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2010年 05月 31日
絆の証

もう、北に逃げるしかなかったわけで・・・。
ではなくてですね、
今回は逃亡ではなく(笑)母親を連れての訪問です。

金沢 「鮨 志の助」

前々回訪れた時、富津の海苔を使ってると聞いてから、
いつか母を連れて来たいと思っていましたが、
母の誕生日のこの日、やっと実現することが出来ました。
金沢がほんとに久しぶりの母は、とても楽しみにしてくれて、
限られた時間の中で、市場に行きたいやらなんやら考えてたようなのですが、
よりによって電車のトラブル・・・。出発で20分遅れ。
出発したと思ったら、京都まで1時間くらいかかったんじゃないかな?
市場どころか、志の助さんにも間に合わないんじゃ?
なんてことも過ぎりながらも、なんとか滑り込み。

前回訪問時に唸った「手取川 山廃純米大吟醸」

まだ寒かった3月初旬。お猪口の中には春が咲いていました。
まんじゅ貝のバター焼き

いつもの一品。
磯の香りと入り混じったバターの香り。
「あぁ、志の助さんが始まるんだ・・・」と、ここで実感。
たらの白子

願わくば変わってないことを祈って来ましたが、まだありましたね。
今日は前回とほぼ同じ流れですが、旬の良いものを選んでいるのですから当然です。
ソースや技法を駆使するジャンルではありませんので、変わるほうが不自然です。
しかも、中2週間での再訪でしたからね(笑)
感想も前回と同じですので割愛させていただきます。
鰤の刺身

握りはのどぐろからスタート。

前回は肴で出てきたガスエビが握りで。

この風格・・・。蟹、ナイス迫力です。

鯵

途中で「常きげん」にスイッチ。

技冴えわたる、あおりイカ

ウニ。気品さえ漂います・・・。

トロの炙り

ばい貝

鯛の昆布締め

圧巻の蒸し鮑

穴子

甘エビ

マグロの漬け

小鯛

いくらの軍艦巻き

ねぎとろ

あったかいお味噌汁でホッと一息。

うなきゅう

さっぱりと、山芋と梅です。

はぁ~・・・終わりのが寂しいですね。

今日も美味しくいただきました。
富津の海苔に絡めて母を紹介しようと思ったり、
今日が誕生日で連れてきたことを話そうと思ってたんですが、
ちょっと目を離した隙に、母はまたしてもフライングで勝手に話し始めてました(笑)
いつもそう。こういうとこ案外積極的なんですよね。
でも喜んでくれたみたいで良かったです。
海苔、美味しいって言われて誇らしげだったしね(笑)
電車のトラブルで時間が押してたので金沢駅にとんぼ返り。

ちょっと時間があったので、母はお土産を物色。
一つだけ遅れて良かったことが。
本来、同じくらいのスタートだったであろう常連さんらしき方々の帰り際に滑り込んだ際、
聞いてしまったんです、「おにぎり」の存在を。
言おう・・・でも言っていいのかな・・・よし言っちゃおう、
そう勇気を振り絞ってお願いしてみました。
「おにぎり、作ってもらっても良いですか!?」

お昼がちょっと遅めになってしまったので、晩御飯はこれだけで済ませれそうです。
・・・と、前に座る母からの差し入れ。

あ、さっき駅で買ってたやつね(笑)
家に帰って、早速いただきました。
バレンタインにスタッフからもらって全然飲めずにいたお酒をお供に。

なんかね、ご主人の修行先である「小松弥助」でもやってたスタイルみたい。
鮨ネタをまな板の上で数種合わせ、
そこにたっぷりワサビの入ったワサビ醤油を合わせて、
それらを一度、海苔で巻くんですよ。
で、その海苔巻きにシャリを纏わせて、最後にまた海苔を巻く。
昔からの何か謂れのあるおむすびだそうな。
翌日くらいが、よりワサビが馴染んで美味しいと聞きましたが待てませんでした(笑)

