊いたおっちゃんによると、バスターミナルはこの辺らしい。
あのGSのおっちゃん・・・、「対岸」には違いないけど、
これ、徒歩で行く人間に勧める距離ちゃうやろ・・・・。

とりあえず、時間と体力は相当ロスしたわけで。
これ以上のロスは相手方に迷惑をかけてしまうと思い、
停まってたバスの運転手さんに躊躇なく聞いたのでした。
「すいません!この辺にバスターミナルがあるって聞いたんですけど!」



ここでした。



普通のバス停にバスが停まってるだけと思ってた場所が、
まさかの「バスターミナル」だったわけです。
そこで僕は確信しました。「このままでは着かない・・・」と。
念の為に確認した時刻表は、一時間に一本。
しかも目的地に行くには乗り継ぎをしなきゃいけないので、
そこでまた何時間かかるかわからない。
「こうなったら・・・」と取り出したリーサルウエポン「ナビウォーク」が示すのは、
相変わらず「2時間歩け」・・・おお!1時間減ってる!(笑)
そう、すでに小一時間歩いてきたからね・・・。
僕は「たびら平戸駅」で、あんなに躊躇したタクシーに何の躊躇も無く乗り込みました。
「これ逃したらもうタクシーとは巡り合わないんじゃないか」と、
必死で停めたタクシーに駆け寄る姿は、
若干スローモーション処理されてたくらい爽やかだったと思います。
おそらく平戸一颯爽と乗り込んだ自信はありますし、
上半期、最高の笑顔で言った言葉は、
「すいません!根獅子まで!」でした。

道中、外を眺めてると、バスじゃ無理でしたね。
ほぼ擦れ違わなかったですもん。
そして僕を乗せたタクシーは、
「次男坊が9月に結納でしてね」
「はぁ・・・」
という弾まない会話のまま目的地に向かったのでありました。

根獅子 「塩炊き屋」
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やっと着いた!!
長かった!!
時間無いなか週末関係なく書いていたのは、ここを紹介したかったから!
道程も長かったけど、相変わらず前振りも長い!(笑)
いや今回ね、ここだけ先にサクサクッと紹介しようかともと思ったんですが、
どうしても流れの中じゃないと頭の整理が出来なくてですね、
結局最初の熊本に着くとこから書くことになったわけです。
で、やっとこさ、目的地に着いたというわけなんです。
なので、ここからが本番(笑)

見て下さい、このキレイな海。
この岸辺でご夫婦で塩を炊いてるのが今井さんなんです。
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ここがその塩炊き小屋。
海だけでなく緑にも囲まれてる環境です。
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「こんにちわ~」と声をかけると、
ホントに優しそうな顔をして出てきてくださいました。
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この日はそれほど酷い暑さでもなく、
遮るもののない目の前の海からの潮風はとても心地よく、
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立ち話に度々横やりをいれてくるカニさんを眺めながら、
緩やかな時間を過ごさせていただきました。
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そもそも、「塩炊き屋」さんを知ったのは、
以前受けた取材のライターさんが、
「こんなところに取材に行って来たんです」と、
記事と塩を見せてくださったのがきっかけでした。
僕らの作るpainは、小麦粉と塩と水と酵母だけで作るシンプルなもの。
なので塩は良いものを使えるのに越したことはないんです。
ただ、シンプルなだけに結構ダイレクトに出てしまうことも多く、
あまり個性的過ぎても使えないし、
特徴がないのも、高いお金払って使うには費用対効果は低くなってしまいますよね。
そんな中、グッときました。
静かな始まりから旨味を増していく流れ、ミネラル分の長い余韻。
「これはもしかして」と試してみると、
やっぱり、バゲットとの相性は良かったです。
食べ比べると、全然違います。
ただ、うちの看板商品に使うとなると、
「今回は塩が手に入らなかった」みたいなことは許されません。
お二人でやってて、大量生産が出来ないのも重々承知のうえで、
どれくらいなら安定した供給が可能なのかの問い合わせをさせていただきました。
返答は、秋口くらいからなら何とかなりそうとのこと。
なぜなら今年の九州は梅雨が長く、外で行う作業が全く出来なかったのと、
東北で同じようにやってはるお仲間さんの塩が、
風評被害で全く買ってもらえなくなってしまい、
そのお客さんが塩炊き屋さんや他のお店に流れてきて、
在庫がほとんどなくなってしまったからだそうです。
それでも良ければ・・・と快諾していただきました。
そうなると、居ても立ってもいられなくなるんですよね。
僕自身、あんまりゆっくりしてられない状況に置かれてることもありまして、
韓国から帰って来た数日後、今度は九州に飛んだわけです。

ま、あんまり文章だけだと読み疲れるでしょうから、写真も交えていきましょうか。
小屋の一番端にある設備、これなんだと思いますか?
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濾過する目的じゃないんです。
ポンプで汲み上げた海水を、ここで約1週間かけて7倍の濃度に濃縮するんです。
つまり、「かんすい」を作る設備なんです。
上からチロチロと流し、下まで流れた海水をまた上からチロチロと流すわけです。
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海から汲み上げるのも、もちろんいつでも良いわけじゃなく、
海が凪いだ時を見計らってポンプで汲み上げるんだそう。
満月の時、大きく潮が引き、また満ちるタイミングが一番良いのだそう。
雨の日もダメ、風が強すぎてもダメ。
海の状態を見計らって、良い状態を見極める。
言葉で言えば簡単ですが、「そんな簡単なことじゃないよ」と、
目の前の海が笑って話しかけてきてるようでした。

小屋の中では常に「かんすい」が炊かれています。
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この鉄製の塩炊き釜、火を止めるとすぐに錆びてしまうので、
熱を入れ続け、鉄を鍛えながら塩を炊く必要があるんだとか。
炊いては足し、炊いては足し、
もう足せないくらいまで足して煮詰める最中に、
鉄釜の鉄分は塩に移り、ここの塩の味の特徴の一つにもなってるようです。

もっと暑いと思ってた室内ですが、
この日が涼しかったというのもありますが、案外そうでもないので聞いてみると、
「夏は日中の仕事はあまりに暑過ぎて出来ないんで、
昼間はチョロチョロ火を入れて、夜に火力を上げて仕事するようにしてるんです」と。
そうなると話は別で、「これで・・・」と。
そう、十分に暑いのは暑いんです。
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塩炊き釜は、写真、向かって左側が一段深くなっていて、
そこに結晶化した塩を溜めていきます。
溜まっていく塩は一番塩、二番塩・・・と重なっていくので、
大きく混ぜ返し、均一になるよう手を加えます。
炊き始めは表面にアクが浮かびますが、
その後にはマグネシウムなどのミネラル分が表面に凝固してきます。
俗に「ミネラル分が多い」というのはイコール「美味しい」みたいになってますが、
それを全部塩に入れ込んでも苦くなってしまうんだそう。
特に硫黄などは、日本古来からの発酵食品(お漬物とかね)に対して、
発酵を阻害することもあるらしく、意識して取り除いてるんだそう。

