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なないろめがね

自覚

今日は朝九時半に、ロビーで待ち合わせ。
まずは朝食がてら、一番繁盛してるというパン屋さんへ。
かなりの高級住宅街らしい。
オフィスビルも結構ある人気の地区。
ドラマの影響か、純愛的なイメージの強い韓国ですが、
最近は離婚率が高いそう。
基本、女性は結婚すると働かなかったそうですが、
やはりこの不景気、そうも言ってられず・・・。
外で働き、家でも家事全般。しんどくて別れるケースが多いんですって。
今は更に、結婚をしない女性も増えてきてるそう。
万国共通の流れですね・・・と普通の世間話(笑)
到着しましたが、場所、店名、読めません。
こっちがパン屋さん。
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こっちがカフェ。
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もとはパン屋だけだったの改装し、
カフェ併設して、厨房を二階に作り、
全部で三億かけたとかいうヘビーな話を聞かされながらの朝食。
支店も四店くらい持ってはるんかな?
韓国で、こんなふうにパン屋で成功してはる人がいることさえ想像できませんでした。
名刺もキンキラキンでした(笑)
ってか、僕、ホントに名刺文化が嫌いで滅多に持ち歩かないんですが、
今回は要りましたね・・・確実に。
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店内に、こんな立派なシャンデリアがあるカフェで、
パック入りの紅茶が出てくる意外性・・・(笑)
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でもメニューは普通。
ロッテリアにもマクドナルドにもある「プルコギバーガー」なるものは見当たらず、
日本のこんなお店と変わらないメニュー内容。
「これから何件か回るんで、軽めの食事」と聞いていたので、サンドイッチを。
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結構なボリューム。
これで大体1500円くらいかな?
感覚的には物価は大阪と変わらないくらい。
味も思いのほか普通。悪い意味の普通じゃなくてね。ちゃんとしてる。
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なんで~!?なんでもう一つ頼んでんの~!?
全然「軽い朝食」ちゃうや~ん。
案の定「遠慮しないで」とか言われ、ほとんど僕が食べることに。
新しいティーパックを放り込まれ、紅茶のおかわりをいただいた後、パン屋のほうへ。
さて、皆さんの描く「韓国のパン屋さん」って、どんなんですか?

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正直、驚きました。
ハングルのプライスカードを除けば、そのまま日本のパン屋さんです。
まさに大手チェーン店の品揃え。
おまけにケーキも勢揃い。マカロン、ダックワーズ、ショートケーキ・・・・。
車内でも聞いてましたが、びっくりしたのがバゲットに生クリームが挟まってること。
「バゲットに生クリームを挟んでるパン」・・じゃなくて、
「バゲットは生クリームを塗って食べる」んですって。
そして、こうしてパンとお菓子が混在してるのが韓国では当たり前。
フランスのような「ブーランジュリ パティスリー」みたいなかっこいいもんじゃなく、
こうしないと生きていけない様子。
まだまだパンはおやつの枠を超えず、ケーキは週末にしか食されない。
どちらか単独では生きていけないんです。
そしてそれを全部やるのがパン屋の仕事。
ですから何かを掘り下げて突き詰める時間もない。
スペシャリストがいないわけです。
ですから作られるものは、どこもほぼ同じ。
輪をかけて材料・・・特に粉の種類が少ない。
そこで起こるのが商品の無個性化。
パンを作るだけ、お菓子を作るだけ。
変わりがないなら、お客さんも選びようもない。
近くで買うのが当たり前。わざわざ行くなんてもってのほか。
十年前の日本がこんな感じ。
逆に十年前の日本と比較すると遜色ない出来映え。
そんな中、職人さんは日本で勉強したり研修受けたりする人が増えてるみたい。
東京の世界トップレベルのパティスリーに触れ、
パン屋のここ十年の変化の中に身を置いてた人もいる。
沢山の絵画を鑑賞し、いざ国に帰って描こうと思ったなら絵具が三色しかない・・・。
例えるならそんな感じか。
ただ、もちろん全てのパン屋がそうとは限らないが、
昨晩飲み明かした四人も含めて、
「やりたいのに・・・やってみたいのに・・・」と強い葛藤を抱いてるのは確か。
関西ではそんな時代に、神戸「コムシノワ」、京都「ル プティメック」という二店が、
重い扉をこじ開けてくれた。
僕に憧れと尊敬・・・何より進むべき道を示してくれた。
確かにその頃の日本とは全く同じではない。
日本のほうが「洋食」という文化があるぶんだけ、
食卓に主食としてパンが上がる機会は多かった。
韓国には屈強な食文化が存在する。
そこに割って入るのは難しいはず。
でも職人のモチベーションは、そのころの日本より高いと感じる。
いや、今の日本と比べても遜色ないくらい。
情熱なくして切り拓けない。
強い意志なくして貫けない。
お金があって、恵まれた場所で始まったわけではないシュクレクール。
時間はかかったけど、悔しい思いも苦しい思いもいっっっぱいしてきたけど、
今、こうしてお店があります。目を閉じれば沢山のお客さんの顔も思い浮かべれます。
良い店かはわからない。
でもこんな辺鄙な場所にも関わらず、多くの人に囲まれ、愛され、
「幸せな店」であると、僕はつくづく思う。
もしかしたら僕に出来ることがあるかも知れない。
こんな僕だからこそ役に立てることが、今ならあるかも知れない。
彼らの気持ちの葛藤を、
僕なら同じ温度で感じれるかも知れない。
そして、何かを伝えれるかも知れない。
何かを感じてもらえるかも知れない。
前にも書いたが、謙遜とは一つの自己防衛。
この場面、冷静に考えて僕は適任。
自惚れじゃなく自覚です。
次のステップに行ったら、他のテクニックのある方が来ればいい。
でも今はその前。
スーパースターはいらないんです。
一緒になって船を押してやれる人間が必要なんです。
明確になった。
僕がやれること、やらなきゃいけないこと。
そして、僕だから出来ること。
踏ん切りがついた。
「僕で良ければ、お受けさせていただきます。」
by monsieur-enfant | 2008-08-04 03:54 | 韓国手記´08求愛