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なないろめがね

熊本~平戸 ~前編~

あっちこっちと最近はバタバタしてるわけですが、
せっかくなのでどうしてもアップしておきたい記事がありまして。

今回の目的地は九州は平戸。
先に熊本に向かってから平戸に向かい、長崎から帰ってくる旅程です。
やばいやばい・・・とは思っていたんですが、
何度乗っても「電車感覚」の抜けない僕・・・。
8時前の飛行機に乗り遅れることから旅は始まります(笑)

次の便まで4時間近く空くので一旦帰ろうとすると、
「帰ってきたらまた遅れるから、せめて千里中央で留まっててください」
と、店からの愛のメール(笑) 「ヤマダ電機で時間潰せ」とも・・・。
さすがに次は乗り遅れるわけにはいかないので早めに出発。
今度は上手に乗れました(笑)
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まず降り立ったのは熊本空港。
親父が九州は諫早の出身なのですが、なかなか九州に来る機会もなく。
もし九州に行く機会があったら是非行ってみたいと思ってたのは、
うちのバゲットを支えてくれてる熊本の製粉会社の工場でした。
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空港からバスで市内に向かい、タクシーで目的地に。
ここはフランスから原麦を輸入して、自社の石臼にて製粉してくれてるんです。
他にもフランス産の小麦粉は現在流通してるんですが、
どれも「悪くない」には至っても、「良い!」には届かないんですよ。
それは多分、僕が初めてパリで粉袋を開けた時の衝撃を忘れられないから。
正直、石臼で挽いたこちらのフランス産小麦は「過剰」です。
向こうで使っていたものは石臼挽きではなかったので、
比べると多分「過剰なフランス」なんですね。
だから100%では使いません。コストの面もありますけど。
でも、やはり他のフランス産小麦粉は船旅で疲れてしまってるんです。
悪くはないですが袋を開けた時のインパクトは無いんですよね。
それに同じく原麦で輸入しても、通常の生産ラインで挽いてしまうと、
日本の製粉技術はキレイすぎるんです。
細かくサラサラし、粒子が均一。よく言えば丁寧。ただ、静かで大人しい。
フランスは悪く言えば雑。ただ、粒子が不均一で粗い。
その分、表情があり、温もりがある。
表面積も広くなり、吸水性も高く、香りの膨らみも違います。
だから石臼挽きで挽いてくれてる、こちらの粉をメインに使ってます。
今は他にも2種、用途別にフランス産小麦粉を使ってますが、
無いものから引き出すには、やはり限界があります。
そして、知ってしまってる以上、求めず目を瞑るわけにはいきません。
そこに応えてくれたのが、ここの小麦粉だったんです。
8年目にして、やっと実現した工場訪問。
行かなきゃわからない現場の話や実際の生産工程、
なぜ地方の製粉会社が大きなリスクを背負ってまで生産へ踏み切ったのか、
作り手の僕らがどんな想いでその粉を使ってるかなど、
短い時間でしたが有意義な時間を過ごさせていただきました。
長くなるので、ここらで切りますね。

で、そこからJR熊本駅へ。
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話題の九州新幹線で新鳥栖駅まで行き、
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そこから特急で佐世保まで。
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なぜ佐世保かというと、平戸まで船が出てるんです。
今回、観光などできないスケジュールの中、
「船に乗れる」というのが大きなモチベーションだったんです。
気分は加山雄三です。杉山清貴です。

とまぁ、佐世保に着いたんですが、チェックイン前に食事することに。
今回、ほぼ何のリサーチもせず来た九州ですが、
佐世保駅周辺で美味しい「ちゃんぽん」が食べれるという情報だけは確保。
「確か、駅から近かったと思うんやけど・・・」と悩む理由は、
東西南北がわからないので一歩目をどっちに歩けばいいのかわからないんです(笑)
そこで、おそらく近距離であるにも関わらず「ナビウォーク」を発動。
自分の方向音痴にはほとほと呆れてるので、念には念を、です。

「あれ・・・?」と最初に思ったのは、完全に駅から離れはじめた最初の10メートル。
でも、「小さなお店」とか「ガード下」とかいう断片的な情報が勝手なイメージを作り出し、
「やっぱ、こういうとこは隠れたとこにあるんや・・・」という高揚感を生み出し、
肝心な「駅から50メートルくらい」という情報を掻き消していくのであった・・・。

そんな僕の気持ちを知らず、ナビウォークは破滅へと躊躇なく僕を誘う。
「マジで・・・?」
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そう思う階段も、「長崎は坂が多い」という、これまた断片的な情報が、
「佐世保もやっぱ坂が多いんやなぁ」と、
むしろ佐世保感を味あわせてくれるロケーションに感謝するという感覚の中、
躊躇なく歩を進めるのであった。

