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なないろめがね

2012年 12月 13日 ( 1 )

2次元から3次元へ。

パリ滞在最後の夜。
昼間の「SEPTIME」同様、
この日はパリの「今」を少しでも覗ければいいな・・・ってチョイス。
実は違う店に行こうと思ってたんですが、
世話になってるヴァッスール氏から、「ガッカリするから止めとけ」と言われ、
急遽変更したのが今晩のお店。予約が間に合って良かった・・・。

オデオンからお店へ向かう。
この日は、初めて食事に行く・・・というか、
まともにお話するのも初めての方とのdiner。
「是非いろいろ話がしたい」と名乗りをあげてくれたパン職人さん。
面識はあったので「はじめまして」じゃないんですが、
なんかぎこちない挨拶を交わしながら、
オシャレなお店が立ち並ぶ界隈を歩きます。
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「あれ?」
完全に通り過ぎたみたい。
「でも、それっぽいお店無かったしなぁ・・・」と、
今度は住所を頼りに探してみる。時間も結構ギリギリでしたし。
「あ・・・・あった」
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自信を持って通り過ぎたお店でした。
店先のガラス越しに服が掛かっていたので、
てっきり閉店したブティックかと思ってたら、お客さんの上着だったんですね。
そんな分かりにくい「それっぽくない」出で立ちのお店の名は、
「Agape Substance」(アガペ・シュプスタンス)
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えっと、まずは安定性の悪い椅子で、
後ろにひっくり返りそうになるという洗礼を受けるとこからスタート(笑)
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ここのシェフは、20歳のときに働き始めたアルページュで、
21歳のときにスーに昇格、その後ピエール・ガニェール、ランブロワジー、
アヌシーのマルク・ベラ、そしてスペインやニューヨークを経由して戻って来た今、
経歴は二の次でも、そのスピードったら半端ないっすよ。
だって、それでも今まだ31歳くらいじゃなかったっけな・・・。
僕もね、29でお店を始めるまでに9年間の時間がありまして、
そのうち最初のお店で4年間、その後の残り4年で5店で働くというハイペース。
放浪っぷりだけでは負けてないんですけどね(1年業界自体から離れてます)。
東豊中とか門真とか行ってる僕とはスケールが違い過ぎます(笑)

連日大賑わいの理由の1つに、シェフの類い稀な経歴や料理もありますが、
もう1つの大きな特徴の1つが、「保健所の許可、おりんの?」ってな印象の、
客席と繋がったキッチンなんです。ホントに地続きです。
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「キッチンから続く、対面するカウンター」なのか、
「シンプルに長いだけのターブルドット」なのか・・・。
戸惑いながらも、すでに上がりまくってる、お店のボルテージに身を委ねます。
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ビーツのフィルム
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あ、言っておきますが、もうほぼ料理は覚えていませんので、
基本、画像メインでお送りしたいと思います。

ちょんっと。
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これはグリーンピースのシフォン。
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下は、軽石。

お、今度は何やろ・・・
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また、ちょんっと。
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ちょん・・・結構続きます。
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なんかの天ぷらだったような・・・。

やっとここで「料理っぽい」お皿の登場。
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トマトと・・・ブラックオリーブとバジルのソルベ・・・だと思う。

ワインは料理に合わせてグラスでチョイスしてもらいました。
どんな料理かは来ないと分からないので、こっちで選びようもないですしね。
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また、ちょん。
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小さな試験管からスープが注がれ、
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とてもキレイな色合い。
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イチゴのスープだったような。

マグロのミキュイ。
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湯葉と何か。
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徳利で注がれる豆乳のスープ。
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スープもの、2種目・・・。
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牛タルタルとフランボワーズの組み合わせ。
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パン、素敵な仕上がり。
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温泉卵と・・・なんとか。
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鰻ですね。ソースは胡麻。
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今度は蓋開けて注がれる系。
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うわ、もう全然覚えてない・・・・。
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イカでしたね、イカ。
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ん~~~~~、全然分かんない。
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豚。
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48ヶ月熟成のコンテ。
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ここからデセール。
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何かが紫蘇だったような・・・。
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カフェ、飲んだっけな・・・・。

これだけの料理が、滞ることなく、そこそこのペースで出てきます。
合わせてワインも頼んでいるので、若干目が回ってくるというか、
一皿一皿は、あんまり覚えてないというのが感想です。
さらに、メニューには内容は表記されておらず、
各お皿の象徴的な食材のみが記されていて、
客側は運ばれてくるまでどんな料理が来るか分かりません。
ま、運ばれてきてもよく分からないお皿もしばしばでしたが・・・。
ただ、かと言って印象が薄いお皿ばかりなのかと言うとそうではなく、
一皿に盛り込まれた思考や、丁寧な仕事の施された料理は、
十二分に驚きや喜びを与えてくれます。
お店のテンションやモチベーションは相当高く、
そこに「さて、どんな感じやろ」みたいに受身で入ると辛いかと。
一緒に楽しもうと前のめりで行かないと、
いちいち「量が少ない」とか「皿が多い」とか気にしてては勿体ないです。
映画にもいろんな映画があり、日本映画の楽しみ方や心への残り方と、
ハリウッド映画の楽しみ方と心への残り方が違うように、
「どうやって伝え、どうやって楽しませるのか」っていう着地点が違うものを、
単純比較も肯定も否定も出来ませんよね。
好きか嫌いか、合うか合わないかであって、良いか悪いかは全く別問題。
僕も、この日はたまたま、久しぶりに話ができる同業者との席で、
会話から相当テンションも高かったので店のテンションに乗れた感じ。
「苦手」な部類に入るお店ですが、単純に「楽しかった」です。

