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なないろめがね

2010年 11月 04日 ( 1 )

「挑む」ということ。

さて、もう5カ月の前のことになるのでザックリになってしまいますが、
めちゃめちゃキレたパスタをいただいたのでチラッとご紹介を・・・。
心斎橋 「ビストロ ア ヴァン ダイガク」
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初夏の陽射しの眩しい昼下がりの訪問でした。

久々の訪問に「やらせてください」とのシェフの声。
お任せでお願いしたのでメニュー名すらわかりません。
前菜
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上に乗るのはうすいえんどうのソルベ。
下には数種の貝類、そしてコンソメのジュレだったような。
先に書きましたがこれ、初夏の話ですからね。
数種の貝類の食感の違いの妙、そして夏を連想させる磯の香り、
うすいえんどうも甘さと少し鼻に纏わりつく青い香りが心地よく、
それらをコンソメのジュレが優しくまとめてる印象。
のっけから、相当旨かったですよ、これ。

パスタ その1
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今思い出しても涎が出てくるパスタ2種。
上に乗ってるのは、あさかぜきゅうり。
タリオリーニに絡まってるのは稚鮎です。
あさかぜきゅうりの清涼感に稚鮎の旨味とほのかな苦み、
旨くないわけがありません。

パスタその2
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なんだったっけなぁ・・・カチャ・・・なんとかぺペとか言ってたような・・・。
スパゲットーニにアスパラソバージュ、
そこにこれでもか!って量のペコリーノロマーリオ!!
温められたチーズの昇り立つ芳醇な香り!!またしても「思いだし涎」が(笑)
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時間が経てばペコリーノロマーリオが溶け出し、濃厚に絡むソースへと変化!旨い!!
さっきの「パスタその1」で、
「二皿パスタが出てくるのに一皿目にこんな旨い皿出して大丈夫なんかな・・・・」
と思った自分に喝っ!シェフにも謝る!それくらい凄すぎる二皿でした!

ま・・・5カ月も経ってるので、食べたくてももう食べれないんですけどね(笑)

おまけにもう一つシェフに謝る!
メインの「紀州鶏のアメリケーヌソース」、画像無くした!
すいません!でも美味しかった!だから怒らないで!(笑)

デザート盛り合わせ
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ちょっとずついろいろと、やっぱりこういうの女性は嬉しいんでしょうね。
抜かりなく、一つ一つ丁寧なお仕事です。

いやぁ、久しぶりの訪問となりましたが、
かなりキレキレでしたね。
なんていうか、若さというか、挑む姿勢というか、・・・・キレというか(言ったね、これ)。
イタリアンを基軸に、自由な表現をする他谷シェフですが、
そこいらの創作的な料理と明らかに違うのは、
違うジャンルへの敬意があることと、それを知ろうとする貪欲さ。
だから表面的な技法や見せ方、つまり時流だけに肖ろうとする軽薄な料理ではなく、
きちんと芯のある力強さを感じます。
そして何より、先に書きましたが「挑む姿勢」は、
感心するというより、こちらがそれらを忘れてるんじゃないかと気づかされたりもします。

僕のパンも、日本に帰ってきた当初だったり、
シュクレ開店当初だったりを知ってる人からは、
「優しくなった」と言われることもあります。
うん、それはね、やっぱり否めないというか、
数字で管理し機械で大量生産していく仕事ではないので、
ある意味、作り手の心情や技量や環境の変化によって変化するのは、
手仕事としては仕方のないことですし、別に悪くないことだとは思います。
もちろん「質」が下がらないことが大前提のうえでの「変化」ですけどね。
帰国後間もないころや開店当初は、力技でねじ伏せるくらいの気概で、
魂を削ってはパンに叩き込み、一人で背負って一人で立ち向かい、
ある種「鶴の恩返し」の「おつう」さん並みに身を削ってパンを作ってましたから、
僕の印象としては「尖った」パンだったと感じます。
時の移ろいと共に表現することも変わっていきますし、
スタッフが増えることによって多くの違う「手」も加わります。
が、そのぶん出来ることも増え、理解して下さるお客さんも増えていきますので、
表現の矛先や対象人数や対象範囲も変わっていきますし変えていかなきゃいけません。
ただ、その中でも常に「挑んで」いけたらとは思います。
挑み、苦しみ、そして乗り越える、
僕らのような単純な生き物は、結局そういうことでしか成長できないというか、
それくらいしか成長する術を持ち合わせていないような気もします。

この日のパスタほどの「キレ」は歳と共に薄れていってますが、
逆に若い時では出来なかった可能性は広がってると思います。
ただ、可能性はあくまで可能性。実現するか否かは全て自分次第。
でもね、修業時代には自己表現すらままならない僕らにとっては、
「自分次第」と言える立場になれたことは、たまらなく嬉しいわけなんです。
やっと、やりたいことを表現したり形にしたりできる自己責任を得たわけなんです。

これからなんです。
やっと、これからなんですよ。

おたのしみに(笑)
by monsieur-enfant | 2010-11-04 00:27 | ビストロ ア ヴァン ダイガク