2012年 12月 05日
ある雨のパリの昼下がり
今回を含めて、あと2話で終われる目途は立ってきましたが、
他のことのアナウンスが出来なくなってるのが困りものです・・・。
では、「フランス編」、もうしばらくお付き合いくださいませ。
この日は、パリ滞在最終日。
ちょっとだけパリの「今」を感じたくて、昼夜共に予約していきました。
その「お昼の部」は、こちら。
「SEPTIME」
シェフは、「ジュエル ロブション」や、前に書いた「アルページュ」出身。
今、最も勢いのあるお店に数えられる「アガペ」のシェフを経ての独立。
外見はいたってシンプルですが、店内は「オシャレ感」が半端ないです。
なんて言いますか、カッコいい家具がどうこうとかじゃなくて、
人間でも居るじゃないですか、頑張ったオシャレじゃなくて、
さりげなくセンス爆発みたいな、本当のオシャレさん。そう、そんな感じ(笑)
働いてるスタッフさんも、採用基準に「容姿」もあるんじゃないかと思わせるほど、
タイプ別スタイルの良い男前さんが何パターンか揃ってます。
テーブルもシンプル。大きなクリップに挟まれたメニューがお出迎え。
初めてみたお水。
「変わったお水やなぁ・・・」と思って裏返してみると、
いやいやいやいやいや!オシャレ過ぎでしょ!
自家製のガス入りで、瓶に店名って!!・・・・いつか真似しよ(笑)
とか言ってる間に、店内は満席。
キッチンのテンションも上がってきました!
イチヂク、フレッシュマッシュルーム、ビーツ、ビゴール産の生ハム
散りばめられたリコッタが良い繋ぎ役。
雑に切ってあるパンが旨かった!!
メインは豚で。
お皿は両方とても美味しかったです。
バランスがとてもよく、ソースというより食材を当てて食べさせる今のスタイル。
でも、味、印象共に軽過ぎず、お昼から楽しい時間をいただきました。
次は、夜に来てみたいなぁ・・・。
デセール!らぶり!
なんかね、なんか一種類、相性の悪いもんが入ってまして、
3回に1回くらいの割合で、「!!」って薬品みたいな苦酸っぱいのが当たって・・・。
そこ以外は、美味しくいただきました。あれは何だったんだろ・・・・。
お昼から贅沢な時間にすっかりご満悦。
「パン、美味しかったけど近所のパン屋さん?」と聞くと、
「一個先のメトロ上がったとこの広場にある薬屋さんの隣のパン屋」と、
丁寧だかなんだかわかんない感じでしたが、
こんなザックリしてるんなら行けばわかるやろ・・・ってことで、行ってみました。
が、結構薬局ありますやん!!(笑)
ここかな・・・と覗いては「絶対ちゃうわ」ってお店ばかり。
本場パリと言えども、
「美味しいオーラ」を発してるブーランジュリは少ないもんです。
「あ、ここも隣に薬局があるわ・・・」と、見つけたパン屋さん。
横に周り込んでみると・・・・・、
「あった!!セプティムで見たパンだ!!」
これこれ、これを探して雨の中を一駅歩いて来たんです。
・・・・・と、「岩永さんですよね?」
「?????」
「以前・・・・」
「あ~~!はいはい!え?これ君が焼いてんの!?」
そうなんです、セプティムで唸らされ、雨の中探しに来たパンは、
偶然、知り合いの男の子が焼いてたパンだったんです。
彼がパリに来る前にシュクレに来てくれて、
その後、僕がパリを訪れた際、彼の働くお店に顔を出したのがきっかけ。
ま、そこで彼のオーナーと喧嘩して出てきましたけど(笑)
でもまぁ、まさか彼がこんなとこで働いてるとは思わず、
顔を見てもすぐにはピンと来ませんでした。
で、彼もそのオーナーと喧嘩になったようで(笑)、
奥さんの出産を機に(妊娠だったっけな?)、帰国することを決めたようです。
あれ?当時「あと一ヶ月」って言ってたから、もう帰ってきてんのかな?
どこでどんなお店を開くのかは分かりませんが、
絶対旨いパンを焼いてくれると思います。皆さん、ご期待あれ。
別れを告げると「これ、よかったら食べてください!」と、
手渡されたバゲット。
フランス生活が長くなると、
雨の中でも裸でバゲットを普通に渡してくるようになるんですね。
先っちょが濡れてシナシナです(笑)
さ、そのままタクシーで向かったのは、もう一軒パン屋さん。
ガンベッタにあるこのお店の店主さんは、
実は昔、僕が住んでた「プラス ディタリー」にあった人気店のオーナーシェフ。
よく店の前を歩いて出勤したものでした。
「デュ パン エデジデ」のヴァッスールさんも、
確か少し学びに行ってたと思うんですが、本当に美味しかった印象があります。
もうお歳を召されてるので引退したんですが、数年前に突然再開。
その知らせを受けてから、ずっと行きたかったお店なんです。
店内は、焼き上がるパンやヴィエノワズリーの良い香りに包まれ、
特にPAINが素晴らしく美味しそうな色とフォルムでした。
中に案内してもらって見た生地は、
ヘニョヘニョでとても気持ちよさそうな生地でした。
リラックスした表情で、成形を待ってます。
で、ニョニョニョッと成形されて焼かれたバゲット。
この適当さ加減が、実はスゴイ大事だったりするわけです。
クープが元気に開いてないなんてしょうもない定義は二の次三の次。
だって、刃が取られちゃうような緩々の生地なんですもん。
だからこその食感の対比。皮がパリッ!の後に中身がスーッと溶けていく。
そして喉から小麦の香りがストレートに抜けてきて鼻孔でブワッと広がる。
「キレイかどうか」よりも「旨いかどうか」が、絶対的に優先順位は上でしょ。
僕は「キレイなパンを焼く職人」って言われるより、
断然「旨いパンを焼く職人」って言われたいと思います。
もちろん、両方兼ねれることが一番ですけどね。
ここのバゲットは、間違いなく「旨い」バゲットでした。
そして、焼き上がったばかりのバゲットを、また雨でも関係なく裸で渡される。
今度はシナシナになる前に食べちゃう作戦。
三分の一くらい食べなあかんけど・・・・。
さてさて、この日の午後から翌朝までで最終回となります。
書くほうも読むほうも、「やっとか・・・」ですね(笑)
by monsieur-enfant
| 2012-12-05 20:34
| フランス 2012