2009年 07月 21日
最初も最後も間に合わず・・・。
待ち合わせに遅れそうになったので、
「百貨店にでも入って涼んでて。近くに行ったらメールするわ」
そうメールして、心おきなく遅刻したんですが(笑)、
駅に着いた時に気づきました。携帯を忘れたことに・・・。
一瞬、取りに帰ろうか迷いましたが、「何とかなるやろ」で一蹴。何ともなりませんでした。
一通り店内を回ったら待ち合わせ場所に来てくれると淡い期待を持って待ってましたが、
結局、食品売り場でガッツリ漬物に見入ってたそう。
うちのスタッフ、食い意地だけは張ってるので・・・。
マジで迷子のアナウンスかけようと思いましたもん。
電話もメールも返事がないことに不審がって待ち合わせ場所に戻って来てくれたのは、
僕が着いてから30分後。待ち合わせ時間から1時間経ってのことでした(笑)。
依存してますよね、携帯に。
さ、それからどこへ向かったかと言いますと
「行きます」と言ってから、かなり間隔が空いてしまって、やっとこさの再訪。
西天満 「アキュイール」
この日はサービス畑の2名を連れての訪問(一人はパティシエ予備軍ですが)。
マダムの天然のホスピタリティはもちろんですが、
新しく入られたメートルの方の仕事ぶりも見せておきたかったんです。
「良いサービスを提供するには、良いサービスを受けなければいけない」
これが僕のサービスに対する信条。
おもてなしの心云々言う前に、自ら感じなければ提供できるわけがない。
サービスは言葉ではなくて心です。
心があるから言葉や行動に繋がるんです。
形や言葉から入る教育をするからロボットみたいなサービスが蔓延るんです。
そのためには感じることが一番。
感動しない人間が、人を感動させることなんて出来ませんから。
さ、では早速いただきましょうか。
ヴィシソワーズと そのグラス
上のほうの粉末みたいになってるのがヴィシソワーズのアイス。
上に乗ってるポテトチップスが旨い!
忍ばせてるサマートリュフも、じゃがいもとの相性は抜群。
良いスタートです。
以前「ワイナリーを見に行って来た」と言ってたので、
「是非飲んでみたい」と言ったのを覚えてて下さいました。
2種あるうちの、こっちは「すっきり甲州」のほうです。
出来てたとき「なんか見たことある・・・」って、うちのスタッフ。
いやいや、あんたが毎日渡してくれてるパンですから(笑)
フォアグラのミルフィーユ仕立て マンゴーヴィネガーのソース
あ~~、やられた。
「上手いなぁ~」と、思わず唸る、甘みと酸味と香りのバランス。
フォアグラの間のサクサクとした食感もリズム良いです。
削りカスみたいなんもフォアグラ。セレブです。
たまらずソーテルヌをいただきます。・・・・至福。
田鶴さんの賀茂ナスとウニ ミモレットのグラチネ
ナス旨し。
ここらで「しっかり甲州」へとスイッチ。樽臭が強い。「樽!」って感じ。
ゴールドラッシュの冷たいスープと白金豚の生ハム オレンジの香り
ここに、ゴールドラッシュ(とうもろこしの品種)のスープが注がれます。
あ~~、身体の力が抜ける・・・。癒し系の旨さ。わかりづらいですか?
ゴールドラッシュの旨みを色濃くスープに映し込み、
生ハムでしっかり塩分を感じさせながらオレンジを鼻に纏わせる。
計算し尽くされた一皿。
富山県産 赤甘鯛のポワレ 万願寺とうがらしのソース
パルフェな火入れ。文句なし。
ほろ苦いソースも良く合います。
あと鰻だったかな?肝も添えてあり初夏の苦味が重なります。
樽臭が邪魔だったので、ワインもスイッチ。
レモンとジュニーヴルのグラニテ
良い口直し。「さ、いこか!」と気合も入ります。
ブルゴーニュ産コックレ・ジョンヌ(ひな鳥)のロティ コニャックのソース
各部位が楽しめるようになってます。
もっと淡泊なのかと思ったんですが、しっかり味も弾力もあり、楽しめます。
料理が楽しいとワイン選びも楽しくなりますね。
フィンガーボールが出てきた・・・と思いきや、
お水を注いで・・・
ニョニョニョニョ~と出来上がり。
「全くノーリアクションの方もおられるんです・・・」と哀しそうなマダム。
そりゃグラスから飛び出すほど伸びてきませんが、
楽しませようとしてくれるものは、乗っかって一緒に楽しまなきゃね!
