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なないろめがね

今、ここにいる幸せ

時間も時間ですし、体力も体力でしたので、ぶらりと近場へ。
やっぱり・・・何も変わってないや。
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当時働いてた店の事務所の近所にあるビストロ 「ルイ ヴァン」。
ここはね、初めてパリで恩師と昼食を共にした場所なんです。
ガイドブックに載ってなくたって、そんなに美味しくなくたって、
僕にとっては特別な場所。
前座った、壁際の鏡の前の席。
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今日はその席が見える場所に座って、
その席を眺めながら食事をすることにしよう。
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「さ、何に乾杯しよっかな」・・・って考えるだけで涙が溢れてきた。
今、ここにいることも含めて、日本に帰ってからの5年間はあまりにも濃い時間でした。
「あっという間」なんて言葉じゃ表せないくらい、いろんなことがありました・・・。
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「ここは羊が旨いんだ」って選択の余地無く羊を注文されてた6年前の僕は、
その鏡越しに見える今の僕をどう思って見てるのだろう。
6年前の僕に、今の僕をちゃんと目指してもらえるんだろうか。
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今の僕は5年ぶりにパリに降り立ち、何を想い、何を感じるのだろう。
6年前、右も左もわからずに突然押しかけたこの街で、
「お前はなんなんだ?」と、ふと問いかけられた気がした。
僕は答えられなかった・・・。「僕は・・・いったいなんなんだろう・・・。」
個人主義のこの国で、みんな誇りを持って生きている。
恐ろしい量の小麦粉と向き合い、粉を雪のようにまつ毛に積もらせ、
ただただ身体に叩き込む一心で過ごした毎日。
目に、耳に、鼻に、舌に、掌に、身体中の皮膚に、無数の毛穴に、
パリの時間を、空気を、擦りこむように過ごした毎日。
そんなある日、ふと同じ質問をされた時、
「僕はブーランジェです」と空を見上げ、胸を張って、躊躇無く答えれた自分がいた。
やっとこの街に認められたような気がして嬉しかったことを覚えています。
そして、フランスに残り、この地でパンを焼き続けフランス人を喜ばせることよりも、
日本に戻り、僕の感じたパンを表現し理解してもらうことのほうが難しいことだと考え、
単純に、簡単なことより難しいことを選択して今に至るわけです。
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選択をどうのこうの今更言うつもりはありません。
フランスにいても、それはそれで良かったんだと思います。
でも、選択とは結果ではなく、あくまで通過点であり分岐点にすぎないわけで。
答えは決して一つでは無い中で、自分が選んだ道を信じて貫き、
自分でその選択を肯定できる生き方をする以外ないんですよね。
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以前、フランス人のお友達と来てくださった地元のお客さんに、
こんな素敵な言葉をいただきました。
そのフランス人の方に「パリでやらないんですか?」と僕が聞かれたとき、
「それは困ります。私にとってのパリは、ここなんですから。」って。
フランスでの経験を経て、今、多くの素敵なお客様に出会い支えられてる僕は、
自分の選択を「正しかった」と思えてここにいれる幸せを全身で噛み締めています・・・。
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明日はちょっと早起きして、「昔の自分」をなぞりに行こうと思います。
「さ、そろそろ帰ろうかな」と思ってたそのとき、
「お客さんが残してったものだから」と、ワインをおすそ分けしてもらいました。
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なんだか、この街からの差し入れのようで、嬉しかったなぁ。
「お前もちょっとは成長したんやなぁ」ってね。
by monsieur-enfant | 2008-11-11 05:05 | フランス 2008