2010年 11月 17日
地元への想いと異国への想いと。
頭と身体が幾つあっても足りない毎日。
周年が終わったと思ったら、
一息つく間も無くあれやこれやあれやこれや・・・。
とりあえず年内はこんな感じで終わるんやろなぁと、今から覚悟してます。
えっと・・・
モンテベロの周年とかで身内話が続いてるので、
順番すっ飛ばして、身内続きで行かせていただきますね。
オープン直後は不慣れでしょうし、しばらくは避けて行ってなかったんですが、
うちの定休日変更後は休みが被ってしまうので遂に行ってきました。
茨木 「イル ピスタッキオ」
オープン前には来てるんですが、
タイミングが悪く会えなかったので、店内も今日初めて入らせてもらいます。
6席と聞いてた小さな店内ですが、席に座ると「狭い」という印象はないですね。
ゆったりと取ってある席間と、何より高い天井が圧迫感や閉鎖感を無くしてます。
あからさまに「新しいお店!」って質感もないし、
温かくシンプルで、落ち着いて食事の出来る空間になってます。
お店を作るのに一番センスを問われるのが「空気感」だと思ってます。
お金を積んでも高い家具を設えても、感じれない人には出せないのが空気感。
その点、シェフのシチリアやトラットリアへの想い、
それが小さな店内いっぱいに満ち溢れた良い空気感を表現出来てると思います。
そこにはそれらを汲みとってくれるデザイナーや工務店との出会いも不可欠です。
良い想い、良い出会い、良い仕事が、
空間や予算など制限されたもの以上の形を生み出すことに繋がるんです。
なんか、そんな素敵な店内でしたよ。
鮮魚 盛り合わせ
タコの柔らかトマト煮
白魚
軽く湯がいた白魚に、オリーブオイルと、たっぷりレモンを絞っていただきます。
魚介は総じて良い鮮度。
シチリアなので魚介料理を食べてほしいと言ってたシェフが、
「予約が先まで続いてくださってるから思い切って良い魚も仕入れれる」と、
お客さんに感謝してました。なるほどね。
恐縮しながらパンの登場(笑)
いやいや、普通に美味しかったですよ。
片手間や、やっつけ仕事ありありと出てることの多い料理人のパンですが、
丁寧な仕事が垣間見れる生真面目なパンでした。
ワインもシチリア。
シェフが訪ねた生産者さんのものらしい。
こうして離れた場所でも、海を越え国を越え、繋がってられるって素敵ですよね。
あれ・・・これなんやったっけな・・・。
フリットにもレモンたっぷり。
シンプルですが、地中海の風を感じます。
魚介のクスクス
このままでも良いですし、
お魚のスープをかけても良いですし。
断然、かけるべし!です。
ピスタチオのペンネ
なんか・・・・感慨深いですね。
初めて食べさせてもらったのはシュクレの厨房でしたから。
同じメニューを今は彼の開いたトラットリアで食べてます。
夢の途中でいただいた味と、夢を形にしてからいただいた味。
状況は違えど、どちらも結局は彼の味。
でもね、なんか、グッと胸が熱くなるわけですよ。
ま、「いらっしゃいませ」とイル・ピスタッキオのシェフとして迎えられた時既に、
グッと込み上げるものはあったんですけどね。
うんうん、良かった良かった・・・。
メインの前に、同じ生産者さんの赤をいただきます。
ファルソマグロ
卵、ホウレンソウに、仔牛肉のミンチを巻きつけてオーブンで焼いた料理。
地味なビジュアルから「地方料理」臭がプンプンしてきます。
お味はなんとも優しいというかホッとするような味なんですが、
「あ、こういうのを現地の人は食べてるんだ」って、
実際シチリアのトラットリアでファルソマグロを突きながら陽気にワインを空けてるような、
そんな風景を連想させてくれる強さを持った一品でした。
カンノーロ
カンノーリと思ってたら、カンノーリは複数形なんですって。
一個だからカンノーロ。
素朴で可愛いビジュアルです。
なんだったか食後酒をいただきました。
知り合いの店だと、やたらとウロウロしてしまいます(笑)
こういうさり気無いアイテムが、空気を作るのに一役買いますよね。
トイレのドアも良い色です。中のタイルも素敵ですよ。
ウロウロし終えてエスプレッソで一服。
フランスよりも地区間の違いが明確で、
「イタリア料理」として括るより、
それぞれの地区の料理として独立してる感がありますが、
まだまだ一般的には「イタリアン」としての括りやイメージが、
定着して拭いされてないんじゃないでしょうか。
そんなマーケットに、あえて「シチリア」を掲げて茨木で店を出し、
自ら見た景色や感じた想いを込めて腕を揮う檜森シェフ。
さて、お客さんはどういう反応をしてるんでしょうか?非常に興味があります。
「あ!シチリア料理やん!」とまで分かってほしいとは思いませんが、
イタリアンという括りとは違う空気感を感じてくれてるのでしょうか?
それとも、オリーブオイルを使いパスタが出てくれば、
やっぱり「イタリアン」と一纏めにされてしまうんでしょうか・・・。
僕らも所詮、単なる屋号として乱用されてる「ブーランジュリ」の中の一括り。
でもその中には強い意志や明確な意図を持った作り手も少数ですがいるわけです。
そういう作り手の放つ「匂い」と言いますか、そういうのに僕は惹かれるんですけどね。
このお店も、紛れもなくその「匂い」を放つ一件やと思います。
決意と敬意と共に誇らしげに掲げられた「シチリア料理」の看板のもとで、
お客さんがシチリアに想いを馳せる一つの窓口となる場所になっていけば良いですね。
それより、一応一緒に働いてたわけなんですが、
全く電話で僕の声を思い出してくれないんです。
前回の予約時も、そこそこ話してるのに結局名乗るまで気づいてもらえませんでした。
子連れはダメかとうちのスタッフが聞いてたので質問してみると、
「すいません・・・小さなお子様はご遠慮いただいてるんですよ・・・」とのこと。
「じゃあ、少年のような心を持った大人は大丈夫なんですか?」と聞いてみると、
「もちろん大丈夫です!」って笑ってたんですが、
「すいません。では日時とお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
って、おい!(笑)
いちいち予約時に気の利いたユーモア交える客なんておらんやろ!
「あ!岩永さんですか!」って、さっき素で笑ろうてたやんか。
あ、そういえば、そのうちSAVVYに掲載されます。
下手したら表紙飾るかもですので、6席しかない店内は予約困難になる恐れも。
皆さん、お急ぎください!
by monsieur-enfant
| 2010-11-17 03:14
| イル ピスタッキオ