一週間、薪をくべ続け炊きあがった塩を、
今度はひしゃくで樽に移します。
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ここでも約一週間かけて、塩自体が一番居心地の良い状態に落ち着くのを待ちます。
写真は五日目だったかな?
にがりが表面に浮いてきて、塩はだいぶ落ち着いて来た状態。
この「にがり」も、塩が茶色になるくらい入れ込む職人さんもいれば、
あまり入れないで取ってしまう職人もいるとのこと。
「あ・・・、そっか。やっぱ味見するんだ」
僕らは塩を味を決める調味料として使います。
だからその塩が味見されて作られてることを何か不思議に思えてしまうんですが、
そりゃそうですよね。それをしなければ、どこで「ヨシッ!」って思うんだって話ですよね。

そして最後にこの「いだし場」と呼ばれるところに移され、
ここでまた一週間程かけて、ゆっくり塩とにがりが分けられていくんです。
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右に溜まってるのは、もう完成間近の塩。
左側に向かって緩やかな傾斜になっていて、
そこに向かってにがりがゆっくり染み出る仕組み。
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ちなみに、この小屋は家の廃材で作られ、
海水を循環させるモーターは、風力や太陽光の自家発電でまかなっています。
そんな塩炊き小屋で、袋詰めから発送まで全部行われているんです。

今井さんはちょっと照れながらこう話します。
「こうして説明してると、なんだかウンチク垂れてるように聞こえますが(笑)、
僕らにとって、これは『塩』でしかないんです。
なんか特別なものを作ってるように思われがちですが、
単に『塩』を作る為の作業をしてるだけなんです。
昔の人はみんなこうして作ってましたし、特別なやり方でも何でもないんですよ」

サラリと話すこの言葉、うん、確かに仕事自体は海水から塩を作るにあたって、
特別変わった工程はないのかも知れない。
でも、やはり今井さんの凄さはその背景にあるんです。
こんな誰でも出来るようなことじゃないことをやっときながら、
「塩作ってるだけ」と言えてしまう背景があるんです。

元々はネパールで感銘を受けた「自給自足」暮らし。
日本でもそれを実現するべく農業と林業を体験。
その林業を続ける決意をして高知に渡った時に、塩づくりに出会ったんだそう。
そして自分の理念に近い職人さんのもとで働くために天草に。
そこで修業された後、独立する場所として、ここ平戸を選んだんです。
今井さんは、この仕事について、
「自分たちが海岸沿いで塩を作るということは、
海が健康であるかどうかが大事になってきます。
つまりこういう仕事を選ぶ人が増えてきて、
昔のように海岸線に塩炊き小屋が増えて行けば、
自然保護にも繋がるし、『海』というものへの意識も変わるはずなんです。」
と話す。
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こうして目の前の浜から海水を汲んでる小屋があるのに、
ゴミ、捨てれませんよね?海、汚せませんよね?

じゃあ皆さん、何故昔は海岸沿いに沢山あった塩炊き小屋が、
今はほとんど無くなってるんだと思いますか?
海外に行けばわかりますよ。
化学反応で塩の主成分である塩化ナトリウムを生み出し、
それを「塩」として販売してるのは日本くらいじゃないですか?
だから「塩」は自然の恵みという概念が生まれないんですよ。
もしくは当たり前のように日本の「塩」が食卓にありすぎて、
それが塩化ナトリウムだという事実に気付いてない方も、
まだまだ多いんじゃないですか?
そういう単純なことに気付いてもらうためにも、
自分で塩を作る場所の条件として、
ある程度、人が住んでるところでやるのが望ましかったんだそう。
自分がやってることが誰にも知られないとこでやるよりも、
そこにメッセージがあるのなら、人との接触があるところでやらないと、
メッセージの発信には成り得ませんからね。

場所の選定の為に、幾つかの条件を携えて、
日本中の海岸線をバイクで走ったんだそう。
そう、今井さんは長野県松本出身なんで、根獅子とは何の所縁もないんです。
ただ、より良い環境を探して走り回ったものの、
塩が沈滞しないように流れのある外海で、
自然の浄化装置である砂浜があり、
傾斜のある山が近くにあれば山のミネラルも流れ込むのでベターとか、
勿論、生活排水の無いところなど、
幾つかの条件をほぼ満たしてくれる場所は、
国立公園に指定されてしまってることが多いんですって。
そんなこんなを経て、一度宮崎で決めかけたそうなんです。
で、何故宮崎を止めたかと聞くと、
「太平洋は自分にはしんどかったんです」って。
太平洋は流れも速く、良い塩が取れるんだそう。
でも実際(太平洋と)働いてみて、すごい疲れたんだそう。
「これじゃ、自分が持たない」と思って宮崎を止めたんですって。
これ、多分、海と働いてる人じゃないとわかんない感覚なんでしょうね。
でも、日本海には日本海の、太平洋には太平洋の、瀬戸内のは瀬戸内の、
それぞれ異なった海の表情があるんですって。
「太平洋はしんどかった」という独特の言い回しが、
なんか海を相手に仕事してる人間の難しさや雄大さを表してるようで、
僕には一番印象に残ったフレーズとなりました。

そして今、彼は東シナ海と対峙し、東シナ海と共に仕事をしています。
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なんかね、圧倒されますよね・・・。
だって、同じ「もの作り」をしてるのに、材料がどこにもないんですもん。
僕らなら厨房にたくさんの粉袋があったり、
香辛料があったり調味料があったり食材があったりするわけじゃないですか。
それが無いんですよ。
いや、あるっちゃあるんですけどね。
話をしてる最中、絶えず耳に入る波の音。
外に目を向ければ否応なしに視界に飛び込んでくる一面の海・・・そう、海。
原材料、海なんです。
目の前でザバザバ波打ってる東シナ海が原材料なんです。
海って言っても、海の中の魚とかじゃないですからね。
「海」を原材料にしちゃうんですから・・・・。
多分、この何とも言えない違和感と言うか凄みというかは、
現場に行かなきゃ絶対感じれなかったことやと思います。
そして何より、今井さんに逢って話せたこと、
またシュクレのパンに力強い背景を加えていただけそうです。

実際、うちのバゲットに使われるようになるのは秋口から。
海は季節によって表情も変われば成分も変わるとのこと。
皆さんに食べてもらえる最初の塩は、製造に一ヶ月かかることを考えると、
まだまだ真夏の塩を感じてもらえるのではないでしょうか。
その日を是非楽しみにしててください。
・・・・と、その前に、お知らせ通り、
本日10時~皆さんに配らせていただくパンに使わせていただきます。
あ~~~、この一言の為だけにどれくらいの時間を要したか(笑)
でもね、
わざわざクソ暑いなか、プティパン一個の為に足を運んでくださる皆さんに、
何か付加価値を付けれないかと考えたのが、
「今は在庫がない」と言われたこの塩を直接取りに行くこと。
行けば出来たてのものでも少し分けてもらえるかと思ったんですが、
案外数個は普通に売られてたのは拍子抜けでした(笑)
でも、それ以上に得れたものは大きかったですし、
こうして皆さんに背景を知っていただけたのは良かったかなぁと思います。

