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2010年 07月 26日
「ハグ」と「握手」と。
先日書いた「バンドエイド」の記事、
81歳のおじいちゃんと書きましたが、89歳でした(汗)
僕、多分そんなに生きられへんやろなぁ・・・。
さて、ホントはもっと早く報告しなきゃいけなかったBBQ。
3か月前の記事が残ってるなか、
先に書いておかなきゃいけないものから書き始めますね。
では、そのBBQの日にまたがってしまった前夜祭の話から。

多分、お互い「行きましょう!」とは言えないものの、
「行けたらいいなぁ」くらいは、ずっと思ってたはず。
そんなオッサン3人の、笑いあり、男泣きありの、
楽しくむさ苦しい会が、北新地「弘屋」さんで開催されました。

オッサン1は僕。
オッサン2はモンテベロ橋本。
彼とは店で行く時以外、こうして個人的に食事に行ったりしたことがなかったんです。
別に避けてたわけじゃないんですよ(笑)
ただ、橋本が気をつかいすぎるんじゃないかなぁ・・・って思ってて。
それになんか、今更こっぱずかしいですやん。
それがなぜ開催にいたったかというと、ここでオッサン3が橋渡しになってるんです。
オッサン3っていうか、一番年上なんで「大オッサン」ってとこですかね(笑)
「パティスリー ラヴィ ルリエ」オーナーシェフ 服部さんです。

親交はあったものの、ここで名前はおろか店名が出てくるのも初めてじゃないかな?
もともと橋本と親交があって、そのついでに何度か会う機会があって、
東京で働いていたんですが大阪で独立することになって、
モンテベロで働いてた子が手伝うことになって、
ま、僕とのきっかけはそんな感じですかね。
ですからオッサン2とオッサン3は食事にも行ってて、
オッサン3はオッサン1と「いつかは・・・」と思ってってくれたらしく、
オッサン1と2だけなら2があまり喋れないけど3が混じってくれると少し気が楽で、
オッサン3も2が一緒なら1も誘いやすいやろうし、
1は基本、他人に興味ない感じなので一番ネックになってたというわけです(笑)
話してると長くなるので、弘屋さんの料理と共にお送りしますね。
当時の現場のように、つまみながら話してる空気感で。
まずは暑い中では最高ですね!キリッと冷えたシャンパンで乾杯!

服部さんの印象は、とにもかくにも「めちゃめちゃ良い人」。
ただ、僕の人づきあいの基準っていうのが「ハグできるかできないか」なんですよ。
もちろん本当にしないでもいいんですよ。気持ちの問題です。
「握手」が出来てもダメ、「ハグ」が出来ないとダメなんです。
握手は「良い人」でも出来ますが、「ハグ」はそれだけじゃ出来ません。
どんだけ熱く語っても、どんだけ共感しあってる風でも、
実を伴わない戯言なんて世の中に溢れ返ってますから。
つまり「良い人」なんて薄っぺらい仮面ぐらい誰でもかぶれちゃうわけですよ。
グージェール

僕らのメッセージは言葉よりも仕事。
黙ってても、仕事は雄弁にその人物を語ります。
今まで、何人も見てきました。
偉そうに言うだけ言って、「・・・これがそれですか?」ってな人たち。
散々理想論を語りながら、いざ表現の舞台にあがると言い訳を並べ始めたり、
結局自分の言葉一つ責任を背負いきれない輩との付き合いなんて、
所詮上辺だけの馴れ合いの繋がり。全くもって無意味です。
言ってることとやってることが交わって初めて「真実」になるわけです。
チョリソー 桃 チェリー

うん、良い塩梅。シャンパンにも好相性。
「友」とは、お互いを高めあえてナンボ。
つまらないことでも意地張って、負けないように頑張って、
そして同じ温度で喜びや苦しみを分かち合えるのが僕の考える「友」なんです。
人数なんて関係ありません。ようはその場の温度です。
100℃のヤツが2人いたらその場は100℃じゃないですか。
100℃の周りに50℃とか20℃とかがいると、その場の温度は熱くないですよね。
自分の温度を下げて接しないといけないなんて在り得ません。
だったら100℃の友達一人で十分です。
日本人お得意の、愛想笑いまみれで媚び諂っておきながら、
「円滑な対人関係を築くには必要なこと」と悪びれず言い切る感性は僕にはありません。
だって、嘘の時間ですからね。自分にも相手にも。
シャンパンをもう一杯いただきます

