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なないろめがね

鹿児島遠征 枕崎金七商店さん 〜本枯れ節への道〜

こんにちは。


・・・誰も居ない部屋に「ただいま」って言うような気持ちです。
ご無沙汰しまくってます。「なないろめがね」家主の岩永です。
久々過ぎて保存方法を忘れてしまい、一度全部消えましたが屈せず書き直しました。
みなさま、お変わりありませんでしょうか。


さて、こないだ、北新地移転後、1周年を迎えることができました。
その前には岸部が13周年を迎えることができました。
この過ぎた時間の全てが、僕らの今を作ってくれていますので、
振り返ることなくただ明日へと進むのみでございます。
そして皆さんが足を運んでくださることで生まれる未来へのチャンスを、
また皆さんに還元することで関係性が成立すると思っています。
大して何かに貢献できるわけでもありませんが、
「また何かおもろいことやってんなぁ」くらい思っていただけるよう頑張ります。
適度に可愛がってやってくださいませ。今後ともよろしくお願いします。


さて、なぜ急にブログに帰って来たかと言いますと、
周年のご挨拶もありますが、個人的にどうしても書いておきたいというか、
皆さんにも見ていただきたいことがありました。

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南日本新聞に掲載していただいた記事です。
はい、鹿児島枕崎にある「金七商店」さんで、鰹節を学ばせていただきました。
と言うと、「何に使うんですか?」と、すぐ聞かれるのですが、
そんなことは僕にとってどうでもいい話です。二の次三の次です。
確かに、お取引をさせていただいてるお店さんは、出来るだけ足を運んでから決めてますが、
足を運ぶからといってお取引を前提にしてるわけではありません。
なので若干、「何しに来たの・・・?」みたいな空気になることもあります。
が、僕の目的は一つ。会いたい人に、会いに行くんです。


前々から話は聞いていました。でも、薄っすらとでした。
そもそも鰹節の知識がないもので、知識で入れても理解できないんです。
となると・・・、行っちゃうしかないですよね。
僕が興味を持ったのは、単純に「どんな人が、どんな想いで日々挑んでるんだろう」ってこと。
醤油や味噌と同じように、日本人の僕らにとって普通に身近にある食材。
ですが、そういう仕事は決まって後継者不足に悩まされ、
若者の地方離れもあり労働者の確保も困難になり、衰退して行ってるのが現状です。
そんな中、今、僕らに近い世代の跡取りさんらが現場に入り、
伝統を継承しながらも新たな価値を創造し発信している作り手さんが増えています。
うちの店頭にも「巽醤油」が並び、GREEN MARKETにも来ていただいてる愛媛の梶田商店さん。
秋田に行った時に伺えなかったのですが、新政酒造さんも大鉈を振るって今を切り拓いています。
ここ「金七商店」三代目、瀬崎祐介さんが何を想い何を伝えたいのか、
そして「古事記」にもその原型を成すものが記されている日本古来の水産加工品とは、
一体、どんな風に今に伝えられ守られているのかを感じて来ました。


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鯉のぼりと並んで元気に泳ぐ鰹のぼりに迎えてもらった、心地よい風の吹く五月晴れの日曜日。
もともと良い気候の季節を選んで訪れることになってた、
東京青山「レフェルベソンス」の広瀬さん夫妻と内藤さん、愛媛「梶田商店」梶田さんの一行に、
「あ、僕も一緒に行ってもいい?」と、断り難いことこの上ないのを承知でお願いし、
もれなく参加させていただきました。

初めまして、の4代目、瀬崎祐介さん。
空港に迎えに来ていただいた時に、「あ、絶対嘘のない人だ」と感じました。
それは枕崎への道中で繰り広げられた梶田さんのオチのない話にも、
嫌な顔一つせず聞いていた姿で確信に変わりました。


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・・・と、隣はイベントがあると祐介さんのお手伝いに積極的に参加し、
地元では祐介さんより有名になってるという5代目の稜空(りく)くん。
この日も楽しそうにお手伝いしてくれてました。

今、この昔ながらの3種の包丁を使ってるところも少なくなってるそう。
右の包丁で身を切り、真ん中の包丁で背中の皮を薄く削ぎます。
左の包丁は2本しかなく、3代目と4代目、瀬崎さんとそのお父さんしか使えない大事な意味を持ちます。