あ、ちなみにですが、
帰りは平戸から長崎空港に向かう予定でしたが、
結局、一度佐世保に戻った方が良いとのこと。
ならば・・・・
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「席に着くなりちゃんぽん」達成!!(笑)
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by monsieur-enfant | 2011-07-31 02:18 | 熊本~平戸(塩炊き屋)

えっとですね

昨日、日曜までにアップしきる!と言ったので、
もしかしたら何名かの方が「まだかまだか」とヤキモキしてくれているのでしたら、
すいませんが、朝見て下さい(笑)
前にも書いたように、本日お店に来て下さり、
栽培し製粉した小麦を楽しみにしてくださってるお客さんに、
どうしてももう一つ見せておきたい背景があったので、
現在もパソコンに向かってるのですが、
できればもう寝てしまって、明日の朝読んでから来てくださることをお勧めします。
なぜなら、ま、あと数時間でアップできるとは思うんですが、
うつらうつらしてる状態なら絶対読み切れない長さになってしまってます(笑)


あ、あとですね、HPからメールくださってる方の中で、
特に携帯からメールをくださる方に多いんですが、
返信ができないことが何度かあります。
携帯から送って返信が来てない方、
何かほかの方法での連絡手段を教えてくだされば幸いです。


以上、緊急速報でした。
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by monsieur-enfant | 2011-07-31 00:46 | とりとめなく・・

熊本~平戸 ~前編~

あっちこっちと最近はバタバタしてるわけですが、
せっかくなのでどうしてもアップしておきたい記事がありまして。

今回の目的地は九州は平戸。
先に熊本に向かってから平戸に向かい、長崎から帰ってくる旅程です。
やばいやばい・・・とは思っていたんですが、
何度乗っても「電車感覚」の抜けない僕・・・。
8時前の飛行機に乗り遅れることから旅は始まります(笑)

次の便まで4時間近く空くので一旦帰ろうとすると、
「帰ってきたらまた遅れるから、せめて千里中央で留まっててください」
と、店からの愛のメール(笑) 「ヤマダ電機で時間潰せ」とも・・・。
さすがに次は乗り遅れるわけにはいかないので早めに出発。
今度は上手に乗れました(笑)
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まず降り立ったのは熊本空港。
親父が九州は諫早の出身なのですが、なかなか九州に来る機会もなく。
もし九州に行く機会があったら是非行ってみたいと思ってたのは、
うちのバゲットを支えてくれてる熊本の製粉会社の工場でした。
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空港からバスで市内に向かい、タクシーで目的地に。
ここはフランスから原麦を輸入して、自社の石臼にて製粉してくれてるんです。
他にもフランス産の小麦粉は現在流通してるんですが、
どれも「悪くない」には至っても、「良い!」には届かないんですよ。
それは多分、僕が初めてパリで粉袋を開けた時の衝撃を忘れられないから。
正直、石臼で挽いたこちらのフランス産小麦は「過剰」です。
向こうで使っていたものは石臼挽きではなかったので、
比べると多分「過剰なフランス」なんですね。
だから100%では使いません。コストの面もありますけど。
でも、やはり他のフランス産小麦粉は船旅で疲れてしまってるんです。
悪くはないですが袋を開けた時のインパクトは無いんですよね。
それに同じく原麦で輸入しても、通常の生産ラインで挽いてしまうと、
日本の製粉技術はキレイすぎるんです。
細かくサラサラし、粒子が均一。よく言えば丁寧。ただ、静かで大人しい。
フランスは悪く言えば雑。ただ、粒子が不均一で粗い。
その分、表情があり、温もりがある。
表面積も広くなり、吸水性も高く、香りの膨らみも違います。
だから石臼挽きで挽いてくれてる、こちらの粉をメインに使ってます。
今は他にも2種、用途別にフランス産小麦粉を使ってますが、
無いものから引き出すには、やはり限界があります。
そして、知ってしまってる以上、求めず目を瞑るわけにはいきません。
そこに応えてくれたのが、ここの小麦粉だったんです。
8年目にして、やっと実現した工場訪問。
行かなきゃわからない現場の話や実際の生産工程、
なぜ地方の製粉会社が大きなリスクを背負ってまで生産へ踏み切ったのか、
作り手の僕らがどんな想いでその粉を使ってるかなど、
短い時間でしたが有意義な時間を過ごさせていただきました。
長くなるので、ここらで切りますね。

で、そこからJR熊本駅へ。
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話題の九州新幹線で新鳥栖駅まで行き、
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そこから特急で佐世保まで。
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なぜ佐世保かというと、平戸まで船が出てるんです。
今回、観光などできないスケジュールの中、
「船に乗れる」というのが大きなモチベーションだったんです。
気分は加山雄三です。杉山清貴です。

とまぁ、佐世保に着いたんですが、チェックイン前に食事することに。
今回、ほぼ何のリサーチもせず来た九州ですが、
佐世保駅周辺で美味しい「ちゃんぽん」が食べれるという情報だけは確保。
「確か、駅から近かったと思うんやけど・・・」と悩む理由は、
東西南北がわからないので一歩目をどっちに歩けばいいのかわからないんです(笑)
そこで、おそらく近距離であるにも関わらず「ナビウォーク」を発動。
自分の方向音痴にはほとほと呆れてるので、念には念を、です。

「あれ・・・?」と最初に思ったのは、完全に駅から離れはじめた最初の10メートル。
でも、「小さなお店」とか「ガード下」とかいう断片的な情報が勝手なイメージを作り出し、
「やっぱ、こういうとこは隠れたとこにあるんや・・・」という高揚感を生み出し、
肝心な「駅から50メートルくらい」という情報を掻き消していくのであった・・・。

そんな僕の気持ちを知らず、ナビウォークは破滅へと躊躇なく僕を誘う。
「マジで・・・?」
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そう思う階段も、「長崎は坂が多い」という、これまた断片的な情報が、
「佐世保もやっぱ坂が多いんやなぁ」と、
むしろ佐世保感を味あわせてくれるロケーションに感謝するという感覚の中、
躊躇なく歩を進めるのであった。

階段の更に上にはまた階段、
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そして少し上ればまた階段、
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この辺でさすがに「こんなとこに繁盛店があってたまるか・・・」という憎悪が湧いてくる。
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上るだけ上ったので、今度は下り。
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「目的地に近付きました。案内を終了します」
そういって打ち切られたナビの到着点はここ。
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泣きながら夕暮れの坂道を駆け下りました。

そこから「ナビウォーク」は使わず、「すいません・・・駅どこですか?」と、
完全に自分がどこにいるのかもわからなくなった状態で道行く人に尋ねる。

佐世保駅の裏側にはすぐ海があるんです。
僕は目的だった夕飯を忘れて、
気が付けば一目散に駅の裏の波止場に向かっていました。
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佐世保の夕陽は優しかったなぁ・・・。