僕らは過剰反応でしたが(笑)
白ワインのジュレをまとったサントモールとアメリカンチェリー
夏はシェーブルが良いですね。アメリカンチェリーも相性良いです。
やっぱりロワールの白が好きなんですよね~。幸せ・・・。
和歌山産桃のコンポートとハイビスカスのジュレ オリーブオイルのグラス
オシャレ度満開なアヴァンデセール。桃とハイビスカスもオシャレですが、
オリーブオイルのグラスがなんともオシャレ味。
バナナのタルト仕立て アキュイール風
ミニャの仕事も抜かりなく。こういうとこ大事ですよね。
終わってしまう切なさと、楽しませてもらった満足度の入り混じるカフェ時間・・・。
もう、コースの途中でマダムに言いました。
「やっぱ、アキュイールさん、旨いっすわ」って。
そう、確実に旨い。
大阪の同クラスのレストランの中では安定感は随一じゃないでしょうか。
「安定感」と言いましても、決して保守的で守りに入ってるわけではありません。
極めてハイレベルでいながら感じる「安定感」。
それはやはり、見え隠れ・・・と言いますか、意図的に見せてるのか、
クラシックを経由してきた上で表現している、中多シェフの「今」を切り取る料理の数々。
それらがお皿の上で垣間見える、言わばチラリズムフレンチ・・・・・
あかん、怒られるわ(笑)
いやね、分かりやすく言うと、上手いこと消化してるなぁ・・・って思うんです。
完全に理解できないような前衛的な料理には「ドキドキ」や「ワクワク」はあっても、
どこかそわそわしてしまうんですよね。出たとこ勝負的なものもありますし。
アキュイールさんは目を奪うようなお皿の中にも、
しっかりとした「フランス料理」の流れと言いますか血潮と言いますか、
そう、エスプリを舌で感じるんです。
それが食べ手側のどこか安心感に繋がり、
お皿のブレない安定感へと繋がってるんじゃないでしょうか。
火入れだの軽さだの簡単に口にしながら、
フランス料理を愚弄してるとしか思えない店も少なくありませんからね。
やはり原理原則、本質を見据える眼差しの鋭いシェフが残っていくんですよ。
満足することもなければ浮き足立つこともない。
ゆっくりとですが、確実に体制を整えつつあるアキュイールさん。
シェフの料理もさることながら、相変わらずのマダムのホスピタリティに癒されました。
僕、基本そんなにワイン飲まないですからね。いや、飲めますけど(笑)
料理も含めたお店の空気を心地良いと思わない場所ではあまり飲めないんです。
あ、体調もありますね、前回のアキュイールさんでは体調悪かったですしね。
今日は気持ち良く飲ませていただきました。
こんな夜はホントに幸せですね~。
「さ、そろそろ帰りましょか」
この段階で、さほど長居をした自覚はなかったんですよね。
携帯を忘れたせいもあり、時間の確認をしてなかったのは確かなんですが・・・。
小降りの雨に濡れたアスファルトや、
水の鏡に反射するヘッドライトや街のネオン。
アキュイールさんの余韻に浸りながら、
ワインの心地よいまどろみに酔いしれながら、
ふらふらと大阪駅まで歩いて帰るのでした・・・・。
で、済まないのがシュクレクール。
岸辺までの切符を買って改札に向かった僕らを迎えたのは、真黒な電光掲示板。
「・・・・・あれ?今、何時?」
そう終電の時間過ぎてたんです(笑)
アキュイールさん、遅くまで長々とすいませんでした!!
超・・・居心地が良かった・・・ということで・・・・・ダメ?
by monsieur-enfant
| 2009-07-21 01:12
| アキュイール