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2008年 09月 07日
「正しい夏」
来てるようで、全然来てないもんですわ。

鹿も、記憶が古すぎて、意外に新鮮(笑)
うざいくらいいるのに、観光のみなさん遭遇したてでテンション上がって写真撮りまくり。
でも、どこ行っても出没する鹿を、「ここでは全然珍しくない」ってことに気づいて
中盤以降、被写体にならなくなるのがオチですね(笑)
でもこれ、おとなしい鹿やからいいですけど、他の動物やったらどうなってたんでしょうね?
あっちこっちで「がおーがおー」「ぐるるる・・」って鳴きまくってたり、
もし肉食獣やったら「鹿せんべい」じゃすまないわけでしょ?
なんか小動物みたいなん食わして、
口の周り真っ赤にして、その辺血を滴らせながら歩いてたりして・・・・。
あ~、鹿さんで良かった!(笑)

さ、無茶な導入部分はおいといて、
観光客を横目に奈良公園内に進入。

夏真っ盛りの青々と茂る木々の下を潜り、
これは結婚式場なのかな?
「ザ ヒルトップテラス」内、レストラン「ラ テラス」へ。
・・・あ、肝心な外観の写真消しちゃった(笑)
背景には若草山を抱える開放的な景色。
式場やレストランも「いかにも」って建物じゃなく、ホントにいい感じです。
しかも周りは歴史的文化遺産の数々。
到着が早かったので、ちょっと散歩に行ってきます。


なんか「正しい」日本の景色と言いますか・・・落ち着きますね。
駐車場に停めたら、徒歩で春日大社まで歩けます。
最近、砂利道や石畳の上など歩いてますか?
上を見上げて木々の間から差し込む木漏れ日に、目を細めたりしてますか?
アスファルトの焼けた匂いが「夏の匂い」では無かったはずです。
そんな「夏」が、ここにはありました。しばしご観覧を・・・。









正しい!実に正しい!(笑)
今年の夏、こんなに気持ちよい夏は初めてです。
暑いんですよ。確かに暑いんですけど、
生い茂った木々は木陰を作り、木々をすり抜ける風はむしろ心地よく・・・。
暑さすら「夏なんだし!」って思えるほど「正しい夏」でした。
僕らが幼少の頃の夏がありました・・・。
さ、肝心のレストランです。
実は全然知りませんでした。
先日ご一緒させていただいた、
某比叡のホテルにシェフのお薦めいただいての来店です。

まだギリ無理そうですが、
涼しくなればここでもいただけるようです。

外観もそうですが、いわゆる「結婚式場のレストラン」とは良い意味で裏切られます。
天井も大きく採光され、建物の周りを木々が取り囲み、
光が差すたび、風が吹くたび、木々の揺らめきが壁やテーブルに映し出され、
なんだか「ほっ」っとするような空間です。

帆立貝のカルパッチョ フルーツトマトとトマトゼリー
初夏の野菜のマリネをグレープフルーツの香りで

ちょっとびっくり・・・。
こういってはなんですが、多くの期待は持ってなかったもので。
忍ばせたグレープフルーツの果肉やミョウガも良いアクセント。

季節のスープ

冷製はガスパチョ 温製には鱧を浮かべてました。
特選和牛フィレ肉の一皿 フォアグラ添え

旨い!
和牛でこんなにテンション上がったのは久しぶり。
確かにフォアグラやガルニは、大阪では寂しすぎる量ですが、
牛はこれくらい焼いて欲しいと切に願います。
ソースも王道ですが、逆に新鮮なくらい。
「ちゃんとやろうよ!」って、他店に言いたくなる。
派手さはないけど(いらないけど)確かな仕事。
デセールはワゴンもチョイス可。
おばさんご一行が「キャーキャー」言ってました。僕はお皿でお願いしました。

ノスタルジック!
いや・・古いって意味じゃなくてね(笑)
桃、丸々半分のコンポート。中に何か入ってたな・・・なんだっけ?
ゆったりした時間が流れる中、

お紅茶をいただきました。

シェフはリッツカールトンの「ラ べ」出身。
僕の同級生、「アキュイール」の中多シェフと同じ雑誌を飾ったこともありました。
記事のコメントは「ここ奈良にグランメゾンを作りたい」と情熱に溢れ、
こんな場所で頑張ってはる人を知り嬉しくなりました。
何の因果か、続けざまに「比叡」「和歌山」「奈良」と、
それぞれ恵まれた環境とは言えない環境ながらガストロノミーを突き詰めようと、
熱い熱い想いを抱いた料理人がいることを知り、
多くのハンデは伴うかも知れませんが、
やはり「どこで」ではなく「誰が」が大事なんだと痛感しました。
周りの自然にも恵まれ、また季節が変わったら訪れたいレストランでした。

さて、せっかく来たんですから食後に軽く散歩して帰りましょう。
車を移動し、観光客に混ざって東大寺、そして二月堂まで歩きました。













何かね・・・偉そうなこと言えませんが、
「言葉」って無くなっていくんやろなぁ・・って思いました。
現に僕自身も、知ってはいるものの忘れてる・・しばらく感じてないことが沢山ありました。
知識は経験によって植えつけられていくものもあると思うんです。
映像や音、香り共に記憶されていく言葉もあると思うんです。
今年、夕立らしい夕立はありませんでした。
わけのわからん時間に信じられないくらいの雨量。
もう夏の風物詩ではなくなってしまうんですかね・・・。
そんな大雨の後の鉄砲水を見て、「せせらぎ」なんて響き、浮かびますか?
小さな小川を流れる水を眺めて「せせらぐ」という言葉と結びつくんじゃないでしょうか・・。
生い茂る木からこぼれる木漏れ日、木の無い街では体感できません。
クーラーの風に当たってて、「風がそよぐ」なんて言いませんよね?
下を向きゲームに熱中する子供たちに、向日葵の残像は夏を刻めるのでしょうか・・・。
余計なお世話ですけどね。
僕自身が、あまりにも記憶と共に埋もれた言葉があることに気づき、
寂しさや怖さを覚えたもので。
でも一番のインパクトはこれでした(笑)

さ・・・さすが布袋さん。
スケールがデカ過ぎます!!
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by monsieur-enfant
| 2008-09-07 02:47
| ラ テラス
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