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なないろめがね

悦楽の境地へ。

「1月中には行きます」
そう約束してたのもありますが、
何か自分に刺激を与えなければ、
繰り返される毎日に飲み込まれ、
自分を見失ってしまいそうになってしまいます。
常に自分が心を動かしておかなければ、
人の心など動かせれるはずもありません。
「自分が感じたことのみ人に伝えられる。
感動できる人間のみ、人を感動させることが出来る」
これは常日頃から自分に言い聞かせてる言葉です。

ここから大きく脱線していってしまった前回
全くあんなこと書くつもりもなく、
ここからサクサクッとレストランの話に移行するつもりだったのですが、
どっかでスイッチが入っちゃったんでしょうね(笑)
さ、今回はチャッチャと進みましょうか!

年末から新年にかけて、全く食事にも行かなかった・・・もとい、行けなかった正月休み。
年末はひたすら働き、気力体力ともに燃えカスになって終わり、
しばらく出歩かなくなって迎えた新年は、完全に出不精になっていました(笑)
ブログもかなり放置し、なんというか義務感もなくなり、「ま、えっか・・・」。
とりあえず何の時も持って出てたデジカメも、「あ・・・忘れた」てな感じ。
今回もしばらくぶりのデジカメが途中でバッテリーが切れて、お借りしての撮影です。

冒頭のような約束をしてなかったら、
わざわざこんな状況の中ここまで来なかったでしょう。
和歌山「オテル・ド・ヨシノ」
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体調もやはり優れず、今日は大人しくお水をいただく予定。
スタートくらいは景気づけにね、シャンパンを。

アミューズ
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グージェールの中にはフォアグラのクリーム。
いやぁ、ボロボロの身体にシャンパンが沁みますなぁ・・・。

真さばのマリネ 木いちごのヴィネグレット
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素材良し。仕事良し。
静かですが、背筋を正される一皿。
「さ、始まるよ・・・」って。

まだシャンパンあるのに次来ちゃいました(笑)
「是非、さばのマリネに。」と。
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うん、面白いね~。
ブルゴーニュのロゼって初めて飲んだかも。
ロゼっぽくない色やけどね。
・・・・・ってか、シャンパン1杯のはずやったに~。

パン
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フレンチの「自家製」の中では群を抜くクオリティ。

さてさて、お次は?
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ジビエの澄んだコンソメ
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ん?スープやったよね?・・・と思ってると、わお!
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コンソメが注がれます。
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これ・・・スープですか?
後から聞くと、「完全に前菜のメイン」。
シェフもスープにこれだけのガルニを入れるのは初めてなよう。
・・・・ガルニ?じゃないよね、これ(笑)
なんだったけ・・・、キジ、イノシシ、マガモ、シカ、あとなんだったっけ・・・。
それらのコンソメにそれらの肉体まで付いてくるとは、なんとも贅沢。

「あ、すいません!」
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当初、スープはワインはパスしようと思ってたんですが、たまらず赤を。

パンが変わりました。
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キャラはあんまり変わってないような・・・。

ここらでデジカメのバッテリー切れ。
年末から、持ち歩いて出歩くことがめっきり減ったので、チェックもしてませんでした。
ここからは、お借りしましての撮影です。

和歌山産足赤エビのパピヨット ビスクのソース
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足赤エビ、美味しかったですね。
ビスクのソース、もう気持ち多くても嬉しかったかな?

ワインはいつの間にか一皿一杯ペースに。
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さて、お次は・・・
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チリメンキャベツ、黒トリュフ、フォアグラのテリーヌ
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ヨシノ、冬のスペシャリテ。
こりゃエロい・・・。でも、チリメンキャベツのおかげでエロエロしくないエロさに(笑)
黒トリュフ、フォアグラを挟み込んでも負けない、
チリメンキャベツの甘みとチリメンっぷり(食感ね)。
三位一体とはこのこと。バランス、相性ともに申し分なし。
こういうのを「スペシャリテ」というんですよね。
やたらめったらメニューにスぺシャリテのある店とは完成度が違います。

やはり体調が優れず、いつもより酔いが早い気が。
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パンも3パターン目。見た目以外の変化は特に感じず。
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ヒラスズキを新若布で蒸し焼きに
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旨い・・・しみじみ旨い一皿。
肉厚のスズキもさることながら、纏わり付く若布の香り具合も絶妙。
添えられてる貝も美味(なんだったっけ・・・?)。

・・・・と、スズキに舌鼓を打った後に運ばれてきたのは、
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「お・・・・・、遂に来ますか・・・」
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そう、べキャスです、べキャス!僕、お初ですね。