まず、頭を落とします。骨に当たるまで垂直に下ろし、そこで横に滑らせます。
この「横の距離」が後に、本枯れ節にとって大事な形を生むわけです。


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ね、切り口が真っ直ぐじゃないでしょ?ちょっと斜めに見えますが、
ザクッとやって、クッ!クッ!とやってるので正確には単純に斜めってわけではないのですよ、はい。



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腹ビレに向かってY字にお腹を裂き、内臓を取り出します。



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この切り取った部分は「腹皮」(はらがわ)と呼ばれる、マグロでいうトロの部分。
ですが鰹節を作る工程では不要な為、安価で売られ魚屋さんに並んだり、お昼の賄いで食べたりするそう。
なので、賄いが美味しいと鰹に脂が乗ってることになり良い鰹節にはならなくて、
賄いの腹皮が美味しくないと鰹節は美味しく仕上がるという、なんともセンチメンタルな部位なのです。
もう一つ鰹の状態を見る部位として、「珍子」(ちんこ)があります。
これは、鰹の心臓のこと。白い筋が円状に付いてるのですが、その部分が多いと脂の乗った鰹。
つまり鰹節には不向きな鰹というわけです。この珍子は串焼きにしたり唐揚げや煮付けにもなるそうです。

そして真ん中の包丁に持ち替えて、背びれ周りの皮を剥ぎます。


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ここで薄く背びれが切り取られるわけですが、
そういえば昔、市役所だったか学校だったかで、新任の先生だったかなんだか、
頭に鰹の背びれを模した帽子かなんかを冠せられてた映像を観た記憶があったんです。
さかなクンをパロってると思ってたら、枕崎での習わしだったんですね(全校ではないそうです)。

そして鰹を縦に持ち、背骨の左右に包丁を這わせて身を骨から剥がしていきます。


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ちなみに魚をいつも横から見てるわけですが、縦向きが魚の本当の向きなんだそう。
「で、何が違うの?」って、なりますよね。わかりますよ、その気持ち。
魚の向きがどっちだろうが日常生活に一切影響しませんからね。
ですが・・・、鰹のお腹に付いてる縞を「横向き」と思ってた、あなた!
それ「縦向き」ですからね!!僕も今知りましたけどね!!

で、こうなるわけです!!
で、自分もこうなるはずでした!!


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ちなみについでに、もう一つちなませていただくと、
鰹が泳いでる時って縞は横向きだそうです。えー・・、人間目線だと縦向きです。
それが釣り上げられ興奮することで縦向きになるそうです。・・・人間目線だと横向きです。
まぁ、僕も知ったばかりですけどね。人生でこんなに鰹にアプローチしたことないですもん。

そして遂に左側にあった丸っこい包丁の登場です。


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考えたこともありませんでしたが、鰹節のフォルムの緩やかな曲線。
雄節と雌節に切り分ける際に、この丸っこい包丁を使って切り分けながら描いていたんですね。
このフォルムは、たくさんの鰹節に混じったとしても「これ、うちの形だ」って分かるそう。
それくらい大事で、尚且つラインの具合をなかなか言葉で説明できるものではないので、
ここは二代目のお父さんと、三代目の祐介さんしか触れないんだそうです。


・・・・・と、まぁこんな感じにサクサク捌いてしまうわけですが、
見てて思ったかもしれませんが、なかなか血が出るんですよね。しかも真っ赤。
あのカッチカチの鰹節からは、なかなか生身の鰹は想像しにくいとは思いますが、
全て「命」をいただき作られてることを、改めて認識することも大切なことです。
でも、全然生臭くないんです。特別な消臭はしてなくて、作業台に常に地下水が流れてたり、
ひとつひとつの道具をしっかり洗うといった当たり前のことを、徹底してるからなんですね。
・・・・と、話を逸らしてみましたが、はい、見学しに行ったわけではないのです。
僕らは体験しに行ってるのですよ!!