みんな、元気でいるかなぁ・・・。

波止場で傷を癒した旅人は、
長く伸びるオレンジ色の西日に背中を押されるように佐世保駅に戻った。
「ちっくしょ~、また振り出しだ」と、おどけて見せたその瞬間、
ナビに促され前に歩き始めたとこと丁度同じくらいの場所から右を見ると、
そう、右を見ただけで・・・「ちゃんぽん」の文字が悪戯に見え隠れ。
「いや・・・まさか・・・、だってさっきはあんなに坂を上り下り・・・」
そのまさかだった。
佐世保 「香蘭」
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「マジかよ~!!!」
洩れた、確実に心の声は身体の枠を超えて外部に漏れた。
それぐらい渾身の「マジかよ~!!!」だった。

ちょっと自暴自棄気味な半笑いで入店する関西人に、
容赦なく佐世保の洗礼が浴びせられる。
「なにしましょ!?」
早や!今、入って来たばっかりやし!いっぱい迷ったけど入ってきたのは今やし!
ま、基本、「皿うどん」と「ちゃんぽん」しかないからわかるんやけどね。
でも、こっちは佐世保駅から右に50メートルで着くにも関わらず、
あえて30分以上も坂を上り下りした挙句、
また佐世保駅に戻ってきてから50メートル歩き直したわけ。
「駅から50メートル」を、こんな無駄な楽しみ方するヤツいますか?
そこんとこ汲んで欲しかったなぁ・・・と思うわけ。
で、雰囲気で「ビールください」
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知らない街に迷ってきた旅人が辿り着いた一件の小汚い(失礼・・・)料理屋。
そこで一人、瓶ビールをグラスに注ぐ・・・って雰囲気だけでビール注文。

となると餃子もいるわけで。ただ、誤算は、餃子が完食間際に出てきたこと。
なので先に「皿うどん」。
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あ・・・、マジ「うどん」やと思ってた。
そういやそうやね・・・、こういうのやね「皿うどん」って。

「う・・・旨い・・・。おっちゃん、この皿うどん、めっちゃ旨いわ!おおきに!」
と、関西からの旅人が涙ながらに言ったかどうかは定かではないが、
美味しかったのは本当だったらしい。

具はたっぷりで牡蠣まで入ってる。
カリカリの部分とフニャンとなってる部分の食感のコントラスト。
終盤、カリカリがもう無いと思った頃にカリカリがあると、
「やるな・・・」と思ってしまうという「ちゃんぽんあるある」

餡は結構固めで、熱々の時は良いのですが冷めてくると固まってきます。
そこで「酢」を回しかけます。そうすると味に変化も出るし、餡もトロミが戻ります。
皿うどんに酢、これ、常識の「ちゃんぽんあるある」です。
え?「ちゃんぽんあるある推し」、いらないですか?
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ってなタイミングで餃子登場。
もう若干お腹いっぱいな感じ。
しかも一人だと瓶ビール一杯も厳しい感じ。

後から来るお客さんの注文は圧倒的に「ちゃんぽん」が多い。
やっぱり市民権はちゃんぽんに軍配か。
でも皿うどんも美味しかったですよ。
ちゃんぽんも食べたかったですが、
明日は朝から平戸に向かい、
平戸からそのまま長崎空港に向かうので寄れません。
またいつか、いつの日か佐世保に来る日が来たら、
その際には僕も「席に着くなりちゃんぽん」、させていただきますね。
この「席に着くなりちゃんぽん」も、「ちゃんぽんあるある」です。
ま、「ちゃんぽんあるある」って言いたいだけなんですけどね。

駅の地図で初めて確認したホテルの場所が、
駅前にあるもんだと思ってたらびっくりするくらい遠かったので、
佐世保名物「31アイス」を食べながら、ゆっくりホテルに向かうのでした・・・が、
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この後、マジでアイス20個くらい食べなあかんくらいホテルも迷うのでした・・・。

熊本~平戸(前編) 完
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by monsieur-enfant | 2011-07-30 04:00 | 熊本~平戸(塩炊き屋)

結構多い「お知らせ」

えっと、幾つかお知らせがありまして・・・。

まずはシュクレですが、明日から3種の夏パンが仲間入りします。
・パン ラヴァンド オ ミルティーユ
 夏定番となりました、ラベンダー、ブルーベリー、ホワイトチョコ、オレンジのパン。
 この時期、チーズのお伴としても楽しいかと。

・ヴァン ド モンターニュ エスティヴァル 
 ちょっとお休みしていたグレープフルーツとヨモギの週末限定パンの復活です。

・バナーヌ ノワゼット エトランジュ
 これ新作です。
 もったりしたバナナの甘味とムワッとした香りをホワイトチョコで押し上げて、
 ヘーゼルナッツをアクセントに。後口の「?」が「エトランジュ!」(風代わり)なわけです。
 
で、日野町の廣瀬さんをお招きしての31日には、
これまた夏色全開の、ハイビスカスとリュバーブのクロワッサン オザマンドを再販します。

続きましてモンテベロですが、
8月3日~8月9日までの一週間、梅田阪急百貨店1階にて、
大阪 神山町にある超人気フランス菓子店「パティスリーラヴィルリエ」さんと、
2回目のコラボをさせていただく名誉を授かりました。
テーマは「定番菓子、伝統菓子の再構築」で、限定ガトーもご用意しております。
この暑さでうっかり足を遠のかせてしまってる皆さん、
岸部まで来いとは言いません、ラヴィルリエさんのついででも構いません、
何卒宜しくお願いします!!

さてさて、こちらは近々・・・の話なんですが、
モンテベロでもスタッフブログがスタートします!
温かく見守ってやってくださいね。

それとですね、
有り難いことに御要望も増えてきたのと生産体制が整ってきたのもありまして、
モンテベロに正式な全国発送のカテゴリーを新設します。
予め、こちらが幾つかのセットをご提案させて頂いてる中から選んでいただき、
クール便にて発送させていただく形になります。
詳しい詳細は、モンテベロHP上にアップされた時に掲載させていただきます。
おそらくですが、阪急さんの催事後になると思います。


最後に、またシュクレに戻ります。
31日の広瀬さんとのコラボパンに、もう一つ特選素材が加わります。
それを何とか31日まで画像とともに説明と紹介をしたく、
今、必死に執筆してる次第です。
なので今晩から明け方にかけて、連続で記事がアップされるかも知れません。
週末は皆さんお忙しいと思いますが、
何卒、目を通していただけると幸いです。
ディンケル同様、背景を知って食べるのと知らないのとでは、
味わいも思い入れも違うと思いますから。

さ、では頑張ってアップできるよう執筆に移らせていただきます。
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by monsieur-enfant | 2011-07-29 21:30 | シュクレクール

「お返し」

急遽決まった3日間の韓国滞在。
3日目のこの日は、前回のセミナーで知り合ったお店に伺えることに。

と、その前に、今回ずっと通訳として付いてくれてた方の働いてたお店に行きました。
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もう50年続いてる、ソウルでは有名なお店だそう。
行ったときもお客さんはいっぱい。
地下の厨房はビックリするくらい広く、厨房というより工場でした。

