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なないろめがね

暑い夜の温かい思い出。

この日は、60歳を機にこの夏勇退した「シュクレのお母さん」と集う会。
ま、僕の母親なんですけどね。
シュクレのオープン前から、ちょうど怪我をして仕事を休んでたのもあって、
おにぎり持ってきてくれたりしてたらいつのまにか手伝ってくれるようになってたんです。
販売をメインでこなしてくれた妹と、
「パン屋をしよう」と一瞬本気で考えたらしい父親も手伝いにきてくれて、
あまり一つの時間を共有したこともなかった4人が一つ屋根の下に集いました。
「パン屋なんて無理」と、父親が早々と離脱したので短い時間となりましたが、
今思えばシュクレクールが僕にくれた最初のプレゼントやったと思います。
そこから、飲食業で働いた経験もないのに何の因果か、かれこれ4年。
みんなに「お母さん」と呼ばれながら手伝ってくれた母親も一区切り。
「お礼を言う時間を作って欲しい」って、嬉しいことを言ってくれたスタッフを連れて、
ここ北新地「星華」さんにお邪魔しに来たわけです。

夕方から土砂降りの雨。
しかも雨やのに涼しくならず、むしむしする中向かいました。
まずはビールでしょ。
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スペアリブの黒酢煮
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カンパチの刺身 山椒のドレッシング
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くらげの下にはトマトの赤ワイン煮 大好きな蒸し鶏が添えられてます。
その横は鰻の骨です。
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タコの白味噌和え ゴーヤを添えて。
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アサリのブラックピーンソース いりつけ
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食べ応えのあるプリップリのアサリ。何回聞いても何のソースか理解できなかった・・。

やはりここでは紹興酒を飲みたいんです。
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ロブスターの海老味噌炒め
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旨い・・・旨くないわけが無いんですが、それでも旨い。絶妙の火入れでブリッブリ。
海老味噌の香ばしさでお酒も進みます。

じゅんさい、冬瓜、カニの身入りのふかひれスープ
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このスープも楽しみの一つ。
色も濃く、味もしっかりしているのに全然しつこさがない。
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箸休め ザーサイ
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これ凄かった!アカハタの蒸し物!魚じゃないくらいのブ二ブニの食感!(誉めてます)
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どんぐりの冷麺 絶妙な辛味
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中華をあまり食べないのが原因でしょうが、僕にはさっぱりわからない。
ま、あまりわかろうともせずに食べてしまうんですが・・・。
何を使って、このアンニュイな感じを滲ませているのか。
かと思えば、優しい琥珀色から強烈なパンチが飛んできたり。
母親との思い出話に花を咲かせ・・・るでもなく(笑)
ただ楽しく美味しくいただけたことに感謝感謝でした。

どうしたって「母親」でした。
「息子」であり「シェフ」である僕の姿、振る舞いに、度々戸惑いを覚えたことでしょう。
「一従業員」でありながら、「母親」でもある自分の立ち位置に、
様々な葛藤に苛まれた日々もあったでしょう。
身内であるが故の難しさ。
身内であるが故の温かさ。
「もう絶対分かり合えない」と、
さじを投げそうになったことも一度や二度ではなかったです。
「もう辞めさせてもらう」って言われたこともありました。
勝手にしろ・・・と思うこともありましたが、
それよりも長男として何も出来ず、
さらに就職先の社長としても至らない悔しさ、情けなさ・・・。
何とか良いように良いようにと考え考えやっていたつもりでしたが、
どこかに甘えがでていたんでしょう・・・。
気配りに欠ける言動も多々あったかと思います。
ただ、純粋に感謝してました。
戦力として、頼りにしてました。
多くの職人が辞めていった厨房で、
時にはプロを凌ぐプロ意識でシュクレを支えてきてくれました。
若い子ではとても気づかない細かい仕事や嫌がる仕事を、率先してやってくれてました。
精神的に参ってた時もありましたね。
身体が悲鳴をあげてた時もありましたね。
僕は幾つ気づいてあげれてたんだろう。
幾つ未然に防いであげれてたんだろう。
未熟者だと、つくづく痛感します。
でもね、そんな未熟者の店主が店を始め、
身内や地元の仲間、近所のパートさんに支えられてスタートした「ル シュクレクール」。
僕のやろうとしてる「パン屋さん」を、
おそらく最初は誰も理解できてなかったと思います。
そんなメンツで始まって、みんなで作りあげてきたこの店が、
そんなメンツの時に、評価を受け始めた・・・それがホントに嬉しかったんです。
例えば名が知れるようになり、
働きたいというプロまがいたちが集まり始めてからではなく、
フランスのように身内で協力しあって小さい店を営む。
そんな段階の時にきちんと嬉しい評価を得られたこと。
・・・何かね、皆が誉められてるみたいで嬉しかったんです。
そして、そんな店を「好きだ」といって、
今、職人が集い始めています。
秋からは、念願の販売を統括してくれる社員も入る予定です。
もしかしたら、ブルターニュからフランス人が来て一緒に働くことになるかもです。
一生懸命働きながら、
在店中は大きな恩恵を受けさせてあげれずに辞めていった子もいます。
「みんながいてくれたから今があるんだ」っていう形を、
少しずつですが実現していって、
いつか本当に「良い店だ」と思ってもらえるような店を作り上げて、
うちのスタッフが他店の子から羨んでもらえるような環境、待遇を実現するのが、
今まで携わってくれた皆への恩返しやと思います。
そして、潰さず続けていくこと。
まだまだも何も、ホントに至らないとこだらけの僕ですが、
お客さんもスタッフも、どうか温かく見守ってやってください。

そんな1人の戦友に、コックコートをプレゼントしました。
「自分はアマチュアだから、恐れ多くて着れない」
って、働いてる時は一切袖を通そうとしなかったんです。
僕からの「厨房の、欠かせない仲間だったんだよ!」っていうメッセージを込めて。
うちでは僕も作っていない、ネーム入りのシェフ仕様です。
涙を流して喜んでくれたそうです。
着たかったんだそうです。
4年間、寒い冬もTシャツにエプロンでした。
一瞬躊躇したそうですが、すぐに着てみたそうです。
似合うに決まってます。だって、シュクレのメンバーなんですから。

その後、食事会のお礼のメールをもらいました。
その中に、「シュクレで働けて良かった」との一文をいただきました。
初めて言ってもらえました。
もちろん僕だけの力ではありません。
母親の周りを取り巻く、他のスタッフに恵まれてきた結果でもあります。
でも・・・嬉しかった。
涙が止まらないほど嬉しかった。
その一言を言わせたかった。
その一言が聞きたかった。
60になり、本格的に働く最後の職場になるかもしれないシュクレを
良い想い出で何とか終わらせてあげたかった・・・。
恐らく、生涯忘れることのない一言でしょう。
でも僕からも言わせて欲しい。
「おかんと一緒に働けて良かった。職人としても、息子としても。」

最後に、心から「ありがとう」
by monsieur-enfant | 2008-09-04 02:24 | 中華料理 星華