過去、そんなに話せてなかったんですよね。
僕、きっかけがなければお店の人とあまり話せないんです。
だって不必要なことこっちからベラベラ話しかけるのもおかしいでしょ?
客として楽しみにきてるのに、自分がな誰で何をしてるのかって関係ないですからね。
でも今回は母親も交えた雑談の中で、ようやく素性も明かし、
「パン屋さんとは思わなかった・・・」と驚かれましたが(笑)、
(そりゃ、度々金沢まで鮨食いにくるパン屋いないでしょうからね・・・)
そのおかげで店にも遊びに来てもらえることにも繋がりました。
店名も、ご主人の名前の漢字の一部である「志」と、
修行先の「小松弥助」から「助」をいただいてつけたという温かいお話も聞けました。
繋がりを感じるお名前って、なんだかこっちも嬉しくなりますよね。
今回は電車のトラブルもあり、
ホントにお鮨食べて帰るだけの金沢詣でになってしまいましたが、
散々散々迷惑や心配ばかりかけてきた母親に、
ささやかながらですが親孝行も出来たかなぁ・・・って思います。
志の助さん、ありがとうございました!
▲
by monsieur-enfant
| 2010-05-31 02:40
| 鮨 志の助
2010年 04月 08日
「幸せ」のやり取り。
バスの乗車券を取っただけの「加賀温泉駅」から「金沢駅」に戻り、
時間もあるのでとりあえず先に宿にチェックインしておくことに。
これまた何かの思い違いか「駅から徒歩15分」と記憶していて、
観光も出来ないのでゆっくり歩いて行こうと思ってたのですが、
方角がわからないので駅員さんに聞くと、「徒歩は無理ですよ」。
いやいや、僕、結構歩くの知らないでしょ?・・・と思いながらタクシーに乗ると、
車でザッと20分くらいかかりました・・・ヤバイ、ヤバイ(笑)
お宿は後ほどお知らせするとしまして、
少し休んでから晩御飯に向かいます。
「鮨 志の助」

前回は、帰りの特急の時間がめちゃくちゃ早いことを向かうバスの車中で知り、
時間が無くて慌てふためいたそのバスが、
完全に真逆のルートだということを終点で降ろされてから知り、
大将にあまりに勿体無いスピードで握らせてしまうという失態を演じてしまいました・・・。
あの時お世話になった、急にヒッチハイクされたのに嫌な顔せず送っていただいた方、
今もそのご恩は忘れません。そして、あれ以来ヒッチハイクはしてません(笑)
そんなこんなもあり、次はちゃんと1泊してゆっくりいただこうと思ってたのであります。
さ、早速いただくとしましょうか。

この時間、結構楽しいもんです。
最初は燗からスタートです。お酒は全部金沢のお酒だったと思います。

たらの白子

おお・・・のっけから白子をいただけるとは。
白子好きとしては、このまま飲んでしまいたい衝動を抑えながらゆっくりいただきます。

いやぁ、旨いっすね。
ポン酢(お出汁も入ってるのかな?)に浮かんだシンプルなものですが、
何も足せない、何も引けない、ネスカフェゴールドブレンドのような逸品。
・・・例え悪いですか?(笑)
まんじゅ貝のバター焼き

これもホントにシンプルなんですが旨いんですよね。
この場所にミスマッチなバターの良い香りと、まんじゅ貝の磯の香りが相まって、
程よい食感と共に、「また来れたなぁ・・・」と思わせる志の助定番の一品。
鰤の刺身