店を出たあと、道の向かいに屋台を発見。
なんだかよくわからずに「食べますか?」と聞かれたので「食べます」と返事。
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冬にはよく見られる食べ物で、夏に売ってるのは珍しいんだそう。
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少し固めの中は空洞な生地。
ほんのり甘く、シナモンの香りがフワ~ッと。

そして前回一番お世話になったソンさんのお店「ボン ヌーヴェル」へ。
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リニューアルしてキレイになってました。
今回行ったどこのお店よりバゲットが美味しそうだったのは嬉しかったですね。
なぜなら基本、韓国は焼き色が浅いんです。
焼きこむのは勇気がいるんです。
僕のパンは「焦げてる」と言われるくらい(笑)
でもね、焼き色が浅いと香りも勿論ですが表情が出ないんです。
薄い墨汁で描く水墨画のようなもの。
そういう意味でも、ある程度の濃淡は必要だと思うんですよね。
やはり「食欲という欲求」を揺さぶるようなパンを焼きたいと思うんです。
でも、そんな話をしたのを覚えててくれてて、
「韓国人はそれがわからない。だから売れなくてもいいからしっかり焼くよう言っている。
売れないからやらないでは、何も伝わらないですから」
と、あれから3年経った今でも頑張ってくれてるのは、
技術を教えに行ったわけじゃない僕としては何よりの贈り物をいただいたようでした。

そして前回通訳してくれた方が、
3月か4月くらいにお店を出したというので見にいきました。
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店に入ったとき、鳥肌が立ちました・・・。
韓国はね、「パンだけのパン屋さん」はまだまだ少ないんです。
しかもパン職人と菓子職人がいるわけじゃなく、両方同じ人がやらなきゃいけない。
なので片方をしっかり掘り下げることも仕事と向き合うこともできない。
良いパンが生まれないのには、そういうところにも問題はあるんですよね。
でも、前回のセミナー終わりに、ここのオーナーが言ってたんですよ。
「岩永さんみたいな想いを持って、私もパンだけのお店をやってみたいと思いました」
そして今年、小さな雑貨屋さんのような、
「パンだけのパン屋さん」をオープンしたんですって。
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「売り上げはそんなには良くないです。
でも、すごく気持ちがすっきりしてますし、すごく満足してます」
ずっと韓国で抱えてたパン職人としての葛藤やジレンマ、
そういう部分を、僕に後押ししてもらえたと言ってもらえました。
繰り返しますが、もう3年経ちます。
大概、セミナーなんてものは技術やスポンサー絡みの材料の押し売り。
大体、その場でお仕舞い。後に残るのは配られたルセットのみ。
だから嫌い。日本でやるつもりはありません。
見たければ、会いたければ、話したければ、自分の足で来れば良いだけの話。
でも韓国はそうはいきません。
そして、技術も経験も、みなさんそこそこ持ってらっしゃる中で、
次に進みたくても進めない、消費者と作り手の温度差やニーズ、材料の乏しさ、
そんな今のタイミングだからこそ僕が行き伝える意義があるんじゃないか、
そう思って行った前回のセミナーでした。
見せたかったのは、その場限りのパフォーマンスではなく、
ずっとずっと持ち続けてもらえるような「姿勢」。
伝えたかったのは、自分たちの中で消化し、
育み、そしていつか形になっていけるような「想いの種」。
それを、ちゃんと育ててくれてる人がいるということが、
本当に本当に本当に嬉しかった。

そして先に書いたボン ヌーヴェルのソンさん。
8月末にデパート内に4店目を立ち上げるそう。
「そこは僕もパンだけのお店に挑戦しようと思ってます」
・・・・ありがとう。ありがとう。
僕が何したわけじゃありませんが、お返しが大き過ぎますよ・・・・。

いつだって、どこでだって、
何かをすることは苦しいものです。
やってないことをやるのは難しいものです。
でも、だから皆やらないんです。
皆やらないから未だ苦しく難しいんです。
じゃあ、今自分たちが挑まないってことは、
次の世代にそれを押し付けるってことですよね?
僕は「あいつらがやらなかったから」なんて言われたくないです。
自分が抱えてる不満を世間のせいにして次世代に受け流すなんて行為、
カッコ悪くてようしません。
他人に愚痴る暇があるなら自分がやりゃいいわけで、
需要がないなら自分で作りゃいいわけで、
既にあるものや用意されたもの、規定路線の枠の中でしか喚けない、
そんな臆病な人間にはなりたくないわけです。
知らないものを理解してもらうことは、
知ってるもので喜んでもらうことの何倍も労力がいります。
周りのやってないことをやることは、
周りのやってることをやることの何倍も何倍も苦しみを伴います。
でもね、
要は「自分が何がしたいか」じゃないんですか?
誰かが既に知ってることや、
周りが既にやってくれてること、
そういうことがそんなに重要なんでしょうか。
重要なのは、そんなこと関係なく、それでもやり遂げたいと思えるかどうか。
僕は頭が悪いので、マーケティングなどと器用なことはできません。
市場を調査し、需要を推し量り、ニーズに応える仕事ができない僕は、
ここ岸部から、ここにしかない価値を生み出していくしか生き残る術はないんです。
変動する「外的要素」に振り回されるより、
変動しない「内的要素」を貫くことを選びたい。
だって、そもそも作り手っていうのは、
みんなが喜ぶようなものを作りたかったわけじゃなく、
自分の作るものでみんなを喜ばせたかったんじゃないんですか?
外に目を向けるのも大事ですが、
内なるものと向き合うのも大事。
そういう単純な部分、僕は大事にしていきたいなぁと思います。
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by monsieur-enfant | 2011-07-29 04:15 | 韓国手記´11秘密

先日は夜中まで仕事だったため、
晩御飯は仕事の合間に弁当の立ち食いでした。
なので、この日は食事に出ることに。

昼間からずっと「何食べたい?」って聞かれ続け、
ようやく「豚」か「鶏」かの2択まで漕ぎ着け、
結論としては豚になりました。で、鶏は翌日のランチでということに。
別に食事に来てるわけじゃないので、
普段みんなが食べてるものを一緒に食べれたらそれでいいんですよね。
とにかくみんなの後を付いて行きます。
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結構早い時間やったと思いますが、どのお店もいっぱい。
4件目くらいでやっと決まりました。
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注文は丸投げ。
基本的に、ここが正式に何の店かもわかってないですから(笑)

お!ユッケ!
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日本ではもう食べれなくなっちゃうのかな・・・。

