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なないろめがね

2009年 09月 21日 ( 2 )

軌跡

さてさて、忘れないうちに書いてしまわないといけない最有力記事がこちら。
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先月に催してしただいた「岩永シェフを囲む会」と題された食事会。
・・・・の、第二回。
この日の会場は安土町の「ル ヌーパピヨン」さん。
毎度毎度のイレギュラーな申し出に、
いつも快く応えていただき感謝のしようもございません。
前回は西天満の「ランデブー デザミ」さんでしたので、うちのパンがありましたが、
ヌーパピさんはシュクレのパンじゃありません。
さすがにこんな催しで他店のパンを食べさせるわけにはいかず、
定休日ですがパンを焼いて持っていきました・・・・が、
いつもどおり、かなり切羽詰まった状態での入店になりましたので、
まとまったパンの写真はありません・・・残念。

事前に川田シェフからいただいてたメニューを参考に、
コースの進行に合わせた3種のパンを焼きました。

リー ド ヴォーとフランス産キノコのテリーヌ
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メニューをいただいた時に、
今日のコースの主旨みたいなものがわかりやすい構成だったので助かりました。
皆さんの中に着席して最初のお皿でしたので、緊張してあまり味わえてないのですが、
とても美味しくいただきました。
このテリーヌはリー ド ヴォーとキノコという構成上、
そんなに重たかったり肉肉しかったりしないので、少し軽めのパンを合せました。
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長さ50㎝くらいのフィッセルです。
これはパリで働いてる時に、アラン・デュカスのお店専用に焼いてたパンなんです。
日本に帰って来てからは初めて作りました・・・ってか、
久しぶりにそんなエピソード思い出しました。
なんか、懐かしかったですね・・・・。
せっかくシュクレ繋がりで集まって下さった皆さんですから、
このパンを向かい合わせの2人で1本。半分に各テーブルでちぎってもらいました。

殻付き帆立貝のグラチネ 肝のモルネーソース
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いやぁ~、テンション上がるビジュアル!
こういう大人数の会では、こういうの助かります!
帆立も大ぶりで、グラチネに肝のソースが良い塩梅。

赤エイのムニエル 焦がしバターとケーパーのソース
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うんうん、す~っと解ける繊維質。
コラーゲンもたっぷりです。
実家にいた時は、田舎が海なもんでエイはよく送ってもらって食べたんですが、
お店で食べる機会ってあんまりないですからね。
ちなみに祖母は海でエイに噛まれた跡が脚に残ってたのを思い出します・・・。

で、帆立のグラチネと赤エイのムニエルに合わせたのが、
アオサとノワゼットのプティパン
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小さいサイズですが、最初のフィッセルで一皿半。
グラチネの途中からエイをこのパンで賄おうとしてたんですが、
みんなパン食べるペース、早すぎます(笑)
魚介の2皿が、しっかり調理されたものなので、パンで潮の香りを補います。
でも、帆立はグラチネ。赤エイも焦がしバターのソースでしたので、
ノワゼットでコクと食感による存在感をプラスしました。

茨城産仔牛テールの煮込み
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はいはい、こう来てくれると思ってましたよ!
たいがいお腹いっぱいになってる中、ダメ押しのこのポーション。
遠慮なしの現地レベルの味付け。
こうじゃないと、次のパンは合いませんから!
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う・・・・、デカイ時に撮っとけば良かった・・・・。
シュクレで売ってるサイズの1.5倍の丸いパンを焼きました。
川田シェフのメニューをいただいたときに、
直球の「フランス」を感じて欲しいというメッセージだと勝手に解釈した僕は、
昔の絵画のテーブルに当たり前のように置いてあるパンをイメージして作りました。
無骨でいて静かで、荒々しいんですが触れると優しいパン。
しっかり焼き上げた薪のような香りに、中はしっとりむっちり。
もちろん口でダマにならない口どけも重要です。
そして口いっぱいに広がる「Pain」の香り。
決してキレイに澄んで、軽く抜けるわけではなく、
少し澱んで重たい香りなんですけど、ゆっくりじわじわ広がっていく感じ。
「うわ~・・・・、pain喰ってるなぁ~・・・・」って、
しみじみ思ってもらえるようなパンを作ってみました。
火曜、金曜に店でも売ってる「パン ラミジャン」が、
今のビストロの流れ、いわゆる「ネオ・ビストロ」の空気を感じて生まれたのに対し、
これはガチで「ビストロ」用のパンです。

某和歌山のシェフ、次のコラボのパンは、これ行きますからね(笑)

黒イチジクとアーモンドのタルト
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すいません・・・・。
質問やらなんやら受けてるうちに、
アイスが溶けきってしまいました(笑)

エスプレッソ。これを飲むのも皆さん、結構苦しかったのでは?
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今回はかなり満足度高かったんじゃないですか?
自分的にもかなり料理にフィットしたパンが焼け、
みなさんにもこういう楽しみ方が本来のパンと料理の関係であることも
伝えれたんじゃないかと思います。
毎度なんですが、主宰者の方、それをサポートしていただいてる方、
その方々あってのこういう会です。本当に感謝してます。
ありがとうございました・・・・って、あと2回あるんですよね(笑)