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四苦八苦してるように見えますか?あなた、良い目してますね。
でも、皆さんが思ってる8倍くらい四苦八苦してますから・・・。
ろくに日々魚も捌かないので、プロセスが全く頭に残らない!
おまけに「ここを、こうやって・・・」という説明のイメージも全く共有できない!
「・・・?」みたいな頭の中がバレないように真剣な顔して聞いてましたが、所詮このザマです。
一応、加工の行き先は良いの悪いのでいろいろあるようなのですが、なんとも命に申し訳なくて・・・。
その罪悪感を、ここで懸命に書くことにより払拭しようとしております(笑)



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・・・そう見えますか?イジけてるように見えますか?ああそうですか。
でもこれ、骨抜きしてるんです。確かに冴えない哀しげな顔してますが、
ただイジけてるわけではないのです。イジけながら骨抜きをしてるのです。
イジけながらも骨抜きしてるのです。イジけてるのは事実ですがそれでも骨抜きをしてるのです。
写真の説明はこれしかありませんが、実際は骨抜きの時間が大半を占めるんだそう。
朝から始まり、生切りを終えた昼食後は、ひたすら帰るまで骨抜きの人もいるみたい。
ここで骨や鱗の残った鰹は、この後の工程で曲がったり反ったりしてしまいます。
まっすぐ伸びた本枯れ節を作るには、地味ですが決して手を抜けない大事な作業なんです。


この日、僕らのために用意してくださってたのは鰹500㎏。
ですが、途中、「無理やな・・・」と変更されたのが300㎏。
それでも全然こなせず、捌き方も簡単なものに変えました。
大型の鰹は、本枯れ節にもなるため、祐介さんのお手本のように捌くのですが、
この捌き方をすると当然技術も要りますので「誰でも」というわけにはいきません。
人手不足の現状もあり、多くの会社がその技術より流れ作業を選択しているそう。
皆んなの手元に多くあるようなパック化の弊害ですよね。
細かく削ったり、粉にしてしまうのなら、良い仕事を施すことより量をこなすことを選ぶのが常。
ただ、それを簡単に「え〜〜〜〜?」とは言えないですよね。
末端でその仕事を選択する流れを作ってるのは、
僕たち消費者の選択であるのは間違い無いのですから。

さて、捌いた鰹は丁寧に骨抜きされ、湯がかれるのです(煮塾というらしい)。
大きさや脂の乗り具合によって、お湯の温度も時間も変わります。



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このまま下まで降ろして・・・・


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その間に、お昼ごは〜〜〜ん!!!!!



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いや本当に・・・何のお役にも立てずに申し訳ないのですが、
祐介さんのおばあちゃんと奥さんが作ってくれた鰹づくしのおもてなしに、
テンションの上昇を抑え切れません。さらに・・・・、



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卵かけご飯を直接下まで持っていくと、その上に祐介さん自ら削ってくれた鰹節がふわりふわり・・・。



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その様はまるで、仕事のできない男どもに、救いの鰹節を恵んでくださるイエス様のよう・・・。
逆に、仕事もできないくせにお椀を差し出し慈悲を乞う男どもの卑しき姿とも・・・。
削りたての薫香高く漂う鰹節と、濃厚な卵かけご飯、
醤油は当然「巽醤油」・・以外、使えない状況でもありましたが、なんとも贅沢な組み合わせ。
初めて食べる「腹側」の食感はとても面白く、「珍子」の串焼きは塩胡椒のみでシンプルに。
そよそよと吹く心地よい風と柔らかな陽射しが、眠気を誘います。
いっそ誘われちゃおうかと思ったくらいです。

あ、鰹の話をしてませんでしたので、この時間を使ってざっくり書いておきます。
例えば「最高級の鰹節を作るには」って考えると、
やはり厳選した新鮮な鰹を使って・・・思いませんか?
近海で獲れた腕利き漁師さんの一本釣りの鰹を使った・・・なんて、付加価値も上がりそう。
ですが、一概にそうでは無いんだそう。鮮度が良過ぎると、身が割れちゃったりするんですって。
「脂の乗った近海一本釣り」なんかは、そのままお刺身等で食べる用に流通します。
鰹節に使う鰹は、もっぱら遠洋巻き網漁が一般的で、
遠く赤道直下の国まで(キリバス等)漁に出るんだそう。
鰹はすぐに冷凍され枕崎へと持ち帰られます。
昔は漁に出る期間も長かったそうですが、今は海外の漁場の使用量が高騰し、
短期間でたくさん漁って来なければならなくなってるそう。
その金額は、1日100万円にも達するんですって・・・。
鰹漁を生業にする漁師さんも随分と減ってしまったそうです。