どかどかとサイドメニューが運ばれてきます。
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メインの豚と合わせて食べるお野菜もたくさん。
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にんにくやタレも揃って、準備完了!
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おお・・・・、ビジュアル良すぎでしょ・・・。
下から見上げる感じで撮ってるのでわかりにくいですが、
上の豚の脂が下に流れてきて、いらない脂は下のコップが受ける仕組みです。
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こうやって、パッチンパッチンとハサミでカットし、
お野菜にくるんでいただくのです。
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韓国のビールは総じて薄いので、
焼酎入れて飲むのはポピュラーなんですかね?
前回もガンガン焼酎入れて飲んだ記憶が・・・。
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マッコリもスタンバイ。
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この食事会の前は、どっか距離を感じてて、
「あまり歓迎されてないのかな・・・」と思ったんですが、
上層部にガンガン物言う僕に、「エライ奴が来てしもた・・・」と近寄り難かったんだと。
数人と形式的に食事するくらいと思ってた僕は、
ほぼ全員来てくれたことだけでも本当に嬉しかったです。
でも向こうは向こうで、「筋は通ってるけど、それだけの堅物」だと思ってたようで、
一番食べて一番飲む僕に、「こんな人だと思ってなかった」とホッとしたよう。
ま、仕事は仕事、食事は食事ですからね。
韓国の人らは、みんなで食べる時間を本当に大事にします。
料理はほとんど取り分けられておらず、
みんなで一つのものを突付きあって食べるスタイルが多いです。
僕も食事の時間はとても大事にしていて、
どこで何を食べるのかも勿論ですが、
それよりも誰とどのように過ごすのかということのほうに重きを置いてます。
食事を楽しめば良いのではなく、そのお店にあった楽しみ方で楽むことが出来、
それを同席したみんなで時間を分かち合えたら最高ですよね。
あと「生身」のその人が見えやすいのも食事の席。
気配りやマナーなど堅苦しいことも踏まえなきゃいけない大事な要素ですが、
それより「食べる」という「生」に直結した行為のなかに、
やはり「その人の人間性」って出やすいですよね。
特にお酒の席なんかそうですが、
「人として安っ・・・・」、
そう思わされた残念なオーナーシェフ連中は後を絶ちません。
気が大きくなり横柄に偉ぶる姿、繰り返しますが安いです。
良い店になるのは、勿論大事ですが、
良い客でいることも同じくらい大事なこと。
それを見失う振る舞いをする人間に、
お客さんを持て成す資格は無ぇな・・・と思ってしまうわけです。

この日は、やはり僕に遠慮されてる感は否めなかったので、
そこで僕が遠慮してしまうと場も盛り上がらないしコミュニケーションも取れない、
なので、のっけから意図的に飛ばしました(笑)
それが「自分の国の料理を、それだけいっぱい食べてもらえるのは嬉しい」、
そんな風に思ってもらえる結果に結びついたのは嬉しかったですね。

前半の鉄板とコンロが下げられ、下の炭火に火が入ります。
食事の流れがよくわからないので、「お・・・、まだ何か始まるのか・・・」と、
飛ばしすぎてお腹一杯だった僕はここから慎重になるのでした。
と、運ばれてきたのはカルビ。
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どうやら今回の主役はこれのよう。
ビジュアルも主役に相応しい迫力。
でも、これも美味しかったですど最初のお肉も十分美味しかったですよ。
第一志望にフラれ、「次、空いてたとこ入ろ」的な、
行き当たりバッタリなチョイスだったことを考えると上出来です。

お肉もお野菜もいっぱいいただき、
焼酎入りビールもたらふくいただき、
みんなとも打ち解けることもでき、
「良い時間だったなぁ・・・」とマッコリをいただき始めます。
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と、落ち着いてきたところでグツグツと煮えたぎるものが。
味噌汁のようなものだそう。
更にご飯も運ばれてきて、「あ、締め的な感じね」と思いきや、
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鉄鍋の登場・・・。
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からのプルコギ。
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ま・・・、期待には全力で応えたいと思うのが性分ですので、
勿論美味しくいただきました。
「ご飯にかけると旨い」と言われればご飯にかけ、
マッコリをあおり、プルコギを頬張り、
宴の終わりに明日の予定を考え始めたとき、
僕の頑張りが裏目にでました。

「岩永さん、まだまだ飲めそうなので、もう一件行きましょう」
あの・・・酔いは平気ですが体内の容量がマックスを超えてましてですね・・・・(笑)
2件目のちょっとチープなおしゃべりメインのようなお店で出てきたのは、
ジョッキの生ビール、てんこ盛りの冷麺、からあげ、つくね(のようなもの)、
日韓友好の為だと強い意志で挑まざるを得ませんでした(笑)
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by monsieur-enfant | 2011-07-27 03:00 | 韓国手記´11秘密

突然ですが・・・

ある日のランチ。
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お気づきかと思いますが、韓国です。
初めて降りた金浦国際空港。
良い感じにミニマムで、わかりやすくて良いですね。
仁川だと迷子になってしまいそうで・・・。

ま、とりあえずバタバタと何だか話も纏まらないまま、
とりあえず現地に行ってみないとわからないことだらけなのでソウルに飛んだ次第です。
で、空港で食べたお昼ご飯の風景です。

着いたそうそうだったので、
別に何が食べたいわけでもなく、ま、とりあえず知ってるものでと思い、
無難に冷麺を注文。
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味も無いし、辛いだけ・・・。
でも、まぁこんなもんなのかな・・・と思いきや、
「こんな不味い冷麺初めてです」
と、迎えにきてくれたラさんの衝撃的な一言(笑)
ま、おかげで翌日、罪滅ぼしにと美味しい冷麺屋さんに連れてってもらいましたけど。

と言いましても、もちろん観光に来たわけじゃなく、
ちょっとしたオファーがあっての渡韓。
とりあえずホテルに荷物を置いて、本社に向かいます。
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そう、あの目立つビルが目的地です。
そしてその一階部分、ここが今回のオファーの肝の部分。
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まぁ、この日は大変でした・・・。
慣れてるっちゃ慣れてますが、やはり海外での仕事はアクシデントありき。
それに今回は、前回のようなセミナーみたいなユルイ話ではないのもあって、
いろいろあったこの日が終わった夜中には、
久しぶりに倒れこむように寝てました。
窓から見えるソウルタワーの夜景も眺めぬままに・・・・。


で、まさかの寝坊(笑)
ま、この日は別に朝から詰まった予定があったわけではなかったので、
問題はなかったんですが、
なんか結構心配かけてしまったようでスイマセンでした。
ザックリ打合せをして、不味い冷麺の埋め合わせをしてもらいに行きました(笑)
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えっと・・・、何とか市場の近くの、冷麺発祥のお店だそう。
前回もそうでしたが、自分が滞在してる場所が「ソウル」から絞れないんですよね(笑)
何回か聞いたんですが聞きとれず仕舞いに終わって、
結局「ま、いっか」となってしまいました。
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お昼時、土砂降りの中でしたが結構混んでました。
今年の韓国の梅雨は異常に長く、3週間くらい雨降りっぱなしだったみたいですよ。
僕が滞在した3日間も、雨降りっぱなしでしたし。
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なんだかよくわかりませんが、
「エイの刺身入り」みたいなものが一押しとのことで、身を委ねてみました。
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ハサミでジョキジョキしてからいただきます・・・・が、
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「全く別物やん!!」
こりゃ昨日の冷麺はヒドイわ。
いくら空港施設内とはいえ、それを差っぴいてもヒドイわ。
ってか、ここ旨いです。
えっと・・・、ここがどこで何て名前のお店かわかる方、是非行ってみてください(笑)
キーワードは「冷麺発祥のお店」です。