部位の違う3枚を、紅葉おろしでいただきます。

ガスエビ

ネットリとした余韻を、日本酒で流せる幸せ・・・。
蟹

香箱の時期は終わってたんですが、旨み凝縮の良い蟹でした。
握ってもらう前に、お酒をチェンジ。
手取川 山廃吟醸

これ、美味しかったですねぇ。探せど、なかなかこっちで売ってないんです。
のどぐろ

おお、のどぐろからスタートですか!
好きな魚ですが、個人的には火を入れたほうが好みです。
あおりイカ

相変わらずの細かい仕事。
その所作の「粋っぷり」も、志の助さんの楽しみの一つです。
甘エビ

うう!口いっぱいに広がる甘み。表皮が弾ける弾力感。
やっぱりスゴイですね・・・ここ。
鯵

肉厚ですね。「鯵食ってる!!」って叫びたくなります。
ばい貝

味云々よりも食感の楽しい貝ですね。
お塩でいただきます。
雲丹

はぁ~~・・・・。全身の力が抜けますね~。
とろける様は濃厚な卵の黄身のよう。
トロの炙り

炙られた香りは「肉」ですね。
鯛の昆布締め

表面に薄く纏わりつく昆布の香りとネットリ感。
鯛の輪郭が際立つ良い仕事です。
蒸し鮑

シャリが見えないのでもう一枚。

言葉いらないですね。
こういうの食べると、噛むの止めたくなります。
器がね、良い器なんでしょうけど発泡スチロールみたいでチープに見えて勿体無いです。
小鯛

キレイですね。お味も上品。
穴子

仕込んでるものを直前に笹にくるんで温めます。
ほのかな香りを纏った穴子ですが、飲み物の如くとろけます。
残った余韻の存在感、それだけでご飯一杯食べれそうです(笑)
マグロの漬け

これでとりあえず握れるもには握っていただきました。
続いて手巻きを2種。
ネギトロ

うなきゅう

そして後悔しないためにも、もういっちょ穴子。

幸せですねぇ・・・。
美味しいものに満たされるって幸せですね。
お腹もですが、心もいっぱいになるって、ホントに幸せなことです。
目や耳に飛び込む表面的なものと違う、言葉や文字で取り繕う幻想とは違う、
身体の内側から満たされる嘘の無いやりとりから生まれる幸福感。
そこにはもちろん良い素材や素晴らしい技術もあるのでしょうが、
何より作り手の「心意気」が無言の中に込められてるからじゃないでしょうか。
お腹は「量」だけでも満たされますが、心はそうはいきません。
お腹を満たすのは難しくありませんが、心はそうはいきません。
心でもてなす作り手と、心で味わうお客さんと、
心と心のやりとりが成立して初めてお互いが満たされる部分だと思います。
一方通行ではない理解や愛情があって初めて満たされる境地だと思います。
なんかね、いろいろ難しいことはありますけどね、
そんな関係を一人でも多くのお客さんと築けたら幸せですね。
そして受け手としても、一人でも多くの作り手の気持ちを受け取れるような、
そんな客であれたらなぁ・・・って思います。
まだまだ寒い金沢でしたが、
いただいたあったかい気持ちをいっぱい抱えて宿に帰るのでした。
▲
by monsieur-enfant
| 2010-04-08 01:11
| 鮨 志の助
2009年 05月 22日
感動、再び。
時間無いのに、よりによってお寿司屋さん。
そう、この日は「日帰り金沢 昼夜お寿司 ついでに兼六園ツアー」だったんです。
「鮨 志の助」

前回来店時に興奮しまくったお寿司屋さんです。
「また来ます」と言ったら絶対行くのが僕の信条。社交辞令は勘弁ですから。
とりあえず経緯を話して時間がないことを告げ、タクシーを手配してもらう。
「早速握りますか?」と聞かれたので、
「時間いっぱい、可能な限りでお願いします!」と懇願。
ほんとはゆっくり食べたいんですけどね・・・、急かしてしまって申し訳ないです・・・。
普段あまり飲まない日本酒をいただきます。ま、基本、なんでも飲めるんですけどね。
まずはお猪口をチョイス。

石川の地酒「手取川」を燗で。

静かでさりげない女将さんのおもてなしを受けてると、大将が動き始めました。
それだけで高まる高揚感。相変わらず一つ一つの所作が粋ですね~。
お刺身からスタートです。さよりですね。