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その鰹を一晩流水解凍したものを、鰹節にしていくわけですが、
鰹を取り巻く環境も、鰹節を取り巻く環境も、大きく変わっている中で、
枕崎に140軒あった鰹節屋さんも、今は40軒に減ってしまってます。
これから更に減っていくことはあったとしても、増えることは現実的に難しいでしょう。
せめて、知ることで鰹節への意識を持ち、食べてみることで、その違いを感じていただきたい。
流されることなく真っ当な仕事を貫き次の世代に残していくには、
現場の努力だけではどうしようもない部分もあるのです。
引き継がれていくのは技術だけではなく、物作りの魂みたいものがあるように思います。
安く手軽に手に入るものが重宝され、物差しに偏りを感じる今の世の中。
その魂が、あっちでポツリ、こっちでポツリと消え続け、
そのうち世の中が魂のないもので溢れて来る未来は、想像に難くありません。
何を選び、何に価値を感じ、何に対価を払うのか、
その選択が僕らが未来へ何を繋げていきたいのかという、意思表示にもなるのです。
忘れてはいけないのは、未来は誰か任せではないってこと。
僕たち皆んなで創っていくもんだってこと。
選択の権利と責任は、今を生きる一人一人にあるのですから。


さぁ、お腹もいっぱいになったところで、
寝てしまわないうちに一緒に学びを続けましょう。


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長いお風呂から出て来た鰹は、今度はしっかり水分を落とし冷まして身を締めた後、
1階から順に3階まで移動しながら、じっくり燻されていきます(焙乾と言うそう)。
薪を組み、火を点けるのは、秘密基地感たっぷりの地下の部屋。



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地下は薪でぎっしり。そんなに使うんかなぁ・・・と、まだ悠長に構えてました。


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ダンボールに火をつけて、言われたように各自で組み上げた薪に着火します。



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まぁ、まだ呑気なもんですよ。公に木を燃やす行為自体が新鮮ですし。
当然、大事な工程であることはわかってますが、キャンプファイアーくらいの気分です。



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薪の組み方も適当ではダメで、詰めすぎても酸素が入らず消えてしまうし、
開けすぎても火が届かず燃え残ってしまったり・・・・



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とか言ってる間に、すぐ煙が立ち込めて来ます。



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このくらいで「あ・・・、これ、やばいやつや。」と直感します。
祐介さんからも、「低く、屈んで!」とリアルな指示が出始めます。
うっすら奥で愛媛の梶田さんが燻されてるのが見えます!!・・・扉、閉めましょう!!(笑)



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これ、点け始めだからこれくらいで済んでるんです。
やはり皆んな下手くそなので、しばらくすると消えてきちゃう場所もあるんです。
温度や煙の量のコントロールはとても重要な項目なので、
上から見て火元をチェックします。室温は温度計を、煙の量は煙突を見上げて。



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もう無理です。消えてる場所は当然再度着火しにいくわけですが、
部屋にすら入れない。さっきの点火なんてセレモニーみたいなもの。
以降、ガスマスク着けなきゃぶっ倒れます。こんなに涙出てくる!?ってくらい出てきます。
実際、早く燻しあげたいが為に火力を強めてるところは、ガスマスク着けるそうです。
でも、ここではゆっくりしっかり燻したいので、消えないように強すぎないように、
調節にかなり神経使うんだそう。そしてやはり危険なので、他の人にはやらせないんですって。
確かに・・・、あの煙はトラウマになりそうなくらい過酷な時間でした。
しかも、燻して冷まして燻して冷ましてを繰り返し、
更に、1階、2階、3階と、熱や煙との距離を変えながら仕上げていきます。
この工程だけでも、これだけのことしなきゃいけないんですね・・・。

燻し終えた鰹節は、削りの工程を経て、カビ付けされます。
それはまた後で触れるとして、今から菌付けされた鰹節を天日に晒します。



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役に立てないから、こういうシンプルな作業の時に張り切るやつ、いますよね・・・。



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娘さんの結菜ちゃんも手伝いたい盛り!
お父さんの役に立ちたい気持ちはよくわかるよ!!