さて、ここから会社に戻って、まぁいろいろとあるわけですが、
その辺はまだお話できる状態ではありませんので、ちょっと省かせていただきます。
となると・・・・、次は皆で行った夜ご飯になってしまう・・・。
ホントにスタッフに食事しに遊びに行ったと思われませんように・・・(笑)
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by monsieur-enfant | 2011-07-26 05:08 | 韓国手記´11秘密

一通のメールから始まった、農業家の廣瀬さんとのお付き合い。
そこから生まれた数回に及ぶ「小麦ワークショップ」。
スタッフに体験させることも目的の一つでしたが、
うちのスタッフだけじゃなく、パンやお菓子など、
小麦に携わる仕事をしてる職人のほとんどが生産過程を知らない、
生産者を想えない、既に粉として流通する小麦を「農作物」だと実感できない、
そんな現状に対して、僕らがこうして発信することによって、
少しでも何か感じてもらえれば・・・というのが、廣瀬さんに体験をお願いした理由でした。
そして快諾してくださり、常にご厚意に甘えさせていただいた廣瀬さんのおかげで、
この日の脱穀・製粉に、無事辿り着くことができました。
そして、もう一つ、消費者である末端の「お客さん」と、
全ての始まりである「生産者」とを、僕らが間に入ることによって、
少しでも繋げることができたらな・・・との想いもありました。
この拙いブログを読んでくださってる皆さんは、
どのような想いで読んでくださってるのでしょうか?
何か感じていただけてるのでしょうか?
僕如きの文章では、廣瀬さんの想いや、
農業の現状まで的確に書き綴ることはできません。
読んでくださってる皆さんが各々で想いを馳せ、
足りない部分を補っていただければ幸いです。

そんな「小麦ワークショップ」も、日野町に出向くのは最後になります。
僕一人で行く予定でしたが、「行きたい」というスタッフもいたので、
いつものバスではなく、車2台に分かれての日野町入りでした。

前回、収穫した小麦を、水分量を一定にするために休ませてたハウスに向かいます。
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良い具合に乾いているようで、ビニールシートに小麦を移し、
早速、脱穀作業に入ります。
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いや、普通はね、こんなので地道に叩いて取ったりしないんですよ(笑)
廣瀬さんは常にこんな感じで、
僕らのことをよく考えてくれ、畑の大きさ、収穫の量、参加人数、それらに合わせて、
一番僕らが「やった感」を感じれるような作業をチョイスしてくれたような気がします。
だって、廣瀬さんの愛車で脱穀したら一瞬でしょ?
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叩いて穂を外す傍ら、踏んでニジニジして外す「踏み絵」みたいな作業もあり、
徐々に脱穀作業は進んでいきます。
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外れなかった穂を手作業で外し、外した穂を全て大事にバケツに纏めます。
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そこから広瀬さんのご実家に移動し、倉庫を開け、本格的な作業に入ります。
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セッティングも完了し、いよいよ周りの殻を外します。
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以前はローラーで挟み込む機械を使っていたようですが、
それだと外皮の薄いディンケルは割れてしまうことが多く、
せっかく収穫できてもロスが多くなり、悩みのタネだったそうです。
この機械では、小麦を入れた部分の真下に回転するローラーがあり、
そこに打ち付けられて殻が外れる仕組みだそう。
この機械により劇的にロスは減り、作業効率も相当上がったようです。
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まだ殻の外れてない穂は左側に篩われて、
また最初のローラーに打ち付けられる工程に戻ります。
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左が外された小麦、右はまだ外れてない小麦。
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そこから後ろの機械に移ります。
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ここでは石などを除去し、次の機械に移ります。
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そして最後の機械に吸い上げられ、
回転する遠心力で大きさを振り分けられます。
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小麦は次に製粉作業があるのであまり関係ないようですが、
米になると、粒の大きさは大事なんだそう。
飛ばされた小さな粒は別に集め、大きな粒だけ前から出てきます。
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石や茎にまみれてた麦の穂が、
きれいになって次から次へと出てきます。
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最後に各機械ではじかれた小麦を集め、
手作業で振り分けていきます。
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何度か開けて見せていただいた倉庫でしたが、
今日、初めて機械が稼動するとこに立ち会えました。
それもこれも、ちゃんと小麦が育ってくれ収穫できたから。
製粉会社の大きな機械だとピンとこなかったことも、
とてもシンプルに、とてもわかりやすく見れた気がします。
閉められた倉庫に、今日の日も、そしてワークショップも、
終わるのが近づいた一抹の寂しさを感じます・・・。
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脱穀した小麦を大事に抱え、製粉のために移動します。
「大地堂」
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何度かみんなで来たワークショップの合間に何度か寄る予定はあったんですが、
陶芸には熱中するわ、BBQの飲み食いは長引くわで、結局行けず仕舞い。
僕以外は初めての来店でしたので、ゆっくりお店も見させていただきました。
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その後、厨房横の一室にある小さな製粉機を使っての製粉作業に入ります。
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上に脱穀した小麦を流し入れ、製粉スタート。
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「ふわっ」とした香りと共に、石臼で挽かれた小麦が出てきます。
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何とも言えない瞬間ですね・・・。
挽かれる摩擦熱もあって、
挽き立ては香りも立つし、挽かれた小麦も温かいんですよ。
その香りを嗅ぎ、温もりに触れ、さらさらと少量ずつ流れてくる様を見てると、
本当に自然からのご褒美であり貴重なものだと実感。
ま、ほとんど廣瀬さんがやってくれたんですけどね(笑)
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ゆっくりゆっくり積もっていく小麦を後に、ちょっと休憩。
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振り返れば昨年、初めて日野町を訪れた暑い暑い夏の日。
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初めて「廣瀬さん」という人柄に触れ、
それと同時に「パン用のディンケル小麦の収穫はゼロ」という、
農業の厳しさにも触れた1日でした。
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「小麦ワークショップ」スタート。
スタッフみんなでバスに乗り、初めて畑に降り立った寒空の下の種蒔き。
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まだ多くのスタッフが、これからどうなるかもわからずにいたと思います。
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年が明け、麦踏に訪れた時に見た、無事発芽してくれた小麦の芽。
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廣瀬さん任せで「育てた実感」はありませんでしたが、
あの小さな芽がこんなに「育ってくれた」喜び、いや、喜びというより「感謝」ですね、
廣瀬さんは勿論、日野町の大地や太陽、雨にも風にも感謝でした。
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梅雨空の合間を縫っての収穫。
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自然の恵みを刈り取らせていただく実感。
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それらを纏めて荷台に乗せた、小麦。
ただ、これだけでは微々たる量の小麦にしかならないことも知りました。
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収穫を祝ってと、ワークショップの終了を惜しんでのBBQ。
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日野町の自然に触れ、小麦の成長に触れ、
廣瀬さんご夫妻のお人柄に触れ、
知らなかったこと、不確かだったことを知り、
幾つかの新たな体験をし、岸部では感じれないことを感じ、
自分たちが普段何気に使っている材料の向こう側にある背景を、
思い出と共に刻んでくれたなら、
このワークショップの意義はあったんじゃないでしょうか。
作業による知識や経験だけを増やしてもらいたかったわけではなく、
この経験を通じて、自分の「人」の部分を育てて欲しかった。
厨房では伝えられない何かを感じて欲しかったし、
教えられない何かを学んで欲しかった。
ただ、連れてったスタッフにも、読んでくださってる皆さんにも、
「こう思って下さい」なんて答えはないんです。
いつも言ってますが、このブログで同意や共感を求めてるわけではなく、
何か考えるきっかけになってくれたらと願います。
ただ、蒔かれた種が全て発芽するわけではありません。
常にその想いを持ち続けるということは難しいこと。
ですが、それをしなければせっかく芽生えた感情だって刈れ果ててしまいます。
僕らは「農業家」というプロの助けを受けて、無事収穫の日の目を見、
そしてここに一袋の粉袋という形を得ることができました。
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挽き立ての、まだほのかに温かい粉袋。
思いのほか量が採れて、5㌔くらいになったかな?
でも、それ以上の重さです。
製粉会社で製造工程を学んだり、
フランスで小麦畑を眺めたり、一袋50㌔の小麦粉を担いだりしてきた僕ですが、
こんなに重さを感じた5㌔は無かったですね。
それはそれだけ貴重な経験をさせてもらえた証のような気がします。
お金で買えない時間、その一分一秒がこの重さに繋がってるんだと思います。
この粉をミキサーに入れる時、
それはまさに砂時計の砂のように、
僕たちの時間そのものを流し込む作業になるんやろうなぁ・・・と、
今からドキドキワクワクしています。