ここで既に橋本の目がトロ~ン、服部さん頭の先から指先まで真っ赤に。
今だから書けますけど、
オープン前とかに持ってきてくれてたお菓子は「?」でした。
先にも書きましたが、めっちゃ良い人な服部さん。
「ハグ」、したかったんですよね・・・・・でも出来ませんでした。
あ、本人にもちゃんと伝えてましたよ。
「フランス菓子ではない」と。
ですから、みなさんにオープンをお知らせすることも出来なかったんです。
うちのHPやブログで紹介するってことは、
ある種のお客さんに対する責任も発生します。
どれだけ知り合いでも、実が伴わないものを紹介するわけにはいかないんです。
以前、散々お話して「大丈夫」と踏んで紹介してしまったお店が、
蓋を開けてみれば「今までの話、一体なんやったん・・・?」
ってなクオリティだったことがあります。心底ショックでした。
握手まで出来てたわけですから、ハグしたかったわけです・・・。
鱧のフリット

軽いっすね。イタパセが良いアクセント。塩でいただきます。
周りカリッの中ホワッって感じ。
オープン後も何度か店にお菓子を持ってきていただきました。
正直、「無理かな・・・」って思ってました(ハグすんのがね)。
お店は良い滑り出しを見せていて、
僕には理解できませんでしたが評判も良かったようです。
モンテベロ一年目に強烈にコケた僕としては羨ましい限りでした(笑)
だからね、もういいかなって思ったんですよ。
お客さんにも来てもらってて、商売として成り立ちそうでしたし、
フランス菓子語っといて「まがい」の店なんて関西には掃いて捨てるほどありますからね。
ま、珍しいパターンではないわけですよ。
「これが服部さんのお菓子なんだったらそれはそれで仕方ないんかな・・・」
と思ったこともありました。
だって僕が認める認めないなんて小さなこと。お客さんに来てもらってナンボですから。
ただね・・・・僕はその来てもらうお客さんのターゲットを上げないと、
将来的に作り手のモチベーションも下がってしまうし、
流れてしまう層はまた新しい店に流れていくのが摂理。
そんな人らを追いかけるのにも限界があると思うんです。
散々苦労してきた服部さんが、そんな層を狙ってるとも思えません。
周りに集う人間の質も、これから生まれる新たな出会いの質も、
自分の視線が向いてる角度にしか広がりませんからね。
鳥取産岩牡蠣 パクチーと野菜のジュレ

立派な岩牡蠣。野菜のジュレのミネラル、
パクチーとみょうがのキレ、夏ですね!
結局、個人的に諦め切れなかったんですよね、ハグするのを。
なぜなら類稀なる「良い人」だったから。先にも書きましたが、相当苦労してきてますし。
ですから橋本に頼んだんです。「友人なら何とか引っ張りあげろ」って。
僕、志の高い相手に対しては、
はっきり言ってあげるのが礼儀であり優しさやと思ってます。
そこで濁したりするのって、よっぽど残酷やと思うんですよ。
お客さんが離れてしまってから「実は前から思ってたんやけど・・・・」なんて、
無責任過ぎますよね。
事実を告げられたのに逆上するなんてナンセンス。
所詮そういうヤツは、そこまでの人間だったってことなんです。
誰だって嫌なことは聞きたくありません。
でも、嫌なことは言うほうも嫌なんです。
その真意を汲めない相手と、「友」になんて最初からなれないでしょ。
すっきり白に移行

でもね、先に書いたように、「もう変われないんじゃないかな」って思ってたんです。
だって、お店オープンしたってことは、
満を持して自分のお菓子を表現したってことですからね。
それを例え頭でわかってたとしても、簡単に変えれるもんじゃないですよ。
なぜなら染み付いてしまってますからね。
うちの橋本だって、僕に毎日どやされて、変わるのに丸1年かかってます。
逆を言えば、毎日どやされても1年かかってしまったわけです。
怒られる環境にないオーナーシェフという立場、
よっぽど冷静且つ客観的に今を分析できなければ、よっぽど自分に厳しく出来なければ、
一円の価値もない張りぼての自負に、成長や変化を阻まれてしまうのがオチですから。
バーニャカウダ 三田の野菜で