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・・・と微笑ましく思いながら近寄ったら、
動き出して怖くなってガチで助けを求めてました(笑)


さて、外に出した鰹節を、均等に陽に当たるように並べます。


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今は、こんな感じ。カビ付けと天日干しを何度も繰り返し繰り返し、
本枯れ節になるには4ヶ月〜6ヶ月を要するんです。



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・・・とまぁ、本日はここまで。
まだ断片的ではありますが、皆さん、どうですか?
ここまででも、解凍、生切りから始まり、煮熟、骨抜き、焙乾と工程があり、
続いて、削り、修繕、カビ付け、日乾・・・・。
そもそもこんなに工程があるなんて思ってもみませんでした。
そしてその一つ一つがとても繊細で丁寧な作業を要します。
鰹という大きな魚を扱う仕事ですし、粉末や細かく削られたところばかりを見ていると、
もっとバーーッとやって、バーーーッと作られていくものかと思ってましたが、
ところがどっこいなんてもんじゃないですよね・・・。
想いを駆せたこともなかった、この枕崎という地で、
こうして日々実直な仕事を繰り返し、真摯に鰹と向き合ってる作り手がいること、
そしてその情熱に直接触れさせてもらえたことは、大きな経験となりました。
沈みゆく枕崎の夕陽に思わず手を合わせ、心の中でこう呟きました。
「また、いつか、あの卵かけご飯が食べれますように」・・・ってね。



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その夜、僕は夢を見ました。
今回のメンバーで食事をしてる夢です。
隣で喋りたいこと喋り終えて満足した梶田さんが寝ちゃってる夢です。
すると急に暗くなり、「ハッピーバースデー、トゥーユー!」の合唱と共に、
サプライズのバースデーケーキが!!
「いや本当・・・勘弁してくださいよ・・・、こういうの苦手なんですよね」と、
戸惑いながらも嬉しさを隠しきれず、思わずはにかむ可愛い僕。
おもむろに、ろうそくの火を消そうと顔を近づけると・・・、


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変わったケーキやなぁ・・・。
今日みたいな時間がない日に、きっと急いで頼みに行ってくれたんやろなぁ・・・。
急に言われても・・・って困ったケーキ屋さんが、
それでも祐介さんの頼みやからって、急いで作ってくれたんやろなぁ・・・。
土台は、まぁスポンジなんやろけど、上にかかってるのは何でっしゃろなぁ・・・。
ホワイトチョコを削ったコポーに炎が映って、鰹節みたいに薄紅色に浮き上がって見えとるわ・・・。



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って、普通に鰹節ご飯にロウソクぶっ刺しただけかーーーい!!(笑)
せめて土台は豆腐かと思ったわ!!人生初の誕生日おかか飯、あざっした!!!!
・・・・って、いやいや、きっと疲れてるんやわ。現実なわけないやん。
夢や、きっと夢に違いないわ・・・。めでたいもんやのに、あんまり誰も食べてくれんかったし・・・。
誕生日おめでとう、自分。明日も頑張れ、自分。おやすみ、あったかくして寝るんだよ、自分・・・。



あっさーーーーーー!!

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今日も快晴!!寝つきが悪くなるような夢を見たので、
今朝はDrスランプ的な出だしでテンション高めでスタートさせていただきました。

・・・と、本日は普通に出勤日。もう既に、天日干しまで並んでます。
昨日、僕らが体験させてもらった作業場の空気は、全く別物と化していました。



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もはやリアルタイムで記録映画を観ているかのよう・・・。


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並べるのも、こうしてしっかり真っ直ぐ並べないと、
煮上がった時に曲がって保形されてしまうんです。
鰹を並べるだけでもこの緊張感・・・。



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今日は、頭を落とす機械も使います。



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タイミングを合わせて鰹を渡す人、切る人、



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切られた鰹を流す人、それを捌いていく人、



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息のあった阿吽の呼吸で、黙々と、淡々と作業が進んでいきます。



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鰹が、自身の魂さえ委ねてしまってるかのよう。



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今、「ここで生み出されてる」ことが大事なのは、
実はうちの仕事も似ている部分がありまして。
うちも例えば「バゲット」という昔からあるトラディショネルなパンがあります。
それを、ただ昔になぞらえて作っていては、それは単なる過去のもの。
いわば、「古い」ものを作ってるに過ぎなくなってしまいます。
受け継がれてきたものを如何に解釈し、リスペクトしながらも創造すること。
つまり、トラディショネルを今ここで創り出せてるかが重要で。
過去や伝統におんぶに抱っこしてるだけでは、それは敬意ではなく依存だと感じます。
そしてその時点で系譜は途切れます。未来へ繋ぐには、今を加える覚悟と勇気が要るんです。
金七商店さんのお仕事も、しっかり繋がれてきたことを土台にして、
祐介さんという「今」が、しっかり加わってます。単なる「跡取り」などという話ではありません。
加えなきゃいけないのは単に「人」ではなく「思想」なんです。
ちゃんと正しい思想を持った人が加わらなければ意味がないんです。
おそらく周りの鰹節屋さんにも跡取りさんはいらっしゃるでしょう。
では果たして、そのうち何軒の鰹節屋さんが「今」で居れてるでしょうか。
もしかしたら、もっと早くに「古く」なってしまったお店さんもあるかもしれません。
その時点で伝統は、繋ぐものから縋るものへと退化してしまう、そんな気がするんです。