さて、こうして無事、小麦粉にまでなったわけですが、
その脱穀からの過程を皆さんにも実際触れて欲しいとの思いから、
本日からシュクレ店内において、展示することになりました。
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殻が付いた状態、殻の外れた状態、そして製粉された状態の3種類です。
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このブログで、この記事に興味を持ってくださった方がおられましたら、
パソコンで眺めてるだけでなく、是非触れに来てください。
そして既に画像内で先に写ってしまってたように(笑)、
今月31日の日曜日、廣瀬さんがシュクレに来て下さることになりました。
・・・ということは!!、と、ピンと来た方もおられると思いますが、
そうです、その日、31日(日)の10時から、
この小麦で作った小さなパンを全量、お客さんにお配りしたいと思います。
散々迷惑をかけた廣瀬さんが、お金を取らずに譲ってくださった大切な粉です。
僕らは僕らに出来ることを精一杯させていただき、
今度はその想いをお客さんに繋げたいと思っています。
詳しいことは決まり次第・・・と言ってももうほぼ今書いた通りですが(笑)、
正式発表は明日にでもシュクレHPのニュース欄にて告知いたします。
関心のある方、廣瀬さんと一言お話したい方、想いのバトンを受け取って下さる方、
ド真夏の7月31日ですが、良かったら頑張って岸部まで足を運んでみてください。

その日が場所をシュクレに移しての、
最後のワークショップの日となります。
どうか多くの方々のご参加をお待ちしています。
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by monsieur-enfant | 2011-07-21 20:46 | 滋賀県 日野町 廣瀬さん

とあるランチの備忘録

こんな岸部という場所にありながら、
ちょいちょいいろんな方々に相手にしていただき、
有り難や有り難や・・・とは思っているのですが、
時に・・・と言うか往々にしてパンが大化けして帰ってくることがある先日の一例。
「うずらのテリーヌ」
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いや、ホントにね、
有り難いのは間違いないんですが、まさに海老で鯛を釣ってしまった感じ。
その海老側としての後ろめたさと、鯛側に対しての申し訳なさと・・・。
ただ、入り混じった感情を吹っ飛ばしてくれる美味さに、
「出会いって素晴らしい!!」と単純に感謝してしまう次第であります(笑)

会って話しても、こうして実際お裾分けをいただいても、
「やっぱ、お店に行きたいなぁ・・・」と思わせる引力、さすがです。
作り出すものだけでなく、
その根源である「人」に魅力がなくては心は惹きつけられません。
もちろん「人」だけが良くても、
作り出すものが伴わなくては熱く語らうこともできません。
作ったものを見て、「作った人に会ってみたい」、
出会った人を見て、「この人の作ったものを食べてみたい」、
そう思わせれるような「人」になりたい、つくづくそう思います。

え~~、ちなみに今回の絶品うずらのテリーヌ、
この日の為にスタッフが仕込んだ酸っぱすぎるピクルスと、
同じくスタッフ作のパッとしないスープと共にいただきました。
それでも「極上のランチだった」と思わせるのですから、
逆にどれだけうずらが旨かったのかがご想像していただけるかと・・・(笑)
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by monsieur-enfant | 2011-07-20 23:32 | バカール

えっと、先に書いたクレープリー、
そこに向かう駅を間違えたと言いましたが、
店も真横を通りながら一旦スルーしてるんですよね。
で、よくあることですが、
ちょうど曲がらなきゃいけなかったとこで写真撮ってたりするんですよね。
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そう、ここの手前を左に曲がっとけば、
暑いなか商店街を端から端まで一往復せずに済んだんです。
ただ、商店街、好きなんですよね。
なんか、そこの土地の生活感があるじゃないですか。
駅前の大手スーパーに行ったって、そういう臭いは感じませんよね。
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ただ、こうして道に迷うっていうのも、
時には予期せぬ出会いも生まれるわけで。
「お!」と目を引く佇まい。ここだけ時間が止まってるかのよう。
甲子園口 「朝山製パン」
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未だに珍しがられるシュクレの対面販売ですが、
昔はこのように、ショーケースに入った対面販売が普通だったんですよ。
えっと、おっちゃんが探してるのは、
この後、嬉しそうに「こんなんにも載ってん」と出してくる「Richer(リシェ)」でした(笑)
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別に昔からパン屋さんになりたかったわけではないので、
こういう昔ながらのパン屋さんに出会っても特別な感情が湧くわけじゃないですが、
単純に「長いことやってる」ってだけでも尊敬と賞賛に値すると思います。
瞬間の輝きは、華やかですが短く消え、
継続し積み重ねた輝きは、眩さはなくとも力強い光を放ち続けます。
僕は、「気づいたらそうなってた」ではなく、狙って後者の光を纏いたい。
未来は単純で漠然とした「今の積み重ね」などではなく、
積み重ねる価値のある今を過ごした結果の必然。
描くだけ、望むだけでは、叶うはずも辿り着くわけもなく、
明確なビジョンと的確なプロセスを経ることによって、
必ず実現できるものだと信じています。
「諦める」という一番楽で、且つ一番無責任な誘惑を断ち切りながら、
常に船首を沖合いに向けて、高い波に挑んでいきたい、
そう願う今日この頃です。
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by monsieur-enfant | 2011-07-20 01:45 | 朝山製パン