階段の更に上にはまた階段、
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そして少し上ればまた階段、
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この辺でさすがに「こんなとこに繁盛店があってたまるか・・・」という憎悪が湧いてくる。
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上るだけ上ったので、今度は下り。
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「目的地に近付きました。案内を終了します」
そういって打ち切られたナビの到着点はここ。
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泣きながら夕暮れの坂道を駆け下りました。

そこから「ナビウォーク」は使わず、「すいません・・・駅どこですか?」と、
完全に自分がどこにいるのかもわからなくなった状態で道行く人に尋ねる。

佐世保駅の裏側にはすぐ海があるんです。
僕は目的だった夕飯を忘れて、
気が付けば一目散に駅の裏の波止場に向かっていました。
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佐世保の夕陽は優しかったなぁ・・・。

みんな、元気でいるかなぁ・・・。

波止場で傷を癒した旅人は、
長く伸びるオレンジ色の西日に背中を押されるように佐世保駅に戻った。
「ちっくしょ~、また振り出しだ」と、おどけて見せたその瞬間、
ナビに促され前に歩き始めたとこと丁度同じくらいの場所から右を見ると、
そう、右を見ただけで・・・「ちゃんぽん」の文字が悪戯に見え隠れ。
「いや・・・まさか・・・、だってさっきはあんなに坂を上り下り・・・」
そのまさかだった。
佐世保 「香蘭」
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「マジかよ~!!!」
洩れた、確実に心の声は身体の枠を超えて外部に漏れた。
それぐらい渾身の「マジかよ~!!!」だった。

ちょっと自暴自棄気味な半笑いで入店する関西人に、
容赦なく佐世保の洗礼が浴びせられる。
「なにしましょ!?」
早や!今、入って来たばっかりやし!いっぱい迷ったけど入ってきたのは今やし!
ま、基本、「皿うどん」と「ちゃんぽん」しかないからわかるんやけどね。
でも、こっちは佐世保駅から右に50メートルで着くにも関わらず、
あえて30分以上も坂を上り下りした挙句、
また佐世保駅に戻ってきてから50メートル歩き直したわけ。
「駅から50メートル」を、こんな無駄な楽しみ方するヤツいますか?
そこんとこ汲んで欲しかったなぁ・・・と思うわけ。
で、雰囲気で「ビールください」
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知らない街に迷ってきた旅人が辿り着いた一件の小汚い(失礼・・・)料理屋。
そこで一人、瓶ビールをグラスに注ぐ・・・って雰囲気だけでビール注文。

となると餃子もいるわけで。ただ、誤算は、餃子が完食間際に出てきたこと。
なので先に「皿うどん」。
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あ・・・、マジ「うどん」やと思ってた。
そういやそうやね・・・、こういうのやね「皿うどん」って。

「う・・・旨い・・・。おっちゃん、この皿うどん、めっちゃ旨いわ!おおきに!」
と、関西からの旅人が涙ながらに言ったかどうかは定かではないが、
美味しかったのは本当だったらしい。

具はたっぷりで牡蠣まで入ってる。
カリカリの部分とフニャンとなってる部分の食感のコントラスト。
終盤、カリカリがもう無いと思った頃にカリカリがあると、
「やるな・・・」と思ってしまうという「ちゃんぽんあるある」

餡は結構固めで、熱々の時は良いのですが冷めてくると固まってきます。
そこで「酢」を回しかけます。そうすると味に変化も出るし、餡もトロミが戻ります。
皿うどんに酢、これ、常識の「ちゃんぽんあるある」です。
え?「ちゃんぽんあるある推し」、いらないですか?
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ってなタイミングで餃子登場。
もう若干お腹いっぱいな感じ。
しかも一人だと瓶ビール一杯も厳しい感じ。

後から来るお客さんの注文は圧倒的に「ちゃんぽん」が多い。
やっぱり市民権はちゃんぽんに軍配か。
でも皿うどんも美味しかったですよ。
ちゃんぽんも食べたかったですが、
明日は朝から平戸に向かい、
平戸からそのまま長崎空港に向かうので寄れません。
またいつか、いつの日か佐世保に来る日が来たら、
その際には僕も「席に着くなりちゃんぽん」、させていただきますね。
この「席に着くなりちゃんぽん」も、「ちゃんぽんあるある」です。
ま、「ちゃんぽんあるある」って言いたいだけなんですけどね。

駅の地図で初めて確認したホテルの場所が、
駅前にあるもんだと思ってたらびっくりするくらい遠かったので、
佐世保名物「31アイス」を食べながら、ゆっくりホテルに向かうのでした・・・が、
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この後、マジでアイス20個くらい食べなあかんくらいホテルも迷うのでした・・・。

熊本~平戸(前編) 完
by monsieur-enfant | 2011-07-30 04:00 | 熊本~平戸(塩炊き屋)