やっぱり食べたくなりますね。シャキシャキと、新地で味わう土の恵。
そこで諦めなかったオッサン2名。
橋本はおそらく自分を見ているようだったんでしょうね。
自分が積み上げてきたものを覆される、落胆、怒り、戸惑い、
全ての感情が手に取るように痛いほどわかってたんじゃないかな。
でももう一つ、そこを越えた自分が、今立ってる場所や見えてる景色、
それらも一変してることも十分自覚してるんじゃないかな。
だから「今のままじゃダメなんです!」って、ノックし続けたんだと思うんです。
そしてもう一人は、僕・・・じゃなくて服部さん自身です。
売り上げが上がってるにも関わらず、お客さんが来てるにも関わらず、
ずっと悩んで、ずっと苦しんで、何度も岸部まで足を運んでくれました。
橋本も含めて同世代がある程度の結果を出し始めてる中での独立。
気負いもあったでしょうし、商売の怖さも身に沁みてる以上、
知らず知らずのうちに「お客さん寄り(日本人寄り)」になってたんじゃないのかな。
周りから見ると「順調」に見えた滑り出しの最中、
一度全てを見直す為に数日間お店を閉めたことがありました。
ここが大きな転機になったんじゃないですかね。
お客さんの流れや一時の評価に甘んじてしまう方が多い中で、
自ら杭を打ち付けて、もう一度リスタートを切ろうと決めるのは相当な勇気が必要です。
ま、うちはオープン初日のショーケースを見て、
全商品入れ替えという暴挙に出ましたけどね(笑)
チマチマしてても何も変わらないんですよ。
舵を切ると決めたなら、
早く大きく明確に切ってしまわないとスタッフが迷ってしまいますから。
なんだかんだ、このワイン、よく飲んでますね。

ホワイトアスパラのカルボラーナ仕立て

ぐちゃぐちゃにして取り分けてくれました。

このビジュアルがたまりません・・・。
でも、そこからなんか吹っ切れたんでしょうね。
店に来てくれた時の、なんか後ろめたさを抱えてるような言動がなくなり、
すごく晴れやかな表情に変わった気がします。
「まだ行かないほうがいいです」って言ってた橋本からも、
「ホントに変わりました」とGOサインが出ました。
えっと・・・・でもまだ一度も行けてないんですけどね(笑)
橋本の結婚式で同じテーブルだったことも後押しになり、
「飲みに行きましょうよ」という声をかけていただき、この日の宴となりました。
ワインはどんどん進みます。

あれ・・・これなんだったっけ。

それぞれがそれぞれに抱く想いはホントにそれぞれなんですが、
それでもすごく強く熱い想いを抱いてくれてたことがヒシヒシと伝わってきました。
橋本はこうして僕と過ごす時間も少なかったので、
服部さんを挟んだリラックスした状態での時間を楽しんでくれたようで、
何より僕と服部さんが一緒に飲んでることを嬉しそうに眺めていた気がします。
優しいヤツです、ホントに。
服部さんは橋本に「岩永 歩って男はなぁ・・・」って、なんだか熱く語ってくれてたようでした(笑)
橋本とは違う、同じオーナーという立場だから感じることもあったのかな?
僕はそのころ他のお客さんに掴まってしまってて、
その内容は全然聞き取れなかったんです・・・が、悪口じゃないよね・・・?
稚鮎のタヤリン サマートリュフ風味

いやぁ、旨いっすね。稚鮎はこの夏、近年ないペースで結構食べてますが、
この香りと苦味、素敵すぎます。
ハグ?しましたよ、マジで(笑)
いつしたのかもう記憶は定かじゃないんですが、
多分全然素面の時だったんじゃないかな?あれ?酔ってたかな?
「僕がここに居てもいいんですか?」って謙遜する服部さんに、
「何言ってんすか!」って、ガバッとハグしました(笑)
橋本も交えて3人で肩を抱き合うオッサン3人・・・・ウザいですね(笑)
でもね、僕も橋本も服部さんも、
各々が各々、違う立ち位置からですがこの日を待ってたんです。
服部さんは一番苦しかったし、一番嬉しかったんでしょうね、男泣きしてました。
橋本に、「最初からそこを狙うのはキツイですって」と言われてたようですが、
「岩永 歩を何とかアッと言わせたい」って思い続けてくれたみたい。
そんなターゲットにしてもらうのは嬉しいですね。
頑張って、正しきハードルになっていければ良いですね、お互いがね。
平気で安い涙ばかりが飛び交う日常で、
これほど重く熱い涙は久しぶりに見ましたよ。
グッと来ましたね。
さ、ボーヌの赤で羊をいただきます。