「たまたま空いてたので・・・」とのことでしたが・・・・。
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おかげさまで臨戦態勢は整いました!
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“ジビエの王様”べカス(山鳩)のロティ サルミ仕立て
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・・・・・圧巻です。
頭から脚まで、内臓から脳みそ、血、全てを使いきる食材への敬意と、
歴史あるフランス料理への敬愛に満ち溢れた一皿。
特別強いわけでも、圧倒的に濃厚なわけでもなく、
横たわるその姿、口に広がるその風味、ただただ高貴。
選ばれしジビエが、選ばれし料理人によって手にかけられ、
行ってはいけない世界に連れて行かれてしまった・・・まさに悦楽の境地。
これからどんな料理を食べようと、何年生きようと、
「自分史」に刻まれる料理の一皿に、この日出会いました。

「野菜が少なかったから」と・・・・
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まだ出てきた!(笑)
確かに野菜、少なかったけど・・・けど、
総量としましては、すでに満たされるゾーンにまで達しつつあるんですけど・・・。
「べカスのガルニ」ではなく、完全に「野菜の一皿」。
これまた一つ一つ丁寧な仕事が施されてます。
風貌からは想像もつかない、シェフの女性的な一面。
・・・大きなお世話か(笑)

フロマージュも控えてるので、白でもう一杯。
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最近、ニュージーランドで当たりが多いですね。

ずらっとフロマージュ。
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全部いただきます。
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体調・・・・悪かったんじゃ?

エビアンとポール・スミスのコラボ瓶。
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ポール・スミス、嫌いじゃないです。

ヴァシュラン
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うん、普通に美味しい。
ヴァシュランに何か求めるのも酷ですが、
これだけのコースの後、もう一工夫欲しかった。
ま、「次」の本命が控えてますから仕方ないですかね。

左奥に見えますのはトリュフのグラス。手前はトリュフ臭漂うショコラのソース。
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その「トリュフショコラ風呂」に、トリュフのスフレを滑り込ませます。
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・・・・反則です(笑)
こんなお風呂、浸かってみたいものです。
もう説明はいらないでしょ。最後の最後まで悶絶させていただきました。

余韻に浸りながらの至福の一杯。
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「終わった恋の思い出を、一皿一皿振り返る。
静かな始まりから情熱迸る日々を刻み、
甘い時間を啄みながら、
刻一刻と近づくのは、終焉という名の終着駅。
ほろ苦さに人生を重ねながら、
啜るエスプレッソの香りにまどろみ眺める窓の外。
ポツポツと、夜が更ける深度に合わせ消えてゆく街の灯り。
寄り添い家路を急ぐ恋人たちの絡み合う白い吐息が、
あの日見送った遠ざかる汽車の煙と、滲む涙のレンズの中でリンクする。
「あれから3年・・・」
銀世界に取り残された僕を、
東京に降った雪は思い出させてくれるのだろうか・・・・。」


「いかがでしたでしょうか?」
・・・はっ!!
いかつい恋愛プロデューサー(シェフね)のご挨拶で、
ヨシノでの妄想は強制終了(笑)
でもホントに素敵なコースに出会うと、移ろう料理の一皿一皿が、
恋する情景や心情に大きく重なるのは・・・僕だけですかね?
妄想の最後の方は、全くコース関係なくなってましたけど(笑)
えっと、雪降り積もる北国の小さな町の駅で、
最終の汽車で東京に向かう彼女を見送った過去を・・・・って、
え!?妄想の説明はいらないって!?マジで!?

さ、話は戻りまして、シェフがテーブルに来てくれました。
「いやぁ、すごかったです」
それしか伝えられないことが、なぜかとても嬉しい。
美味しいものをいただいたこともそうですが、
それを作り上げたシェフやスタッフへの込み上げてくる賛辞。
そんな気持ちにさせてもらえたのが、なにやらやたらと嬉しい。
「やっぱ、すげぇや・・・・」
と、一人ニヤニヤしてしまうんですよね、
「負けてられねぇ・・・」
って、一人メラメラしてしまうんですよね。

帰り、やっぱちょっとダウンしました。
こんな最中の和歌山訪問、そりゃそうなりますわね。
なんだかんだで、そこそこ飲みましたし。
年末から、ろくに食べれない日が続いてるのに、さぞ胃も驚いたことでしょう。
一日やそこら休んだところで、身体はもうどうにもならない感じです。
せめて気持ちを奮い立たせ、精神をリフレッシュさせてやらないと、
また来る明日へと挑むことも萎えてしまいそうです。

毎日が精一杯の時間と体力を消費する日々。
弱った自分を引きずり起こし、
無理やり刺激を与え、檄を飛ばして更に奮い立たせ、
また「頑張んなきゃ・・・・」と思わせる作業の繰り返し。
つくづく「ドM体質」だと認めざるを得ないと実感すると同時に、
「待てよ・・・・。弱った自分に容赦なく鞭打ってるのも自分やん・・・」と、
新たにSの資質にも眼を向け始める今日この頃。
人間の可能性の広がりを感じました(笑)
by monsieur-enfant | 2010-02-24 01:41 | オテル ド ヨシノ