いろんなタイプの人がいていいとは思いますし、何が正解かは自分が選ぶものだと思いますが、
僕は単純に、昔のヒット曲ばかりお願いされるバンドにはなりたくないなぁって思うんです。
常に、今でありたい。というより、店を営んでいる以上、今であらなきゃと思ってます。
それは何か新しいことしてなきゃとかではなくて。
逆に何か新しいことしたから今でいれるわけでもなくて。
13年前に入ってきた子には新しいお店で、今入ってきた子にとっては13年前にオープンしたお店。
そんな店にはしたくないなと常に思ってやってきました。
今でいられなくなった時は、求められなくなった時だと思ってます。
その時は、シュクレクールが終わる時。潔く居なくなろうと思ってます。

さて、僕が喋ると鰹節関係なくなっちゃうんで、ぐいっと元に戻しますね。
実は、先ほどの作業で一旦手を止めまして、この間おやつ休憩だったんです。
いや、本当に、10時で一旦おやつなのです。


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何もしてないのにいただくおやつもまた、なかなかにバツが悪い(笑)
ムチムチモチモチした食感のこのお餅、昔は祐介さんのお母さんも作られてたようです。
「この食感、何が入ってるんですか?」と聞いてみると、「いも!」。
「芋・・・は、何の・・・」、「芋ですよ」。
なるほど・・・、鹿児島では芋といえば「さつまいも」なんですね。
さつまいもが練りこまれてほんのり甘みがあるムチムチモチモチの生地に、
きな粉がまぶされていて、更に餡子がドンと鎮座してまして・・・。
なかなかの甘差で、これまたなかなかのデカさ・・・。
たった一つで、朝飯食って来なくて良かったクラスのボリュームです。
その横で何かに驚いてる祐介さんがいました。「え!?みなさん、食べたことないんですか!?」
いやいやいや!これ、そんなに日本列島でポピュラーなおやつじゃないですから!!(笑)

さて、ここまでで鰹節のイメージは変わってきましたか?
僕の喋りが邪魔で入ってきませんか?ああそうですか。
整理しないと分かりにくいこともあるので、後でちゃんと纏めますのでご安心を。



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焙乾してた建物に移動して、地下には行ったので上に行ってみましょうね。
鰹はエレベーターで、人は階段で上ります。



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えっと・・・もはや2階だったか3階だったか見分けがつかないのですが・・・。
燻された鰹節たちが、次の工程に進むのを待っています。
また燻されるやつもいたり、階を移動するやつもいたり、削られちゃう子もいたり。
じゃ、その削られちゃう子のとこ行ってみましょう。



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思ったより削られます。想像の3倍は削られてます。
そもそも、なんか整えたりするのに削るんだと思ってましたが、
焙乾によって周りに着いた煤を綺麗に削り取るので、
一本削りきるのにそれなりに時間がかかります。
当然、これを一本一本やってられないので、削り業者さんもいるそうです。
この作業、削ってる時に割れたり折れたりしたら全部の工程も時間も台無しなので、
ちゃんと金七さんのことを理解してくれてる業者さんに頼んでるんだそう。
それでもやはりリスクの高いところは攻め切れないので、
仕上げの削りは祐介さんとお父さんが自分たちで担当するそうです。

あ、実はここまでの間にもう一つ工程がありまして、
それは「修繕」と言って、骨抜きなどで損傷しちゃった部分を、
鰹節に仕上げていく途中で身割れしたりしなよう、整える作業なんです。
修繕では、鰹の煮塾肉をミンチ状にしたものを塗ったりするんだそう。
そういえば本枯れ節に骨の跡とか身溢れした形跡とかないですもんね。
綺麗なフォルムにするために、こうした作業が施されていたんですね。
知れば知るほど、知らなかったことばかりだと気付かされます・・・。