万寿貝のバターソテー

これ、本当に旨いんです。全体を通しても良いアクセントになる一品です。
もう一皿二皿楽しみたかったんですけど、なんせ時間がないもので握ってもらうことに。
赤烏賊

前回の記憶が一気に蘇ってきます。
塩でいただきますが、細かな仕事があちこちに。胡麻の香りもたまりません。
鯛の昆布締め

口に入れる前にふんわり漂う昆布の香り。
甘海老

外子もしっかり乗っています。口いっぱいにネットリ広がる甘海老の甘さ。
鯵

あ~、良い塩梅。この辺から、うっとり脱力気味です。
漬け

いやはや旨い。漬けが漬けである存在意義を、しっかり主張しています。
ガス海老

あら・・・、順番狂ってきてるかもです。
バイ貝

出ました「食感お化け」。コリコリの固まりです。これも小さな仕事で美しく食べやすく。
いくら

このフレッシュ感!過剰なプチプチは無いのに溢れ出る瑞々しさはなんですか!?
トロの炙り

あかん・・・炙られた脂の香ばしさったらないです。さしずめ肉をいただいてるかのよう。
この余韻、香りを巧みに使う志の助さんならではです。
たったこれだけの大きさで、これだけの組み合わせで、
これだけのインパクトと完成度・・・・。
フランス料理の一皿における膨大な材料と仕事量が、ふと頭をよぎりました。
恐るべし、鮨の世界。
こはだ

時間制限があるのでかなりのハイペース。
怒涛の勢いで口に運ばれる「志の助」さんのお寿司。
申し訳ないやら勿体無いやら幸せやら・・・。
蒸し鮑

やわらかい・・・。頼りない柔らかさではなく、しなやかな柔らかさ。
上質なものに触れる幸せに、しばし浸る・・・。
穴子

笹に巻かれ温められ提供される穴子。
お酒で蒸されてるのと巻かれた笹と、ふわっと香る優しい柑橘の香り。
「あーー、やられたーー」と多少馬鹿になって叫びたい気分です(どんな気分?)。
「あと10分あるんですけど、ネギトロと鰻きゅう、どっちか用意しましょうか?」
と、話終わる前に食い気味で、「両方ください!!」
ネギトロ

ぷは~、旨いね~。トロの旨みが全面に出てきます。
鰻きゅう
・・・・シャッター押すと同時にバッテリー切れ。
もう時間がなくなり、タクシーも到着してるとのこと。
胸もお腹もいっぱいになり、名残惜しくも店を後にしようとしたその時、
「美味しいけど、これ、どこの海苔使ってるの?」と、隣にいたお客さん。
「富津岬の海苔です」
「え・・!?あぁ・・・そうやったんや。そうやったんやね・・・」
あかん・・・・今書いてても涙が出てきてしまう・・・。
知ってますか?そう、美味しいんですよ、富津の海苔は。
僕は子供のころからずっと食べてましたから。
そんな富津の海苔が、こんな素晴らしい職人さんに選んでいただいてるなんて。
祖母に食べさせてやりたかったなぁ・・・、せめて聞かせてやりたかったなぁ・・・・。
こんなとこでまた富津の名が聞けると思ってなかったので、不意打ちでした。
ただでさえ素敵なお店が、僕にとって特別な想いを抱くお店になってしまいました。
またここでいただく機会があったなら、
そのころ少しは落ち着いた母が戻っているのなら、
母の日に「お母さん、あげる人がいなくなっちゃった・・・」と泣いてた母と、
祖母の話を肴に酒でも酌み交わしたいと思います。
富津の海苔と、志の助のお鮨をゆっくりいただきながら・・・・。
そのときは・・・・タクシーで、ね(笑)。
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by monsieur-enfant
| 2009-05-22 03:40
| 鮨 志の助
2009年 01月 24日
「粋」
チェックアウトしてそのまま大阪じゃ寂しいでしょ?
だからと言って、それほど時間もないし。特急で30分くらいかな?
はい、金沢駅です。

当日は生憎の天気。
曇天の中、寒いわ小雨はパラつくわ・・・。
珍しく早く着いたので「歩きではちょっと・・・」というお目当てのお店まで歩いて行くことに。
ガイドブックも無いですから、
「別に金沢じゃなくてもええやん」っていう普通の市街地の中を歩く。
唯一、金沢を感じるのは街の木々にまで施されてる「雪吊り」。

