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2011年 06月 20日
「挑戦」
昼間にブラブラしたとこだったんですが、
「あ、ここも表参道に入るのか・・・」って思うくらい雰囲気の違う道。
駅からそこそこ歩いたところ、聞いてなきゃわかんなかった隙間から擦り抜ける。

ここ、地下に降りるわけではなく、一段・・・と言っても結構な高さになりますが、
一段下がった道へと降りる階段になってるんです。
振り返り、見上げるとこんな感じ。

で、降り切ったところのド正面に一件、お店らしき建物が。

なんだか、この店の為のアプローチみたい。
ただ、一本入るわ一段下がるわ、この立地でやれてしまうのは東京ならではかな。
南青山 「プリズマ」

入るや否や目に飛び込んでくるのは、スコーーンと抜けた広々とした空間。
ホテルのレセプションを思わすソムリエさんらの仕事場に、
かなりゆとりを持って置かれたテーブル、
相反するサービス陣のカジュアルなユニフォームと、
空間に違和感を覚えるカジュアルな椅子(いや、そりゃ高いんでしょうけどね)。
この辺のバランスが「東京」なんでしょうね。
「センス」って部分では全く自信がないので、この辺には触れないようにしておきましょう。
でも良い悪い好き嫌い抜きにして、
こういう崩したところにも「レストラン」と「リストランテ」の感覚的な違いって、
あるように感じます。
さ、席に座ると頼りなさげな椅子は案外座り心地もよく(高いでしょうからね)、
後にあっちこっちで「寒い、寒い」と言われて閉める羽目になってましたが、
巨大な窓というかガラスの壁というかが強烈な解放感を醸し出していました。
コースは確か10000円一本。
「リストランテ」には滅多に足を運ばないものですから、
この日はいろいろ楽しみです。

先に言っておきますが、結構暗いんですよね。
席に座ってると、そんなに感じなかったんですが、
画像がホントに暗いです。
何とかベシャリで埋めたいと思いますので悪しからず(笑)
トマトのズッパとパンテッレリア島アチュートのジェラート

何度食べてもイタリア語のメニューはちんぷんかんぷんで全然わかりませんが、
爽やかなトマトの酸味が、コースの始まりの合図です。
自家製パン

イタリアンでは珍しいパンのバリエーション。
見た目ラブリーですが、甘いパンとかは無いです。
麦イカの墨煮とポレンタ・フレスカ

ホント、麦みたいなイカ。
その食感に墨の香りが纏わりついて、これだけでも美味しいけど、
底に敷かれたポレンタが旨い!合わせて良い塩梅。
愛媛産天然真鯛のカルパッチョ そのブロードのジュレと肝のジェラート

溶けはじめた肝のジェラートと絡まるカルパッチョ。
印象の薄い一皿が、美味しい仕掛けでより魅力的に。
ワインもイタリアは見当もつきません。

お任せにするのも一つの相性ですが、
良いチョイスをしていただきました。
フランス産アスパラガスのスフォルマートと、愛知産トリ貝のアーリオオーリオ

今書いてて知りました!ゲソやと思ってたらトリ貝だったんですね!(笑)
いやぁ、でも秀逸の一皿でしたよ。
ゲソ・・・いやトリ貝の塩分と香ばしさ、そこにニンニクの旨味も相まって、
これだけなら「ビール持ってきて!!」って言いたくなるところですが、
アスパラのスフォルなんちゃらがべらぼうに旨い!
甘くて優しく、でも淡くも頼りなくも無く、しっかりアスパラでした。
それを代わる代わる食べる幸せな時間は一瞬で終わってしまいます・・・。
儚きは、美しきですねぇ。
ワインも快調です。

ズワイガニと赤ワインのタリオリーニ エストラゴン風味

旨い!文句なく旨い!
でも、もうちょい個性があっても良かったかな。
ストロッツァプレティ アマトリチャーナ

旨い・・・これは唸ります。
多分、こっちのほうが先程のパスタよりベーシックなんでしょうけど、
なんていうんですかね・・・、完成度、鳥肌もんです。
愛媛産清美オレンジとカンパリのグラニータ

お口さっぱり。良い流れです。
ラカン産ホロホロ鶏のアル ヴァポーレ ヴェッキオ・サンペリ風味

オープンキッチンから見参した瞬間から、
「あれやな・・・」と目で追ってました(笑)

目一杯の香りとともに封切られます!

各部位に切り分けられ、お上品に再登場。

ぐはっ!旨い!
過去最高のホロホロかも!(ハズレが多いのであまり頼まないんですが・・・)
うわぁ・・・、なんなんすか、これ。
ジューシーっていうか、滴ってる感じですよ、常に、・・・何かが(笑)
そう、常に何かが滴ってる感じ・・・って2回言うくらいジューシー(結局ジューシー)。
いやぁ、旨味もなんていうか、凝縮されてるって感じじゃなくて、
後から後から溢れ出て来るような感じ。
これだけポテンシャルの高いホロホロを最適の調理法でいただくとなると、
やっぱりアル・ヴァポーレ・・・・なんちゃら風味になるんでしょうね・・・、
うん、そうなるよね、やっぱりね。
チェリーとバルサミコのジュレとメレンゲのジェラート

うん。こういうストレートなんも美味しいですね。
酸味と甘みの妙。
シンプルですが、菓子屋ではないレストランのデザートです。
ドモーリ社のチョコレートとパルミジャーノ・レッジャーノの温かいトルタ

いつもの自分の感覚だと、もっと変態なのが来ると思ってた(笑)
至って普通。言われてるからわかる、かすかなパルミジャーノの香りと塩気。
個人的には、もっと責めて欲しかったです・・・。
最後はマッタリとハーブティー。

お茶菓子もイタリア臭プンプンでした。

うん、良いお店でしたよ。
シェフは2店のお店を持ってるわけですが、
リストランテと、トラットリアやバールは珍しくないんですが、
2店ともリストランテという展開に興味があったんですよね。
シェフが前に居てはったペルゴラには行った事ないので、
どう違うのか、どう変えはったのかは分からないですが、
現状に留まらない新たな挑戦に、単純に「カッコええなぁ」と思います。
サービスも堅苦しくなく、付かず離れず、どっちかというと離れ気味のスタンスで、
広い空間の中に流れる緩やかな時間を静かに楽しませていただきました。
オープンして間もない新鮮な店内でしたが、
やはり有名店のシェフの新展開ということもあり、
太い客と言うか胡散臭い感じの業界人の香りがプンプンしてた客層が多いのが、
ちょっと気になったくらい。
僕はCPは高いと思ったんですが、
この場所と価格帯で、どう一般客に受け入れられるのか。
21時以降はカルトでもオッケーだそうなので、
料理のポテンシャルは折り紙つきなだけに、
広いお客さんに足を運んで食べてもらって欲しいなぁ・・・と無責任に願う、
狭いお客さんをターゲットにした、浪速の商人でした((笑)
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by monsieur-enfant
| 2011-06-20 01:13
| プリズマ
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