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えっと、怪しいライブハウスではありません。
この部屋で、削られた鰹節にカビ付をしていきます。
中は、高温多湿。菌が付きやすく繁殖しやすい環境ですが、
同時に虫が湧きやすく、とても神経を使う部屋なんです。
良質な菌が付きやすいよう、繁殖しやすいよう、
空気の波動を整えたり良い波動を送ったりするために、
ここの鰹節にはクラシックが聴かされるんです。正確には、菌にですけど。
よくお酒に聴かせたり、野菜に聴かせてたりっていうニュースがありますよね。
あれ、さすがにちゃんと効果が実証されてるデータがあっての話なんですよ。
「お酒もクラシック聴いたら気持ち良いんちゃうかなぁ思って」みたいな話ではありません。
いろんな酵母によって、向いてる作曲家まであるらしいんです。
そのデータが、「もっと良くしたい。もっと良いことをしてあげれないだろうか」と、
常に模索していた祐介さんの目に留まったわけです。
が、やはり半信半疑な部分があったり、高温多湿な環境のためスピーカーが壊れたりとかで、
やったり辞めたりみたいな時期もあったそう。
でも周りが「やるならちゃんとやってみよう」とサポートしてくれた結果、
実際に菌の乗りも安定し良くなったそうで、
金七商店さんの「クラシック節」という商品へと繋がったんですね。



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カビ付けには鰹節菌と呼ばれる麹カビの1種を使用します。
一番カビ、二番カビと、何回もカビ付をしていくんです。
そしてカビを付けては天日干しを繰り返しを繰り返していきます。
そしてもちろんクラシックも聴いてます。



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初めは青みがかってたカビも、二番カビ、三番カビと付けていくうちに枯れてきて、
僕らが目にするような茶褐色の鰹節へと変わってくるそうです。



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そして三回以上カビ付したものを、「本枯れ節」と言うのだそうです。



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ここまでに要する4ヶ月から6ヶ月の期間。
全ての工程に手を抜くところがなく、全ての工程に良い鰹節を作るために必要な意味があります。
ただ、その所々で意図して手を抜いてしまった方が生産量が上がったり、
そこまでやらなくてもってところで留めておけば、もっと楽に商売することが出来るんです。
今の時代、「売れたもん勝ち」の風潮が強いのは、
やはり消費者の無知・・・というより無責任さにもあると感じます。
自分が摂るものでしか、自分の身体は作られません。
それ以外のもので勝手に身体が作られることはないのです。
何を選ぶのかは自由です。ただ、意思を持って選んでいただきたい。
値段が張るものを、今、身の回りにあるものと単純比較して「高い」と切り捨てるのは、
安いものに潜む「安い理由」からも目を背けてることにもなりませんか?
どうも日本人は、良いことを応援するより、
嫌なことに巻き込まれたくないという傾向が強いように感じます。
だからってわけではないでしょうけど、
他人のゴシップとか大好きで、関係ないのに一斉に叩きますが、
同じ日本人が何か快挙を達成しても、よっぽどメジャーなことでもない限り知らん顔。
どちらも自分たちには関係のないことに変わりないのに、この温度差。
食品にしてもそうですが、当然あってはならないレベルのことは論外として、
「いやいやいや、全然気にしてなかったくせに!」みたいなことですら、
ニュースになると過剰に反応し断固拒絶する傾向がありますよね。
ダメなものを恐れるリスクヘッジも当然大切なことですが、
良いものを知ることも同じくリスクを避ける手段として存在してるんじゃないでしょうか。
食に興味があっても、健康に興味があっても、もしくはどちらも無くても生きていく以上、
その選択の目や意識は、過敏になる必要はなくとも、あるに越したことはないと思います。
それらを見極める力がもし消費者の皆さん(当然僕らも含みます)にもあったなら、
もっと今でも残ってた仕事もあったんだろうし、
逆に広まってなかった商品もあったんだろうなぁって思うんです。