NZ産ロムニー種仔羊背肉の骨肉ロースト

オッサン3人、むさ苦しいかも知れませんが、
僕、こういう時間ってあんまりないんですよ。
自分を曝け出して笑いあえる仲間って、あんまりいないんですよね。
中途半端な時間を過ごすくらいなら一人で行ったほうが良いですから。
頼りなかった橋本もいつしかシェフっぽい内容の話をするようになりましたし、
がっちりハグできた服部さんという良い仲間を得て、
ずっと辺鄙な場所で「僕がやらなきゃ」って一人ぼっちでやってきた肩の荷が、
少しだけだけど降りたような気がしました。
一人のオッサンとしてグラスを交わせる仲間って、嬉しいもんですね。
青森産むらさきウニの冷製フェデリーニ

〆パスタ。ほぼ毎夏いただいてます。
これ・・・飲んだの覚えてないですね(笑)

かぼちゃのプリン ココナッツのスープ

エスプレッソ

ご無沙汰でしたが良い時間を過ごさせていただきました。
オッサン3人、初めて酒を交わす場としては、
気取らず肩肘張らず、且つワインも料理も間違いない弘屋さんは打ってつけでした。
にも関わらず、ほぼラヴィ ルリエさんのことばかりに触れましたが、
今回はどうしてもちゃんと僕らの関係を書いておきたかったんです。
初めて登場する今回しか書けないことがありますから。
その後、服部、橋本、両マダムも合流し、
ひっさびさのカラオケに行きました。
弾けましたね(笑) なんか学生のころを思い出しましたわ。
カラオケというと皆さんに「意外・・・」と言われるんですが、
僕、お酒も食事もストレス解消の手段ではないので、
唯一に近いストレス発散の手段なんです。

マダムには反射を抑えてもらってます(笑)
その後、顔を合わせれば「めっちゃ楽しかったです」と言いあうくらい楽しかった1日。
服部さんは翌日仕事、僕らはBBQがあるので「そろそろ帰りましょうか」とお開きに。
余韻に浸りながら帰り支度する僕らの目を一気に醒めさせたのは、
「お会計 3万越え」の現実・・・。
今って、カラオケそんなにするんですか・・・?
先の弘屋さんでは僕が持ったので、「ここは払います!」「ここは僕が!」
って言いあってた二人が一瞬「え・・?」って止まりましたもん(笑)
弘屋さん出たのが10時くらいやったかな・・・。
2時間で入って、何度か延長したから深夜2時くらいの感覚で外に出たら、

「あ・・・あれ?」
はい、朝の5時半でした(笑)
▲
by monsieur-enfant
| 2010-07-26 02:32
| 弘屋
2009年 12月 14日
坪あたりの満足度。
ちょっと考えないと、年末までみんな身体がもたないや・・・。
僕自身も、若いころとは違うことを最近まざまざと感じます。
頑張るとか頑張らないとかじゃなくて、朝起きたら身体が動かない時があります。
そんなこと無かったんですけどね。重力に押しつけられて全然動けないんです。
ま、今までのツケがまわってきたんやなぁ・・・としみじみ感傷に浸ってますが(笑)、
もうちょっとやりたいことがあるので待ってもらわないと困りますね・・・。
スタッフが頑張ってくれてる「今」を、
なんとか「あの時があったから」という未来に繋げてあげたい。
最近考えるのは、そればっかりですね・・・・。
さてさて、夕刊の記事で途切れてましたが、北新地の続きとまいりましょう。
焼肉屋さんを出て、連絡が来るまでちょっくら散歩。
懐かしいネオン街。無くなってる店もあれば、まだ頑張ってるお店もあります。
あれから・・・もう8年も経ってるんですね。
ここで働いてた時は、自分が店持ったら、絶対恩返しに来ようと思ってました。
お世話になったホステスさんを指名して、感謝の想いを伝えようと思ってました。
が・・・・そんなの無理です。
一個200円前後のパンを全部人間がちまちま作って売ってるような商売やってて、
一晩ン十万のお金をばらまけるわけがありません。
「パン、何個ぶんやねん・・・」とセコイこと考えてしまいます(笑)
でもやっぱり懐かしいなぁ・・・。好きじゃない街ですが、嫌いにもなれない街ですね。
そうこうしてるうちに連絡がありました。
一回転目は満席で、二回転目からのお邪魔になります。
北新地 「弘屋」