ただ、雪なんて一欠けらも舞ってませんけど。

ホント普っ通な道を歩いてると河川敷へ。橋を渡らず、グラウンド沿いを歩くことに。
そこで出会いました、金沢来て最高の景色に!
これ。

いや、これじゃわかりづらいかも知れませんが、ちょっとずつ外野に目を向けてみると・・


わかりました?バックスクリーンが、こんな雄大な山々だなんて!!
こんなとこで野球できたら、めちゃくちゃ幸せじゃないですか!!
感動しませんか!?・・・・しない?ま、写真じゃ伝わりづらいですよね。
ここに30分くらい居ました。今年、野球できたらいいなぁ・・・って思いながら。

で、歩くこと40分くらいかな?若干雨も強くなってきたころ、ようやく着きました。
「鮨 志の助」

通りから入ったとこにある一軒家。時間も早めだからか始めは僕一人。
お若いご夫婦が切り盛りする清潔感溢れる店内。

移転してきて2年らしいので、店もまだ新しい空気がありますが、
若くして独立されてるので確かもう10年くらいになるのかな。
歩いてきてまだ落ち着かないので、握りの前にちょっと肴を。
鰤です。

鰤は特に好きな魚の一つ。ただし普通の鰤じゃないんです。
鰤のすなずりです。いわゆるトロってことだそうです。
うん!美味しい!細胞一つ一つがまだ生きてるかのような・・・
あかん、ボキャブラリーが追いつかへん!
お酒は純米大吟醸「加賀鳶」。粋な杯での登場です。

万寿貝のバター焼き

う・・・、のっけからテンション上がる一品。バターの良い香りと磯の香りが相まって・・・。
「こんな貝なんです」と、女将さん。またこの女将さんの人当たりの優しいこと。

さ、握りはおまかせで。・・・と、まず握りの前に、カウンター越しの
大将の身のこなしに見とれてしまう。あ~・・・粋ですな~・・・と、溜息。
あおりイカ

丁寧な切込みを幾重にも入れられたイカは、空気を抱え甘みを増す。
シャリに忍ばされたゴマの香ばしさも加わり、一気に感想をまくし立てる迷惑な客に(笑)
いや、普段あまり店の方と会話しないんですよ。僕一人で話易かったのもありますが、
伝えずにはいれない美味しさでした。
鯛の昆布締め

いちいち唸る・・・。なんちゃっての昆布締めが多い中、
ちゃんと昆布締めの必要性を感じながら食べれます。幸せ・・・。
甘エビ

わ・・・。ん~・・・・・・・。ぷりぷりもさることながら、甘さの濃度が段違い。
乗ってる外子に「・・・・・チョン」と刷毛で醤油を垂らす仕草にすっかり「ほの字」(笑)
鯵

ぐはっ!!美味い!!肉厚!!ってか、それでもシャリが負けてない!!
なんだったっけ・・・お米の種類、忘れた!!美味すぎて!!(言い訳)
これくらいからお客さんが入ってくるんですが・・・おそらく一台の車で来たであろう4人組。
あかんのよね・・・鼻が利くから「男臭」が臭くて臭くて。仕方ないんやけどね・・・。
でも臭いは我慢するとして、よう喋る。関西人が含まれてるからか・・・。
「回転寿司行ったらええやん」と思うのだが、どうも若社長の羽振りが良いらしい。
店にも罪は無いし、ま、この方たちも悪気があるわけじゃないのはわかる。
でもさ、やっぱりモラルってもんと、
皆で過ごす空間って意識に欠けてると思うわけなんです。
嫌なら離れたテーブル席に移動すれば良いわけなんですが、
あからさまな行動は、お店にも迷惑を掛け兼ねないですからね。
僕、根は悪人のくせに、しょうも無い正義感だけは強いので、
ややこしくなっても困りますし。
そういえば金沢に来る特急の中でも、禁煙車両で堂々とタバコをふかす輩がおりまして、
「はは~ん、誰もよう注意せんのやな」と思い、
「スイマセン、ここ禁煙ですけど」と、しょうも無い正義感が言わすわけですわ。
そしたら「禁煙車両は隣ですよ」って、丁寧に教えてもらいました。
僕はバシッと言ってやりましたよ。「失礼しました」ってね!
まぁ、久しぶりに顔が熱~くなるのがわかりましたね。
超ハズかったんですけど~!!(笑)
寂しい一人旅でも、イベント多いので助かります。
さ、カウンターから大将もすまなさそうな顔してはりますし、
「問題ないですよ」ってサインを送り、気を取り直してまたいただきます。
香箱蟹の軍艦巻き

