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なないろめがね

鶏に込められし生きざま

この日は気になっていたお店に、お呼ばれで初めて行った時のお話。
と言っても記憶はもう曖昧なのでサクサクッと行かせていただきますね。

世の中では、「店側が明確な要求を客側に提示してくる」というのは、
あまりよく思われないようですね・・・って、
他人事のように言ってますが、多分うちもその枠に漏れなく入ってるんでしょうけどね(笑)
こちらもいわゆる「そういう店」。
福島 「かしわや 軍鶏」
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最初にササッと店内での説明とか受けますが全く持って普通のこと。
押し付けがましくなく、あくまで「お願いします」ってスタンス。
そして内容は、「店の決まり」ではなく「一般的なマナー」。
これで、「店側の態度が悪い」なんて言われたらたまらんですね・・・。
物言う店って、「高飛車」だの「上から目線」だの「高圧的」だの、
僕なんかまだ小僧というのもあって「生意気」だの言われたりしますが(笑)、
「店独自の決まり」を押し付ける店と、「マナー」を説く店の決定的な違いは、
「誰のために言ってるか」ってこと。
マナーを説くのは「お客さんのため」です。
ただし当然ですが、「お客さん」とは、
それでも注意を仰がなきゃいけない哀れな客のことだけでなく、
店内にいる全てのお客さんを分け隔てなく指しています。
もちろん「お客さんのためだけ」なんて思い上がりはないですよ。
僕ら店側も空間を作る一員なわけですから、
僕らも気持ちよくやらなきゃ嘘の空間になってしまいますから。
つまり、「これを守らなきゃ怒られちゃうんだね」って取りかたもありますが、
「これを気をつけてたら楽しめるんだね」って取りかたもあります。
この日、誘っていただいた方もうっかり早々に注意されてましたが(笑)、
「すいません・・・」って謝って、その後、楽しく過ごしましたよ。
だって、店側は追い出したいから促した注意ではなく、
楽しんでいただきたいから促した注意ですからね。
なるべく「皆」が気持ちよく過ごせるようにという配慮をしてるにも関わらず、
言われて腹を立てる方は、自分がルールを破ってることを棚に上げて、
単純に気持ち良くないという「個人」的見解から腹立つんでしょうね。
そして心のどこかに「客>店」の図式をお持ちじゃないんでしょうか。
安いメンツです。
周りに迷惑をかけてる客を黙って放置してる店が「客想い」なのか、
周りに迷惑かからないように予め約束事を作っておく店が「客想い」なのか、
ま、もちろん暗黙の了解というかモラルの範囲で理解しあえればベストなんですが、
曖昧な部分に乗じて言った言わないの泥仕合を馬鹿どもと繰り広げるくらいなら、
こうして明確に責任を提示してるお店を「親切」だと思うし店主を「潔い」と思います。
どっちみち、常識ある方々にとっては全く普通に食事できる範囲なわけですから。
そして店側も、来店前に拒絶されるというリスク(メリットとも言う)を背負うわけですから。

優位な立場を築こうとしてるのではなく、
むしろイーブンな関係を積極的に望んでることを理解していただけると幸いです・・・って、
「かしわや 軍鶏」さんの回し者ではありませんからね(笑)

さ、始まり始まり・・・。
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まずは日本酒でいきます。
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ソリレス、むね肉、肝の鶏刺し三種盛
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ソリレスは一羽に二箇所しかない希少部位。
締まっていながら柔らかく、あえて例えるなら舌みたい。
それらをそれぞれ、醤油、胡麻油と塩、すだちと塩でいただきます。

日本酒、ワイン、両方に長けてるマダムにお任せしてますが、
ここの鶏、どっちも合うんですよね。
なら、こっちも試してみたくなりますよね。
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このニュージーのワイン、結構昨年ご縁がありましたが美味いです。

むね肉 フルーツトマト
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旨いとかジューシーとか、
もう当たり前のことしか思い出せないんで感想は省略します。

いつも、こんな飲み方は絶対しないんですけどよ。
今度は日本酒でいただきたくなりまして・・・。
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せせり
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ビール、酒、ワイン・・・と来て酒、酒!
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たまにグラス模様が気になってみたり・・・(笑)
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茄子
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何茄子か忘れましたが、ここはお野菜も美味しい。

こころ
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またワインに変更。
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アスパラとマコモダケ
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つくね
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ズッキーニ
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かわ
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・・・なんだったけ
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加賀蓮根
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出汁茶漬け
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なんと言ったらいいのやら。
「焼き鳥」、・・・うん、あくまで「焼き鳥」なんでしょうけど、
一概にあの「焼き鳥」と同列に並べるのは違うような気もします。
簡単に言うと、すさまじくストレートに「鶏料理」をいただいた・・・という印象。
もちろん「料理」というほど手がかかってるわけではありませんが、
かけぬ手の代わりに、
クローズアップされる素材と火入れに目や意識がかかりまくってます。
一人真摯に火の前に立ち、向きあい続ける様も、
素直に「カッコいいなぁ・・・」と思わされる佇まい。
やはりね、評価されるべきは職種じゃなく人なんですよね。
例えばパン屋なんて世の中に不可欠な職種じゃないわけですよ。
お医者さん、弁護士さん、警察の方々、学校の先生、
世の中に不可欠な職種なんてたくさんあるわけなんです。
でもね、じゃあ職種として劣っているのかと言われれば、
僕は一概には言えないと思います。
もちろんどうしたって太刀打ちできない部分もありますが、
優劣を決めるのは職種ではなく自分の心、
つまりその仕事に懸ける「想い」だと思います。
その想いを覚悟に変えて職場に立ち、
たとえ他人から見て理解されないものでも一つのことに必死になり人生を捧げる、
その生き様というか、そう生きてる「人」のことを「職人」と呼ぶんじゃないでしょうか。
だとすれば、その「職人」という姿を体現されてるお1人じゃないかなぁ・・・って思います。

自分はと言うと・・・ホントまだまだ中途半端。
こうして自分を顧みさせていただけるお店の存在があるからこそ、
日ごろの「頑張んなきゃ」では全然足らないことを目の当たりに痛感できるわけです。
そしていつか自分が若い子たちにそういう刺激を与えれるような、
恥ずかしくない大人にならなきゃいけませんね。

うん、頑張ろ。
by monsieur-enfant | 2011-02-03 03:40 | かしわや 軍鶏