いつものグージェールをいただきながら、

仕切り直しはシャンパンから。

セコ蟹の内子と剥き身 ういきょうのソースで

のっけからテンション上がりますね。
冬を連想させる食材の一つ、蟹。それがアミューズで出てくるんですから。
しかもシャンパンにも好相性。

北海道・・・・産 牡蠣 殻付きで柑橘を絞って

・・・・産地の漢字が難しくて読めない。厚岸の隣とか言ってたっけ?
なんとも魅惑的なビジュアルの牡蠣を、シンプルに柑橘を絞っていただきます。
やっぱり一口ですよね・・・。
そうなると、眼の前のこの牡蠣が、合計二口で無くなってしまうわけですよね・・・。
なんとも儚いものです・・・・。あ、そういえば、
結婚生活を「儚い」と振り返った磯野貴理子さん、あれは名言でしたね。
いつも元気な貴理子さんの切ない表情とあの言葉、ちょっとキュンとしましたもん。
その磯野・・・じゃないや、牡蠣に合わせた白をチョイス。

続いては、これ。

フランス産秋トリュフを使ったバーニャカウダ 季節のお野菜
弘屋さん、AIDAさん、バカールさん、バーニャカウダBEST3の3店です。
それぞれがそれぞれの魅力がありますが、
弘屋さんはなんと言っても、「旨くないはずがない」というトリュフ添え。
量も多めなので、パンにつけて食べれるのも嬉しいところ。
さ、ワインも変えて、パスタですね。

鱈の白子と下仁田ネギのタヤリン 秋トリュフ

クタクタになって甘さ全開の下仁田ネギに、濃厚でクリーミーな白子。
タヤリンが下仁田ネギによく絡みます。熱々が嬉しいですね。
この辺くらいだったかな?
シェフに、「ここ来る前、どっかで食べて来られたんですか?」
と聞かれて、「はい、焼肉を」と答えて失笑されたのは(笑)
いや、軽くですよ、軽く。本気で食べてきたわけじゃありませんから。
さ、赤にスイッチしまして待ち受けるのは、

北海道産 仔鹿の骨付きロースト

見てください、このビジュアル。
いくら焼肉食べてきたって言ったって、かぶりつきたくなるでしょ!(笑)
海水雲丹の冷製フェデリーニ

二種お願いしたパスタを、ここに持ってきてくれました。
いやぁ、締めにはピッタリのパスタですね。すだちをギューって絞っていただきます。
マスカルポーネのアイス 熱々のエスプレッソをかけて

はぁ~・・・甘いものはホッとしますね。
と寛いでいたら、「こんなの飲みますか?」と・・・

うわっ!飲みます!飲みますとも!
ポルト酒ですね。いやぁ、なんともカッコいい出で立ちですねぇ。
こんな風に歳をとりたいものです。
相も変わらず、「ホントにここで作ってるんですか?」てくらい狭いスペースから、
「ホントにここで作ってるんですか?」ってくらいクオリティの高い料理が出てきます。
席もカウンターのみ。横もそんなに余裕があるわけではありません。
でも、坪あたりの満足度なら決して星付きにだって引けを取らないお店です。
シェフやスタッフさんとの距離の近さもホントに心地良く、
友達のめっきり少ない僕に「人って、あったかいなぁ・・・」と思いださせてくれます(笑)
東京から来た友人も喜んでくれた北新地での夜でしたが、
最後は「じゃ!」と一人駅まで全力ダッシュ。
終電乗れるか乗れないかで、170円と5000円の差ですからね。
やっぱり岸辺は遠いです・・・。
▲
by monsieur-enfant
| 2009-12-14 02:04
| 弘屋
2009年 08月 29日
VS終電
前回の話でメチャクチャ行きたがってたスタッフを連れて、北新地へ。