加賀ではズワイの雌を香箱蟹というんです。
子を持ってるから子箱とか、
日本海の香りを秘めてるから香箱とか諸説があるみたいです。
福井では越前蟹、雌はセイコ、山陰地方では松葉蟹、雌をオヤガ二というようです。
香箱蟹は成長過程においてさらにゼニマル、アカコ、ジンケン、クロコと分けられます。
漁獲が許されてるのはジンケンとクロコだけ。
さらにズワイの漁期が4ヶ月半ほどあるのに対して、香箱蟹はわずか2ヶ月。
外国や北海道では雌は全面禁漁になってる貴重なものなんです。
もう味はいいでしょ?(笑)この身とミソと外子の軍艦ですよ。妄想にふけってください。
マグロの漬けです

いやぁ・・・・いちいち良い仕事ですね・・・。
しっかり浸かってるものの、良い意味でのマグロ臭さまで消すほどではないし。
ネタの温度も十分考えられてのタイミング。
当たり前を当たり前に・・・が、ホントに難しいんです。
もちろん普通じゃ届かない域での「当たり前」ですけどね。
ばい貝

こりゃまた貝好きならビジュアルでヤバイんじゃないですか?
切り込みの入れ方も匠で、コリッコリの力強い食感ながら食べやすくいただきました。
トロの炙り

香ばしく炙られたトロの脂がなんとも甘く、あ~、なんて言ったらいいのやら・・・、幸せ。
こはだ

侮る無かれ、こういうのに仕事の差が出ますよね。
なんといいますか・・・下手したらトロやブリより沁みるお味でした。
思わず「うぅ・・」と唸る仕事っぷり。
鱈の白子の軍艦です

白子好きとしては、かなりテンション上がります。
あまりに新鮮すぎて「スーッ」っと滑るように入っていっちゃったのが残念!
もっとネッチョリ絡み付いて欲しかった~!とは、贅沢な悩み。
・・・あ、忘れた。

若干脳がとろけてきてまして、何海老だったか・・・。
穴子

包まれてたのは熊笹かな?煮られてるというより、ふっくら蒸されてる印象。
そして「ふわっ」と立ち昇るお酒の良い香り。
強い味は一つも含まれてないのにこのインパクト。まさに匠です。
これでお昼のおまかせ8000円から。東京じゃ12000~15000円しますよ。
何より、ご夫婦が醸し出す空気間、これに尽きるんじゃないでしょうか。
「居心地」は、お金では買えません。
いくら店にお金をかけたからといって得れるものではありません。
大将も女将さんも、そんなに話しかけてはきませんよ。
でも流れる時間が心地いいんです。
もちろん同世代なので気楽な面もあったかと思いますが、
そんな自堕落な心地良さではありません。
大将の身のこなし、握る手つきや面構え、細やかな仕事ぶり、
鮨への心意気が滲み出て溢れかえっています。
女将さんの形式ばらない柔らかな気配りによって、良い緊張感はそのままに、
解れていい緊張だけ解けるようでした。
「また来よう」、ここが金沢だろうがどこだろうが関係ない。
心からまた来たい、来させてもらいたいと思える店に、久々に出会えた気がします。
今回の北陸の旅は、ここに出会うための旅だと思えばオールオッケーです。
そう思わせるのに十分な説得力でした。
心も満たされた僕は、お昼に立ち寄っただけで金沢を後にするのであった(笑)
だって、雪でも降ってりゃ兼六園でも風情があったんでしょうけど、
曇天、小雨パラパラ、もちろん寒い・・・となると、帰るしかないでしょ?
あ、そういえばこの日の夜は、地元のツレとの新年会があったんだった。
ちなみに金沢も、1週間後には辺り一面雪に覆われたそうな・・・。
やっぱり、「戒めなくていいよ」ってことだったのかな?(笑)
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by monsieur-enfant
| 2009-01-24 04:10
| 鮨 志の助
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