そして一番感じたのは、
ここだけに限らず今回の旅で行ったお店全てで感じたことですが、
ザックリとした言い様ですが、料理は日本人でも作れると思います。
それだけレベルは上がってますし、
個人個人のポテンシャルやキャラクター、アイデンティティの違いはあっても、
もう国籍の違いなどは料理の差にはならない時代だと痛感しました。
もちろんフランス料理ならフランス人がアドバンテージを持ってますし、
日本料理をフランス人が解釈し表現するのは難しいでしょう。
でも、時代はそれを「言い訳」としか取らなくなっています。
選んだのならば国籍を問わずその舞台で闘えるだけの機会は与えられています。
現に、アガペ・シュプスタンスの料理を日本人が作ってると言われたとしても、
今はもう驚きません。それだけのスキルを持った料理人は少なくないと感じます。
ただ、「料理は」と限定したのには訳があって、
フランスにあるレストランと闘える料理を日本人が作れたとしても、
フランスにあるレストランと闘える「店」を日本人が作るのは難しいと感じたからです。 
最後に行ったアガペ・シュプスタンスもそう。
先に書いたように、技術、創造性共に、
非常にレベルが高いことは前提にしても、
日本人でやれるキュイジニエはいると思います。
決して彼のお店を軽んじてるわけでは無いので、
「同じようなことを」という言葉を足しておきます。
でも、あの「お店」を日本人が作るのは難しい。
店に溢れる活気、勢い、高いテンション、
日本では感じたことの無い「店との距離感」。
それは形は違えど、地方のブラッセリーでも同じことを思いました。
馴れ馴れしいわけでもないのに距離はなく、
他のお客さんと接してるのを見てるだけでも幸せになる景色。
これはもちろん店側の問題だけではなく、
それを上手に楽しめるスキルを持つ客の少なさも問題なのは事実。
「お店」とは、店と客・・・というより、
その空間を共有する全ての人たちで作り上げていくもの。
お手並み拝見的なつまんねぇ「自称グルメ」な客たちや、
店との距離感を勘違いした「自称良い客」気どりの客たちが、
店の成長やモチベーションの維持を妨げてるばかりか、
勘違いしたダメな客のモデルを作り、後に続かせてることを自覚しない限り、
なかなかああいう景色は見れないんやろなぁ・・・と思うわけです。
食べログなどの出現は、
レビュアーの感想の中で知識や経験や情報を共有でき、
一気に底辺の層を引き上げたことは功績に値するのかもしれません。
好きじゃないコンテンツですが、プラスを生みだしてないとは言えません。
ただ、そこで生みだされた新しい価値観で店を見るお客さん方、
そろそろ・・・というか、
いい加減「成熟」に向かっても良いんじゃないかなぁ・・・って思います。
店だけが良くなってもダメです。客も良くなっていかなきゃダメです。
ホントにね、前にも一回書きましたけど、
「店でこんな感じやったのに、匿名ならこんなこと書いてる!」なんていう、
「客ログ」書かれたら一たまりもなり方、少なくないですからね(笑)
あのね、せっかくスキルのあるお客さんは、
「良いお客さん」の手本になって欲しいわけです。
それは必ず遠くない未来に繋がるはずです。
スキルがあるのに、それをひけらかし「他の人とは違う感」を出しても、
店の本質を理解せず自分のペラペラの物差しを押しあて計っても、
それが出来るということはもしかしたら「優れたお客さん」なのかもしれませんが、
その優れたお客さんが必ずしも「良いお客さん」ではないことが現実ですよね。
なんかね、「たくさんのお店に行かれてる・・・のに」とか、
「プロ顔負けの知識を持ってる・・・のに」とか、「のに」を付けざるを得ない、
「勿体ないなぁ・・・」と哀しくなるお客さんが未だに少なくないですよね。
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「食」は素敵です。
「食」は素晴らしいです。
「食」を本当に愛してるのでしたら、その全ての人たちが、
「食」にも愛される人たちであって欲しいなぁって、切に切に願います・・・。