早速、シャンパーニュでスタート。
グージェール

荒川白桃とフランス産生ハム ぺルノーと芽シソ風味

桃と生ハムは好きな取り合わせ。
桃にはぺルノーやオリーブオイルを纏わせ、芽シソがメチャクチャ良いアクセント。
それでいて全く「和」を感じさせない使い方。こりゃ、センスですよね。
山形産だだ茶豆の冷製ポタージュ 温泉たまごとサマートリュフ

よくこんな料理が、こんな厨房から出てくるな・・・と、いつも感心します。
お気楽なカウンターで、お気楽に食べさせてもらってますが、
完全なレストラン料理ですからね。
バーニャカウダ

お任せの中で唯一のリクエスト。
野菜の旨さもさることながら、パンチの効いたソースをパンで拭うのも楽しみ。

蟹の剥き身 ガスパチョのジュレ

ガスパチョより野菜の旨みを押し出したジュレ。
これが蟹に合います。キレイな一皿ですが、しみじみ唸る深い皿。
これには何を合わせたっけな・・・。
空腹で来てシャンパーニュ2杯で始まって、
一皿一杯くらいで飲んでたのでよく覚えていません・・・。
蒸し鮑のサルミ仕立て 根セロリのピューレ

失礼ながら、なんでこんな鮑がこんなとこにあんの?
あまり「旨い!」と感じるより「こんなもんか」と食べることが多かった鮑。
素直に旨い。肝を使ったサルサソースもドンピシャです。
上州牛フィレ肉のシンプルなステーキ

赤身のしっかりした上州肉に合わせたのはフォアグラの脂質。
日本人好みの霜降り肉だと胸焼けしてしまう組み合わせ。
そこにロックフォールのアクセント。やはりワインありきのイマジネーション。
茨城県産仔牛アバと夏野菜のタヤリン

簡単に冷製で来ないとこも「らしい」と思う。
そしてこの旨さも、やっぱり「らしい」と思うパスタなわけです。
愛媛県産海水雲丹の冷製フェデリー二

まだ食べれたので追加をお願い。
見た目も涼しげなフェデリー二。酢橘を搾っていただきます。
「赤も合いますよ」とのことでお任せを。

ゆるい空気に、ゆるいシェフ。サービス陣は美人揃い。
楽しい会話に美味しい料理。そりゃお酒もすすみますよね。
同伴のうちのスタッフも食うわ飲むわ、他のお客さんに絡むわ(笑)
全く僕の存在なんてお構いなし。楽しんでくれたようで何よりです。
緊張されて固くなられるよりは全然オッケーですもんね。
バナナのプリン ココナッツのソース

エスプレッソ

今日も気持ちよく酔いも回り、涼しくなった夜の梅田を歩きます。
と、どっかの景色とフラッシュバック・・・。
まさか!今、何時!?走れ~!!
先日のアキュイールさんの帰りの二の舞になるとこでした。
ヤバかった・・。学習能力の無さを露呈してしまいました。
ま、これで最近のVS終電は一勝一敗。良しとしますか。
ただ、夏休みの東京で連敗することになるとは、この時、思いもしませんでした(笑)
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by monsieur-enfant
| 2009-08-29 00:38
| 弘屋
2009年 07月 01日
恩返し。
ネオンの似合うこの街の、夜のとばりが降りる前。

「ふ・・・あの頃と、ちっとも変わらしまへんなぁ・・・」
辺りを見渡しながら、妙にセンチな気分にさせられるのは、
梅雨の湿った風に運ばれた、ホステスさんの艶やかな香りの魔法だろうか・・・。
すれ違う黒服やナイトの男たちに当時の自分を重ねてみたり、
あの頃お世話になったホステスさんを、一人一人、宵の空に映し出してみたり。
「みなはん・・・幸せに暮らしてはるんでっしゃろかいなぁ・・・・」
遠くを眩しそうに眺める眼差しに、少しは男の哀愁でも漂うようになったのだろうか。
あの頃からもう8年・・・。わいももう35やさかい・・・。
おもむろに立ち止まり、眉を顰めながら携帯を耳に寄せる。
トゥルルルルルル・・・・トゥルルルルルル・・・・トゥルルルルル・・・・・・・・
つづく・・・・
いかがでした?
ま、ようは昔働いてたにも関わらず、
お呼ばれで待ち合わせした場所がわからず迷って立ち止まってしまい、
結局「あの・・・どこですか?」ってメールしたっていう何も面白くない話を、
ハードボイルドタッチでお送りしてみたんですが(笑)
もちろん、つづきません(笑)