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結局そういう部分は、どの職業とっても同じこと。
何が正しいわけでも間違ってるわけでもありません。
ただ、結果は選びたくても選べませんが、プロセスは自分たちで選べるんです。
たまたま良い結果が出たり悪い結果が出たりってことはあっても、
たまたま真摯に素材と向き合い、たまたま最良のものを生み出すために苦心するなんてことは、
可能性としては極めて低いこと。やはり意図して、狙って挑むからこそ選ぶ道なのです。
売れるからやってるわけでも、売れないから止めちゃうわけでもなく、
その源は自身のアイデンティティであって、その姿は自身の生き様そのものなのです。
だから僕は、そこがある人に逢いたいし、話がしてみたい。
人を、物を測るのに、やはり見ておかなければいけない大事な部分だと思うんです。
僕は座右の銘みたいな立派なものを持ってるわけではありませんが、
過程も結果も求めなきゃいけない立場上、両方を含んだこういう言葉を自分に課してます。
「人事を尽くしまくってから、天命を待て」です。
人事を尽くしまくってもいねえのに、一丁前に天命待ってんじゃねえぞコラってことです(笑)
やれることの全てをやったつもりでも、結果が必ず伴うわけではありませんが、
やれることの全てをやらなかった段階で、結果を望む資格すら無くなるんじゃないでしょうか。


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そんな祐介さんも、すんなりお父さんの後を継ごうと思ったわけではなく、
例に漏れず別の仕事を志したことがあるそうです。
映像の仕事がやりたくて、人に喜んでもらえる仕事がしたくて、福岡にいた時のこと。
ある日、実家から送られてきた鰹節を周りに配ったところ、
祐介さんの目の前に、「おいしい!」、「おいしいね!!」と、人が喜ぶ光景が広がったんです。
その時に気づいたんだそう、自分たちの鰹節にも、人を喜ばせる力があるんだってことに。
そこからずっと祐介さんは、鰹節で人を喜ばせることが出来る、幸せにすることが出来ると信じてます。
仕上がった本枯れ節を割った時の色は、そんな祐介さんの鰹節に向けたピュアな想いが映ったかのような、
何の淀みもなくどこまでも透き通っていて、尚且つ吸い寄せられるような深みのある美しい色でした。
人が仕事に映り、その仕事が物に宿る。まさにそんなことを体感した、鰹節体験でした。 (おしまい)








おまけ

結局、僕も最後までよくわかってなかったので後で整理したんですが、
僕らが目にする鰹節って、一体どんなものなんだろうって思いません?

表示にも違いがあって、「かつお節削りぶし」、「かつおかれぶし削りぶし」、
などと表示されてるものは、「カビ付け作業した鰹節」で、
「鰹節削り節」は、「カビ付を繰り返した鰹節を削ったもの」(枯節・本枯節)なんだそう。

「かつお削りぶし」、「花かつお」などと表記されてるものは荒節です。
「鰹削り節」も、荒節を削ったもの。・・・・かなりややこしいですね。
ちなみに荒節とは、カビ付する前の燻した状態までで使用した鰹節のことを指します。
スーパーなどで小売されている鰹削り節の80%以上が、荒節を使用してるそうです。
理由は、製造日数が長くて20日前後と早いため、量産ができるから。

どっちが良い悪いではなく違いをざっくり書きますと、
荒節は燻しまでの工程のため燻香が強めに残り、
乾燥度が本枯れ節に比べ低いため魚っぽさが少し残るそう。
コクは少ないけど、そのぶん安いんですね。
本枯れ節は、製造日数に圧倒的差があり、
天日干しやカビの作用によって乾燥と熟成が進むため、
味に丸みとコクが生まれ、本物の「鰹節」をいただくことができます。
当然、荒節より高価になります。
違いを知り、用途によって使い分けるのがベストですが、
なかなかご家庭でそこまで使い分けたりしませんよね。
だからと言って、ここに書いてあるのを元に、
ごそごそ表記を見ながらスーパーでお買い物するのも困ったもの。
そんな奥様に朗報です!!!


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6月10日(土)のGREEN MARKETの日から、
シュクレクール北新地で、あの金七商店さんの「クラシック節」の店頭販売がスタートします!!
「えー!?」、「これで迷わずに済むわ!!」、「鰹節難民だったの!!」などの、
嬉しい声が続々と寄せらております!!ありがとうございます!!巽醤油も宜しくお願いします!!
そしていつか、祐介さんがMARKETで鰹節を削りに来てくれると約束してくれました。
体験に勝るものはありませんし、できればこんなパン屋の安い受け売りなんかより、
直接作り手の声を聞いてもらいたい。そんな僕らの気持ちに応えてくださるそうです。
そんないつかを楽しみに、今日は、この辺でお別れとしましょう。
長い文を読んでくださりありがとうございました。またいつか忘れた頃に書きますねー。





by monsieur-enfant | 2017-06-07 17:11 | 鹿児島枕崎 金七商店