さ、そんなこんなで、
短かった滞在の長かったブログも最終日の朝を迎えました。
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何度迎えても、どんなに晴れ渡ってても、
強烈な寂しさに包まれる最後の朝日・・・。
今回の旅で一番多く歩いた、ホテルから駅まで向かう5分くらいの道。
いつも忙しなく歩いてたこの道を、
まだ人通りの少ない朝にゆっくり歩いてみると・・・。
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駅前ということもありますが、同じ通りにパン屋が5軒!!
これもパリならではの風景ですね。
その足で向かったのは、この駅。
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初日から当たり前のように来て、
そしてまた明日も来るのが当たり前のように過ごしてた時間も今日が最後。
何かが終わるってのは、
今年大阪でも知人のお店が何軒か、
その場所での営業を終えた時にも感じましたが、
時間であれ物体であれ、
継続することを疑わない惰性の中では気づけなかったことを、
改めて再確認させてもらえる一つの節目ではあると思います。
でも、この店をどんなに好きで、この街をどんなに好きかなんて、
その都度締め付けられるような寂しい想いをするくらいなら、
この先何度も確認されなくてもいいやって思ってしまいますね・・・。
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シェフの自転車にお別れを告げ、
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スタッフ用のお土産を紙袋いっぱい買って帰ります。
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今回の旅ではいつも以上にお世話になったので寂しさもひとしおです。
「一年後にまた来るんだろ?」・・・って言うけど、
また一年は来れないわけだし、イレギュラーだらけの僕の人生、
一年後に来れる確約を自分で出来ないのが哀しいわけです・・・。

製粉会社さんから粉をいただいたりと荷物が大幅に増えてしまったので、
急遽、カバンを買って帰るという予期せぬ出費もありました。
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で、出発までそんなに時間あるわけじゃないんですけど、
哀しいかな、こういうとこで迷うんですよねぇ・・・。
「もう、大きけりゃええやん!」って思うんですが、ヘボ過ぎるのも勿体ないし、
「どうせなら日本でも使えるような・・・」ってなると値段も上がりますし・・・。
結局、ここで予想外の時間と出費のロスをすることになりました・・・。

泊ってたホテルの最寄駅からホテルまでの道中、
「こっちのが近いんじゃないかな・・・」って、
常々思ってたルートが一本ありまして。時間の無い最終日、
最後の最後にチョイスしたそのルートで出会ったのが、このお店。
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なんとなく、フラフラッと引き寄せられて入った店内に驚愕。
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あっち見ても、
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こっち見ても、
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「大・中・小」と「白・黒」はあれど、生菓子がこの広い店内に一種類!!
他は何故か大ぶりなブリオッシュだけという潔さ!!
この何だかモコモコしたユルキャラ染みたお菓子の名は「メルベイユ」。
簡単に言うと、ムラング シャンティを横向きにして、
周りをシャンティで覆った素朴なお菓子。
つまり、ムラング→シャンティ→ムラング・・・周り全部シャンティ。
そして、味の違いは白か黒かのチョコの違い・・・のみ。
厨房はというと、ラックに大小のムラングが焼かれているのがストックされてて、
それをおもむろに先の順序で仕上げていく・・・・のみ。
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働いてる女の子のテンションがめちゃくちゃ低かったのも頷けます(笑)

そしてそのお菓子の名前を冠した「オ メルヴェイユ」という潔い店名に惹かれ、
パリ最後のお菓子は、なぜかメルヴェイユになってしまった・・・というお話。
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食べる前はメルヴェイユというお菓子を知らず、
食べた瞬間は、「なんか食べたことある!」と、
初食にして懐かしさを覚える味に、若干の感動すら覚えたものの、
何のこっちゃない、「ムラングシャンティ食ってら思うやろ」と、すぐに我を取り戻す。
でも、このメルヴェイユ、実はベルギーにも同じく「メルヴェイユ」で売られてるくらい、
昔からある由緒正しき懐かしお菓子だったんです。
周りにたっぷり塗られたシャンティは、
野暮ったくもあり温かくもあり、垢ぬけ無さもあり懐かしさもあり。
ベルギー・・・・にもあったってことは、
こりゃいつか逢坂シェフに言ってモンテベロに並べてもらわなきゃいけませんね(笑)

さ、どうでしたか、皆さん。
やっと終わりましたね(笑)
もう最初に何書いてたか覚えてないんじゃないですか?
僕はもう覚えてないですね、正直。
短い滞在時間でしたが、
自分が見てきたフランスを通じて、
皆さんが何かを感じてくださったなら嬉しいです。
フランス編はここで終わりますが、
フランスを宿したパンやお菓子という食べ物を通じて、
ブログでの文章や画像同様、
フランスを届けたいと思い続けて営んでる店は岸部にあります。
今度は2次元じゃなくて3次元にて発信してるフランスに、是非触れに来て下さい。
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成田から羽田に向かうバスで食べたおにぎり、
「わ!マジうめぇ!!」と感じてしまった自分にちょっとガッカリ・・・(笑)
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by monsieur-enfant | 2012-12-13 16:40 | フランス 2012