「ここ!?」って新地らしいビルの中の3階。
何度かお話があったにも関わらず縁のなかったお店です。
やっと来れました。北新地「弘屋」

う・・・・思ってたよりかなり緩い雰囲気。ついでにシェフも。
もっとスタイリッシュなつくりなんかと思ってました。ついでにシェフも。
めちゃくちゃ気さくな方で、良い店臭がプンプン漂ってきます。
昔、寿司屋だったところを改装したカウンターのみのこじんまりしたお店。
その距離感がまた良い空気感を生んでます。
ビールとグージェールをいただきながら、
なんか全然予想がつかないワクワク感を抱きながら、おまかせで進みます。
グージェールの下の小皿。

こういう、なんでもいいところに、センスや遊び心がでますよね。
乙女心をくすぐられます。・・・・乙女じゃないけど。
ちなみにロイヤルコペンハーゲンでした。
どこ産やったっけな~・・。牡蠣です。 ガスパチョのジュレと。

さわやかなガスパチョのジュレ。ここに濃厚な牡蠣の旨みと磯の香りが絡みます。
みょうが、パクチーなどの香味野菜も涼しさを演出します。
たまらずシャンパーニュに移行。

パンは「モワザン」でした。数年ぶり。

バーニャカウダ

おおっ!北新地でこんなお野菜をいただけるとは!
しっかりパンチのあるソースと絡めていただきます。
サマートリュフも暖められて、多少香りも増してきます。
あぁ・・・贅沢。

シャンパーニュも飲みほし、ブルゴーニュの白をいただきます。
僕の知識は地方まで(笑)畑や作り手は、覚えれません。

タラバガニのスクランブルエッグ

まぁ、スクランブルエッグと言ってしまってるのでそうなんでしょうけど・・・、
蟹の旨みと卵のなんとも言えない幸福感・・・。誰か朝飯に作ってくれ~(笑)
フォアグラと、とうもろこしのプリン

こういうの難しいですよね。バランスがやじろべいみたいに繊細で。
料理がデセールに寄ってしまったり、デセールやのに料理に引き戻されたり。
多々経験してきてますが(笑)
個々はとても美味しいです。一皿と考えると、プリンがちょっと甘すぎかな?
白を一休みして、コート デュ ローヌの赤にチェンジ。

鰻 黒キャベツのフリット

意外。ここで鰻が出てくるとは・・・です。
もっとクドイかと思いきや、意外なほど淡白。ワインも白で良いくらい。
仔羊のラグー タヤリン

うお・・・・メイン並みの羊のボリューム。
タヤリンとの絡みも申し分なし。
旨いっすね、これ。
マスカルポーネのアイス

エスプレッソとペルノー(アニス酒)、好きな方をかけていただく。
アニス酒、いわゆるパスティスは、パリ在住時、よく飲みに行った際に飲んだもの。
正確には「飲まされたもの」。アニス臭がどうしても好きになれなかったんですが、
「ジャポネは酒が飲めない」と思われるのも癪なので、頑張って飲んでました。
でも、今回はマスカルポーネのアイスとの相性が良く、
アニス臭は全く気にならなかったです。
その後、エスプレッソも結局全部入れちゃいました。
空間・・・というか、空気感と料理とのギャップ。
よくこんなとこで、こんな料理作ってはるなぁ・・・という驚き。
「ここでしか味わえないもの」がある、唯一無二なお店と感じました。
「新地でナイトされてたんですか!?」みたいな、
新地で働かなきゃわからない会話や思い出話も出来ましたし(笑)。
本当にリラックスして楽しい食事をさせていただきました。
「自分で店を持ったら、絶対恩返しに来る!」と心に誓ってた、あの頃。
今となっては、一個200円そこそこのパンをせこせこ売ってる身として、
一晩、うん十万のお金をばらまく意気込みは、全くもって無くなってしまいました。
僕を教育してくれた(いろんな意味でね・・・ニヤリ)今でも覚えてるホステスさんらは、
確かそれくらいのクラスのクラブでしたから。カッコよく凱旋したかったなぁ~。
ってなわけで、北新地への恩返しは、これからは弘屋さん経由でやらせてもらいます。
めでたし、めでたし(笑)
▲
by monsieur-enfant
| 2009-07-01 23:48
| 弘屋
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