さて、この日の最後に出したパン。
実はこれが、今回のシュクレの商品変更のきっかけのスイッチになったんです。
「なあ、こういうの、そろそろ店のお客さんにも食べてもらいたいと思わへん?」
そう僕に語りかけてくるようなパンでした。
そこからどんどん溢れて来る現状への不満、それに目を瞑ってるような自分への不満。
現状の中で変化できるものはないのか。
「仕方ない」と思いこんでるものはないのか。
ま、そんなに大幅な変更に至るまでにはなりませんでしたが、
自分の中で、少しすっきりした部分があったのは確かです。
そこで、そんな「僕の眼を覚ましてくれた」このパンを、ちょっとアレンジして出したのが、
「グロ パン“ベル・エポック”」です。
ちょっとアレンジと言っても、塩をゲランド産に替えたくらいなんですけどね。

もともとパンの定義は曖昧なもので、
「パン ド カンパーニュ」(田舎風のパン)
「パン ペイザン」(農家風のパン)
のように、大体の雰囲気みたいな要素が強いんですよね。
そんな中、
こうした明確な出会いの記憶の中で生まれた「グロ パン“ベル・エポック”」や、
「パン ラミジャン」、「リュスティク デザミ」など、
シュクレのささやかな歴史の中の想いや出来事の刻まれたパンが増えてきてること、
これは本当に嬉しく思います。
カンパーニュと言えばカンパーニュですし、
ペイザンと言えばペイザンですが、
うちで作られるこれらは、それらの定義を越える想いや出来事によって生まれてきました。
よその店ではカンパーニュでも、うちではベルエポックでいいし、
よその店ではペイザンでも、うちではラミジャンでいいし。
その背景は、その店でしか作れない、出会いなくして生まれない尊いものばかり。
僕はアイデアじゃなく、想いでしか作ることが出来ない職人だとつくづく実感します。
でも5年前、ここ岸部でパン屋を開いた当時は、
パリで学んだことや実際あったパンを、ただただ史実に再現すること、
それを背負って必死に作っていたんだと思います。
でも今、少しずつですが、本当に少しずつですが、
「創る」ということが出来始めてきたような気がします。

今、お付き合いさせていただいてるキュイジニエの方々。
その全てのキュイジニエが、スタイルは違えど「フランス」から逃げずに、
真っ向から挑んでいる方々であり、料理というものに真摯に向き合ってる方々です。
その想いが少しでも濁ってる方とは時間を共有することも無意味やと思ってます。
そんな方々に、パン屋でありながら「同業者」と括ってもらえてる「今」を、
本当に幸せやと思います。本当にそう思うんです。
オープン以来、ずっと一人でやってきました。
同じ方向を向いた同業者もいず、もともと友達もいず、毎晩恩師に電話してました。
それが今、思いがけないところで繋がりを感じることができてます。
フランスと日本が入り乱れた、曖昧な「Boulangerie」を掲げていたなら、
おそらく相手にもしてもらえなかった方々やと思います。
もちろん、そのスタイルによる弊害というか、苦労や悩みもありましたが、
少しずつ広がったこれらの出逢いが今の僕の力になってることは間違いありません。
お店に伺った時に温かく迎えて下さるのも、友達の少ない僕を癒してくれてます(笑)
これらの繋がりはシュクレクールというスタイルを頑なに貫いてきた、
一つのご褒美であり、確かな軌跡であると思っています。

今日の本題である会の出席者から聞く言葉であったり、
変わり映えのしない店に懲りずに通ってくださるお客さんの姿だったり、
こうしてお付き合いしていただいてる方々の存在だったり、
自分が歩んできた道が間違ってなかったんやなぁ・・・って、
ちゃんと自分が歩きたい方向に歩けてるんやなぁ・・・って、
まだまだ短い5年の道程ですが、皆さんにそう思わせてもらってます。
そんな方々に愛想尽かされないように、今に甘んじることのないように、
そして今度は僕が皆さんにそう思ってもらえるように、
頑張っていきたい・・・というより、頑張っていかなあかんなぁ・・・って思います。
これからも、ご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願いします。

・・・・思いがけず、固っ苦しい終わりになってしまいました(汗)
by monsieur-enfant | 2009-09-21 02:00 | ル ヌー パピヨン

お父さんとこへ。

この日は、先に紹介した「Fujiya 1935」さんに、
パンの最終打ち合わせに行く日でした。

仕事終えて向かう市内。
お腹はぺこぺこ。
打ち合わせは営業終了後。
どっかで腹ごしらえしないとね。

周りにはヌーパピさんやガクさんなど、ガッツリ食べれるお店も近いんです。
・・・ですが、この日はダメ。
だって、歯が痛いんだもん(笑)
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そこで向かったのが、打ち合わせ場所の裏のビル。
さらに地下へと降りていきます。
「洋食 Fujiya」
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ご存知、「Fujiya 1935」藤原シェフのお父さんのお店。
お腹空いた→ガッツリ食べたい!→でも歯が痛い→お肉噛めない→ハンバーグ!
ってな感じでハンバーグに決めてました(笑)
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中央の卵を割ると・・・
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「うわ~!」って、歓喜の声を上げてしまいます。
僕のような1人客でも楽しめます(笑)

息子さんのお店で何度かお見かけしてたんですが、
お父さんのお店にお邪魔するのは初めて。
妹さんも相変わらず、お綺麗ですね。
そういえば最近、洋食屋さん自体、入った記憶がないですね。
カレーもハンバーグもオムライスも大好きなんですが・・・。
こんな美味しい洋食屋さん、近所にあったら嬉しいですね。

お父さんとお話して、お店を出たところで電話が。
「終わりましたんで、いつでも来てください」
「はい、今から向かいます」
2分後に到着(笑)

その後、持ってきた試作のパンを並べて、先日お知らせしたパンが決まったとさ。
by monsieur-enfant | 2009-09-21 01:52 | 洋食 Fujiya